【感想・ネタバレ】江戸川乱歩名作選(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

見るも無残に顔が潰れた死体、変転してゆく事件像(「石榴(ざくろ)」)。絶世の美女に心奪われた兄の想像を絶す る“運命”(「押絵と旅する男」)。謎に満ちた探偵作家・大江春泥(しゅんでい)に脅迫される実業家夫人、彼女を恋する私は春泥の影を追跡する――後世に 語り継がれるミステリ「陰獣」。他に「目羅博士」「人でなしの恋」「白昼夢」「踊る一寸法師」を収録。大乱歩の魔力を存分に味わえる厳選全7編。(編者解説・日下三蔵)

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Posted by ブクログ

人でなしの恋が好きだったと記憶していたのだが、どんな話だったのか朧気でした。人間の記憶あてにならん。久しぶりに読んでみて、やっぱり好きだと思った。なんとも言えない危うい雰囲気が魅力的。
色々な話が収録されていて満足な一冊。陰獣が面白かった。

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2025年10月28日

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語り手が過去の出来事を振り返るかたちで、自身の経験談や懺悔を語るように物語が進む形式が多い。聞き手に自分を重ね、不思議な話に半信半疑ながら引き込まれていくことで、もしかしたら実際の出来事なのかもしれないという気持ちになるのが楽しい。「陰獣」は初期の短編集の集大成のような作品なので、同社の傑作選を読んでから読むことをおすすめしたい。最後まで江戸川乱歩の良さが詰まっててよかった。

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2025年10月23日

Posted by ブクログ

傑作選に続き、こちら名作選も読みました。

サスペンスでミステリーなんだけど、それだけではなくて人間の闇の部分がなんとも厭らしくて、それでいて淫らで、陰鬱で…。
時代設定を意識しながら、読むとそこがより際立つ。





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2025年08月16日

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恐怖の対象は異形の怪物や呪われし霊魂ではない。ここに登場する屈折した愛情や憎悪、その果てにある世間との乖離が事件を引き起こす。もしや私たちにもその気があるかも知れぬが理性で萌芽しないままであって、加害者としての登場人物に至極惹き込まれていく理由が江戸川乱歩の筆致に潜んでいる。セルフパロディを加味した「陰獣」の展開には感嘆する。さすが。

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2025年05月30日

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ネタバレ

〜記録〜
石榴→
ラスト5ページで全てがひっくり返る内容だった!ラスト石榴が爆ぜたような死に方の比喩がされたのは誰でもなかった人としての伝えた方をしたかったのかなあ、と

押絵と旅する男→
ワードとして押絵との間にレンズのような働きをするものをたくさん散りばめることで、より鮮明に見えているような錯覚を起こさせているが、正体はとても曖昧なものであるのが、魅力だと感じた

目羅博士→
模倣、鏡、月の光、、、全てが揃った時に起こる有り得ないけれど、もしかしたら起こってしまうかもしれないと思わせる殺人の方法にとてつもなく恐怖を感じた

人でなしの心→
タイトルに含まれる3つの意味
①本にある通り、この世のほかの恋。
 人ではないものに恋をしている門野
②嫉妬と恨みで狂ってしまった私(京子)のこと。
 もはや人ができることではない
③最後に不気味な笑みを浮かべていた人形。
 人形ではない=人ではない=人でなし

白昼夢→
とても強烈な印象が残る。
白昼夢か現実か分からない曖昧な始まりから、その情景はかなり濃く鮮明で夢とは思えない

踊る一寸法師→
私以外が狂っていると感じる世界を、まるで自分もその現場にいたような不思議な感覚を覚えた

陰獣→
これ好き。中編でも退屈することがない。
大江春泥の描写が気味が悪すぎて印象に残るため、存在しているように思える。六郎は寒川と同様元は変態性欲者ではなく、静子が育てたのではないだろうか。静子と結ばれていたとしても、六郎と同じ運命になった可能性もあると思うと、、、こっわい

