あらすじ
恋人に紹介できない家族、会社でのいじめによる対人恐怖、人間関係をリセットしたくなる衝動、わきまえていたはずだった不倫、ずっと側にいると思っていた幼馴染との別れ――いまは人生の迷子になってしまったけれど、あなたの道しるべは、ほら、ここに。もつれた心を解きほぐす、ぬくもりに満ちた全五篇。
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Posted by ブクログ
おつやのよるはこんな彼氏がいいなーと思った。そしてこのおばあちゃんのように誰かの力になれるそんなおばあちゃんになりたいと思った。
ばばあのマーチは思わずホロリと泣けた。自分には何もないと思っていてもどこかの場面でふとした時に誰かの役に立てている、誰かの支えになれている、そんな人間でありたいと思った。
入道雲が生まれるころは2人がまた幸せにやり直せることを祈りたいと思った。
最後の話はとても切なかったけど、でも勇気をもらえた気がした。
やっぱり町田その子さんの話は切なくてやさしくて好きだなーと思った。
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おつやのよると、先を生くひとが良かった。
おつやのよるの、鶏肉のすき焼きの思い出が切なすぎる。
子どもには、どんなことでも、自分と人とが、その家庭のあり方が違ったとしても、『へぇそうなんだ』と受け止めて欲しいと強く思った。
でも、大人でもすぐ言ってしまいがち。変わってるねって。でもそれぞれみんな変だし、変だと思うことも違う。杓子定規にはなりたくないなぁと思う。
Posted by ブクログ
全5編、粋なおばあちゃんとほぼクズ男が登場する。読んで分かったが浮気や不倫をする事を女性の方が理性で断つのがいいね。スカッとしたのは「くろい穴」。女性同士協力するのが賢いと私は思う。
「先を生くひと」かっこよく可愛いおばあちゃん、年をとればとるほどいい女になっていくとおどけて笑う彼女はとても魅力だ。
初回限定特典でカバー裏にエッセイが書いてあるが粋なおばあちゃんに町田その子さんはなりたいとの事。文学通じてなっとるじゃん、おばあちゃんではないけど。
Posted by ブクログ
おつやのよるとくろいあな
が好き。
一般常識からかけ離れた恥ずかしい家族と距離を置いていた清陽。祖母の死をきっかけに家に戻った先に、恋人も駆けつけ、家族の正しい在り方を示されたような気がした。
くろいあなは愛人が、正妻にが不倫相手づてにたのんだ栗の渋皮煮物を作っていたら穴あきの栗と出会い、その栗に悪意を込めて渡したのに、栗を通して奥さんの真意を見たような気がして、別れを決める話。
Posted by ブクログ
別れが、テーマとなっていて物理的だったり死別だったり、と色んな形の別れが描かれている。別れというと悲しいもののような気もするが、別れることで残していくもの、守られるものもあるのだというメッセージが伝わってきて胸が暖かくなった。
特に長く付き合っていた彼氏と別れたのは勇気のいることだとも思うがそれは決して悪いことではないのだと教えられた。
人との繋がりに迷うこの頃、出会えて良かった1冊でした。
Posted by ブクログ
愛する人とともに過ごす幸せに、浸りきれない自分がいる。新しい一歩を踏み出すために必要なことは?
