あらすじ
手に掬い取れるものが、星のようにうつくしく輝きを放つものであればいい。
そのひとつに、わたしとの記憶もあったら、嬉しいな。
千鶴が夫から逃げるために向かった「さざめきハイツ」には、かつて自分を捨てた母・聖子がいた。他の同居人は、家事を完璧に担う彩子と、聖子を理想の「母」と呼び慕う恵真。
「普通」の家族関係を築けなかった者たちの奇妙な共同生活は、途中、うまくいきかけたものの、聖子の病で終わりを告げ――。
すれ違う母と娘の感動長篇。
〈解説〉夏目浩光
感情タグBEST3
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気付きの一文
▪自分の人生を、誰かに責任とらせてはいけない。
▪わたしの人生は最後まで私のものであり、私の意志によって始末をする。
▪誰かを理解できると考えるのは傲慢で、寄り添うことは、ときに乱暴になる。
大事なのは、相手と自分の両方を守ること。
相手を傷つける歩み寄りは迷惑でしかないし、自分を傷つけないと近づけない相手からは離れること。
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母娘関係の話であると同時に、介護のお話でもあって、タイトルはそれにまつわるもの。
とても素敵な表現なんだけど、もどかしさや切なさも含まれてて、読後はこのタイトルを見るだけでも胸がきゅっとなる。
家族であっても“離れることがお互いのためになる”。
こんな使い古された陳腐な言い回しじゃ到底言い表せないのだけど、こういうことはあるんだよね。
でも、途中まで本当にわからなくて、読んでいて感じるもやもやした気持ちが抱えきれなくて、どうおさめればいいのかわからなくて、一気に読んでしまった。
愛がないわけじゃなく、あるからこそ、そうしなくちゃいけなかった。
それが作品内で語られる部分が、母としての気持ちも、子としての気持ちもわかって、ぐわんぐわんに心揺さぶられた。
自分の人生は自分のもの。
他人に責任をとってもらうものじゃない。
困難にぶち当たったら乗り越えるのも自分。
乗り越えて強く優しくなるのか、乗り越えられず卑屈に情けなく生きるのか。
強いメッセージが込められた作品で、頬を引っ叩かれた気分。
今読んで良かった。
親子関係に悩んでる人に強くオススメする。
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52ヘルツのクジラたちに続いて町田そのこさんの本二冊目として読みましたが、完全に虜です。
色んな新しい視点を与えてくれます。考えもしなかった、ただ嫌うだけだった誰かを、町田さんの本を通して少しは受け入れられるようになるのかも。
大袈裟ではなく人生を豊かにしてくれます。
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若年性アルツハイマーにより、"できない"ことが増えていくまだ50代の母親。
できていたことができなくなっていくのは、本人がきっと一番苦しい。身内の手は借りずに、プロに任せたいという母親の思いにも頷けた。
幼少期の環境って子どもにはどうしようもないことだらけで、大人になっても「あのとき〇〇してもらえなかった」とかそういう気持ちに引っ張られてしまうことがある。
それでも人生は自分のもので、その責任は今の自分にあって、過去のだれかを恨み続けることでは、一時的に気持ちが楽になったとしても好転することはない。
過去に背負ってきた苦労は人それぞれだし、苦労の少なかった人間から"自分の責任"なんて言われたら腹立たしいのも分かるけど
当事者がそう思わない限りは何も変わらない。
過去に囚われるな、なんて不可能だから、過去は過去として受け入れて、今の自分は何を選んで生きて行くのかに焦点が当てられるとよい。
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すごく面白くて読む手が止まらないとはこのことでした!!いろんな生き方があっていいんだ、町田その子さんの本を読むといつもそう感じます。人の弱いところを愛しいと思える素敵な物語でした。
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序盤はあまりにも不幸な物語の為読むのをやめたいと思ったが、なぜか読むのをやめることができない
