あらすじ
一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者(ツナグ)」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員……ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。
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いなくなったあの人はどんな気持ちで逝ったのか。真実を確かめにいくことはただの傲慢なのか。
あの人と会って、私たちは前に進めるのか。
本当のことはわからない、いなくなった人のことを必死に考え、決意を固めて会いに行く。もう二度と再現できない最後のひと時を一緒に過ごす。真実を知り、新しい一歩を踏み出す。真実を知り、自分の犯した事の重大さを突きつけられる。それを背負って生きていく。
あの世とこの世の壁を飛び越えた一度きりの再開を描いた物語。
静かな気持ちになりたい時、自分の大切な人について考える時、人との関わり方について考えたい時に読みたい。
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命と命の物語。
”悔いのないように生きてね。”
言うは易し、行うは難し。
やりたいことを生きているうちに全部やる、は死んでから思い返すことになるよね。
今死ぬなんて思わないもん。
だからこそ、一瞬の生を大切に生きたい。
さて、今日はなにしよう。
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映画を先に見ていたので、小説を読むのにちょっと、抵抗があったのですが、読んでみました。
感想は、辻村深月先生ってスゴイ。です。
映画も面白かったのですが、小説も面白かったです。もし、自分と同じように映画を見ちゃったって、敬遠してる人にもお勧めです。
映画のキャストが、イメージ出来てスッと物語が入ってくると思います。
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辻村さんの代表作のひとつ。死んだ人間と生きた人間が一晩だけ再会できる、その交渉の役割を果たす使者「ツナグ」の見た神秘的なエピソードの数々。演劇部の親友同士のストーリーが一番印象的だった。心の動きが丁寧に描写されていて、美しい作品だった。
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死者との再会を実現させてくれる「使者(ツナグ)」。4人の依頼者の話が4つの章に分かれていて、第5章では「使者」の視線で4人の依頼者とのやり取りが語られ、自身が完全に「使者」になる前に会うべき人について考えを巡らせる。私が「使者」に依頼するとしたら会いたい人は決まっている。一方で、もし自分が死んだあとで「使者」を通じて会いに来てほしい人は誰なのだろうと考えさせられた。
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ヒトの想いにそっと寄り添うような優しいアプローチに心が温かくなる物語です。
死者との関係を取り上げているようで、いま生きているうちの関係性を見つめ直させる一書でした。
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辻村さん、二作目。
ありきたりなファンタジーかな、と思って読み始めたが、そんなことはつゆ知らず。
いろいろな角度から、雪崩の如く感情をかき乱される。なんて、、すごい作品。
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死者に聞いてみたいこと。伝えたいこと。もしもあの時、と考えてしまうこと。
私は誰に会うだろう。いや、会いたいと思ってくれるのは誰かを、まず考えてしまうのだろう。
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辻村深月さん初めての本
すばらしかった、、、
最初はなかなか入り込めなかったけど、途中からだんだん集中して読めた。
アイドルの心得
長男の心得
親友の心得
待ち人の心得
使者の心得
どれもとても良かったと思う。
親友と待ち人は苦しかったな。本人たちはずっと心の中に残るだろう。
歩夢くんの両親の死がまさか繋がってるとは思わなかったな。
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演劇部の2人の話が特に印象に残った
今後も消えないであろう後悔を抱えたままだから、"私は幸せになってはだめだ"なんて思いながら生きないでほしいなと思った
急にいなくなっちゃうかもしれないし、人生何が起こるかわからないから、
今一緒にいる時間を大事にしたいし、大事に思える人に多く出会える人生にしたいと思う
Posted by ブクログ
「世の中が不公平なんて当たり前だよ。みんなに平等に不公平。フェアなんて誰にとっても存在しない」
この言葉、ツナグの中で圧倒的に1番好きです。
この本に出会ったのは2年程前なのですが、何回読んだかわからないくらい繰り返し読んでいます。そのくらいずっしりきました。
辻村さんの作品で最初に読んだのは「ユーレイ」、その次がツナグ、だった気がします。