自分の今を見つめ直して、新たな生き方を選択する女性たちの姿を描くヒューマンドラマ短編集。
◇
我が家のごちそうは「すき焼き」で、私は鶏皮が大好物だと言って教室中で大笑いされる小学生時代の夢を見た。
その頃、すき焼きは鶏肉でするものだと信じていた。特に甘辛く煮込まれた鶏皮に白菜を巻いて食べるのが好きだと言って皆に笑われたことで、私は初めて知ったのだった。我が家の常識は世間の常識とは大きく違うということを。
初恋の人である福元くんにまで「貧乏くせぇ」と嘲笑われただけでなく、小学校卒業まで「トリカワ」というあだ名で皆に呼ばれたことは大きなトラウマになった。
それ以後、人に自分の家の常識を話すことに私は慎重になったのである。
久しぶりにその頃の夢を見たのは、実家にいる祖母からの葉書が昨日、届いたからだろう。そう言えば祖母は私が恋人を連れて帰省する日を待ち望んでいたなあ。
そんなことを考えながらベッドを出てカーテンを開けていると、後ろでガタンと音がした。
驚いて振り返ると、寝室を覗く章吾の顔がある。私の寝坊を見越して合鍵でマンションの部屋に入ってコーヒーを入れ、私が起きるのを待ってくれていたらしくリビングからはいい香りが漂ってくる。
ニヤけつつリビングに移動してコーヒーをひと口飲んだところで、スマホから着信音が聞こえた。見ると「母」からだが、なぜか嫌な予感がする。急いで出てみると、「清陽、おばあちゃんが亡くなったよ」という母の静かな声が聞こえてきた。
( 第1話「おつやのよる」) ※全5話。
* * * * *
違ったシチュエーションの5つの話。どれもおもしろくて退屈しませんでした。各話とも簡単に紹介しておきます。
第1話「おつやのよる」
祖母の葬儀に伴い、手伝いも兼ねて門司の実家に急遽帰ることになった清陽は、恋人の章吾が申し出た挨拶がてらの同行を激しく拒絶。結婚を視野に入れた真剣な交際のつもりでいた章吾は傷つき、2人はケンカ別れしてしまう。
実は清陽は、世間とはズレた常識がまかり通る実家や、粗野で下品な実家の人たちを章吾に見せたくなかったのだった。
酒癖の悪い父。パチスロ狂いの母。下品なモラハラ男の叔父。祖母という重しの取れたあの人たちを思うと……。
☆大学・就職と東京で生活拠点を築き、実家の低俗文化の呪縛から逃れられたつもりでいた清陽。優しく育ちの良さそうな彼氏と恋仲になったまではよかったのですが、相手が良識のある人ならば当然、家族との顔合わせは既定路線でしょう。さあ、どうする清陽 ⁉
ということで個人的にはイチオシの第1話です。
第2話「ばばあのマーチ」
前職で同僚からのイジメと上司からのセクハラに遭い、メンタルを傷めて退職せざるを得なかった香子。対人恐怖の症状が出ているため、人と接することが少ない仕事しかできず、アルバイト暮らしとなっている。当然ながら生活は苦しく、気分は一向に晴れない。
それでも香子には彼氏がいて、普通はその彼氏が救いになるはずなのだが……。
☆こんなせせこましく器量の小さい彼氏では精神が癒やされることなどないでしょうね。心ではわかっていても、彼氏から離れる決心がつかない香子の気持ちも理解できます。
そんな彼女の救いになるのが、近所でも変人で有名な「オーケストラばばあ」と呼ばれる老女です。 ( あだ名の由来は読んでお確かめください。)
儀式めいたことが立ち直りのきっかけになるということはよく耳にするので、なかなか興味深い展開でした。
第3話「入道雲が生まれるころ」
その朝、海斗を起こさないようにベッドを抜け出した萌子は、手速く身支度を整えると「別れましょう。今までありがとう」と走り書きしたメモを残して海斗の部屋を出た。
実は、自分の生活圏での人間関係をすべて捨ててしまいたいという欲求が起こることが萌子には定期的にある。
その欲求を抑えるのは難しく、結果として勤務先ばかりか居住地も変え、顔見知りが1人もいないところで新生活を始めるということを、萌子は繰り返してきた。
歩いているとスマホに実家の母から電話があり、親戚の藤江さんが亡くなったと知らされた。ちょうど次の生活拠点を探そうとしていた萌子は、故郷に帰る決心を固めたのだった。
そのあと海斗からも電話があり、躊躇したものの覚悟を決めて出た萌子は……。
☆生きていくためには、人間関係を作り上げていくことが必要になります。
人間関係は相手を理解し、自分を理解してもらうところから始まります。そして、その「理解」の内容を互いに維持し続けることで「信頼」が生まれ、円滑な日常生活に繋がるのです。
