あらすじ
幼いころに迷い込んだ山奥の洋館。そこで出会った、すいこまれるように深い緑の髪の少女に、信彦は心を奪われる。やがて時を経て再び少女――明日香に会ったとき、彼女に課せられた運命が二人をのみ込もうとする。明日香の髪に秘められた力、彼女の正体、そして帰るべき場所とは。表題作ほか、2編を収録。
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Posted by ブクログ
ネットで、彼女の自宅本棚やぬいぐるみの保管に関する記事を読み、チャーミングな人だなあ…と思い今更ながら、初期の有名作を選んで初めて新井作品を読んでみた。
3つの作品が入っていたが、どれも素晴らしいし面白い。18から20歳くらいの間に書いたものというのがよくわかる、いちいち大きな「全世界」を引き合いに出す世界観、一人称。
本人の後書き以外に編集の後書きがあったが、それによれば、新井素子のお友達もみな新井素子のような人なのだそうだ。素晴らしい。
年代、だいたい同じくらい、少し私より上。
これは今の若い子が読んだらどう思うのか。
とはいえ、
『なんだか死んだらとてつもなく淋しくなりそうで』死ぬのはいやだこわい、いう文など、今のこの年で読んでもうなずける感覚。うなずく私が青すぎなのかもだが。
音がないのに響き渡る感じ
優しくて、物言わない筈の植物に人間と語れるだけの身体が備わり、そこからの物語り。
昭和的な男性像であるものの、ヒロインを想うヒーローの言動には共感できる。
不思議な文体だなぁと思っていたら昭和の作品だった。これを19かそこらの時に書いてるのも好きすぎる!不思議な世界観でいつの間にかスッと受け入れて読んでる自分がいた。
Posted by ブクログ
語り手が早乙女浪漫みたいな一人称小説なのに、ストーリーがちゃんと成り立っているのが凄い。
自分達で蒔いた種の筈の地球消滅の危機そっちのけで女子大生達が青春の憂鬱を捏ね続ける「宇宙魚顛末記」が特に面白かった