あらすじ
須藤が死んだと聞かされたのは、小学校中学校と同窓の安西からだ。須藤と同じパート先だったウミちゃんから聞いたのだという。青砥は離婚して戻った地元で、再会したときのことを思い出す。検査で行った病院の売店に彼女はいた。中学時代、「太い」感じのする女子だった。50年生き、二人は再会し、これからの人生にお互いが存在することを感じていた。第32回山本周五郎賞受賞の大人のリアルな恋愛小説。
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Posted by ブクログ
結末は置いておいて⋯⋯こういった地味な大人のロマンスに憧れます、理想のストーリー、ぶっ刺さりまくりです(同年代,独身)
映画見たいけど⋯⋯僕の心は保つのだろうか
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映画を先に見た。そして、すぐにこれを買った。あっという間に読んでしまった。映画とは構成がやや異なるし、映画では場面が追加されていたり、逆に原作にある場面がなかったり、それはそれでいい。不思議なんだけれど、堺雅人と井川遥が演じる主人公たちや、それ以外の人物たちが、この原作の中で動いているように感じられた。映画は原作から生まれたはずなんだけど。もう一度、映画を見ようと思う。そうしたら、直接映画では描かれていないところを想像しながら、より深く映画が観られるのではないかと思うから。
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須藤という女性の描写にリアルを感じた。離婚歴のある50代の女はどんな話し方をし、どのように振る舞うのかをうまく描けている。冒頭に時系列的にはほとんど終末の描写があり、読者は戸惑うが、これが趣向であるのだと分かれば、中盤のささやかながら充実した幸福の描写が活きてくる。
オノマトペなどをうまく使い言語化しにくい微妙な感情を描いているのも印象に残った。小説の筋としては珍しいものではないが、表現力の妙にかなり感ずるものがあった。
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やはり何度読んでもリアルでしんどい、でも生きているが詰まっている。これぐらい器用に生きられたらとか、あの人みたいにお金持ちだったらとかたま~に、ほんのたま~に思うけど、これだけ何気ない日常の中で世界がヴィヴィッドに輝く瞬間があるのだとすれば生きたもん勝ちだと思わずにはいられない。年をとり、諦念や覚悟をもって生きていくことの心地よさと息苦しさがごちゃごちゃになって喉元で詰まる。人生から逃げず、向き合い、自分の思う幸せを求めて人は生きていけるし、死んでいくことができるとこの小説から教わった気がしました。
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映画がよかったので、すぐ本を買って読みました。
映画を先に見ていたから役者の顔や映像を思い出しながら読めた。
須藤という女性の太い感じが、映画でよく表現されていたなと改めて思う。
本だけ読んでいたら、この作品のよさはわからなかったかもしれない。
須藤のセリフが井川遥さんの声を通して聞こえてとても良かった
Posted by ブクログ
映画が気になっていたのだけれど、先に原作を読んでおくかと手に取った。
完全にやられた。
どちらかと言えば乾いた文体なのに、密度が濃く、須藤と青砥、それぞれが持て余している行き場のない思いが、自分の中にも根をはっていく。
しばらく、須藤と暮らしていきますw
Posted by ブクログ
伝わってくる空気感がすごかった。文章なのに。文字なのに。
伝わってくるのはその行間の空気。
そして、大人ならではの思考と言動、そしてその2つの間にある距離。
もしこれを読んで、ピンとこなかったら、少し時間をあけてもう一度トライして欲しいな。
あまり人に強引に勧めるの得意じゃないけれど、この作品はそこまで言ってしまいそう。
Posted by ブクログ
同級生と再会した懐かしさと高揚、とか、同級生の野次馬的な感じとか、噂とか、とてもリアルな感じで、わかるなぁと思う。50歳くらいだとみんな色々あるよなぁ〜…!というのも、はっきり全部は書かないけど匂わせていて、わかる!と思う。
闘病ものだけど、美化せず、生活が感じられて、でも生々しすぎない。
青砥は素直に一年も距離を置くなよ!
須藤も、甘えろよ!
Posted by ブクログ
映画予告を観て、主題歌が良いし、映画を観にいくかを決めるのに原作を読んでみようとおもった。
主人公の男性(青砥)の目線での話のなので、相手女性(須藤)の素直じゃない対応にイライラしながら読んでいたが、最後の2ページで主人公と共に大反省して泣いた。
須藤、気持ちをわかってあげられずごめん。
映画も観に行ってみようとおもう!
