【感想・ネタバレ】星を掬うのレビュー

あらすじ

手に掬い取れるものが、星のようにうつくしく輝きを放つものであればいい。
そのひとつに、わたしとの記憶もあったら、嬉しいな。


千鶴が夫から逃げるために向かった「さざめきハイツ」には、かつて自分を捨てた母・聖子がいた。他の同居人は、家事を完璧に担う彩子と、聖子を理想の「母」と呼び慕う恵真。
「普通」の家族関係を築けなかった者たちの奇妙な共同生活は、途中、うまくいきかけたものの、聖子の病で終わりを告げ――。
すれ違う母と娘の感動長篇。
〈解説〉夏目浩光

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Posted by ブクログ

「私の人生は私のもの」という言葉はよく聞くけれど、この小説を読んで、その意味を改めて考えさせられた。
無意識のうちに相手に寄り添い、自分の気持ちを後回しにしてしまうところが自分にもあると感じた。それは優しさでもあるけれど、同時に自分の人生から目を逸らしてしまうことでもあるのだと思った。
まずは自分自身の人生に向き合い、主体的に生きること。その上で、大切な人と誠実に向き合っていきたいと感じた一冊だった。

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2025年12月13日

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ネタバレ

個人的マイベストです。
自分の不幸を他人のせいにしているうちは幸せになれない、ほんとにその通りだなと思いました。当時の自分と重なりグサっときました笑
母と再会した際の母の謝罪一つないあの態度は正しく彼女なりの愛だったと思います。
自分の人生、幸も不幸も自分の選択に責任を持って生きていきたいものですね

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2025年12月13日

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ラジオの「あなたの想い出買い取ります」コーナーに、母との想い出を売ってしまった千鶴。元夫に付き纏われて、給料日には押しかけられて暴力を振るわれ、有金を巻き上げられる日々。もう夫を殺してしまおうと決心したところに、ラジオで売った想い出をたよりに、母と同居しているという女性から連絡を受ける。千鶴のひどい状態を見て、母との共同生活に無理やり連れ帰られた千鶴。母との同居生活が始まる。

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2025年12月10日

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親と子は生まれた時から別の人間で、重なっているようでも違う人生を歩んでいる。当たり前のようで、それを受け入れるのは難しいと思った。親に甘やかされて育った私は、苦境に立った時、自分の人生の手綱を親にも一緒に握って欲しいと思ってしまうだろう。けれども母の人生が母のものであるように、私の人生は私が責任をとるしかないのだ。改めて気付かされた。

自分の置かれた苦しい状況や不甲斐なさを、親や環境のせいにしてしまうこと、誰しも少なからずあるのではないかと思う。切なく苦しい物語だが、わかりやすく読みやすい文で詰まることなく読めた。自分の足で立って生きるために背中を押してくれる作品だった。

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2025年12月06日

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幼い頃に親をはじめとした周囲の人たちからの愛を十分に得られないと、大人になったときに自分は必要ないのでないかという感覚や、自信の喪失に繋がってしまう。

作中の登場人物たちのように、自分の人生なのだから過去に左右されずに、自分の意思で切り拓いていくのだということを早いうちに自覚できればよいが、そう簡単にいくものではないと思う。特に思春期には素直になれないことも多い。本作のように、周囲の人たちからのメッセージによってその自覚をできるだけ早く持つことによって救われる人生も多くあると思う。

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2025年12月01日

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ページを閉じる瞬間まで胸にそっと置いておきたくなる言葉がいくつもあって読み終えるのが名残惜しかった(T_T) 誰かのせいにしてしまいそうな出来事も、根っこを辿れば自分の内側にある問題と向き合うことが必要なんだと気づかされた。だからこそ自分の足で前へ進もうとする登場人物たちの強さが沁みたし、私もそんなふうにありたいなと思えた!

