あらすじ
「私、学校教育が太陽だとしたら、塾は月のような存在になると思うんです」 昭和36年。人生を教えることに捧げた、塾教師たちの物語が始まる。胸を打つ確かな感動。著者渾身の大長編。小学校用務員の大島吾郎は、勉強を教えていた児童の母親、赤坂千明に誘われ、ともに学習塾を立ち上げる。女手ひとつで娘を育てる千明と結婚し、家族になった吾郎。ベビーブームと経済成長を背景に、塾も順調に成長してゆくが、予期せぬ波瀾がふたりを襲い――。 阿川佐和子氏「唸る。目を閉じる。そういえば、あの時代の日本人は、本当に一途だった」 北上次郎氏「圧倒された。この小説にはすべてがある」(「青春と読書」2016年9月号より) 中江有里氏「月の光に浮かび上がる理想と現実。真の教育を巡る人間模様に魅せられた」 驚嘆&絶賛の声、続々! 昭和~平成の塾業界を舞台に、三世代にわたって奮闘を続ける家族の感動巨編。
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Posted by ブクログ
ボリューム満点、超長い!!)^o^(
何代にも渡る大島一族のお話…いやーーすごかった〜…
千明さん、、わざとだったんだね、五郎さんを追い出したの…解放したんだよね、うう、、最後あんな形でまた夫婦になれるなんて、涙とまらんですね!
戦後は激しい。教育指針なんて本当に破茶滅茶だったろう。塾の歴史、文科省との長年にわたる排他的な関係。全然知らなかったですね。この本読むまで調べようともしなかったことのひとつでした。
千明さんと五郎さんの凛とした強さ、無性の愛をもつ大人は、もう今の時代には居ない人種でしょうね。素晴らしい。
Posted by ブクログ
昭和36年の塾など影も形もない時代から始まった「教育」をテーマにした学習塾の物語。
「大島吾郎」と赤坂家(祖母・母・娘)の3人の女性から始まり、2000年代後半の孫(一郎)の代まで続く600ページを超えた長編にもかかわらず、読む手が止まりませんでした。
学校を「太陽」だとすると学習塾は「みかづき」のような影から子供達を照らす存在。
序盤に千明が言っていたこの言葉の意味が、終盤心に沁みました。
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「うん。だって、あんなにがむしゃらな人はいない。ときどき、二階で居残り授業を受けてた生徒が帰っていったあと、お母さんがばたばたと階段を駆けおりて、厠へ飛びこんでいくだろう。あの足音を聞くたびに、ぼくは、お母さんをかわいい人だと思う」
これを、血は繋がっていない娘である蕗子に伝える五郎が好き。序盤で一気に引き込まれました。
Posted by ブクログ
教育問題が塾という視点で語られ、3世代にわたる長い期間の移ろいがみえる物語で、とても面白かったです。その時その時の時代背景によって子どもを取り巻く教育のあり方が大きく変わって来たことを認識させられました。
当たり前のように学校に通い、塾にも通わせてもらったことに感謝しなければと思いました。
格差の問題も考えさせられます。
分厚さに圧倒されましたが、ちょっとクスッと笑ってしまうようなシーンもあり、とても楽しかった。
貧しい国の子どもたちにも、きちんと教育を受ける機会が用意できる世の中になればいいなと思います。
Posted by ブクログ
昭和30年代、戦後の日本の教育制度が著しく変化した時代に学習塾を始める大島吾郎と千明夫妻。
学歴社会、ゆとり教育と教育指針が移りゆく中で教育者として経営者として波乱万丈な道を歩んでいく。
そんな大島夫婦の娘たちやその子どもたちも含めた壮大な家族ドラマのようだった。
最終章で孫の一郎が、かつての吾郎の姿と重なり胸が熱くなった。
「常に何かが欠けている三日月。欠けている自覚があればこそ、人は満ちよう、満ちようと研鑽を積むのかもしれない」
欠けていることに悲観することはないんだな。
Posted by ブクログ
三世代に渡る長編小説。昔の教育現場ってこうだったんだと思うとともに、自分学生として過ごした平成の時代にも塾と学校現場に問題があったことを改めて教えてもらえた。吾郎さんの人柄がとても心地よく、あっというまに読むことができました。
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こんなに長い本を久しぶりに読破した
語り手が代々変わっていくのが時代の流れを感じて読み進めちゃう
自分をみかづきに例えた千明と、吾郎さんの最後の一言で鳥肌がたった
Posted by ブクログ