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2025年05月14日

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冒頭で読者を惹きつけられるのは素晴らしい作家だと思うけれど、江戸川乱歩は読者を作品世界に引き摺り込む天才だと思った。「石榴」から「陰獣」まで余す所なく本当に面白かった。これらが発表された時代を思うと、時代をこれだけ経ても面白かったと舌を巻かせる作品に脱帽。

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2024年06月30日

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 顔のない死体が魅力的な『柘榴』、とある汽車で絵を持ち歩く老人の奇妙な話を聞く『押絵と旅する男』、意外な真相が明かされる『陰獣』などミステリー、ホラー、怪奇幻想小説など様々なジャンルの傑作短編が七編収録されていて大満足だった。

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2024年06月24日

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 久しぶりに読み返したけど、やっぱり気持ち悪い(褒め言葉)。探偵小説家としておもしろいのはもちろん、怪奇作品が好きすぎる。

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2023年12月25日

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江戸川乱歩を久々に手に取って読んでみたが、やっぱり表現に古さはあれど面白さは色褪せない。
真夏に悪夢を見てじっとりと汗をかいて起きる感覚、文章だけで気持ち悪いことを表現する天才だ。
読んでいる時の不快感や異世界感が江戸川乱歩でしか書きえない表現の仕方で、本当に後味が悪い。
短編とは思えない重圧感ある物語をこれでもかと詰め込んである良作。

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2023年10月22日

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昔の日本というだけで、すでに妖しい雰囲気を醸し出す。反面、ストーリーは斬新で読みやすい。
扱っている内容がきわどすぎて、ビックリ!
エロ、グロ、ホラー、ジェンダー、障がい、不倫、SM、変態…と、書き切れない。
攻めすぎだわ。江戸川乱歩先生。
よく発禁にならなかったなぁ。
昔の方が案外、自由があったのかもしれない。

どの話も面白い。気味悪い。読んでいて映像が浮かぶから、なおさら怖さが深まる。
「人でなしの恋」が、私は一番怖かった。こんな恐怖感は久しぶりだった。
そして名高い「陰獣」…。題名のつけ方が秀逸。覗き見、屋根裏、姿が見えない、お色気とてんこ盛り。
本当に名作揃いで、全ての作品が妖しい世界に誘ってくれる。とても好みだった。
江戸川乱歩、恐るべし。






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2023年09月02日

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ネタバレ

陰獣をまだ読んでなくて購入しました。江戸川乱歩を読みはじてめてまだ日が浅いけど出てきた他作品?何故か奇跡的にほとんど読んでいての興奮と、途中で「得意のこのパターンか、なんかわかってしまって面白くないな」を予想外の展開で裏切るもので凄く面白かったです。

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2023年08月01日

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今作品集は『押絵と旅する男』『踊る一寸法師』の2作が乱歩の推理小説以外の魅力を最大限引き出してくれているのではないだろうか。
鮮明にそして反対にミステリアスにも描かれるグロテスクな描写、現実では考えられないような空想の出来事を現実に起きたことのようにリアルに不気味に描くことができる文才。
傑作選とは反対に名作選の主役は推理ではなく、このオドロオドロしい表現の数々であろう。

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2025年11月07日

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個人的には傑作選の方が面白い話多かったけどこちらも、特に陰獣は凄い楽しかったな。メタ構造的な作りで自身の批評的な側面(自己陶酔のようにも見えなくもない笑)がストーリーと良く馴染んでて、他の話よりも長めではあるけれどあっという間に読んでしまった。

乱歩面白い!

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2025年08月31日

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「傑作選」と「名作選」。新潮文庫の2冊の選集はどれも面白かった。これ以上、進むか止まるか迷うところ‥‥

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2025年08月05日

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「押絵と旅する男」を読むためだけに購入。それしか読んでいない。
とにかく面白かった。蜃気楼の描写から双眼鏡、覗きからくりと「レンズ」で貫かれたイメージの連鎖がきれい。乱歩は、他に「二銭銅貨」と「怪人二十面相」のシリーズをいくつかしか読んだことがないけど、登場人物が一人で語っているだけのところが面白いのが面白い。