死者に会いたいと思うのは、大抵、家族や彼氏彼女、大切な心友など。家族とか周りの人の大切さを書いた本だと思いながら開いたのですが。
「アイドルの心得」は「ファン」と「芸能人」。面識もなく、ただ平ちゃん(勝手にそう呼んでます、水城さん許してください)が一方的にファンなだけ。
そこから引き込まれました。
「長男の心得」「親友の心得」「待ち人の心得」「使者の心得」と続きますが、やっぱり私は「アイドルの心得」、そして「待ち人の心得」が好きです…
帰ってこないと分かっているのにキラリちゃんを待ち続ける土谷さん。
「私は、キラリに、生きていて欲しかった」
そして会う日の歩美が最高にかっこよかったです(((
土谷さん、後悔しなくてよかった。
実写映画化もされています。
迷ってる方は読んでほしいです。
続編「ツナグ 想い人の心得」もぜひ。
おもしろい
こんなからくりがあったなんてなぁ。嵐と御園のお話は、嵐の御園に対する嫉妬の気持ちややり場のない怒りみたいなものは理解できるから読んでいてとってもしんどかった。御園が生きていた間は憎くて目障りで仕方なかっただろうし、いくら凍った水が死因ではなかったものの実際は御園に敵意も殺意も見透かされ、失ってから親友の存在をありありと感じ、そのうえ親友が主役を務めるはずだった劇もやり遂げた嵐はどんなに胸が張り裂けそうなほどつらかっただろう。
つなぐ使者
亡くなった人に会ってその声を聞きたい悩める依頼人と死んだ人間と生きた人間を会わせる窓口の使者、そのツナグ物語には引き込まれるものを感じる。
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連作長編小説で全5話構成、前4話がA面とするなら残りの1話が、B面でありメインの印象。特に、5話目で伏線を一気にかつきれいに回収し話がまとまる様は感動を覚えた。
生者と死者をつなぐ使者の物語で、メインのストーリーも去ることながら前半4話を通じて、生者とは、死者とは、死生観を考えさせられる場面もいくつもあった。
年齢を重ねた時に再読しても新たな発見、気付きがあるような一冊。
Posted by ブクログ
一生に一度、一夜だけ、死者との再会を叶えてくれる使者(ツナグ)。その存在にたどり着き、奇跡の再会を果たした人たちの姿を描く連作長編小説。
まず感じたのは「長男の心得」の主人公が嫌なやつすぎるということ…!頑固で意地っぱり、人をバカにしたような言動が多く、見ていて辟易した。
しかしその嫌なイメージの反動もあってか、彼がある人と再会するシーンは、温かくて懐かしくて寂しい気持ちになり、ぼろぼろと泣いてしまった。そして彼も実はそんなに悪いやつではないかも…と見方を変えてしまいそうになったが、普段の言動があまりに酷かったため、彼の印象をどこに落ち着かせればいいか分からなくなった(笑)
さて。死んでしまった人と一度だけ会えるとしたら。私なら迷わず、数年前に死んだ母と会いたい。そんなチャンスがあったら、どれだけいいだろうと思う一方で、実際にはそんなチャンスがなくてよかったと心底思う。
普通、「会うのはこれで最後」と確信を持って人と会うことはない。最後にしよう、とか最後になるかもしれない、と思うことはあれど、また会える可能性は残っている。だから大切な人が死んで二度と会えなくなってから、もっとああしてればと後悔する。でもそれでいいのだと思う。
ツナグに頼んで大切な人と会うことができても、この人とはもう会えないんだ、死んじゃったんだと思いながら、平静を保って話せる気がしない。その一夜が明けたとき、亡くなったとき以上の悲しみにも襲われそうだ。
そして後から、もっとあの話をすればよかったとまた同じような後悔に苛まれる気がする。
死んだら会うチャンスはない、弁解も懺悔もできず、死者と生者をきっぱり断絶してくれているこの世界のほうがずっと優しい。だからこそこの世で会って話せるうちに、ちゃんと向き合おうと思える。
「親友の心得」はまさに、再会を果たしたにも関わらず後悔が残ってしまった人の話。
前に読んだ『Another side of 辻村深月』で辻村さんが語るところによると、この章は本当は後味のいい話を書くつもりだったが、締め切りを勘違いしていて、慌てて書いたらあのラストになったそう。私は死者との再会が温かく後味の良いものばかりではないことを描くこの章が、他とは違うリアリティがあってとても好きだ。
総じてどの章も強く引き込まれ、それぞれ違う意味合いで心に残った。
ただ連作長編小説のため、一つ一つのストーリーが濃密かつ端的に描かれていて、ようやくの思いで再会を果たした彼らが、朝を迎えるシーンで毎回「えっ、もう?」とあっけなく感じた。欲を言うならば、一晩かけて何をどんな風に話したのか、もっと知りたかった。きっとそれらが詳細に描かれていたとしても読後に感じることに変わりはないだろうが、一夜だけのその不思議な世界にもう少し浸っていたかった。それほどに引き込まれていた。
次は、映画版をぜひとも観てみたい。
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この世に残された人と、あの世に行ってしまった人、2人を繋ぐ使者(ツナグ)の話。
生きているうちに1回、死んだ後に1回
誰かに会えるとしたら。
私は誰に会いたいのだろう、私に会いたいと思ってくれる人は誰なのだろう。と考えた。
大事な人たちが胸によぎって、今すぐにでも抱きしめたい気持ちになった。
親友の心得、は胸が潰れそうになった。