でも、「理解」や「信頼」を維持することに、何か虚しさというか物足りなさみたいなものを感じて、すべて投げ出してしまいたくなるときがある。
この「リセット症候群」と萌子が呼ぶ衝動は私もよくわかるだけに、テーマとしてはこの第3話がもっとも印象的でした。
第4話「くろい穴」
美鈴は八百屋で栗をふたカゴ分買った。栗の渋皮煮を作るためだ。
祖母直伝の渋皮煮は美鈴の得意料理だ。入社2年目に会社に持っていったことがあり、誰からも好評だった。その頃から不倫関係にあった上司の馬淵もひと瓶持ち帰ってくれている。それから5年。
今回、渋皮煮を作ることになったのは、馬淵に頼まれたからだ。
甘いものが苦手な馬淵だが彼の妻が大好物で、市販のものよりも美鈴が作った渋皮煮をどうしても食べたがっているということだった。
美鈴との関係を続けながら妻と離婚する気配も見せず、美鈴の部屋に来てもすぐに自宅に帰る馬渕。自分を都合のいい女としか思っていない馬渕への不満を抑えつつ買ってきた栗の選別を始めた美鈴は、「くろい穴」のあいた虫食いの栗が1つ混じっているのを見つけ……。
☆中盤までのぞっとする展開。なかなかでした。終盤の着地点もすばらしい。
多くは語りません。不穏なホラーサスペンスのテイスト、ぜひ味わってください。
それにしても、女の勘( 妻の勘?)の鋭さはモチーフとしても十分ですね。
第5話「先を生くひと」
高校生の加代は最近、同じマンションに住む幼馴染の藍生の様子がおかしいことに気がついた。朝早く家を出るし帰りも遅い。もしや彼女ができたのではと思った加代は、自分は藍生のことが好きだったのだと知る。
おまけに藍生が「死神ばあさん」と呼ばれる老女宅に出入りしているという噂を耳にした加代は、いてもたってもいられなくなり行動を起こすことにした。
ある朝、藍生を尾行した加代は、一軒の古びた家の玄関先で藍生を迎える若い女性を目にする。かなり親しそうに話す2人の姿。
死神どころか美人じゃないか!
そう思った加代はたまらず門扉に突進して行ったのだった。
☆それまでの、大人のめんどくさい愛憎を描いた話から一転。ジュニア小説のような展開です。だから登場人物もわかりやすく魅力的に描かれています。
生真面目で誠実な藍生。
激情家で一途な加代。
可愛らしい「死神ばあさん」の澪さん。
その姪孫で若いながら賢くてステキなお姉さんの菜摘。
死を目前にした澪さんが加代たちに贈ることば。そのひとつひとつが、高校生のこれからの人生へのよい餞になっていました。
加代の一途な想いは藍生に伝わるのか。そのあたりも楽しみにお読みください。
人生や恋愛で行き詰まり、悩みを抱える若い女性たち。
そんな彼女たちにそっと寄り添い背中を押してくれるのは、年老いた女性たち。
年輪を重ねた彼女たちが、その生きざまや何かの形で遺してくれたメッセージを紐解く展開が、心を温めてくれます。
そして、含蓄に満ちたそれらを咀嚼し、自身を見つめ直し新しい一歩に繋げていく若い女性たちの姿がとても素敵でした。
あなたはここにいなくとも
息苦しい日々や辛い経験をここにいない誰かのことを思い出すことで乗り越える人を描いた短編集です。
どの物語も北九州に関係しますが、短編間の繋がりはなく、独立した物語です。
後悔なく生きようと改めて思えるような素敵な作品でした。
Posted by ブクログ
同じになってしまうが、私もおつやのよると
先を生く人が良かった。人生を生き抜いた人がこれからまだ生きていかなければいけない私に対して言葉を残していってくれたように感じた。乗り越えて生き抜いてこなければ残せない言葉を。読み終わった後のタイトル「あなたはここにいなくとも」がしっくりくる。
Posted by ブクログ
1,2が特に好きな話だった。近い存在であっても、相手の気持ちを思い込み、ネガティブな方へ捉えてしまう。どちら側の気持ちも理解できて、共感できる話だった。
Posted by ブクログ
5個の短編小説
最後の「先を生くひと」しか覚えてない。
忘れられない1ページがある。この言葉を大事にしたい。