中高生のときに、とても好きで読んでいた森絵都さん。
きっと面白いだろうと期待して手に取ったが、想像以上に面白かった。最後の吾郎のスピーチには胸がいっぱいになって泣いた。
戦後から現代に至るまでの国の教育方針や、学校vs塾の構図がどのように移り変わってきたのか等、勉強になることも多かった。
何より作品に出てくる登場人物が皆、「教育」というものに真摯に向き合い、変化を受け入れながら本来のあるべき姿を考え、自分なりの理想を掲げて情熱を燃やしている姿がとてもカッコよかった。こんなに夢中になれることがある人って滅多にいないと思うけど、そういう人が業界や世界を変えてきたんだろうと思った。私も自分なりの情熱を少しでも燃やして生きたいと思った。
学校の授業についていけない人の補習塾から始まった吾郎の塾が時代の波に抗えず進学塾に姿を変えようとしているときの違和感、吾郎が感じる千明への失望に対する共感と吾郎の浮気への嫌悪感、千明の裏切りとその背後に隠された吾郎への想いを知った時の切ない気持ち、、などめちゃくちゃ作品にのめり込んで一喜一憂しながら読んだ。
「欠けている自覚があればこそ、人は満ちよう、満ちようと研鑽を積むのかもしれない」という言葉にとても励まされた。
「みかづき」という平仮名タイトルはとてもゆるふわだなあと最初は感じたが、読み終わった後はなんて良いタイトルだろうとしみじみ感じられる。
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面白かった。超大作ではあるけれど、1つの物語ではあるのだけれど、主人公が移り変わっていく、オムニバス形式なのが私には新鮮で良かった。導入の吾郎の魅力に惹きつけられ、千明と共同で頑張っていくところに野心を見て、でも2人に諍いが生まれていくにつれて、読むのが辛いというか、読み込みにくくなり…。でも千明単独編からは、千明の人間らしさや葛藤がよく分かり、私はこの箇所が一番好きだった。一郎編もよかった。一郎を経て、教育が巡り満ちた満月のようになったのでは。
家族が複雑な点もまた魅力的で、なにか欠けているような、それでいて満ちているような。
教育のことも色々と考えされられた。とくに、塾や習い事などは子どもの意志でないケースも多く、顧客と支払い元が違うのだから、求めるものやゴールに相違が生じてしまうところ。たしかに、塾でバイトしていたときも感じたな。進捗と理解度どちらをとりますか…と。
この本が好きな人はきっと人の苦しみも野望も家族の愛情も感じられる素敵な人なんだろう。私はどうだろう。
Posted by ブクログ
森絵都さんだから間違いないはず!と読み始めましたが、やはり最高でした。
戦後に塾を創業した夫婦とその家族の物語。
言葉ひとつひとつも、時代背景も、人物の描写もすべてしっかりしてて安定感がある印象。
600頁もある長編大河小説で、山あり谷あり…途中長く感じたけど、全部あってのラストだな〜と納得の構成も秀逸。
万人にオススメ!
全然内容とは関係ないけど、
『魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈(ばっこ)する魔窟(まくつ)だ』ってセンテンス、かっこいい。
こういう言葉に触れるのは小説ならではだなーと。
使い道ないけど使いたい(笑)
Posted by ブクログ
なんなのだ。まるで大河ドラマのよう。
読み応えってこういうものか、久々に思った小説。親子3世代を語る話、ずっと読み続けたかったくらい。
感情移入しすぎて、最後の一朗の章ではずっと目が潤んで、電車の中で読むの辛かったです。
いいな小説って。ありがとうございました。
Posted by ブクログ
戦後から平成の間、大島家三代が塾経営として、世間や文部省との間で奮闘する壮大な話。
学校教育に関してはよく問題が起こりニュースに取り上げられるため、少しは知識があったものの、塾経営側は知らずこちらも時代に沿って様々な問題が起こっていたことが分かる。
塾経営だけでなく、大島家内で起こる騒動もたくさんあり、誰も彼もが魅力的なキャラクター。
分厚い作品ながらも、塾という身近なテーマで、しかも時間の流れが早く、それぞれの時代の問題・世間の考え方などがめくるめく代わるので飽きないし読みやすかった。
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面白かった。引きつけられるように読んだ
塾の話しでこんなに面白く出来るとは凄いね
本屋大賞の結果を見て読んだ
カラフルも面白かったけど、より面白い!