いつも読んで思うが、町田そのこの文書は自分に染み込んででいくように感じるので読みやすいんだなあと思う
母と子の物語、どちらも不器用で言葉で伝えてくれればと思いましたが最後まで読んでこれで良かったのだと清々しい気持ちになりました
あの二人のクズ男は不幸になってほしい
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千鶴と聖子の親子が関係を再生させてゆく話であると同時に、恵真も含めた3人が、家族として絆を深めてゆく過程が丁寧に描かれている。
ストーリーも綺麗にまとまっていて良かった
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「私の人生は私のもの」という言葉はよく聞くけれど、この小説を読んで、その意味を改めて考えさせられた。
無意識のうちに相手に寄り添い、自分の気持ちを後回しにしてしまうところが自分にもあると感じた。それは優しさでもあるけれど、同時に自分の人生から目を逸らしてしまうことでもあるのだと思った。
まずは自分自身の人生に向き合い、主体的に生きること。その上で、大切な人と誠実に向き合っていきたいと感じた一冊だった。
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個人的マイベストです。
自分の不幸を他人のせいにしているうちは幸せになれない、ほんとにその通りだなと思いました。当時の自分と重なりグサっときました笑
母と再会した際の母の謝罪一つないあの態度は正しく彼女なりの愛だったと思います。
自分の人生、幸も不幸も自分の選択に責任を持って生きていきたいものですね。
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ラジオの「あなたの想い出買い取ります」コーナーに、母との想い出を売ってしまった千鶴。元夫に付き纏われて、給料日には押しかけられて暴力を振るわれ、有金を巻き上げられる日々。もう夫を殺してしまおうと決心したところに、ラジオで売った想い出をたよりに、母と同居しているという女性から連絡を受ける。千鶴のひどい状態を見て、母との共同生活に無理やり連れ帰られた千鶴。母との同居生活が始まる。
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親と子は生まれた時から別の人間で、重なっているようでも違う人生を歩んでいる。当たり前のようで、それを受け入れるのは難しいと思った。親に甘やかされて育った私は、苦境に立った時、自分の人生の手綱を親にも一緒に握って欲しいと思ってしまうだろう。けれども母の人生が母のものであるように、私の人生は私が責任をとるしかないのだ。改めて気付かされた。
自分の置かれた苦しい状況や不甲斐なさを、親や環境のせいにしてしまうこと、誰しも少なからずあるのではないかと思う。切なく苦しい物語だが、わかりやすく読みやすい文で詰まることなく読めた。自分の足で立って生きるために背中を押してくれる作品だった。
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幼い頃に親をはじめとした周囲の人たちからの愛を十分に得られないと、大人になったときに自分は必要ないのでないかという感覚や、自信の喪失に繋がってしまう。
作中の登場人物たちのように、自分の人生なのだから過去に左右されずに、自分の意思で切り拓いていくのだということを早いうちに自覚できればよいが、そう簡単にいくものではないと思う。特に思春期には素直になれないことも多い。本作のように、周囲の人たちからのメッセージによってその自覚をできるだけ早く持つことによって救われる人生も多くあると思う。
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ページを閉じる瞬間まで胸にそっと置いておきたくなる言葉がいくつもあって読み終えるのが名残惜しかった(T_T) 誰かのせいにしてしまいそうな出来事も、根っこを辿れば自分の内側にある問題と向き合うことが必要なんだと気づかされた。だからこそ自分の足で前へ進もうとする登場人物たちの強さが沁みたし、私もそんなふうにありたいなと思えた!
