あらすじ
「できることが目的じゃないよ。やってみることが目的なんだ」
家族を失い真っ白い悲しみのなかにいた青山霜介は、バイト先の展示会場で面白い老人と出会う。その人こそ水墨画の巨匠・篠田湖山だった。なぜか湖山に気に入られ、霜介は一方的に内弟子にされてしまう。それに反発する湖山の孫娘・千瑛は、一年後「湖山賞」で霜介と勝負すると宣言。まったくの素人の霜介は、困惑しながらも水墨の道へ踏み出すことになる。第59回メフィスト賞受賞作。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
2026.6.30
水墨画を描くときの動き、心情がリアルすぎて
まるで自分が描いているような感覚になった。
あとがきで作者が水墨画家であると読み…
納得すると同時に、それを伝える文章力に驚き。
体と心の変化をキャッチして表現するのは
小説にも水墨画にも共通することなんかな。
森羅万象を描くのに必要なのは、技術。
でもそれだけでは伝わらなくて
見た人の心を動かすには、絵師がまず
自分の内側の現象を掴み取る感受性
誠実性や勇気が大事なんだなーと…
人と関わる仕事をする身として
忘れたくない、大切な価値観ですね。
「蘭に始まり、蘭に終わる」
「春蘭は、深山幽谷に孤高に咲く姿が君子の理想の姿、または風格を表すということや、たぶん俗にまみれない姿というのがあるんだと思う。言葉では簡単に言い尽くせないところがあるけれど、水墨をやる絵師の心そのものって思ってもいいかもね」
「何気ない草や木を、水墨画はどうしてこんなにも美しいものに帰ることができるのだろうったら思いました。それで、本当はもっといろんなものが美しいのではないかって思いました。いつも何気なく見ているものが実はとても美しいもので、僕らの意識がただ単にそれらを捉えられないだけしゃないかって思って…。絵を描き始めてから僕はようやく何かを見ることができるようになったんだって思いました。」
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この本を読むまで、芸術は好きだけど、水墨画は白黒で地味であまり興味が沸かないと思っていた。
そんな気持ちが見事に覆った1冊。
水墨画は何て奥深い芸術なんだろう。
読んでる途中に、ちゃんと話が終わるのかな?湖山大賞の先をもっと見たいと思っていたら、続編があるようで!!
続編で彼らのその後が見れるのが楽しみ。
Posted by ブクログ
視覚に頼る芸術を言葉に置き換える凄さがちっとも押し付けがましくないからすんなりと読めて、五感を表現する言葉の美しさにちょっと泣きそうになりました。
文章自体に光や温かさ、優しい風、柔らかな手触りさえ感じられる読書体験は初めてかも。
Posted by ブクログ
水墨画には、その描き手が持つ性格が、生き方までもがぐっと込められている。
わたしは、今までなんとなく生きてきて、たくさんのことを蔑ろにしていたのかもしれない。もっと大切にすべき時間があった。
わたしには主人公と違って特別大きな暗い過去はないかもしれないが、暗闇にふらっとと入り込んでしまう時がある。そんな時に、すっと救いの手があらわれてくれたら良いな〜と思った。思っていたけど、わたしは、もう出会っていた。わたしの良いところを見出してくれた人がいた。そのことの大切さに改めて気づくことができた。
まとまりの無い言葉たちなのが悔やまれるが、とにかく大切にしていきたい一冊。水墨画、魅力たっぷりだな〜。
Posted by ブクログ
読んでて内容がこんなにスッと入ってくる小説は久しぶりだった。
チャイコンとかラフマのピアノ協奏曲とか、そんな感じの一つのクラッシックの名作聴いたあとみたいなボリュームと心の洗われ方をした。
とりあえずやってみる、心を自然にする、これはどんなものにも共通しそう。
解説が「視覚芸術である水墨画と、書き手の所作や心情をここまで丁寧に的確に描写できる書き手がいることに、読者は驚かされるのでは無いか」から始まるが、間違いない。びびった。
Posted by ブクログ
美しいの一言。
殻に閉じこもっていた少年だから見える世界の美しさ、そこから始める世界とのつながり。
主人公を通して生まれる絆。葛藤、感動。
何より水墨画の世界はこんなにも複雑で、こんなにも奥が深く、心を反映するものなのかと驚かされました。
水墨画を絶対に見たくなる、そして自分もやってみたくなる、そんな小説です。
もう少し、頑張ってみよう、もう少し、考えてみよう、そう思わせてくれる作品に本当に感謝です。
描写の美しさ、心情の豊かさ、水墨画への深い愛。
こんなにも瑞々しく、静かなのに心を打つ作品は久しぶりでした。出会えたことに感謝です。
Posted by ブクログ
ただただ美しい小説だった。素人にも水墨画の魅力がとても伝わってくる描写はもちろん、生の本質に迫る素敵な言葉の表現が散りばめられて心に迫るものがあった。
Posted by ブクログ
水墨画の世界を描いた物語ですが、専門的な知識がなくてもすっと読めてとても引き込まれました。
主人公が水墨画と出会い、少しずつ心を動かしていく姿が印象的で、墨と線だけで世界を表現する水墨画の静かな美しさが、物語の雰囲気にもぴったりで心に残ります。
読み終わったあと、「水墨画やってみたい!」と思うくらい世界観に惹き込まれました。今まで読んだ本の中でもトップ3に入るくらい面白かった一冊です!