Posted by ブクログ
とてもおもしろかった!
教育に人生をかけた女性を中心とした家族の物語。
戦後から今までの教育の歴史、塾の歴史がとても詳しく記述されていて、改めて教育について考えさせられた。
人間の思考を形作る大きな要素となる教育。
今、私も子供の教育に深く関わりながら、日々向き合っている。
時代とともに変わる価値観もあれば、やはり大事な芯となる部分はずっと変わらずにある気がする。
自分で考えること。
(いや、実はこれも最近表立って言われ出したことではあるのだけれど)
教育に対するいろいろな形の熱い想いに触れて、心が震えた。
決して満ちることのない三日月。
私自身も、学生時代、勉強していて、知らないことは果てしなく続いていて、完全にすることはできないなと感じたことがある。
何かに真剣に向き合った人は、一度は感じたことがあるのではないだろうか。
完全体を求めて求めて、手に入れるのか。
求めても完全にはならず、失望するのか。
はたまた、それで良しとするのか。
それぞれの生き方、考え方がとてもあらわれてくるところだろうなと思う。
Posted by ブクログ
日々の業務にやりがいを感じられなかったり、なんのために働いてるんだっけなって思っていた私には合っていました。目的を持って生きろ!とか上から諭されるものでなく、大島家の人々の情熱はポカポカ心地の良いものでした。(本来はすごい情熱で眩しいはずですが登場人物に人間味があります)情熱の押し売りをされると余計にそんな情熱を持ち合わせていない自分が嫌になったりしますが、この作品はそんな気持ちにはならずに、少し仕事に向き合ってみようかなと思えました。
壮大な家族の物語
最初それぞれ点だったところから、「塾を開きたい」という、とある生徒の母親の一言がきっかけで、吾郎や周りの人の人生がガラリと変わっていき、様々な困難を乗り越え共に成長し、親子3代にわたる壮大な物語でした。
昭和ってそんなに昔でもないのに教育についての考え方や塾に対する認知度とか今とは全然違い、その時代のことをより詳しく知ることができました。
途中何度も、「これどうなっちゃうんだろう、、、」「子供たちは大丈夫かな、、、」なんてハラハラする部分もありますが、紆余曲折はあったものの最後はいい方向で収束できたので、読んでいてすごく感動したし、「がんばれ」!と応援したくなるような感じでした。
Posted by ブクログ
「理想の教育って何だろう」
正解のない答えに悩みながらも突き進む親子3代の物語り。
タイトルの「みかづき」が大島家が出した答えであり日本教育に対する願いなのかなと思いました。
「カラフル」もそうですが森さんの作品にはタイトルに物語の心髄があるのかもしれません。
心に突き刺さるだけど心が暖かくなる名言が多い森さんの作品をもっと読みたい気持ちになりました。
Posted by ブクログ
最後までとても考えた作品でした。
理想の教育とは何か、いや、教育に正解などないのではないか。
時代によって変化するニーズや風潮から、私たちはこれまでに多くのことを受け取り受け継いできたように感じます。
【みかづき】
親から子、子から孫へ、3世代によって受け継がれる理想の“教育”を追いかける物語です。
物語は昭和36年、
日本にまだ塾というものが広く知られていない時代から始まります。
学校の用務員として働く青年とある生徒の母が学習塾を開きます。2人は後に家族となり、塾も軌道にのっていくのですが、、、
この時代はまだ寺子屋のほうが多くの人に理解されており、世間では塾のイメージは最悪…文部省もマスコミも悪評ばかり垂れ流すのです。。
大島家の波乱万丈の人生をぜひ多くの方に読んでいただきたいです☺️✨
Posted by ブクログ
約50年間の塾をめぐる物語。時代が進んでいく中様々な人物の視点から教育の姿を見ることができ、教育について改めて考えるきっかけになった。「みかづき」の意味が物語を通して変化していく様が綺麗で印象的だった。
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子供の教育に情熱を注ぐ一家のお話。
祖父・祖母が出会うところから孫の代までお話が続いていて、登場人物一人一人のストーリーに繋がりや補完性があって、とっても読み応えがあった。
戦時中の軍国教育から一転、資本主義国家における基本教育法が制定されて、塾の台頭、ゆとり教育、所得格差の拡大と塾に通えない子供達等、各時代における教育の変遷とそれに尽力した人々のお話。
母が幼稚園教諭の私は、母の苦労とか愚痴を聞きながら、よその子供の面倒を見る教育の仕事は慈愛に満ちた人じゃないとできない、自分には無理って思ってた。(今も思ってる)
このお話を読んで、子供の成長を間近に見守ることはそれでしか得られない栄養と一種の中毒性があるものなのかもしれないと感じた。
子供ができて子育てに悩んだりしたらまた読み返したい!