あなたたちは、可能性に溢れているのよ。恋も、友情も、夢も、何もかもがこれからなの。そして、どんなことだってできる。最初から諦めなければいけないことなんてない。絶望しないといけない障害なんてない。だから何ひとつ、憂うことはない。後悔しないように、それだけを忘れなければいい。もちろん、大変なことがたくさんあるでしょう。頑張ったからって成果がでないこともある。でも、どんなに辛いことや哀しいことがあったとしても、大丈夫。やっぱり憂うことはないの。だって、きっといつか、何もかもを穏やかに眺められる日が来る。ありのままを受け止めて、自分なりに頑張ったんだからいいじゃないって言える自分が、遠い未来にきっといる。私は後悔をたくさん残してしまったけど、たらればに思い悩んできたけれど、いまは、ここまで生き抜いてきた自分のことを重めたい。あんたなりにやったじゃない、って思ってる。だから大丈夫よ。この私が、保証する」
遠い未来が想像できないのなら、私を思い出しなさい。遠い先の未来で、私が待っていてあげる。私はあなたたちのぜーんぶを受け止めて、抱きしめるわよ。頑張ったねって言うわよ。
だから安心して借つきなさい。安心して、生きなさい。後悔や心残りだけはないように頑張りなさい。
Posted by ブクログ
5編からなる短編集
各話、若い女性が主人公
それぞれが置かれた環境や抱えている悩みが現代的でリアルに描かれており、共感できるという人も少なくないと思う
テンポが良く、話も分かりやすいので、読書が得意でない人にもおすすめできる
Posted by ブクログ
5短編
私はホロっと泣けるけど、笑顔になれる内容が好き
・おつやのよる
付き合ってる人に家族を紹介できないと悩んでいる時に、祖母が亡くなった。そのことをきっかけに、家族は問題と向き合い解決していく
心温まるストーリー
・入道雲が生まれるころ
リセット症候群を抱えている主人公が、親族が亡くなったことで帰省する。どう生きていくべきかを改めて考えるきっかけを得た物語
Posted by ブクログ
最近町田さんに絞って読んでるんですが、さらさらしみいるような心地いい文体で読みやすいので気に入ってます。
別れがテーマの短編集、別れの究極系は死別ですが、それをにおわすお話だったりばかりです。とはいえ穏やかに、静かに終えられる方が多くそれにまつわる人間関係や出会いに、じんとしました。私は1番最初のお話が好きです。
Posted by ブクログ
町田そのこさん、「宙ごはん」に続き2冊目。
何気ない日常を送っていた主人公たちの、ふとしたきっかけで人生が前向きに方向転換する瞬間の物語たち。それと、日常を大事に大事に噛み締め続けてている人たち。私はもう後者になりつつあるから、今後の人生の生き様の参考にしたいと思って、脇役の方の人々に感情移入。
町田そのこさん、まだまだ読みたい。
Posted by ブクログ
自分も、リセット症候群の節があると感じている。
小さなことが気になるため、
相手のネガティブな反応(気に留める必要すらないものでも)を見ると心が離れてしまう。
また、飽き性が高じて、刺激が感じられないことで
逃げ出してしまうこともある。
また、環境に慣れると共に、自分の我儘な性質が出て
相手を尊重できなくなり、そんな自分が嫌になることもある。
とにかく息苦しくなって、
同じ場所、組織、コミュニティに長く居続けられないことが、自分の大きな欠点であると思っていた。
この本を読んで、同じような欠落感を感じているのが
自分だけではないと知って救われた。
「生きるために身軽でいることを選んでいる」と、
少し前向きに捉える術を学びました。
Posted by ブクログ
「だから、安心して傷つきなさい」
この言葉で泣いた。
短編小説5編で綴られたこの本だったが、最後の話により深みを持たせるために、前の4編があるのだと思った。
いろんな経験をした澪さんが、少し先で待っててくれるから、あなたの全てを抱きしめるから、だから、あなたは悔いのないように、しっかり生きなさい。
いいことも、悪いことも。
ぜんぶ受け止めてくれる誰かがいるって
それだけで財産。
Posted by ブクログ
町田そのこさんの短編集
「おつやのよる」が一番良かったかな。
久しぶりに泣いた。
ばあちゃんの溢れる優しさと章吾の高邁な考え…かな。
ほんまの愛とは、嫌いな部分を受け入れることはもちろん、相手が今のカタチに至った背景まで愛することなんだと思った。
「入道雲がうまれるころ」
「子供という殻を被ることで、大人を満足させる」
なんだか、刺さってしまった。敷かれたレールに乗ることが、一番喜ばれるし周りからも評価されるって思考が自分の中では強かった気がするが、それは環境要因に寄るものだと思ってた。でも、どうだろう。どっかのタイミングで意志は持ってるわけで、オモテ化できてなかったのは、自分の弱さな気がしてきた。もっと早いタイミングで行動に起こせたら人生変わってたのだろうか?