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この本を読むと、これまで水墨画に興味が無かった人もきっと水墨画を見に行きたくなる、描いてみたくなる、そんな作品だった。
湖山先生の言葉の一つ一つが心に刺さり、出来るかどうかは関係ない、とにかくやってみようという気持ちになれるから、水墨画に関係なく、何かに挑戦しようとする人に勧めたい本。
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「自らの命や、森羅万象の命そのものに触れようとする想いが絵に換わったもの、それが水墨画だ。」
「描くこと」の本質に迫る素晴らしい話だった。
多くの人がモチーフの形をとることや技法に目が行きがちだけど、それだけでは人の心に残るような作品にはならない。水墨画は心を描く絵画、命を描く絵画なのだ。主人公が水墨画を通じて自分の心に触れ、外との繋がりを見出す姿や、森羅万象において自分もまた命の一つなのだと気づく境地には心が震えた。
千英の生き方を表すような水墨画も好き!強くて繊細だが、奥底には勇気がある。
この境地に至るには、眺めているだけではわからない。実際に手を動かして、つまずいてみないとわからない。青山くんが、スランプに陥った時にあえて描かずに花を観察し、問いかけていた姿が印象に残った。
きっと何事もそうで、自分も、夢中になれるものに向き合い続けたい。それを通じて得た経験はきっと人生を満たしてくれる。
この作品を読んでいる際、筆ペンで自分の名前を描く機会があり、一本の線がとても重要なのだと実感した。少しでも気が緩んだり、心が乱れると全部線に出る。母に、「今適当な気持ちで書いたでしょ」と言われた時は、自分が自覚していない心を読まれたようでびっくりした。心の様子がそのまま線に表れるというのは本当だと思う。
この作品でも、「線を引くこと」が究極の技法であることや、絵師の心の様子が線に表れている様子を述べており、日常でついこの本を思い出した。
読者は文字を通して文中の水墨画を想像するしかないが、生き生きと伝わってする文章力が素晴らしかった。文章からこんなに鮮明で瑞々しい水墨画を想像できるなんて思わなかった。
実際の水墨画を見たくなった。
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両親を亡くした青山くんが水墨画を通して、自分の思いと向き合っていく。
まず、水墨画という地味なイメージのジャンルに、はじめてこんなに惹かれました!