この話が私の夢か私の一時的狂気の幻でなかったなら、あの押絵と旅をしていた男こそ狂人であったに違いない。だが、夢が時として、どこかこの世界と喰いちがった別の世界をチラリとのぞかせてくれるように、また、狂人が、われわれのまったく感じえぬものごとを見たり聞いたりすると同じに、これは私が、不可思議な大気のレンズ仕掛けを通して、一刹那、この世の視野のそとにある別の世界の一隅を、ふと隙見したのであったかもしれない。(p88)

素朴に考えれば、生きているはずのない押絵を「兄」だと言い張り、その「兄」に外の風景を見せて旅をする男が、どう考えても「狂人」である。けれども、もしかしたら、「夢」か「一時的狂気の幻」でなかったかもしれないと思い、「別の世界の一隅を、ふと隙見した」と思うくらいには、男の話を聞くだけの価値があるものだと思うのである。けれども、押絵=「兄」という荒唐無稽な話を、それだけ説得力のあるものにしたものは何だったのだろうか?

「これを、この遠目がねで一度ごらんくださいませ。いえ、そこからでは近すぎます。失礼ですが、もう少しあちらの方から。さよう、ちょうどその辺がようございます」(p98)

娘は動いていたわけではないが、その全身の感じが、肉眼で見た時とは、ガラリと変って、正気に満ち、青白い顔がやや桃色に上気し、胸は脈打ち(実際私は心臓の鼓動さえ聞いた)肉体からは縮緬の衣裳を通して、むしむしと若い女の生気が蒸発しているように思われた。(p101)

押絵が「生気に満ち」、まるで生きているかのように見えるのは、「遠目がね」を通して見たときだけである。考えてみれば、物語の冒頭、語り手の「私」が魚津で見たという蜃気楼も、「大気のレンズ仕掛け」が見せたものであった。蜃気楼は、幻覚のように見えるが、その「レンズ」の向こうには、蜃気楼の元になった現実がある。この物語は、「レンズ」を通して見た世界が、その向こう側に真実を感じさせる物語なのである。
それは、「狂人」と言われた男の兄にしても同じことである。

(前略)そして、『お前、私たちが探していた娘さんはこの中にいるよ』と申すのでございます。
そういわれたものですから、私も急いでおあしを払って、覗きの目がねをのぞいてみますと、それは八百屋お七の覗きからくりでした。(p113)

兄が一目惚れした女の正体は、八百屋お七の「覗きからくり」であった。そして、兄が最初に一目惚れしたのも、「遠目がね」だった。兄は、「レンズ」を通して見た姿を真実として見て、自分も「レンズ」で通して見た世界の中に入ることを望む。兄にとっても、「レンズ」で通した世界こそ真実の世界だったのである。

語り手の「私」は、顕微鏡や遠眼鏡の見せる世界がきらいだったという。「レンズ」というのは、科学が生んだ、ものをよりよく見るための道具である。だからこそ、その「レンズ」を通して見せる世界が、もう一つの真実の世界なのではないかというリアリティを生む。一見ありえない出来事が別の世界であるかもしれないと、語り手に思わせるのは、そうした「レンズ」の生み出すリアリティだったのではないかと思う。

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2025年07月27日

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ネタバレ

石榴…入れ替わりミステリとしてはよくあるけど、なんだか乱歩のエロ・グロ・ナンセンスとを絡ませると異様な狂気を帯びてくるね。名作。

押絵と旅する男…怪奇作家としての乱歩の筆が冴えてるね。

目羅博士…人間がもつ猿真似の本能と月光と言う怪しさが十分マッチしたオドロオドロしさを出しているね。

陰獣…二銭銅貨、屋根裏の散歩者、D坂の殺人他乱歩作品の総集編みたいな変態小説。
最後に明確な正解や謎解きが無い部分はまるで変格小説みたい。

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2025年06月23日

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★4。
乱歩読みやすい。押絵と旅する男はむかーし読んだ記憶あったけど、あの不可思議で幻想的な雰囲気はやっぱ好きだなー。京極堂の鬼がまた読みたくなった。しかし時代だからしゃあないのだけど、男尊女卑的な記述がふつーに織り込まれてて、なんつかちょっとそういうの見かける度にスンとなってしまったな…古い作品を読むには避けて通れん道だから慣れたいけども。

