【感想・ネタバレ】ぎょらん(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

人が死ぬ際に残す珠「ぎょらん」。噛み潰せば、死者の最期の願いがわかるのだという。地方都市の葬儀会社に勤める元引きこもり青年・朱鷺は、ある理由から都市伝説めいたこの珠の真相を調べ続けていた。「ぎょらん」をきっかけに交わり始める様々な生。死者への後悔を抱えた彼らに珠は何を告げるのか。傷ついた魂の再生を圧倒的筆力で描く7編の連作集。文庫書き下ろし「赤はこれからも」収録。(解説・壇蜜)

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Posted by ブクログ

今まで読んだ本の中で、泣いた本トップ3に入るくらい、ずっと泣きながら読んだ。今までに読んだ町田そのこさんの作品の中でも一番好き。
かつて親友を自死で亡くした朱鷺が軸となって、ひとつの街の中でそれぞれの身近な人の死にとらわれている人たちの人生が交差する。どの章にもぎゅっと胸を締めつけられるような別離の哀しみがあり、それでもその苦しみと向き合おうと行動したり、人との繋がりによって思いがけない事実を知る登場人物の姿を見ながら一緒になって泣いてしまう。
死者と繋がることは絶対にできないし、遺された者ができることは想像だけ。だからこそ葬儀は生者のためにある儀式だというのは本当にその通りだと思う。死ぬこと、生きること、罪を背負うこと、赦すこと、テーマは壮大だけど、人と繋がりながら精一杯に生きる登場人物たちには最後には希望があって、とても良い読後感だった。

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2025年12月03日

Posted by ブクログ

当たり前のように感じてしまう日常も本当は全てが非日常で、生きていることの方が死んでることの方より特異的な状況で、そんなことを思い出させてくれる小説でした。人は抱えきれないことを体験すると、どうしてもその体験に意味を与えてしまうものですね。それが当人の足枷にならなければいいのですが、事実と解釈は分けて考えたいなと。これは物語なので美しくまとまっているけれども、現実はそうはいかないものね、なんて思ったり。身近な人が明日いなくなってしまったら、それが今の時点でわかっているから何をしたいか?意識しながら生きていきたいなと。諸々大反省。

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2025年11月18日

Posted by ブクログ

最初はどうなる?と思っていたけれど、ただ読むだけで終わらない話だった。
想像を巡らせれば、人は他者に優しくなれる。
後悔しない人生なんてないけれど、後悔を小さくするために、【伝えること】を大切にしたいと思った。

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2025年11月15日

Posted by ブクログ

人とどうやって接するべきか考えさせられる。後悔なく生きることはきっと難しいけれど、丁寧に人と向き合っていればいくらか胸を張って生きていけると思う。何度も泣いた心の奥に刺さる作品。

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2025年11月10日

Posted by ブクログ

 身近な人の死に立ち止まっていた人達が、故人の思いを知り、再び歩き始める物語。
 登場する人達が、まあうまく繋がっていくこと。そして、人が何とまあ人を想って生きており、すれ違いからそれに気付かずに後悔してしまうこと。
 最近親しい人を失い、深い喪失感に苦しくて堪らなかった私だが、人の愛、想いの深さに敬服すると同時に、人の死を乗り越える登場人物達を追体験し、少し救われた、前に進める気がした作品だった。

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2025年11月08日

Posted by ブクログ

死を通して、生について考えさせられた。伝えたいこと、やりたいこと、全て終わってしまってから気がつく。こんなに悲しいことがあってたまるか。つらい。苦しい。

生きるってなんだろう。みんな死ぬのに。自分ひとりだったらどうだっていいんだろうな。家族や、友だち、同僚、自分以外の人と関わって、繋がって生きているから、恨んだり、怒ったり、後悔したりするんだろうな。関わらない方が死ぬとき楽なのかもな。でもひとりじゃ生きていけないしな。生活力ないし。誰かに助けてもらわないと。やっぱり関わらないと無理なんだな。生きるってなんなんだろう。

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2025年11月07日

Posted by ブクログ

遺された者たちの寂しさや苦痛、立ち去る者の穏やかな愛に涙なしでは読めない。生きているうちにできたらいいのに、なぜか亡くなってしまってから気持ちを推し量り答えを求めようとしてしまう。遺された者たちの気持ちが痛いほどよくわかった。
近しい関係であれば、言葉にしなくても自分の感謝や愛は相手に届いているだろうとも思うし実際そうなのだろうが、口に出して伝えておくことが未来の自分の心を救う可能性がある。人の死、別れを描くことで、生きている有限である今の尊さをこちらに実感させる一冊。