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吾郎と千明、その子供たち、蕗子、蘭、菜々美、そしてその子供、一郎、杏
3世代にわたり、戦後の教育から塾、勉強会と進んでいくが、このテーマなのにとても面白かった
登場人物の個性が光り、とても引き込まれる
〜欠けている自覚があればこそ、人は満ちよう、満ちようと研鑽を、積むのかもしれない
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戦後から現代までの「私塾」の観点の大河小説だった。
元々長編を読み終わった後の読後感が好きというものあり、こちらも楽しめた。
各時代の文部省と私塾との確執や私塾同士の経営戦争など、これまで知らなかった観点での出来事を知ることができてよかった。
全編を通して、恵まれない、他の人より遅れている子供たちを照らそうとする人物の姿勢や感情に感極まりました。
Posted by ブクログ
分厚いけどどんどん読める。
最後に吾郎がこれまでの人生について語るシーン…ここまで小説を読んだからこそ、理解できるしすごい刺さる。分厚い、それ以上に満足感を得られる小説。
Posted by ブクログ
引き込まれる様に一気読み。面白い。猪突猛進の千明と吾郎の優しさ優柔不断さの対比が強烈な印象を残した。紆余曲折を経て、それぞれが自分なりの生き方を歩んでいくことにホッとした。
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学校に行けない、授業に着いて行けない、成績が思わしくない。どの時代の子ども達にも、共通にある問題です。親子3世代で学習塾を経営する、この物語が子ども達の困難を紹介します。
Posted by ブクログ
昭和36年の設定、古すぎて躊躇していたが早く読めばよかった。
戦後日本の教育について改めていろいろ考えさせられる一冊でした。親子3世代にわたって、それぞれ異なる立場で、教育に立ち向かう姿には胸を打たれました。自分も親になって、いい教育ってなんだろう?と考えることが増えましたが、結局答えはなくて、試行錯誤しています。最後の吾郎さんと千秋さんの言葉、いつの時代も今の教育はなってないと教育を憂えている(常に何かが欠けている三日月のように)。でも、欠けている自覚があるからこそ、満ちようと研鑽を積むのかもしれない、それでいいのだ、と。教育に完成はない、と。
Posted by ブクログ
親子孫の3世代の塾と人生の話。おもしろかった。吾郎先生魅力的なんだろうなぁ。。
理想の教育とビジネスの間で揺れる。社会課題を解決するためのビジネスには往々にありそう。
日本にこの本の中の人のように教育を真剣に考えてくれる大人がいっぱいいることを祈る
面白かったけど、長かった…
帯の「私、学校教育が太陽だとしたら、塾は月のような存在になると思うんです」という文言に惹かれて購入しました。
親子三世代で理想の教育を追った話でした。
この本に出てくる塾は予備校ではなく学校で落ちこぼれを補習する塾で、公教育で輝けない子供たちを輝かせる意味で月との表現をした第一世代、塾に行けない子供達を学校教育で補う第二世代、塾にも学校にも居場所がなく、金銭的に困窮している子供を救う第三世代と役割分担されており、親子間で意思が受け継がれていく様がわかりやすく描写されており一貫性があってよかったです。
この本における理想の教育とは子供たちをコントロールすることではなく、自分の頭で考えて不条理に抗う力を子供達に授けることだと解釈しました。戦争や虐殺といったこれまで人類が犯してきた数々の過ちの原因は自分で考える力が欠けていたことだと私は思っています。もしナチスドイツの虐殺に対して立ち止まって考えられる人がたくさんいたなら、歴史は変わっていたかもしれません。あのような過ちを二度としないためにも周りの言葉に惑わされず自分で考える力を養うというのが理想の教育のあり方であると私も思いました。
Posted by ブクログ
ドラマを観ているような感覚になった。
親子3世代に渡る塾を経営する一家の長編小説。
終盤で、完璧じゃないこと、だからこそ完璧になろうとすることを千明が「みかづき」と表したところがタイトルの回収となっていたのがとても良かった。