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「私たちは必死に生きた。しかし、どう死ねばよいのか、それが分からなかった」
なぜ、透析患者は「安らかな死」を迎えることができないのか?
どうして、がん患者以外は「緩和ケア」を受けることさえできないのか?
10年以上におよぶ血液透析、腎移植、再透析の末、透析を止める決断をした夫。
その壮絶な最期を看取った著者が、自らの体験と、徹底した取材で記す、慟哭の医療ノンフィクション!
解説 日本腎臓学会理事長・南学正臣(東京大学腎臓内分泌内科教授)
<序章>より
「夫の全身状態が悪化し、命綱であった透析を維持することができなくなり始めたとき、
どう対処すればいいのか途方に暮れた。
医師に問うても、答えは返ってこない。
私たちには、どんな苦痛を伴おうとも、たとえ本人の意識がなくなろうとも、
とことん透析を回し続ける道しか示されなかった。
そして60歳と3ヵ月、人生最後の数日に人生最大の苦しみを味わうことになった。
それは、本当に避けられぬ苦痛だったか、今も少なからぬ疑問を抱いている。
なぜ、膨大に存在するはずの透析患者の終末期のデータが、死の臨床に生かされていないのか。
なぜ、矛盾だらけの医療制度を誰も変えようとしないのか。
医療とは、いったい誰のためのものなのか」
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Posted by ブクログ
2025年11月、日本の保険医療の診療報酬を決定する中央社会保険医療協議会(中医協)は、末期腎不全の緩和ケアについて診療報酬加算を決定した。これまで緩和ケアの対象はがんに限られており、新たな疾病が対象に追加されるのは初めてとのこと。
その大きなきっかけとなったのが、2024年11月に出版されたこの本だという。わずか1年で、日本の医療を大きく変えた本だ。
本書は2部構成。第1部は著者でありノンフィクション作家の堀川惠子氏が、夫の林新氏が透析と共に歩んだ22年余りを綴った闘病記だ。
日本の透析医療の現実、ことに終末期の「透析を止める」という選択に伴う苦痛は、想像を絶する。読んでいてしんどくなる事が何度もあった。
しかしそれ以上に、過酷な運命に向き合う林氏と堀川氏のひたむきな姿に胸を打たれた。腎臓移植によりひとたび透析から解き放たれ、2人で近所の桜まつりに出掛ける場面。透析再開を前に、取材のため無理を押して西南戦争の跡地を訪れた2人がつい取材に没頭する場面。結婚っていいものだな。場違いながら、そんな感想すら抱いた。
第2部は、取材に基づいて、終末期の透析患者をめぐる諸問題を扱ったルポ。
何よりも印象的だったのは、「腹膜透析PD」という選択肢。ぎりぎりまで生命維持を優先する人工透析とは異なり、「納得して看取る」ための透析だ。
腹膜透析PDを選び、人生の最期を穏やかに迎えられた幾人かの患者と家族の物語。読んでいて、近所のコメダ珈琲で何度も涙が溢れた。家で読むべきだった。
「納得して看取る」最期を支える、医師や医療従事者の奮闘も忘れてはいけない。
ご本人も仕事人間と自称している通り、きっと堀川氏は本来、働く人間の気高さを描いてこそいちばん輝くんだろう。
今まで読んだ中で一番のノンフィクションに出会えただけでなく、2人の素晴らしい作家に出会うこともできた。林氏の手がけた2本のNHKスペシャル、その書籍化、それに堀川氏の他の著作。どれもいずれ手に取ろうと思う。読んでみたい本、観てみたい映像がまた増えた。
Posted by ブクログ
透析のことは知人に透析を受けている人がいたり、血液透析がどんな風に行われるかは結構知っていたつもりだったが、血液透析の終末期がこんなに辛いなんて全く知らなくて、この本はものすごい衝撃だった。
透析患者のブログなどでは途中で更新が止まってそれきり、というものばかりで、そこはブラックボックス。その先はただ『死』なのだろうと推測はするだろうが、その『死』までの間に起こることが読んでいて恐怖を感じた。
著者の夫は難病が原因となり、血液透析を始めている。透析が続けるのが難しくなり、終末期に激痛と溺れるかのような呼吸困難がダブルで襲い、なのに緩和病棟はおろか緩和ケアもまともに受けられない。
血液透析の導入期は、それを受ければ普通に暮らせる、という希望をほとんどの人が持つであろうが、その最期まで考える人はそういないだろう。何せ今までそうした情報は書物やメディアでも公にしたものが無かったから。
よくここまで詳しく書いてくれたと思う。
3部構成となっており、はじめに夫の血液透析導入中の生活から終末期まで、次に日本における血液透析の現状、最後にもう一つの透析である腹膜透析について、となっている。
現段階では血液透析が圧倒的に多いが、どの治療でもリスクはつきものだけれど、腹膜透析のメリットや可能性も知ることができて良かった。
読書終了後、調べたところ、著者の夫が治療を受けていたときは透析患者は緩和病棟に入ることは適応外だったようだが、今年(令和8年)6月から、条件が合えば終末期の透析患者も緩和病棟の適応になるらしいことが分かった。透析患者ではないが、少しホッとした。
透析患者の疾病の1位は糖尿病。これは予防することはできるので、生活習慣全般においてこれからも家族も含めて気をつけていきたい。
Posted by ブクログ
前半と後半の二部構成。
前半はご主人との共闘の日々。後半は、日本の医療に関する現状を述べている。
こういう本の場合、読み手としてどこを軸にすべきか非常に迷う。読み進める中で患者たるご主人がどのように死ぬのかを読み手(自分自身)が期待しているんじゃないかと勝手な興味本位を感じたりもする。非常に複雑だ。
しかし、筆者たる患者の妻はこれを記録として出版してくれている。読まないより読んだ方が絶対いいのだ。
後半は正直、読み流した。前半部分が重く(充実?濃い?もちろん良い意味)どうでもよかった。
医者も仕事。利益追求もよく理解できる。医者だけが責められることもない。毎度難しいテーマだ。
Posted by ブクログ
腎不全の方の終末期、看取りの問題を取り上げており、透析の闇を赤裸々に綴ってくれております。
ガンの見取り、ホスピスなどは国策として進んでいるが、末期の腎不全の方の対応は希薄な状況です。
腎不全になったら透析をしなければならないという固定観念ができていると感じています。
特にDrは透析はやるべきものという考えが強いかもしれません!特に血液透析ですね。
これだけ血液透析ができる場所が増えてますし。
腹膜透析という選択肢が、出来るように在宅で生活の質が高いまま最後を迎えられるように、どんどん増えていくべきだと感じております。
是非、今の腎不全の医療・看取りについて知ることが出来る本です。
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小説・文芸
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