あらすじ
人が死ぬ際に残す珠「ぎょらん」。噛み潰せば、死者の最期の願いがわかるのだという。地方都市の葬儀会社に勤める元引きこもり青年・朱鷺は、ある理由から都市伝説めいたこの珠の真相を調べ続けていた。「ぎょらん」をきっかけに交わり始める様々な生。死者への後悔を抱えた彼らに珠は何を告げるのか。傷ついた魂の再生を圧倒的筆力で描く7編の連作集。文庫書き下ろし「赤はこれからも」収録。(解説・壇蜜)
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
「死人に口なし」
私が、自分自身に言い聞かせている言葉だ。
私自身の訴えを無視して、誰かに勝手に美化されて終わる死に様はまっぴらごめんだ。
きっと、私が遺すぎょらんは、今の精神状態ならば
酷く血生臭い味がするんだろう、と思う。
仕事に行き詰っている私にとって、「冬越しのさくら」エピソードは何とも耳に痛い内容だった。
しかも私は、相原さんのように誇りや信念を持って仕事をしているわけではなく、「この仕事は私がやりたかった仕事とかなり乖離している」というモヤモヤを抱えた状態で仕事をしている。
ああ、カッコいいなあ彼女は。
迷い、苦しんで、でもご遺族の為に仕事をするって、それで救われた方がいるって、羨ましいな。
少し本題とはずれてしまいました。
ぎょらん
しょっぱな、私が「ぎょらん」を遺す側のような書き方をしてしまったが、
私はぎょらんを「遺される側」であり、私にはこれからいくつもの死別が待ち受けている。
きっと、また何回も後悔の連続になると思う。
もっと優しくしておけばよかった、もっとこうしていたら、、ああしていたらよかったと。
私はあまりにもちっぽけで無力なので、何もできずに別れが押し寄せてくるのだろう。
そして「死人に口なし」
遺された人がどれだけ望んでも、もう故人の声を聴くことはできない。
だから、人は救いを求める。
救われてばっかりで、いつになったら救える立場になれるのやら、とほとほと自分に不信感がある。
ああ、朱鷺みたいに少しずつでも成長できるのかな。
自信がないことばっかりだ。
だけどこの物語には、詰まっていたんです。
もう一回頑張ろう。
大好きな人に、出来ることを伝える。
大好きな人と居る時間に、少しでも「幸せだった」と思える時間を築くこと
切実で、熱いメッセージが詰まっていた。
私は今から、何が出来るのだろう。
人との別れは怖い。
けど、一緒に死を悲しむことができる、思い出を共有できる関係者がいたら
少しはマシなのかもしれない。
その縁も、故人が遺した生きた軌跡なのかも。
Posted by ブクログ
切り離された短編集かと思ったら全て繋がっていて、ぎょらんとはなんなのか。ぎょらんの捉え方が人それぞれ違ったり…
人の死からの影響は計り知れないが、死後その人と繋がる機会があるならば大きな影響となると思う。
しかしその不確かなものより、日頃のコミュニケーションの大切さも同時に考えさせられた、
いつ突然、自分が死んでしまうかもしれないし、家族恋人友人が亡くなってしまうかもしれない、なるべく後悔の残らないように過ごしたい。
最後はときの成長乗り越えようとする姿に涙が出そうになりました