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2025年11月01日

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「ぎょらん」とは何なのか…調べ続ける朱鷺。葬儀会社に勤め、様々な死とその死と向き合う人たちと関わることで「ぎょらん」の真実を見つめていく。死と向き合ったとき思い出は美しいばかりじゃなく、後悔で心が埋まってしまうことだってある。それでも死と向き合って故人を想い願いを叶えようとする人たちの悲しみと強さに圧倒された。残された者が故人に寄り添える瞬間があるというお話”糸を渡す”がとても心に残った。

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2025年10月23日

Posted by ブクログ

町田そのこさんの作品を涙無しでは読めなくなってしまった。私自身、人生の中で「死」について向き合う機会があまり無くて、ぼんやりとした想像しかすることができない。亡くなった人の想いを、私たちは思い詰めることしかできないし、答えを知ることはできない。けれど、亡くなった人となにか繋がりを感じられれば心は和らぐのだなと思った。ぎょらんを通じてたどり着いた答えがみんな同じなのもよかった。あと、後悔しないように、大切な人に素直に思いを伝えようと思う。

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2025年10月18日

Posted by ブクログ

亡くなった人が何を思うか、それは想像でしかなくて、
ぎょらんは残された人の理想や想像でしかなくて。
でも直接聞くことのできないことくらいは
自分の都合の良い話であれと願ってしまった

突然訪れる死は、誰しもが経験しうることなので
大切な人たちとたくさん話をして、大好きだよありがとうって抱きしめたいなと思わせてくれる、温かいお話でした。人に対しての気持ちが荒んだとき、また読みたいな

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2025年10月17日

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ずっと積読してて絶対町田その子さんだから絶対好きなのはわかってたけどようやく読み切ってやっぱり好きだった。
町田その子さんのお話を読むときは青葉市子さんの音楽を聴きながら読むんだけど、いきのこり●ぼくらって曲が本当にピッタリだから聴いてほしい。
生き残った人たちのお話だから。

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2025年10月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「死人に口なし」
私が、自分自身に言い聞かせている言葉だ。
私自身の訴えを無視して、誰かに勝手に美化されて終わる死に様はまっぴらごめんだ。

きっと、私が遺すぎょらんは、今の精神状態ならば
酷く血生臭い味がするんだろう、と思う。

仕事に行き詰っている私にとって、「冬越しのさくら」エピソードは何とも耳に痛い内容だった。
しかも私は、相原さんのように誇りや信念を持って仕事をしているわけではなく、「この仕事は私がやりたかった仕事とかなり乖離している」というモヤモヤを抱えた状態で仕事をしている。
ああ、カッコいいなあ彼女は。
迷い、苦しんで、でもご遺族の為に仕事をするって、それで救われた方がいるって、羨ましいな。


少し本題とはずれてしまいました。
ぎょらん
しょっぱな、私が「ぎょらん」を遺す側のような書き方をしてしまったが、
私はぎょらんを「遺される側」であり、私にはこれからいくつもの死別が待ち受けている。

きっと、また何回も後悔の連続になると思う。
もっと優しくしておけばよかった、もっとこうしていたら、、ああしていたらよかったと。
私はあまりにもちっぽけで無力なので、何もできずに別れが押し寄せてくるのだろう。

そして「死人に口なし」
遺された人がどれだけ望んでも、もう故人の声を聴くことはできない。

だから、人は救いを求める。
救われてばっかりで、いつになったら救える立場になれるのやら、とほとほと自分に不信感がある。
ああ、朱鷺みたいに少しずつでも成長できるのかな。

自信がないことばっかりだ。
だけどこの物語には、詰まっていたんです。

もう一回頑張ろう。
大好きな人に、出来ることを伝える。
大好きな人と居る時間に、少しでも「幸せだった」と思える時間を築くこと

切実で、熱いメッセージが詰まっていた。
私は今から、何が出来るのだろう。



人との別れは怖い。
けど、一緒に死を悲しむことができる、思い出を共有できる関係者がいたら
少しはマシなのかもしれない。
その縁も、故人が遺した生きた軌跡なのかも。

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2025年10月12日

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人の死体にたまに現れる赤い球体「ぎょらん」
死んだ人の強い思いによるものなのか、はたまたまったく関係は無いのか、謎な存在のぎょらん。これを口に含むと様々な感情が入ってくる。それは人それぞれで幸福感に包まれる者や、苦悩に包まれる者もいる。主人公は後者であり10年間引きこもる。そんな主人公が様々なぎょらん経験者に触れどう変わっていくか、そんな話でした。
死にまつわる話なので心が揺さぶられるのだが温かい揺さぶられでした。