Posted by ブクログ
すぐ自分の横にありそうな50代世代のあるあるなアレコレに共感したり。親の介護問題やら、自分自身の健康問題、身近な人の死とか。青砥の立場になると、大切な人の最期に寄り添えなかったこと、サインに気付けなかったとか、悔やまれる部分はあるけど、須藤の生き方と心の太さとか男前やとは思ったりしたけど、2人の1年という時間のちょうどよい幸せの詰まった濃さに感動した。心の描写も読んでてゾクゾクしました。
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時間の流れるスピードが少しゆっくりしている感じをずっと感じながら読んだ。
色んなものと折り合いをつけて、無くしたものも多く、諦める事を時間の中で受け入れるような感覚。
いやだけど、現実を受け入れながら生きていく強さも感じた小説。
Posted by ブクログ
映画をみて、再読。感想を書いてないじゃん!と驚いた。初読のときは 最後は泣きで。そうそう この感じなのよー。2周いや3周回って出会うって こういう感じよー。と1人で盛り上がって 何人に勧めたことか。
ずーっと地元も 悪くない というか 緩さがたまらないわけ。映画もよかったけど 泣かなかった。地元の友だちと じゃれあいたくなっちゃった(笑)
Posted by ブクログ
誰にも頼りたくない須藤とそれでも須藤の力になりたいと思う青砥。そんな2人の恋の物語でした。中学以来再会した2人の関係性は若い年齢の恋愛とはまた違った良さがあり、しみじみと感じました。
Posted by ブクログ
青春と言われる時代を共にして、人生を一通り経験してから再会した男女
お互いに色々なことを経験してきたんだろうけれど
とっても不器用なんだよな〜〜
ちょうどいい幸せってどれくらいだろうね
Posted by ブクログ
二人は幸運だったのか。。
うん、たぶん幸せだったと思う。
最初に結末があってからの、それまでを、描く。
古畑みたいな感じ。
まだ自分は30代だが、50代の恋愛を感じれた。青砥の気持ちはわかる、須藤の気持ちが知りたいな〜。映画みたい〜主題歌めちゃ良いらしい〜。
Posted by ブクログ
人生後半、盛りを過ぎて、自分一人なんとか生きている男と女。少ない収入で細々と何とか心を保って日々を送る中、残りの人生を共に過ごすという、行幸のような希望の光がさす。
ほんの少しのありふれたしあわせ、そのことの難しさ。伸び伸び育てなかった末の自己評価の低さが悲しい。とてもリアルで苦しい。キレイな夢のような悲恋というより、どこの駅でも息を潜めていそうな現実感ある中年の話。
筆者の本は初読。語り口が少し違和感あるが、中盤以降読めるようになった。
Posted by ブクログ
映画公開前に。
読みながら、50の身体弱ってる私には読みすすめるのが辛かった。
家族にも兄弟にも強がってしまう、だってそういうふうにしか生きてこなかったのだ、できないのだ、甘えるのが。
彼女の周囲の人間も(青砥も含めて)みな、自分のさがをなかなか変えられないし、そうやって生きてく、死んでいく。誰もが平等に死ぬ。幸せそうに見えても人は死ぬ時はひとりだ。
残された人は、ひとつの死を、その人が残した死に方を勝手に解釈してしまうけど、本人にしか本心はわからない。死に方を選べたのかどうかも。
Posted by ブクログ
おじさんミーツおばさん。
おばさんの方は病魔に蝕まれ、少しずつ損なわれていく。それでも己の信念を最後まで貫いて、無機質にそして強く、″太く″死んでいく。そんなふうにするべきじゃないのに。
おじさんの方はただただ優しく、大人で、何も考えていない。何も考えていないうちに、まわりの大切な人が死んでいく。そんなふうであるべきじゃなかったのに。
須藤。
「あわせる顔がないんだよ」じゃねえ。
どんな顔だってよかったんだよ。会えよ。
自分だって会いたいだろうに、なんで勝手に死んでんだよ。
青砥。
気づけよ。検査の結果はしつこく聞けよ。
結婚はゴリ押ししろよ。
1年てなんだよ。そんなには待てないんだよ。人も命も。