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今回も素敵なお話だった。
52ヘルツのくじらたちのように、全てスムーズに事が進む感じではないんだろうなとは思ってたけどやっぱり弥一が乗り込んでくるとは……しかも岡崎まで……つくづく美保の身勝手さが嫌になったけど、まあこれから色々学んで行って欲しいなって思った。
でも、千鶴も周りの人達に助けてもらうだけじゃなくて自分で自分を変えようと努力して、実際に変わって弥一にも言い返してやったところがすごくスカッとしたし、最初の千鶴と本当に別人に成長していてかっこよかった。
ほんと人とは恐ろしい生き物だと思った、本能のままに生きる人、他人を傷つけて平気な人、それから守る人、努力する人…みんな人間かあ
星を掬うって、すごく素敵なタイトル。
最後まで読むと、タイトルの意味が分かる。
素敵な作品だった〜。
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自分の人生を人のせいにするな、加害者は救われようとするな。
いい年の大人になっても、つい忘れてしまうことがあるけど、しっかりと覚えておかなきゃ。
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様々な背景のある登場人物がそれぞれが抱える課題に向き合い葛藤の中で愛と優しさと強さと弱さを持って生きている。人は全員違う個体である以上、家族であっても人間関係の正解はない。故にたくさん考えて語り、時には思考する前に感情をぶつけ合い、お互いや自分自身を理解できたりできなかったりしながら、自分が納得できる心の居場所を見つけて行くのだなと感じた。
頭ではわかっていてもできないことがあるのが人間だと思い知らされる表現が秀逸。
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導入から、主人公・千鶴が連鎖のように散々な目にあっており、読むのが苦しいと共にもはや笑うしかない。
後半に登場する美保のありえない発言態度の数々に恵真と共に苛立ったものの、そこに千鶴は自分の姿を重ね合わせ、その視点は予想外だったので素直に千鶴の凄さを感じた。
導入も酷かったが、終盤もいかにも話のクライマックスという感じで酷いものだった。悪人はとことん、悪人で終わる。庇ってくれた母親の男気が強すぎて、身体は弱すぎて、なんともいえない終わり方となったが、結果的にはこれはこれでハッピーエンドなのだろうか。
そのクライマックスにしても、美保が反省する姿にしても、できすぎ感は否めないが話として面白かった。
恵真が千鶴を心の中でお姉ちゃん呼びし、それを承諾するやりとりに1番グッときた。
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家族に「捨てられた側」と「捨てた側」、そして居場所を失った人たちが、同じ屋根の下で暮らす物語です。
母に捨てられた記憶を抱え、DV被害によって追い詰められていた主人公・千鶴。失踪していた母との再会をきっかけに、血縁だけでは測れない「家族の距離」と向き合っていきます。
それぞれに傷や過去を抱えた女性たちが、衝突を繰り返しながらも、少しずつ関係を築いていく姿が胸に迫ります。読後感は決して軽くはありませんが、人と人が会話を重ね、互いを受け入れることの大切さを強く考えさせられる一冊でした。
でもDV夫だけは絶対ゆるさんけどな!w
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登場人物の不器用で素直になれないところや、それぞれの家庭環境の複雑さに心が苦しくなった。
自分の人生なんだから、逃げてばかりでなく乗り越えて生きろ。と喝を入れられた感じ。
セリフ一つとっても、リアル。良い作品でした。
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町田さんのって重いのに重すぎない語り口だし、ヒーロー的な展開がないのがリアルで面白いんだなと再認識。
自分の手でやることを美徳だと思うな。寄り添いあうのを当然だと思うな。人にはそれぞれ人生がある。母だろうが親だろうが、子どもだろうが、侵しちゃいけないところがあるんだ
という言葉がとても印象的だった。
聖子さんが親から受けた子育てと自分の子育てのジレンマもあるしだからこそ離れたんだなと思った。
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娘の幸せな未来に母である自分が関わらない方が良いと判断した聖子さん。
偶然にも、別の書籍「母という呪縛 娘という牢獄」というノンフィクション作品を読んだ後だったので、この二つの著書を対比させながら読んでいました。
現実の方が残酷ですが、町田さんの作品で掬われる人達が増えるといいなと思いました。