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「一度だけ」死者と生きる人を繋ぐ役目を担った人を取り巻く物語です。
テーマがちょっとSFっぽいですが、もしかしたら自分も経験しそうなヒューマンドラマが展開されます。
「言わなきゃ伝わらない」と「伝えなくて良かった」
選ばなかった分岐点の先には色々な事情があるなと頷きました。
サクサク読めて楽しい一冊でした。
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読んだのは2回目かもしれない。善良と傲慢を読んだ後で同書が良かったので改めて読んでみた。死者と生きているものをつなぐ使者。死者と会った者たちの目線と使者の目線からの2部構成。
主人公の葛藤が見えるが、最後にはつなぐの役割で両親がそうだったのか、との納得感。いい作品だと思う。
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【ツナガル想い】
読み出したら止まらなくなる中毒本。
一生に1度、死者とあわせてくれる
「使者(ツナグ)」という存在が
相談者たちをどんな未来へと進ませるのか。
たった一夜の再会。されど一夜の再会。
人とひととの出逢いとは、縁とは、を
考えさせられる珠玉の1冊です。
最後はシンプルに泣かされた。ありがとう。
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自分はあまりオムニバス形式が好きではないので読むのに少し時間がかかってしまったけど、最後の伏線回収は凄かった。自分のちっぽけな予想の上をいき、なおかつ整合性の取れたストーリーに感服しました。
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もしも、1人だけ死んだ人に会うことができるなら自分は誰に会うのだろうか、そう考えさせられる作品でした。身近な人や大切な人を亡くし、未練が残っている登場人物達。どうしても会いたいという一心から使者を探し出し、亡くなった人との再会を果たす…。再会することで前を向くことができる人もいれば、一生の後悔を引きずる人もいる。この作品を通して死者と会うことは必ずしも良いこととは限らないのだなと感じました。しかし、死者と繋がれたことで悩みや鬱屈した気分を変えるきっかけになったのではないだろうか。
とても感動するお話であり、過去に悔いがないように過ごしていきたいと自分を見つめ直す一冊でした。
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「もしも人生で一度だけ、死んだ人に再会できるなら」 そんな誰もが抱く願いを叶える使者の、表と裏を描いた連作短編集。
淡々と仕事をこなしているように見える使者の少年の舞台裏を最終章で描写することで、一気に彼のキャラクターに血が通う。死者との再会がもたらすものは喜びや感動だけではなく、「よくあるいい話」にはまとまらないエピソードを通じて死ぬことの意味、死者を思うことの意味を考えさせられる。
そう、「死者は、残された生者のためにいるのだ」
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死者との再会を叶えてくれる「使者」、心温まる系と思いきや、3章『親友の心得』は辛かった。
自分なら誰に会いたいだろうか。自分に会いたいと思ってくれる人はいるだろうか。身近な人たちが健在な今、誰にも必ず訪れる死というものを思い知らされたような気がした。
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使者(ツナグ)を通して、一生に一度だけ死者に会うことができる。死者も死後に1人しか会うことが出来ない、という絶妙な設定。依頼者は亡くなった方と一夜を過ごすのだが、スッキリしたり、悩みを解決して人生の新たなステージに進む方もいれば、運命を知り、重たい十字架を背負うように、生かされた者として責任を感じる人もいた。
自分がツナグに依頼出来るなら、亡くなった知人のうち誰に会いたいか。また、自分が亡くなった後は誰に会いたいか?(そもそも、自分に会いたい人は現れるだろうか?)いずれにせよ、1度しか無いチャンスをいつ使うか悩むのかと思いきや、各依頼者と死者はアッサリと受け入れている。(一部躊躇する人もいるが)
昨年、私の身近でも不慮の事故で亡くなった方がおり、この1年間は何度も「あの人ならどう対処したのだろうか?」「どんなヴィジョンを描いていたのか?」と考えてきた。今この瞬間なら、私は間違いなくその人を指名するのだが、人生とともに相手は変わるのかもしれない。
今回胸に刻んだ珠玉の言葉たち↓
「世の中は全員に等しく不公平」
「残された者には他人の死を背負う義務がある」
「死者は残された生者のためにいる」
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私が使者に会えたら、誰に会うのか、私が死んでしまったら誰に会いたいか。
亡くなってしまった人に会う事で、今までモヤモヤしてたことを聞けたり、新たに前向きになれたり良い話が多い一方で、御園と嵐の話はすごく心が痛くて、やるせなかった。
良くも悪くも、死者に会うことで、見守ってくれているというか見られているというかそういう意識がより芽生えるのかな。神様はどんな行動も空から見ているよというのが、より身近な人で感じるような感じ?