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2025年11月25日

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病院仲間に借りました。これも読みたかった本。
ところどこれにマーカーが引かれてます。気になる文なんでしょうね。

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2025年11月24日

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町田そのこさんの小説でも郡を抜いて好きです...♡自分の生き方を考え直すきっかけになるそんな小説です

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2025年11月16日

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ネタバレ

今回も素敵なお話だった。
52ヘルツのくじらたちのように、全てスムーズに事が進む感じではないんだろうなとは思ってたけどやっぱり弥一が乗り込んでくるとは……しかも岡崎まで……つくづく美保の身勝手さが嫌になったけど、まあこれから色々学んで行って欲しいなって思った。
でも、千鶴も周りの人達に助けてもらうだけじゃなくて自分で自分を変えようと努力して、実際に変わって弥一にも言い返してやったところがすごくスカッとしたし、最初の千鶴と本当に別人に成長していてかっこよかった。
ほんと人とは恐ろしい生き物だと思った、本能のままに生きる人、他人を傷つけて平気な人、それから守る人、努力する人…みんな人間かあ

星を掬うって、すごく素敵なタイトル。
最後まで読むと、タイトルの意味が分かる。
素敵な作品だった〜。

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2025年11月09日

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自分の人生は自分のもの。他の誰かに干渉されて歪められることがあってはいけない、と強く思い続けることが、自分の人生を豊かにし、人にも優しくできる。

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2025年11月07日

Posted by ブクログ

泣いた。星を掬うっていう表現からは想像出来なかったくらい、重くて苦しかった。自分がこの立場だったら、人生が上手くいかないことも、情けなさも親のせいにしてしまうと思う。ここまで酷い環境で真っ当に生きられるとは思えない苦しかった。

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2025年11月03日

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私は学生です。この本に出てくる登場人物達のそれぞれの1歩前へ進むことがどれだけ苦しいのか、重いものなのか、私自身感じたことはありません。しかしこの本を読んで私自身が実際にそのとてつもなく大きい1歩を歩いたような気持ちになるほどこの本の読者を引き込む力は凄かったです。人の歪さがまるでナイフのようにびしびし刺してくるから読んでいて辛くて、何度も涙が溢れたけれど最後まで読んで心の底から良かったと思える作品でした。

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2025年10月28日

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ちょっとロマンチックなタイトルと装幀に惹かれて手に取った4作目の町田 そのこ作品。『52ヘルツのクジラたち』や『宙ごはん』を読んだ時のように、凄く壮絶で心を抉るような描写がいくつもあるにも関わらず、先のページが気になって、途中で読むのをやめられない作品でした❗️

親には親の言い分があって、千鶴の母の聖子さんの気持ちも分からなくはないけれども、一筋縄ではいかないキャラクターだなぁと思いました。

登場人物の中では、1番恵真さんが気に入っています。『星を掬う』というタイトルがどんな意味なのかが最後になってようやく理解できて、クライマックスではどうなる事やらと、ドキドキしてしまいましたが、何とか無事にまとまって、個人的に満足度がとても高い作品でした❗️特にどんな逆境でも強く生きていくんだというメッセージが、心に響きます。

町田 そのこ作品はメンタルが穏やかじゃないと冷静に読むことができませんが、これからも追い掛けていきたいと思っています。

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2025年10月25日

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ネタバレ

「娘を捨てる母」何も知らない私たちはきっと
酷い母だと言葉を投げ捨てる人がほとんどだと思う。
でも酷い母だけが全てじゃなく、
母自身にも理由があって、
そんな母と娘が再会することでお互いのすれ違っていた気持ちに理解し合う。そんなお話。
でもそんな簡単になんでも上手くいくことはなくて
再開する頃に母は若年性認知症を患っていた。
物事が上手く整理出来なくなっていたり、
こんな姿に母がなっていると納得したくないのも凄く共感できた。私も同じ立場で母を見たらきっと辛くなる。母もこんな自分を娘に見られるのが辛いと思う気持ちも分かる。最初は冷たい母だと思いこんでいたけど娘を守るために最後に全身全霊かけて戦う姿が
ものすごく感動した。こんな文で纏めるのは勿体ないくらい素敵なお話だった。
どうかまた夏の思い出を二人で味わって欲しい。