「先を生くひと」
好きの種類、深さには色々あること、多くの経験を積んだからこそ分かる領域。単純だと思うこともあれば、複雑に思えることもある。そのときのコンディションや外的環境に寄っても移ろうものだと気付かされる。
Posted by ブクログ
町田その子さんの小説好きだなぁ
切なくて暖かくて、前を向ける光が差す短編集。
先を生くひとがやっぱり1番好きかなぁ
別離の痛みが辛い時に読んでじぃん、とするお話だと思う。
おうちにお薬的に置いておいて読み返したい作品。
Posted by ブクログ
どれも胸をうつ話だったけど、おばあちゃんが亡くなった後も家族を繋ぐ「おつやのよる」と、女性同士の友情と再生が描かれた「ばばあのマーチ」が特によかった。
あたたかいだけでなく、不倫、失恋、病気、いじめなどビターな要素もあり、色んな思いや物、人を「捨てる」ことを通して主人公達がどう人生と向き合っていくか描かれていて、みんなすっきりした終わり方だった。
捨てること、譲ることはただ手放すというだけでなく、自分の心に思い出をしまっていくという尊い作業なのだと感じた。
Posted by ブクログ
2023年45冊目『あなたはここにいなくとも』町田そのこ
町田さんの作品は、本当に心に寄り添ってくれている素敵なものばかり。
今回も素敵な作品をありがとうございます。
あなたたちは、可能性に溢れているのよ。恋も、友情も、夢も、何もかもがこれからなの。そして、どんなことだってできる。最初から諦めなければい けないことなんてない。絶望しないといけない障害なんてない。だから何ひとつ、憂うこと はない。後悔しないように、それだけを忘れなければいい。もちろん、大変なことがたくさ んあるでしょう。頑張ったからって成果がでないこともある。でも、どんなに辛いことや哀 しいことがあったとしても、大丈夫。やっぱり憂うことはないの。だって、きっといつか、 何もかもを穏やかに眺められる日が来る。ありのままを受け止めて、自分なりに頑張ったん だからいいじゃないって言える自分が、遠い未来にきっといる。私は後悔をたくさん残して しまったけど、たらればに思い悩んできたけれど、いまは、ここまで生き抜いてきた自分の ことを褒めたい。あんたなりにやったじゃない、って思ってる。だから大丈夫よ。この私が、 「保証する」
#読書記録2023
Posted by ブクログ
"何かを失うとは何かを得ること"とはまさにこの事かと思わせてくれる作品だった
何かを失うことに対しての恐怖も少しは和らいだ気がする
人と人との繋がりや絆って大切だなぁ
温かい実家の家族
「おつやのよる」が一番気に入りました。清陽は恥ずかしいと思っている九州の家族はみんな憎めない人たちで心が温まりました。省吾が清陽の家族に会えてよかったね。あんな凄まじい場面に立ち会っても、清陽の家族にいい気持ちを抱く省吾は素敵です。清陽のおばあちゃんは義理の娘達をとても可愛がっていたこと、義理の娘達もおばあちゃんに感謝していることに感銘を受けました。私も清陽のおばあちゃんのように愛情に溢れる魅力的な人になれたらいいなと思います。
Posted by ブクログ
・おつやのよる
相手の両親が自分の親より素晴らしい人だと紹介し にくい。彼に呆れられる、という思いから中々紹介出来ずすれ違いが起きた。主の父が意外とまともな人で良かった
・ばばあのマーチ
食器を楽器代わりにして叩いているばばあとの話。就活で彼氏の言っていることも正しいけど、主が今の仕事が好きって言っているんだったらそんな言わなくてもいいじゃんと思ってしまった。
私もばばあに渡す物あるかな。
・入道雲が生まれるころ
リセット症候群な主の話で、急にいらないスイッチが入って離れていくが、遺物を妹と片すかとを発端に捨てるというものがどのようなものか確信していく。離れられた方はものすごく悲しいよね。
・くろい穴
渋皮栗ってとんなものだろうと思った。不倫相手の奥さんは気づいていたのかな?深淵は鈍感すぎてよく不倫相手に渋皮栗を頼めるなとその図々しさに笑えた。