辻村深月さんの作品は、やはり自分の嫌なところというか、人には隠したい本音みたいなものをすごく的確に書かれていて、すごく刺さるというか、見透かされてる気持ちになる。
この作品を読んで1番思ったことは、その人が亡くなってしまってから、ああしとけば良かった、こう言えばよかったというようなことがないように、周りの人と関わりたいと思った。
なかなか感想を言語化するのが難しい作品だけど、とても面白かったし、周りの人に勧めたいなと思った。
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死んだ人に会える、そうゆうおとぎ話のような話しかなと思って読みました。読んでいる中で、これって生きている人の思いがつのって起こる出来事なのかな、そうするとその会話も生きている人の心の想いなのかな、とか考えました。
Posted by ブクログ
死者とツナグ役割を引き継ぐまでの物語。死者との再開。親友、婚約者の失踪、生きる力をもらったタレント。それぞれ会いたい理由は違うも、それぞれにドラマがあり、苦しくなる場面も。1回しか会える機会がないとしたら誰に会いたいだろ〜?
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生きて行く中で色々あった人達が
ツナグに会いたい願う死者との交渉を
してもらい会うことが出来た人達。
読んでいる中で自分なら誰かなぁ
死者になり会いたいと言われたら
どうするかなぁとこの物語を読んだ人は
みんな考えるのかな?と思いました。
この先の自分の気持ちは変わるかも?
とは思いますが、
今の気持ちは誰にも会わないし
死者になって誰かが会いたいと願っている
事を知っても会わないだろうなぁと。
誰にでも会いたいなぁと思う人はいると
思いますが、私の中で忘れないでいる
その人でいいと思いました。
凄く矛盾してますが後悔は沢山あります。
Posted by ブクログ
感想書くため再読。
あれ?こんなやるせない話だったっけ?もっと前向きだったような気がするが、あれれ?
登場人物、みんな家が裕福なのに、それぞれ悩みを抱えてる。なんとかしようと死者と会おうとするために、それを叶えてくれる使者を頼るのが、なんかせつない。んで、それでハッピーになるかと思いきや、行動によっては悲しい結末に。
やっぱりきついのは「親友の心得」
特別に会えた亡くなった親友に対し、最後まで曝け出せなかった、信頼できなかった結果は、どこまでも残る深〜い後悔。キツすぎる。
でもこれは、この物語だけの話じゃなくて、普段の生活でもそうなんだよね。キチンとそうするべき時に言う、行動する。そうせずに「いつか」とか思ってると後悔するよね。教訓です。
死者も生者も会える人は1人だけ、という設定が厳しくも、その後を想像すると、逆に慈悲を感じる。ちゃんと踏ん切りをつけて、先に進む機会にしなさい、と言われてるような。
この辺がポジティブかな。
そのポジティブさのおかげか、使者の決まり事を知ったアユムくんが、使者を前向きに捉えることができてよかった。
Posted by ブクログ
死者と生者をつなぐという設定が最初突飛に感じ、世界観に入り込むのに少し時間がかかった。また、せっかく死んだ人に会えるのに、色んな思いや背景があるはずなのに、再会の時間の描写が淡白な気がした。
親友の心得が一番よかった。嵐の気持ちはわかる。特に、再会した時に真実を御園に伝えることは、自分がすっきりしたいだけのエゴだと思うし、一生自分の中だけで抱える罪として胸にしまうというのは共感できた。また、身勝手な嵐に対して一生忘れられない贖罪の気持ちを植えつけた、御園の反撃もあっぱれだと思った。人の綺麗な面だけでない、誰でも持っているずるいところや汚いところを描く作品に惹かれるせいか、親友の心得がよかった。