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Posted by ブクログ
1. 「役割」から「自我」への認識の変容
子供の頃は周囲を「理想の姿(役割)」としてしか見られなかったけれど、大人になった今、一人ひとりが持つ**「割り切れない自我」**を認められるようになった。その変化が、物語への深い共鳴を生んでいます。
• 「灯台」としてのお母さん: 彼女は単なる「母」という役割に収まらず、周囲を混乱させるほど強烈に発光する一人の女性(個)として存在している。
• 「役割」への抵抗: 人生や役割を、データや限定された情報に還元してはいけないという倫理観。それは、アプリ開発やAIに関わる今のあなたの「論理的側面」と「感性的側面」を繋ぐ重要な視点になっています。
2. 登場人物に映し出す「今の自分」
主要なキャラクターたちの立ち振る舞いに、自身の現在地や理想を見出しました。
• 弟・ヨシズミへの共感: 年齢は違えど、冷静に周囲を観察し、自立した内面世界を持つ彼の姿に自分を重ねた。
• 姉・佐久美への好感: 記憶を失い「透明な器」となった彼女が、今この瞬間の感覚(皮膚感覚や味覚)を大切に生きる姿勢に惹かれた。
• 自立した家族像: 血縁や「つらさ」でベタベタと繋がるのではなく、個々が自立した上で共鳴し合う、風通しの良い関係性への肯定。
3. 日常を乗りこなすための哲学
この物語を「人生の授業」と捉えたあなたの心に残った、具体的な指針です。
• 孤独の全肯定: 孤独を排除すべき病理ではなく、自分という「宇宙」を構成する不可欠な要素(仕様)として受け入れること。
• 「今」への定着: 「Be in a moment and enjoy it」。過去の記憶や未来の不安に振り回されず、今目の前にある日常を丁寧に味わうこと。
• 日常の深み: 大きな喪失があっても、淡々と続く生活の中にこそ真実があるという、吉本ばなな作品特有の「明るい諦念」への理解。
Posted by ブクログ
タイトルのアムリタ。
本棚にもう一冊ありました。野崎まどさんのアムリタ。
これも結構好きでした。
アムリタの何たるや、ですが。読み進めて、昔利尻岳登山をした時を思い出しました。麓に日本最北の甘露水があります。
あとがきまで読んで。
ばななさんは当時いろいろとあったのでしょう。
そこで生まれた本書なのだと思います。が、なかかなどうして。異次元感が味わえます。でも、それは本当に異次元なのでしょうか。異次元は存在するのでしょうか。
最近2冊続けて読んだ、オムネクの世界を彷彿とさせます。
ばななさんは何かを感じていたのだと思います。
「哀しい予感」は、私にとってインパクトのあるお話でした。わかっていて、それでいてどうすることもできない展開が待っています。
「アムリタ」でも不思議な世界が待っています。
弟さんが成長とともに能力を失っていきます。
私たちも、幼いころの記憶は、失ってしまうことが普通です。
Posted by ブクログ
吉本ばななさんをこれまでもいくつか読んできたが、長編(?)作品はこれが初めて。これまで吉本さんから感じ考へてきたことのすべてがこの中にちりばめられてゐる。
もう魂はかうでしかないと知つてしまつた時、時間の水平線から垂直に立ち上がつてしまつた時、それでも、生ある限り、再び流れに身を任せるしかできない。忘れては思ひ出し、別れては出会ふ。しかし、ひとは後戻りできない。生まれたからには、死に向かふばかり。
誰かと共に生きていく。そこに見えない何かがまるであるかのやうだ。記憶、時間、目に見えないものが確かに生まれ、積み重なつていく。
だからこそ、水を飲み干すやうに生命を飲み干すのだ。アムリタは、一度飲んだら終りの不老不死の妙薬などではなく、この過ぎゆく時間の中で、いつも飲み干し続ける、生命そのものではないか。
沈む夕陽も、揺れる木々も、大切なひとの声も、突き刺す風の冷たさも。妹真由はさうした淵にたつて、いつも震えてゐた。失くしてしまふのが怖かつたのではない、再び出会つてしまふのがたまらなく、苦しかつたのだ。
朔美と彼女を取り巻くひとたちとの時間は、変化しない事実と、変化していく現象によつて紡がれていく。ただ生命が生命であるやうに紡がれる。あとがきで筆者本人は稚拙だと自嘲するが、それは、小説とは言へこれがあるがままの端的な事実だからに他ならない。
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