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最初から重いストーリーで、でも節々で考えさせられる、気づかされる、町田さん全開な作品。
「可哀想と思われる。それをまわりのせいにしてるが、そういう目を向けさせる原因の一端はじぶんにある。自分自身が、自分をそういう風に見せている。」
「自分の人生は、自分のもの。誰かの悪意を引きずって人生を疎かにしちゃいけない。」
「人生の困難は誰のせいでもなく、自分で乗り越えていく。」
自分の人生を生きるということについて、登場人物の背景を追いながら探っていく。
重いけど、でも誰かに優しくなれるような作品。
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生きる事の苦しみと厳しさを伝えてくれる作品でした。内容も重くて読み応えは有りますが何故かサクサクと読めてしまうのが町田そのこさんの力でしょうか。でも虐待は嫌な感じが残りどうしても受け付けないな
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幼少期に捨てられ、確執のある母との再会の話。
単なる再会ではなく若年性認知症を患い、徐々に過去を思い出せなくなる母に主人公の千鶴が自分が捨てられてから歩んだ人生が如何に不幸だったかを訴える姿が継続的に描かれて痛々しい。
気持ちを汲み取れる一方で、親はどこまで子の将来の責任を負うのか、と漠然と考えていたら「不幸を親のせいにしてもいいのは、せいぜい未成年の間だけだ」とか十代で整理しておけと叱る登場人物が現れてすっきり。
「家族や親って言葉を鎖にしちゃだめよ」という言葉がとても印象的。
血縁は常にポジであって欲しい。
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捨てられた娘と捨てた母の物語。
元夫のDVから逃れられない千鶴。自分を捨てた母と再会する機会ができ、それをきっかけに母親の所有するシェアハウスに逃げることになります。
自分の不幸は母親のせいだと思っていた千鶴。
「不幸を親のせいにしていいのは、せいぜいが未成年の間だけだ」と言われ、ハッとします。
自分が不幸のどん底にいると、つい、自分だけが不幸で世の中は不平等だと思ってしまいます。でも、周りをよく見ると、気付くことはたくさんあります。
親子だって別々の人間。
一見身勝手な母親でも、母親側の気持ちを読めば、その気持ちも痛いほどわかります。
娘には自分の人生を生きていってほしい。
自分の母のことを想い、自分の娘のことを想い読みました。重いテーマですが、読んでよかったです。
Posted by ブクログ
今の自分は、すべてこれまでの自分が積み重ねてきた決断の結果であると強く感じた。現状を他人や環境のせいにせず、責任を持つ。
未来の自分が心から肯定し、自身を好きでいられるような決断を選びながら生きていきたい。
主人公たちの境遇に完全に共感しきれない場面もあったが、それは自分が家族や周囲の人々にいかに恵まれてきたかを再認識する機会となり、これまでの環境への感謝の気持ちが深まった。
さらに物語を通じて、深く掘り下げなければ見えない、多様な人生や人々が存在することを知った。
表面だけを見て決めつけることのないよう、常に相手の背景を想像する姿勢を心がけたい。
家族という最も近しい関係でさえ、分かり合えないことがこんなにもある。背景も価値観も異なる他人と関わる際には、より一層、自分の意志を明確に伝え合う努力をしなければ、真の理解は得られないと痛感した。
『星を掬う』で描かれる、時間が巻き戻せない非情さや、記憶・関係性が失われていく事実は、「今」という一瞬の価値を際立たせていた。
後悔は「しなかったこと」に対して生じ、大切な人との時間を失ってから悔やむことのないよう、会えるうちに会いに行くという行動もまた、他責にしない、自分で選び取る責任であると捉えられる。
「大切な人との時間を自分で守る」その意識と行動を忘れないようにしよう。
Posted by ブクログ
苦しみと向き合いながら生き続けることの難しさが痛くて涙が出た。
主人公を含め、過去の鎖に縛られて変われない自分や、未来への不安を抱えたままどうして生きていけるのだろうと思った。序盤は私ならとっくに諦めて死ぬことを選ぶかもしれないとも思いながら読んでいた。
幸せになりたいとか、いつか救われるかもしれないとか、そういうぼんやりとした幸福への執着を捨てきれなくて、だから人間はそう簡単に死なないのだとも思った。
人並みの幸せをとっくに諦め、自分に縁のないものだと手放したつもりだったのに、私の人生の主人公であることをやめられないのだな。
「私の人生は私が最後まで支配する。」格言のような聖子の言葉で心がビリビリと虐められるようだった。
私の大切な誰かが掬った星が、できれば美しく暖かいものでありますように。