文章は決して上手くはない。作家としては下手な部類に入るかもしれない。
それでも登場人物たちに文句を言いたくなるくらい、しっかりと感情を掴まれてしまった。
さてこの作者、文章は上手くはないが、時折ハッとするような光るフレーズを放ってくる。いくつかを書き留めて本稿を終わろう。
89P
「だが、どの頬も肌理細かで、なのに風にさらされたような野趣があった」
野趣という言葉に頼ってしまった感はあるが、美しい表現。
105P
「分は希望だ。ないと収まりが悪い。」
ないと収まりが悪い、の部分に、もしかしたらゼロなのかもという、人生の経験値から来る静かな諦念と、それでも1分でも希望があるなら全力でそれに向かおうとする覚悟が込められている。
145P
「遠浅の海でちゃぷちゃぷとあそぶような笑みをひらかせ、横の髪を耳にかけなおした。風が出ていた。」
遠浅の海〜の表現は抜群に上手い。この一瞬の須藤の気持ちをこれ以上なく的確に切り取っている。
そして 風が出てきた の一文ですぐに現実に引き戻し、その落差でやりきれなさを表現している。
170P
「ふたつの藁の束を絡み合わせて丈夫な縄にしたような、そんな手応えが青砥にあった。たぶん愛情というやつだ。」
50代の恋愛ってこういうものかもしれない。
決してまっすぐなものではないし、ただ感情だけでつながるのではなく、打算や状況や既成事実なんかがぐるぐると絡んでできあがる。
Posted by ブクログ
もうすぐ映画公開ということで読んでみました
元同級生でお互い今は独身で50歳で病院で再会 ちょうどよくしあわせはなんとなく分かる 病気の話がなければ不倫じゃない大人の恋愛ってこうなのかもと思う でも青砥さんにもう少し甘えて欲しかった様な不器用な2人にもどかしさとリアルさと悲しさと強さを感じました
Posted by ブクログ
あの頃は若かったなぁ、痛かったなぁ、馬鹿だったなぁ、って振り返って言い合える相手がいること。あの頃の延長線を、あの頃より老いて弱くなった身体ですること。ぜんぶいとしいと思いたいなあ。
淡々と現実的な感じがよかった。変に読者の感情を煽ってこないところが、個人的には特によかった。きっと特別ドラマチックじゃない、ありふれているかもしれない、でもかけがえのないものをひとつ見たような気がする。
Posted by ブクログ
【手に取った理由】
・店舗で物色していたら、ポスターで見た映画の原作と知ったので。
・堺雅人が好きなので。
【読んでる途中】
・読み進めるのが辛い小説だった。
・悲しく、不安な気持ちになるので、ダメージを受けても良い時間帯に、小分けに読むように心がけた。
・読み始めたことを、少し後悔した。
【読後】
・最期は、流石に涙を浮かべてしまった。青砥に感情移入し、泣くしかなかった。
・みっちゃんとの対話で、少し救われたが、50を超えた大人の恋の結末に、自分の未来を重ね、愛する妻との別れを思い、切なくなる。
・どうしようもない気持ちを、中江有里さんの解説が救ってくれた。
「人生の贖罪と残り時間を照らし合わせて、誰かを好きになり、思いが成就したならば、それは幸運と呼べるだろう。本書は、幸運に見舞われた二人の軌跡でもある。」
中江有里さん、ありがとう。ていうか、この解説がないと、救われなかったよ、私の心は…。
Posted by ブクログ
田村はまだかがタイトルだけかーい!
だったなと思ったので
それ以来、読んでなかった作家さん
映画化、星野源の主題歌聴いて
なんかよさそう…って読んでみた
最初は独特なテンポ?文節?に
あれ?やっぱいまいち?
って思ったりもしたけど
すぐ気にならんようになった
須藤はめんどくさい
すげーめんどくさい
おまえの心の一線、どこで引いとん?!
ってなる
そしてミステリアス加減とか
わりと男勝りな口調とか
わかる…惹かれるの、わかるぜ…
ってなる
結局、須藤がなんでそんな決断したんか
こっちで勝手な解釈させてもらえるの
読者としてはありがたいなと思う
こういう理由があってね…って
ご開帳されると
あー結局そう読ませたいわけね?