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2025年05月17日

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どれを読んでも江戸川乱歩の小説家としての手腕を感じることができてすごい。
単なる怪奇趣味、猟奇趣味ではなく、そこに語り部の胡散臭さが融合して、得も言われぬ江戸川乱歩風味が生まれるのだ。しかも理知的で、語り部のお話の進め方がめちゃくちゃテクニカルだと思うのです。
「陰獣」のSM性癖と「押絵と旅する男」の浅草十二階が強く印象に残った。

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2025年02月25日

Posted by ブクログ

▼新潮文庫的には「江戸川乱歩傑作選」とこの「名作選」を読めば、大人向け中短編の江戸川乱歩の輝きは制覇したことになる。という感じなんでしょうね。

▼「押絵と旅する男」「陰獣」は確かにまあ、面白かったです。それでも「傑作選」の段階で理解したテイスト自体はそのまんまで、それを小説的に快感にしてくれる作品だったかと言われると、好みですが僕としてはそれほどでも・・・・かなあと。

▼人形と同じ行動を人間がしてしまう・・・・「目羅博士」とか、なんともどろどろした見世物一座の救いのない人間関係が描かれる「踊る一寸法師」とか、短編、掌編の持つなんとも独特な湿度と陰性さが、それはそれで印象に残りました。

▼で、それらは、好みによっては「だからなんやねん」なんですけれど(笑)。好きな人はたまらんだろうなあ。

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2024年10月06日

Posted by ブクログ

みんなが好きな押絵〜を読みたくて購入。やー、江戸川乱歩、うますぎる。しかけはシンプルなのに、どれも締めが無駄がなく美しい。目羅博士とかなんでこのネタだけで成立してるんだ?藤田新策氏の絵本買おうかなあ…

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2023年12月30日

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同じく新潮から出ている「江戸川乱歩傑作選」と比べると、探偵モノは少ない。「石榴」と「陰獣」だけかな?
エログロさはこちらの方が上。これらの作品が大衆に大いに受け入れられる当時の世の中の雰囲気、さぞかし平和な世の中だったんだろうなあと思いをはせる。

どれも適度にエログロで、そして乱歩らしくとても読みやすい。
「うわー。気持ちわるー」なんて思いながらさらさらと読める。
「陰獣」のとても丁寧な、探偵小説のお手本のようなプロットもさすが。
全編楽しめました。
楽しめました、が、私は「傑作選」の方が好きかな。

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2023年12月06日

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人でなしの恋が読みたくて購入。
狂人達の織りなす物語。
読み始めたら止まることなく自分がすっかり穴の底に落ちてることに気がつく。

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2023年10月15日

Posted by ブクログ

90年近く前に書かれた作品なので現代では成立しないトリックも多いが、それを加味してもミステリとして十分楽しめる。どうせこのパターンでしょ、と思わせておいて2段3段落ちる。短編集としてのバランスもとても良い。

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2023年04月15日

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一気読み!
江戸川乱歩っていう字面で敬遠してた。読みづらいのかなあむずかしいのかなって思ってたけど全然そんなことはなかった!
1番印象に残っているのは一寸法師の話かな〜すごく短かったけど、怖くて面白かった!
江戸川乱歩先生、もうちょっと読んでみたくなりました

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2022年04月05日

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ネタバレ

2つの中編と5つの短編からなる江戸川乱歩の名作集。短編は短く、スラスラと読むことができ、中編はちょうどよい長さだった。個人的に印象に残ったのは、最後の中編「陰獣」でコナンくんが言ったセリフである「犯人を推理で追い詰めて、みすみす自殺させちまう探偵は殺人者とは変わらねーよ」が生まれるきっかけになった作品かなと思った。

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2022年03月02日

Posted by ブクログ

謎解きよりも怪奇色のほうが全体的に強かった。最後の陰獣は、タイトルから全く予想ができなかったが、セルフオマージュの要素もあり話も二転三転し、一番面白かった。傑作選も同様だが、今のいわゆる推理小説と異なり、理詰めで真相を解き明かそうと頭を捻るより、ジメジメとしたおどろおどろしい世界観を楽しむ作品だと感じた。