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2025年10月11日

Posted by ブクログ

誰かが死んだ後、いろんな後悔をぎょらんという形にしたのかな。本物か、偽物か、幻想かは分からない。でもぎょらんとは何か考えることを通して、死んだ人とは記憶やその人を想うことで繋がっているのだ、と信じさせられた。

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2025年10月08日

Posted by ブクログ

家で一人で読むべし。決して通勤電車や会社での休憩時間に読むものではない。鼻水をすすることになる。

町田その子さんの作品はこれが初めて。他の作品もぜひ読みたい。

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2025年10月04日

Posted by ブクログ

ひさびさに本で泣いた
少し読むのを止めたので人物関係がわからなくなってしまった
通しで読みたかった
人々のつながりトキの成長どれもこれも素晴らしい
そして死が身近に感じ考えさせられた
少し先の未来に悲しさや恐ろしさを感じた
お別れがあるならば後悔の無いようにしたい

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2025年12月07日

私は好きでした。

友人を亡くしたことがある私にとって、すごく考えさせられる物語であり、すごくその人に会いたくなった物語でした。普段あんまり泣かないのですが、終わったら泣いてました。
人の死が自分の心にどのように影響するのかもしっかりと考えられていた小説でした。

#共感する

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2024年10月23日

購入済み

文庫化に際して書き下ろしが追加されています。
死者が残すというぎょらんをめぐるあたたかい連作短編集でした。
大切な人を失ったときに後悔しないように生きたいと思わされる物語でした。

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2023年11月18日

Posted by ブクログ

ぎょらん、死者の最後の想いが詰まった小さな赤い玉になって稀現れるという。その想いは、恨み、怒り、感謝、人それぞれ。親友の死を経験して引きこもりになった主人公が10年の時を経て、徐々に硬い殻をやぶり、社会との関わりを再開し、様々な人々や死と関わる中で物語は展開されます。
ぎょらんの謎、大切な人の死を受け止める人々の魂、そして、そんな方々との邂逅の中で主人公も辿々しく前に歩んでいきます。

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

別れは突然に訪れることもある。
大切な人たちとの時間を、いつでも後悔がないように過ごしたいと思った。

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2025年11月15日

Posted by ブクログ

行動と言葉の不一致が人間的で。
涙が止まらない話もあって、死ぬことを意識して生きるって、大事よねと思えた。

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2025年10月19日

Posted by ブクログ

私が死んだ時…
大切な人たちには、悲しんでほしいだろうか。
全く悲しんでもらえないのも寂しいし、いつまでも泣かれるのもつらい。
でも一番嫌なのは、残された人が、私は恨まれているだろうなって、ずっと背負って苦しむことかな。
都合いいかもしれないけど、亡くなった人の気持ちなんて、それこそ奇跡でも起きない限りわからない。
だから、私が死んだら、大切な人たちには前を向いてほしい。
私も、もしその時が来たら、思いっきり泣いて、前を向こう。

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2025年10月15日

Posted by ブクログ

人が亡くなった時、最後に強く願ったものが、赤い珠となり残るという話。いくらのような見た目からぎょらんと呼ばれていた。
1つ1つのエピソードが遺された人が故人を思い、悲しむ場面はどれも悲しくて切なかった。
もっとしてあげられたことはなかっただろうかと私も祖父を亡くした時は思ったし、後悔などない遺族はいないのではないか、、

エンディングノートは印象的で
人が良かった人ほど、最後まで迷惑をかけないようにする姿は切なかった

ぎょらんは遺されたものたちの捉え方次第で、幸せな珠にも憎しみの珠にもなりうるのではないかな

朱鷺の、その人と楽しかった思い出を思うようにしてくださいという言葉が沁みた
後悔の念より、笑い合った日々を思い出した方がいいよね

大切な人たちとの時間を当たり前と思わずに
疎ましくおもわずに、一緒に生きて行こうと思った。


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2025年10月12日

Posted by ブクログ

途中までは通勤時間に読んでたけど、これダメだなと気づいてからは家で盛大に泣きながら読み切った。
大切にしたい人をただ大切にするということの難しさ、あるよな。
誰かともう二度と通じ合えない、どうやっても触れられないし届かないというのは本当に苦しい。
けどその苦しさから救い上げてくれるのがまた生きてる人たちとの繋がりだったりする。
私は誰かと別れる苦しみを乗り越えられる気がしなくて、それなら誰とも深く繋がらなければ良い、と思ったこともあったけど、なんかそういうことじゃないかもしれない。
誰かを心から大切に想った記憶が、失った空白を埋めてくれるのかもしれない、と思った。