ってなるけど
そういうのなかったから
よかった
恋愛ものは
なかなか読みたくならないけど
これは好みにあってたので
読んでよかった
星は4つ
匿名
胸が切なく
平場の月、映画化決定の数秒の予告ムービーを見て。映画公開前に読みたくなった作品。読みながら、キャストや数秒の予告ムービーから演じてる俳優と重ね合わせて読むのも、これもまた良く。より、作品の切なさが移入出来た気がします。あと少し早かったら、それともこのタイミングで正解なのか。辿ってきた運命とは、切っても切れない自分の道なのだなと改めて感じる作品でした。
Posted by ブクログ
50代の恋愛の10代とはまた違うもどかしさ。
結婚という形は、必要なのか。
2025.11.26
映画を見たことで再読。
1回目は読み込み浅かったな。
映画を見た後なので、頭の中の画が映画に引っ張られた。でもまあ、それもよし。
Posted by ブクログ
「ちょうどよく幸せなんだ」
ただそばにいられればそれでよかったのに、高望みするから得られるものも得られない。
日常の些細なことに、ほんの少しの幸せを感じられる程度が、いかに「ちょうどよい」幸せなのか。
Posted by ブクログ
映画が始まったみたいであちらこちらで宣伝を見かけるけど、私にはこの作品の映画が見られるかどうか。
私自身が青砥や須藤と同世代で、彼らの友人達との会話なんかもなんとなく自分のものと似ていたりして読んでいる最中ずっと感傷的になってしまった。
とっても切なくて、でも優しくてだけど寂しい。須藤の様に太く生きていくのもかっこいいかもしれないけど、私はお母さんの様に甘えさせてくれている人がいたら思いっきり甘えて感謝して生きていきたいなぁ。
Posted by ブクログ
朝倉かすみさんの作品を読むのは2冊め
50歳で再会した中学の同級生の、大人の恋を描いた作品
まず最初に結末から明かされます。
どうってことない話をして「ちょうどいいしあわせ」になってお互いの屈託をこっそり逃す関係の青砥と須藤の約2年間の関係が丁寧に描かれています。
それぞれに経験したことの影響か、思いやりすぎるからか、なかなかお互いに一歩を踏み込めず、とてももどかしかったです。
静かに時に重たく話はすすみ、あまりに不器用で慎重な2人に泣いてしまいました。
須藤にはもっともっと青砥に甘えてほしかったです。
読後感2人の理想だった、空の青さ風の行く先を感じられるちょうどいい幸せを噛みしめることができる生き方をしたいなと思いました。
Posted by ブクログ
この世界のどこかにいるような、女と男の物語。不器用な二人の、何でもない、書くまでもないよう一つ一つの言動を、丁寧に描いていく。その描き方が丁寧すぎるからこそ、片方が失われた時の喪失感がやるせない。何でもない日常の大切さを改めて知らされる…。「あたりまえ」であることは、やはりこの上もなく、大切なのです。
Posted by ブクログ
50を過ぎた男女の恋愛。元同級生の再会。
気分は青春で、読んでいる方が恥ずかしくなるくらい2人だけの世界。
でも身体は…もう若くない。
知らないうちに深刻な病に侵されている。
検査で大腸がんが発覚する。
この小説は、須藤葉子が死んだことを、同窓の安西から青砥健将が聞かされるところからはじまる。
はじめから悲しい結末はわかっている。
偶然の再会から、結末に至るまで、ストーリーなのだが、淡々と描かれる。
語り口は乾いていて、御涙頂戴とか、綺麗事とか、ご都合主義は一切なく、リアルだ。
須藤の決断も、青砥の約束も、やりきれないし、若い人にしてみればもやもやしたものだけが残るだろう。
正しいとか正しくないとか関係なく、やり過ごすことを経験している40代半ば以上の人に響く小説なのだろう。
映画化されるそうだ。
僕は小説では泣かなかった。
見に行くかは微妙だけど、映画館では泣いてしまう気がする。
(2025年11月30日追記)
映画を見に行く。
結末を知っているだけに途中から涙が止まらなかった。
井川遥さんの須藤はかなりハマっていたと思う。
堺雅人さんの青砥もよかった。