ちあきちゃんと仲良くなっていく過程もよかった。でも恋愛まで発展しない感じもよかった。
花や絵を書くことには、人を回復させる力があるなぁと思いました。
久しぶりに墨汁の香りを思い出した
Posted by ブクログ
お題が飲み込めず、おしまいにすんなり入って来てなるほどと思う。水墨画も技術も才能も難しい ゴッホなんかとは違うんだなぁ。湖山先生も翠湖先生も仙人みたいで凄すぎて圧倒される。白い部屋の話をする湖山って驚いた 何も知らないのに受け入れて 育てる訳じゃなくって懐の深さかな、花に教えをこえと言ったが、それ以外にも一つ一つの意味が深くて、でもついて行けたかなとも思う。まだ続くので文庫本楽しみにしよう 湖山先生長生きしてください
Posted by ブクログ
映画を観ていたので、当然読み終わっているものだと思っていたのですが、読めば読むほど読んだことがないことに気づきました。
先に映画を観てしまったので読むことを後回しにしたまま、今日に至る。
という感じ。
^芸術に関する作品なので、映画を観ずに読むと難しいかも知れません。
水墨画のことが度々出て来ますが、それなりにイメージしながら読み進むことができました。
主人公や周りの人の悩みも本の方がちゃんと理解できて良かった。
個人的にはお勧めの一冊です。
Posted by ブクログ
想像以上に良かった。美しかった。夢中で読んだ。両親を亡くしてからの心が読んでいて苦しかった。
水墨画は全く知らなかったけれど、どんなものななか、興味が湧いた。実物を近くで見てみたい。
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心の洗われる物語で、満足度が高かったです。
青山君と千瑛の心の交流がとても丁寧できれいでした。
水墨画は全くなじみがなかったのですが、すごく繊細な芸術だなと感じました。登場人物がみんな素敵な人たちで、使われている言葉も上品で心地良かったです。
実写映画も気になるので見てみます。
Posted by ブクログ
恩田陸の「蜜蜂と遠雷」が音楽を読む小説なら、著者の作品は絵を読む小説だなといった印象でした。
文字で絵を表現するのは難しいと思うのですが、想像力を掻き立てられる作品でした。
ストーリーも主人公の心の変化がよく描かれているし、楽しめました。
Posted by ブクログ
2度目になるが今回も非常に楽しめた。
主役が成長していく姿がいいのか?心情が多いのが好みなのか、優しい内容が好きなのか…
面白い事は事実だ。
水墨画が好きになりそう
読みやすく、進行もスムースで、肩も凝りません。
作者の筆力は、すばらしいです。
水墨画は、ただ、美術館などで観るだけでした。
描くのも難しそうだと思っていましたが、
その何も知らない主人公が、その世界に入っていく、
その様子が、水墨画とは何かと、教えられます。
水墨画の世界というか、筆遣いや、考え方が良くわかりました。
「水墨画の最大の評価は、絵を楽しんでいるかどうかだ」という、
作中の先生の言葉が見事です。
この本がまるで水墨画の教科書のような気がして、
水墨画に馴染みたくなります。
水墨画を観る目も変わってきたような気がします。
この作者の続きの本も出版されているようで、読みたくなります。
水墨画に興味のある方に、ぜひ薦めたい本です。
というよりも、
読めば、水墨画が好きになり、描きたくなります。
映画からはいりました
原作は映画よりももっと深かった
決して映画が浅いとかではなく。
題材としても、新しく
お話しとしても素晴らしかったです。
そして誰もイヤな配役の登場人物がいない
苦言があるとしたら、2人の約束の会食の場面が
描かれてなかったことくらいでしょうか?
さぁ、2作目も拝読致しましょう。
サクッと読めて、充足感◎
恩田陸の『蜜蜂と遠雷』が好きな人は、多分好きだと思う。
読むだけで、実物を鑑賞していなくても、ここまで芸術の美しさで心が満たされるとは。なんなら、芸術が分かる人の視点だからこそ、より高度な悦びにひたれるまである。
少年が悩みながらも己の感性に導かれて自分の意思を超えて突っ走っていく姿は、疾走感があってぐいぐい引き込まれる。
とにかく面白かった!