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2025年10月05日

Posted by ブクログ

亡くなった人が遺す「ぎょらん」
読んでいて胸が苦しくなるような場面もありましたが
残された人ってどうしたって「ああすればよかった」「こうすればよかった」って、考えてしまうものなのかも。
ただ一つ
ぎょらんにまつわる世界狭すぎんか
そこに大量発生しとるんかと
ちょーーっとだけ思ってしまいました。
(最後の一編は違いますね)

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

切り離された短編集かと思ったら全て繋がっていて、ぎょらんとはなんなのか。ぎょらんの捉え方が人それぞれ違ったり…
人の死からの影響は計り知れないが、死後その人と繋がる機会があるならば大きな影響となると思う。
しかしその不確かなものより、日頃のコミュニケーションの大切さも同時に考えさせられた、
いつ突然、自分が死んでしまうかもしれないし、家族恋人友人が亡くなってしまうかもしれない、なるべく後悔の残らないように過ごしたい。
最後はときの成長乗り越えようとする姿に涙が出そうになりました

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2025年11月28日

匿名

購入済み

ぎょらん、本当にありそうな気がしてきます。
ひとの最後の時に思いを馳せた物語なので読んでいて苦しくなったりもしました。身近にある事なのに怖くてあまり考えないようにしていたました。まだ怖くて深く考えられないですが、後悔しないよう人を大事にしていきたいと思いました。

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2024年04月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

死んだ人が残す「ぎょらん」に関する話。
最後まで結局ぎょらんが死んだ人が残したものなのか、自身で生み出しているものなのかは分からなかった。
自分にとって大切な人が生きている、ということは当たり前になってしまっているけど
ある日突然プツリといなくなってしまったら、私もぎょらんに縋りたくなってしまうだろうな…
後悔なく大切な人の死を迎えられる事って、なかなかないと思うから、最期はその人との幸せな思い出を辿って見送りたいよね。

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2025年12月02日

Posted by ブクログ

 大切な人が亡くなった時、残された者たちは何かしらの後悔や懺悔の気持ちに苛まれることがあるだろう。

 「死」という重いテーマを題材に、残された人たちの苦悩を描いた連作集。
 大切な人の死をどう受け止めるか、どう受け入れるか、自分の中にどう消化させていけば良いのか。
 いい意味で清々しく送り出してあげられる気持ちになるにはどうすれば良いのだろうか。
 また、自分が死んだときに周りの人に笑顔で送ってもらえるように、どのような生き方をしていくべきなんだろう。

 「死」というテーマを通じて、「生」を考える良い機会になった作品だった。

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2025年10月26日

Posted by ブクログ

人の死に対する短編集。
伝説の玉ぎょらんは、人の亡くなる前に
思いの丈をその玉にメッセージとして
残すものと言われている。
志半ばで亡くなることは本人にとっても
周りにとっても辛いこと、恋人の死で
主人公にとっては辛い真実を知る事に
なったが、弟と共に探して当てた
(ぎょらん)からのメッセージで
われる事になった。
深読みすれば、愛人のひとりだった
姉を弟のパフォーマンスが救った
ような気がした。
明るく元気が出るショートが続けば
よいが全体的に(人の死や葬儀場での
)暗い話が多く、感動よりも気が滅入って
しまったので、話し半ばでリタイヤしました。

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2025年10月15日

Posted by ブクログ

「ぎょらん」を通して見えるものは、死者の真意というよりも、それを受け取る側の心の状態を映し出している
生があれば死がある、儚い人生の物語の中で人と関わり記憶に刻み込まれ良くも悪くも自分を変化させる

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2025年10月08日

Posted by ブクログ

そもそも「主人公がニート」という設定に条件反射でムカついてしまうので、初っ端から地雷だった。過去に辛いことがあってぐずぐず悩むのは構わんけど、せめて働いて家に金を入れろよ。家族に寄生してんじゃないよ。衣食住が担保されてるからおまえは悠長に悩んでいられるんだよ。住むとこなくて飯も食べられない状況で同じように悩んでいられるかやってみろよ。
2話目からは無事働きだしたので怒りは収まった。「糸を渡す」「冬越しのさくら」は泣いた。いいお話だった。

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2025年10月26日

Posted by ブクログ

「ぎょらん」はあると思う。それは残された者の心の持ち方なんだと。死別は終わりのようで、その人がいない生活が始まるってこと。だから今まで通りいかないのは当たり前か。

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2025年10月18日

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