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2025年10月13日

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いろんな環境で育ってきた人がいて、自分の気持ちにみんな正直に生きているなと思った。
理不尽に人のせいにして生きていくのではなくて、自分の気持ちに伴ってとった行動に責任をもって生きていきたいと思った。
えまちゃん、自分の過去の辛さを感じさせず器用に生きていて強くてとっても素敵な人だなと思った。

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2025年10月11日

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ネタバレ

幼少期に捨てられ、確執のある母との再会の話。

単なる再会ではなく若年性認知症を患い、徐々に過去を思い出せなくなる母に主人公の千鶴が自分が捨てられてから歩んだ人生が如何に不幸だったかを訴える姿が継続的に描かれて痛々しい。
気持ちを汲み取れる一方で、親はどこまで子の将来の責任を負うのか、と漠然と考えていたら「不幸を親のせいにしてもいいのは、せいぜい未成年の間だけだ」とか十代で整理しておけと叱る登場人物が現れてすっきり。

「家族や親って言葉を鎖にしちゃだめよ」という言葉がとても印象的。

血縁は常にポジであって欲しい。

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2025年12月07日

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ネタバレ

捨てられた娘と捨てた母の物語。
元夫のDVから逃れられない千鶴。自分を捨てた母と再会する機会ができ、それをきっかけに母親の所有するシェアハウスに逃げることになります。

自分の不幸は母親のせいだと思っていた千鶴。
「不幸を親のせいにしていいのは、せいぜいが未成年の間だけだ」と言われ、ハッとします。
自分が不幸のどん底にいると、つい、自分だけが不幸で世の中は不平等だと思ってしまいます。でも、周りをよく見ると、気付くことはたくさんあります。
親子だって別々の人間。
一見身勝手な母親でも、母親側の気持ちを読めば、その気持ちも痛いほどわかります。

娘には自分の人生を生きていってほしい。

自分の母のことを想い、自分の娘のことを想い読みました。重いテーマですが、読んでよかったです。

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2025年11月24日

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今の自分は、すべてこれまでの自分が積み重ねてきた決断の結果であると強く感じた。現状を他人や環境のせいにせず、責任を持つ。
未来の自分が心から肯定し、自身を好きでいられるような決断を選びながら生きていきたい。

主人公たちの境遇に完全に共感しきれない場面もあったが、それは自分が家族や周囲の人々にいかに恵まれてきたかを再認識する機会となり、これまでの環境への感謝の気持ちが深まった。
さらに物語を通じて、深く掘り下げなければ見えない、多様な人生や人々が存在することを知った。
表面だけを見て決めつけることのないよう、常に相手の背景を想像する姿勢を心がけたい。

家族という最も近しい関係でさえ、分かり合えないことがこんなにもある。背景も価値観も異なる他人と関わる際には、より一層、自分の意志を明確に伝え合う努力をしなければ、真の理解は得られないと痛感した。

『星を掬う』で描かれる、時間が巻き戻せない非情さや、記憶・関係性が失われていく事実は、「今」という一瞬の価値を際立たせていた。
後悔は「しなかったこと」に対して生じ、大切な人との時間を失ってから悔やむことのないよう、会えるうちに会いに行くという行動もまた、他責にしない、自分で選び取る責任であると捉えられる。
「大切な人との時間を自分で守る」その意識と行動を忘れないようにしよう。

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2025年11月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

苦しみと向き合いながら生き続けることの難しさが痛くて涙が出た。
主人公を含め、過去の鎖に縛られて変われない自分や、未来への不安を抱えたままどうして生きていけるのだろうと思った。序盤は私ならとっくに諦めて死ぬことを選ぶかもしれないとも思いながら読んでいた。
幸せになりたいとか、いつか救われるかもしれないとか、そういうぼんやりとした幸福への執着を捨てきれなくて、だから人間はそう簡単に死なないのだとも思った。
人並みの幸せをとっくに諦め、自分に縁のないものだと手放したつもりだったのに、私の人生の主人公であることをやめられないのだな。
「私の人生は私が最後まで支配する。」格言のような聖子の言葉で心がビリビリと虐められるようだった。
私の大切な誰かが掬った星が、できれば美しく暖かいものでありますように。