映画を見て
映画を見てから読んだのですが、どちらも悲しさがあり、でもそれを乗り越えていく強さがあり、これからの自分にも参考になるかと思います。
Posted by ブクログ
17歳のときに両親を事故で亡くして以来、喪失感のなかで生きてきた大学生の霜介。偶然出会った老人に導かれて、水墨画の世界に入る。無心に絵を描き続けていくなかで生きることに目が向くようになり、絵師として歩み始める。
水墨画の世界がこれほど豊饒なものだとは知らなかった。感嘆して著者略歴を見ると、水墨画家。なるほどである。これから水墨画を見る目が変わる(とはいえ、鑑賞眼があるわけではないが)。
いい人しか出てこないが、そこはあえてそうしたのだろう。霜介の成長もとんとん拍子でご都合主義といえなくもない。しかし、そういうことが枝葉末節としか思えないくらい、描写が素晴らしい。
水墨画を観たくなった。
Posted by ブクログ
水墨画という縁遠い分野の物語だが、誰にでもわかりやすいように丁寧に説明してくれている。
そして、これは読者としての思い込みのような気もするのだが、作品全体が、モノトーンのように、派手なシーンや明らかに目を引くような描写は避けて、見ようによっては淡々と「あたかも墨絵」のような印象だ。ストーリーも「あるがまま、落ち着くように」構成されていて、いうなれば、メタ的に水墨画を表現した作品のように見える。
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よくある物語類型だ、と読み進めましたが、テーマに相応しく余白の果たす役割が大きい作品でした。メフィスト賞受賞作、と知ってびっくり。いつの間にか、裾野の広い賞になってたんですね。
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あまりの超人振りに現実感がなく遠い世界の様に思えましたが物語りは面白く一気に読みました。水墨画の魅力、真髄も分かりやすく書かれていたと思います。自宅にも水墨画の掛け軸が1つ、改めて眺めてみました。花卉画ではなく風景でした。最近よく聴いている弦楽四重奏曲も表面的には物語りや感情などが見え難い芸術ですが、水墨画も似た様なところがあるのかも知れません。何回も聴いている同じ曲、同じ演奏なのに、未熟な私にも突然心に響き揺さぶられる時があります。そんな表現を全くの素人が1年も経たずに出来るものなのでしょうか?
で、この後に読んでいる本が「アルプス席の母」。10年以上も生活の全てをかけて、家族まで巻き込んで頑張っても日本一やプロなんて遥か彼方。全くの素人が才能だけで、始めて1年もしないで漸く3つ目の作品で国内有数の大会で準優勝できるのは水墨画くらいでしょうね。
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初読みの作家さん。
両親を失い、内にこもってしまった青山霜介。
水墨画の展覧会の設営のバイトでたまたま出会った篠田湖山に見初められ、水墨画の世界に足を踏み入れる。
水墨画にはほとんど触れたことのない私だったが、一気にその魅力に惹き込まれた。
作家さん自身、水墨画家ということで、様々な画法や技術だけでなく、表現するための精神までが繊細に描かれていて、改めて水墨画の作品を見てみたいと感じた。
「水墨を描くということは、自然との繋がりを見つめ、学び、その中に分かちがたく結びついている自分を感じていくことだ。」
「技はあくまでも技です。絵の本質ではありません」という言葉が印象的だった。
水墨画の世界に没頭することで、霜介が自分の生きる意味や幸せな温もりを感じることができたシーンは心が温かくなった。
Posted by ブクログ
主人公の、両親の死など周りの出来事や、水墨画に対する感じ方の表現に独特の感性があって面白かった。
これまで水墨画は目にすることはあれど、この本のようにじっくりと作品として味わって鑑賞することは殆どなかった。
水墨画の巨匠にたまたま巡り会って価値を見出され、滅多になれない内弟子になれるというところはできすぎているが、その巨匠も、孫娘も、きっかけを作った親友の古前くんにしろ、不快感のない、主人公に刺激を与えてくれる良きキャラクターだった。
「そんなに凄い絵なのですね〜」などと記者がコメントしている場面があり、確かに水墨画というと渋い分野に思え、玄人世界に感じる。
また時間がある時に、水墨画に触れてみようと思う。
いいかい。水墨を描くということは、独りであるということとは無縁の場所にいるということなんだ。水墨を描くということは、自然との繋がりを見つめ、学び、その中に分かちがたく結びついている自分を感じていくことなんだ。その繋がりが与えてくれるものを感じることだ。その繋がりといっしょになって絵を描くことだ。
