あらすじ
「できることが目的じゃないよ。やってみることが目的なんだ」
家族を失い真っ白い悲しみのなかにいた青山霜介は、バイト先の展示会場で面白い老人と出会う。その人こそ水墨画の巨匠・篠田湖山だった。なぜか湖山に気に入られ、霜介は一方的に内弟子にされてしまう。それに反発する湖山の孫娘・千瑛は、一年後「湖山賞」で霜介と勝負すると宣言。まったくの素人の霜介は、困惑しながらも水墨の道へ踏み出すことになる。第59回メフィスト賞受賞作。
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Posted by ブクログ
楽しむ.自然に.
四君子
春蘭: 深山幽谷に孤高に咲く理想の姿,風格
竹: まっすぐスタッと立っていて,折れずに柔軟というところが理想の姿
梅: 厳しいときを耐え抜きながら花を咲かせるというところが理想の姿
菊: 厳しい寒さの中でも薫り高く咲いているところが理想の姿
そうありたい.
この物語はとても美しい.水墨画の話を通して主人公が水墨画を通してみた美しい世界を文字で表して自分に見せてくれているようだ.
自分にも同じようにつらかったことがある.誰にでも同じようにつらかったことがあるだろう.
それを同じように表すことができるくらい深みにまで到達できていない.もしくは外に表現するやり方を見いだせていない.
今,私の目には細かな美しさの潰れた圧倒的な光の集合体のような美しさしか見えていない.
いつかちゃんと見れるといいのだけれど.