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2025年11月18日

Posted by ブクログ

印象に残った言葉や忘れたくないことがたくさん出会えたけれど、久しぶり没頭して本を読んでみて、本を読むのはやっぱりいいなと感じた。
自分を客観視できる。
自分1人だとその中でしか考えれないことも、本を読んでいろんな考え方に出会えて、自分が変われる気がした。劣等感が一つずつ消えていく感じを味わえました。

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2025年10月28日

Posted by ブクログ

最初この話苦手かもって思ってたけど

最後わんわん泣いて文字が読めなかったw

愛を掬っていけるような作品

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2025年10月27日

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私は捨てられた私かわいそうと完全な被害者意識でなんとか生きてきた主人公。
被害者意識で生きるのはありがちで私自身そうだったけど私の人生誰のものでもないと考えると自立して生きるという考えに至る。
若年性認知症を患った母親も自分でいられるうちに思いを託す。だけど残された人が割り切れない。
最後は涙涙でした。

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2025年10月20日

Posted by ブクログ

『私の人生は私のもの』がテーマの作品。

自身の息がしやすい場所は娘の居場所ではないと感じ娘を捨てる決断をした母親の無責任さに酷く憤慨した。
自分が母から受けた歪んだ愛を娘にも向けてしまわないよう母なりの守り方だったのかも知れないが、愛していたら育てる責任は放棄しても良いはずがない。

"不幸を親のせいにしていいのは、せいぜいが未成年の間だけ"
言っていることは分かるがこの言葉も素直には呑み込めない自分がいる。


自分を捨てた母が若年性認知症を患っていると知る娘。
自分が傍を離れ幸せに暮らしていると思っていた娘が元夫からのDVに苦しんでいることを知る母。
思い描いていた姿での再会ではなかったが、母娘として一緒にいた頃の記憶を掬いながら2人は関係を再構築していく。

赦す、赦されるで済むことでは決してない。
しかしこのチャンスを逃したくない。
色んな想いを葛藤させながらふと距離を縮めたり、離れたり。
そんな2人と同居人達の慎ましやかな生活がいつまでも続けばいいと願った。


病状が深刻になり介護をしたいという娘達の意思を汲み取りながらも施設入所を希望する母。この母は最期まで我を通す人なのだという印象。しかし、この我は娘を捨てた時とは違うと感じた。満足に育児をしなかった自分が介護を受けるわけにはいかないという気持ちもあったのではないかと思うと少し心が痛くなった。


私は母になると自分の人生が終わると思っており、それを母の目の前で言ってしまったことがある。
母に「じゃあ、私の人生は終わりなの?」と問われ、とっさに「いや、私はもう成人してるから!」と言い訳をしてしまったのを後悔している。
でもどうしても母になる覚悟も責任も持てない。自分を殺して人の人生を背負う重圧に耐えられる自信がない。
しかし、本書を読んで母になろうが自分の人生は自分だけのものと強いメッセージを受け取り少しだけ引っかかっていたものが取れたような気持ちになった。
そしてそんな人生の中にきっと"子"という存在が入るのだと今では思う。

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2025年10月11日

Posted by ブクログ

いつか自分にも起こるかもしれない介護問題や人の尊厳について深く考えるきっかけとなった。私の人生は私のものという言葉が刺さった。

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2025年10月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

私も10代の時から自分の嫌な部分を全部家族のせいにしてきた。特に母親。捨てられたわけじゃないけど、当時の私の気持ちを大切にしてくれる人があまりいなかったと思う。寂しかったし、自分でも自分を認めることができなかったから苦しかった。

「私が歪ませた人生」という言葉に、そうだなと思った。子どもの時は欲しかった愛情を十分にもらえなかったけど、それを自分の価値と結びつけて性格を歪めたのは私だった。恵真さんみたいに愛情をもらえず育っても捻くれてない人って本当にいるから。私はどこかで解釈を間違えた。

「わたしの望む世界では母が生きられず、母の望む世界では、私が生きられなかった。」という一文が私にとってアンサーだった。
私と母は相性が合わなかっただけだった。
愛されたかった私の気持ちも間違ってないけど、お母さんの人生も尊重されるべきものなんだと気付いた。
そう思うと、寂しかった自分の子供時代を肯定できた。