そのためには、まず、心を自然にしないとp85
「そんなに凄い絵なのですね。簡素な絵なので、インパクトに欠けているように感じます。やはり我々素人には難しい世界があるのですね」p378
Posted by ブクログ
水墨画について調べながら読み進め、理解が深まるほど物語に引き込まれた。「まじめは自然じゃない」「力を抜くことこそ技術」といった言葉が心に残る。展開もしっかりしていて、続編も読みたくなる一冊。
Posted by ブクログ
水墨画と向き合う中で、主人公が自分の過去や心の傷と静かに対峙していく姿が印象的。
線を描く行為がそのまま心を整える過程のようで、読後には穏やかな余韻が残る。
人が再生していく過程を丁寧に描いた作品だと思います。
Posted by ブクログ
水墨画という、あまり馴染みのなかった分野だが、墨のみの筆致や濃淡で森羅万象を表現するために、自然そして自らの心の内側の宇宙に向き合うというその深みに、気づいたら魅了されていた。芸術を文章にするというだけでも難しいところだが、水墨画家自らの著で細かなニュアンスなどが表現されたことで、自分もその世界に入ったかのような感覚になった。すっきりと心が洗われるような読後感だった。
Posted by ブクログ
映画観てからの本読みました。
短い予告編しか観ないで行ったので、水墨画の話なんだろうしか思っていませんでした。どんな話か分かっていくのもいいと思い今回はあえて知らないで観に行ったら、感動しました。泣きました。
本は、映画を観て内容は知ってましたが、映画の時にこう感じたと思いながら読み進めました。
水墨画を知らなくても、水墨画のことを教えてくれていたので、魅力的に感じました。
1人1人ストーリーあったおかげでなんで?などの疑問に思わずに読み進められたので良かったです。
しみじみと感動する物語
映画化されたことで興味を持ち読んでみました。
初めは映像を頭の中に描いて
中盤からは私の想像力を超え 文字の中に墨絵を思い浮かべ ゆっくりと物語の中に沈んでゆく感じでした。
素敵なお話です。
Posted by ブクログ
最後まで飽きることなく読めたが
主人公の内面の表現が多く、美しい表現と感じる人もいると思うが回りくどく感じて結構流して読んだ。
それにしても水墨画の話はどこまでが本当なのだろうか。
Posted by ブクログ
持たざる人を描いているようでいて、まったく逆の人を描いていたような気がする。
主人公の青山霜介は家族を事故で亡くして以来、心が空っぽになってしまった青年だ。叔父に引き取られたけれど、何をする気にもなれないでいる彼は、大学に入学してから一人暮らしをすることになる。水墨画の展示会のパネル運びのバイトにきた彼は、そこで有名な水墨画の絵師・篠田湖山に見いだされ、内弟子として水墨画の世界に踏み出していくことになる。
湖山の孫娘の千瑛(ちあき)と霜介が一年後に開かれる湖山賞で競い合うことが提案され、霜介はまったく自分が了承しないまま湖山の弟子として千瑛にロックオンされてしまう。高い技術を持つ美しい女性と水墨画の知識は何もないが『本質』を捉えている(と、湖山は評価する)霜介の勝負。
なかなか燃えるシチュエーションだが、あまりにも霜介が何も知らないので勝負はまったく白熱しない。両親を亡くした彼が、世界のすべてに温度を感じられなくなっている状態から、水墨画を習うことによって少しずつ回復していく様子がメインで描かれる。
水墨画の世界を小説で読む、ということが私にとってはなかなか難しく、しっかり没入できなかったかも。何もかも失くしたと思った霜介が、持っているものに気づいていく話のような気もした。
登場人物としては、西濱さんが良かったかな。彼の描いた水墨画を見てみたいなと思った。
Posted by ブクログ
砥上裕將、初読み。
続編『一線の弧』が気になり、『僕は、線を引く』へ。
交通事故で両親を亡くした青山霜介。
アルバイト先で水墨画が巨匠・篠田湖山に出会い、内弟子となる…
そして、水墨画に魅せられていく。
水墨画が魅せられ、少しずつ、両親を失った喪失感から、自分自身を取り戻していく霜介。
『白と黒』の世界を通して、自分の色を取り戻していくように。
繊細な水墨画の世界が伝わってきて、よかったな。
水墨画は技術だけではなく、その人の心を描くんだろう…
霜介の存在が、千瑛の水墨画を高めたように。
水墨画はまるで人生を表しているかのようだった…
おもしろくなくもないんだけど、なんとなくできすぎ感が…
なんとなくモヤモヤも残る…
なんだろうか…
霜介の2年間の引きこもりがよく見えないからなのか…