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2024年07月12日

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人でなしの恋が面白かった。
読んでて、映像が浮かぶ感じ。
切ないのか、呆れるのかわからない感じがするお話し。

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2023年12月31日

Posted by ブクログ

短編と中編。新潮文庫の傑作選とこの名作選で、ワクワクしたり嫌な気分になったり、仄暗い世界に迷い込んだり、かなり楽しめます。と言いつつ、傑作選に入ってる芋虫とか赤い部屋とか、この傑作選に入ってる踊る一寸法師とかは救いがなさすぎて正直苦手。

名作選だと「押絵と旅する男」が幻想的で好き。それと読んでて楽しいのは、他の作品がチラチラ出てくる「陰獣」。陰獣は、それこそ傑作選を読んでるとけっこう判るし、わかるぶん推理が翻弄されると思う。面白い造りだなあ。
100年近く前の作品と思えない。

それはそうと、目羅博士の冒頭で原稿の催促が厳しくて一週間くらい家にいたくなくて外をぶらついてる乱歩さん、かわいいな。人でなしの恋に泉鏡花の名前が一瞬出てくるのも気になるところ。どんなの読んだんだろう。

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2023年11月25日

Posted by ブクログ

江戸川乱歩はドラマは見たことあたけど、読んだのは初めてかもしれません。(記憶にない)

文章から漂う、彼の独特な雰囲気が癖になりますね。
収められている「石榴」「目羅博士」「陰獣」の3つは映像化したらさぞかし映えるだろうなぁ、と思いました。
「陰獣」の静子は木村佳乃さんか深津絵里さんでお願いしたい。
フィクションめいたところもあるのですが、実際にありそうでもあります。(この微妙な空気感をつくるのが上手い)
薄暗く、重たい空気なのに、どこか世離れしていて、ふわっとしたところもあって、ノスタルジックな感じもするんですよね。

”多くの場合、事実は小説の空想以上なのです。そして、はなはだありそうもない頓狂なことが、実際にはやすやすと行われているのです。”

小説の抜粋ですが、こういったことが作風に出ているからなのかもしれません。

「石榴」「目羅博士」「陰獣」はどれもラストが印象的です。
「あぁ、この盛り上がった感情をどうしてくれよう、、、」
ストーリーから一人取り残された気持ちになります。
だからなのかなー。読み終わった後、ストーリーが頭から離れないんですよね。
恐るべし、江戸川乱歩!他の作品も読みたくなるじゃないか!!

当書はミステリだけでなく、幻想的なストーリーも収められています。
江戸川乱歩の雰囲気が楽しめる本となっています。

長年読まれ続けている文学っていいものですね。

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2023年09月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「石榴」1934 中編 命日石榴忌の由縁
温泉宿で意気投合した二人。過去の事件を語るうちに。。。顔を硫酸で潰されて死体(石榴っぽい)。残る指紋から事件を解決しようとする刑事。しかし、残された証拠さえも計算されたものだった。「二廃人」の設定と似ている。二人は刑事と犯人だった。

「押絵と旅する男」1929短編 
魚津へ蜃気楼を観に行った帰りの汽車で押絵を持った紳士と席を同じにする。押絵の秘密が語られる。好きな女が押絵であったことを知り自らも押絵になった兄。二人を連れて旅する弟。

「目羅博士」1931 短編 エーヴェルス「くも」
上野動物園で猿をからかう男の告白。眼医者が鏡を使い殺人を犯す。それを逆手に取った青年。

「人でなしの恋」1926 短編
人形を愛する男と結婚した女性の悲劇。これはねー、許してあげても良かったんじゃないかな。

「白昼夢」1925 掌編
殺人告白の演説。本当なのに誰も気が付かない。

「踊る一寸法師」1926 短編
曲芸師達の宴。一寸法師への執拗なイジメ。人体切断マジックの強要。そして、スイカのような物は何!

「陰獣」1928 中編
これは、しっかりミステリー。作中に自身の推理小説を登場させて、事件解決に絡ませる。犯人構想が4、5回転する。100年近く前なの?それは凄いです。

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2022年06月10日

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