千鶴さんと一緒で、母親への恨みは愛されたかったの裏返しで、本質的には母親のことが好きだ。
一人暮らしを始めてから母親と仲良くなれたけど、これからも私は母親が大好きだって心から思える。

過去の私に、それはお母さんのせいじゃないよって言ってあげたい。大好きな人を悪者にして自分を不幸にしないでって伝えたい。

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2025年10月11日

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「あんたの人生のために、私の人生があるんじゃない」

母娘のお話。
人生は自分軸だから、どうしても主観が多くって。
だけど何故か、予想外の事が起こった時に限っては、自分以外の物事や人のせいにしてしまう。
それに気付いて行動変容が出来るって凄いなぁと思う。

自分軸があるように、母にも軸があるはずなのに、
生活をしているとその事実が沈んでしまう事があるなと思った。

母から貰う言葉の後押しって凄い。

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2025年10月08日

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母子関係について取り上げられてる作品。
それぞれの家族によって異なるが、母に捨てられたと思っている子供、家族が先に亡くなって本当の家族を持たなかった子供が取り上げられている。どんな環境であったとしても、自分の人生の責任を取るのは自分ということを改めて認識させてくれた。どこかで家族や環境のせいにしてしまうが、最終的には自分の意思決定した結果が現状なのだから自分の出来ることを最大限取り組んでいこうと思う。
私は男性なので心から感情移入は難しかったが、女性視点で読んでみた感想も気になる、、!

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2025年10月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

母親に捨てられた娘・千鶴と、娘を捨てて自分の人生を選んだ母・聖子の物語。『捨てた側』と『捨てられた側』の後悔や怒り、悲しみがひしひしと伝わってきた。千鶴と聖子だけではないところでも母娘のつながりが展開されるところも、互いの置かれた立場の輪郭がはっきりしていた。
聖子は若年性認知症を患っていて、頭のなかの『記憶』という大きな海に、今まで経験してきた思い出が制御できないまま沈んでいく。だから千鶴は、母親である聖子が時折そこから掬いあげる記憶が、星のようにキラキラと輝くものであってほしいと願う。なんて美しい表現なのだろう。
町田その子さんの文章はなんてきれいなのだろう。
自分の人生の責任を、他人に委ねてはいけない。
本当に今の私に必要な言葉だった。この本に出会えてよかった。

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2025年10月11日

Posted by ブクログ

主人公の千鶴は幼少期に母と離れて暮らすことから、成人になって悪いことばかり続くのは、わたしを見放した母のせいだという想いから始まります。

逃げたり、追いかけたり、離れたり、追いつかなかったり、誰かのせいにしたり、だけど助けたり。母と娘がメインの関係に女性5人が一つ屋根の下で暮らす中、いろんな角度からそれぞれの想いが描かれています。

人によって違いがあるようですが、千鶴の母の若年性認知症もリアルに描かれています。

そんな中、元夫の弥一のDVがひどく、逃げても逃げても追いかけてくるところが、ホント怖い。

余談ですが「52ヘルツのクジラたち」とかけているのか、くじらクッキー52種類とか出てきて、ウケる。

結局、親切心からきた行動が裏目に出てしまったパターンが多いと思いました。
それは全てトラウマ。
町田その子さんはトラウマ表現が上手いので、千鶴だけでなく、5人の女性のトラウマが見事でした。

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2025年10月28日

Posted by ブクログ

近所のオシャレな古本屋さんで出会ったので52ヘルツより先の町田そのこ作品。

様々な過去を抱えた女性達が集まるシェアハウスで何年も会っていなかった自分の実母も含めた不思議な共同生活が始まる。

事情を抱えた親子関係、介護、DVといったキーワードの中で主人公の千鶴は最終的に親を理解し自立に向けて歩んでいきますが、それまでが痛々しく辛い場面も多く、読み進めるのに苦労しました。

私自身、親から捨てられたわけではないですが、いまだに親を許せないと思っていることがあり、このまま千鶴のように星を掬えることは無いんだろうなと思うと、現実は小説のようにはいかないよなぁと感じてしまいました。

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2025年10月07日

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