・先を生くひと
自分の親や祖父母の遺物は絶対に片付けられないと思う。その人が居たっていう物が私の手によって捨てられるなんて申し訳なくて捨てれない。
Posted by ブクログ
答えがわからなくなった時にそっと背中を押してくれる存在がいる。その事が支えとなり少しだけ前を向ける。うまくいかない日常をリアルに切り取っている一冊。
Posted by ブクログ
2025/52
大切な人が亡くなって落ち込んでいた私に
義理の母がオススメしてくれた本。
良い話だなあ、とは思うけど
なんとなくタイミングが合わなかったのか
涙が出るほどではなかった。
あとおすすめってことでハードルが上がっていたのかも。
入道雲が生まれるころ、が好きでした。
その中の
自分の足で歩いてくためには
持ちきれない荷物は捨てないといけない
という言葉にハッとした。
形として、いつかなにかを捨てたり失うとしても
ずっと大切にしたいもの、無理してでも抱えたいものは
心の中で折り合いをつけながら持ち続けることができるのかもしれない。目に見えなくても、自分の中に。
気持ちの捨て方やしまい方を教わったような気がする。
Posted by ブクログ
短編。
祖母が休止してお葬式のために帰省した清陽。
一緒に行くと言ってくれた彼氏に、酒癖の悪い父の姿を見せたくないがために突き放してしまったこと。
喧嘩しながらも、本音を言い合っている家族たちの姿を見て思ったこと。
職場でいじめにあってから、退職して工場の仕事で細々と日々を過ごす香子とモラハラ彼氏。
近所に住む庭で食器を叩いて演奏するオーケストラババアに、自分の浄化してほしい思い出のマグカップを渡して、次に進むことを決めたこと。
人間関係や環境を短期間でリセットしてしまう萌子。
親戚の藤江さんの訃報を受け帰省して、藤江さんは行方不明の赤の他人だったことがわかったものの
妹と遺品整理をして見えてきた、彼女が過去のことも大切にしていて、萌子自身もわかったこと。
祖母に作り方を教わった、手間のかかる栗の渋皮煮を、不倫相手の妻のために作る美鈴。
自分の矛盾した行動に嫌気がさして、虫食いの栗をわざとよけずに使ったこと。
後で知った不倫相手の妻の病気の末の死。
自分が犯した悪意と自責の思い。
幼馴染の葵生に恋していることに気づいた加代。
葵生が澪さんというお婆さんの初恋の人の代わりとして、家に通っていることを知り、加代も加わった。
澪さんは余命わずかで、生前整理をしていて、彼女の人生と思い出の品を、若い人たちで貰い受けたこと。
2番目の話、長く付き合ったモラハラ彼氏と電話だけで別れたのは、ちょっと納得いかない。。。
親戚のお葬式に行く話が2つもあって混乱した。
最後の、自分の思いの詰まった品を若い人たちがもらってくれるの、いいよね。
Posted by ブクログ
軽やかな語り口で進みながら、登場人物それぞれの背景は丁寧に描かれており、自然と物語の中に入り込める短編集。
テンポよく読める一方で、各編にきちんと余韻が残るため、読書に慣れていない人にも手渡しやすい一冊だと感じる。
本作が描くのは、「今、目の前にはいない誰か」が、いかに私たちの日常や感情に影響を与えているかということ。離れて暮らす家族、疎遠になった友人、かつて深く愛し合った恋人。存在はなくとも、その人たちは記憶や感情として心の中に生き続けている。
心の中のあなたは、現実よりも自由で、都合よく語りかけ、慰め、時には背中を押す存在にもなる。一方で、不信感やトラウマとして、無意識の隙間から顔を出すこともある。その曖昧さこそが、人が誰かを想い続けることのリアルである。
現実で行き詰まったとき、救いの手を差し伸べるのは、必ずしも現実の他者とは限らない。過去に出会った誰かの言葉や記憶が、今の自分と結びついた瞬間、思いがけず意味を持ち始める。その体験を、この短編集は静かに肯定している。
「あなたはここにいなくとも、心の中では生き続けている」、ただしそれは、乗り越えようとする意思や更新される感情によって、形を変えながら存在し続けるものなのだと腑に落ちた。