あらすじ
一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者(ツナグ)」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員……ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。
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Posted by ブクログ
まず、ありきたりな感想かもしれないが、生と死について非常に考えさせられる作品だった。
死後の世界は誰にも分からない(作中では死者当人も死んだことに気付いていない描写もあった)が、生者の時間は1分1秒変わらぬペースで進み続けるのが自然の理だ。
そんな生者にとって、「死者をどのように扱うか?」というのが本作の大枠のテーマだったように思う。
・自分とは遠い存在の有名人に会いたいと願った女性→故人の言葉により生きる意味を見つけられた(かもしれない)。
・母に会いたいと願った田舎の本家の50代長男
→母の真意を知り本家の長男としても人間としても多少丸くなった(かもしれない)。
・親友に会いたいと願った女子高生
→親友との面会中に(直接死因にはなっていないにせよ)自分の悪行を謝罪できず、逆にそれを親友に見透かされていたことを後から知り、一生消えることのない十字架を背負う。
・7年前に失踪した婚約者を探したいと願った男性
→婚約者と愛を確かめ合い、死を受け入れ、(婚約者の出生が不明だったことにより)叶わなかった婚約者の生家への挨拶に向かう決意をする。
『彼ら(婚約者両親)と盛大に喧嘩しようと思った』という言葉は個人的に本作で最も好きなフレーズ。
・ツナグの仕事を引き継ぐ主人公 歩美
→亡くなった両親のどちらとも"会わない"ことで、現ツナグである祖母の後悔を自分なりの解釈で払拭しようとした。
ツナグのルールとして「死者から生者への逆指名は不可」というのが死者にとっては残酷なようにも思える一方、最終的における歩美の答えを見るに、本作はあくまで"生者の人生の分岐点の一部として死者が存在している"と伝えているのだと理解した。
死後の世界はあくまで生者の想像でしかない。
自分の死後、もし誰かが自分に会いに来てくれる機会があるのだとしたら、怒られないように真っ当な生き方をしたいと思う。
P.S.
ツナグが殺意を持っていた場合、鏡のルールを悪用すれば複数人を同時に殺せるではないかとハラハラしてしまった。都市伝説YouTubeやダークヒーロードラマの見過ぎか。
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原作を読みたくて手に取った1冊。
『生者のために死者はいるのか』
私がこの本を通して感じたことは、やはりこれからを生きていくのは生者であり、だからこそ死者は生者のためにいてほしいという、エゴ全開の考えに至りました。
この本を読んだ人はもしツナグを通して会うとしたら誰だろうと考えたと思います。
私も考えましたが、それはこれからにとっておこうと思います。
Posted by ブクログ
死んでしまった人にもう一度会えるなら。
使者(つなぐ)は仲介人として、生者と死者を再会させることができる。ただし生者と死者それぞれ一生に一度だけ。とても感動したし、話の展開の順番が良かった。現実逃避をするのではなく、現実としっかり向き合うこと、伝えたいことがあるなら、しっかり言葉にして伝えることの大切さに気づかされました。失ってからではもう遅い。今を大切に。
Posted by ブクログ
私の大好きな本。
『ツナグ』は、「大切な人にもう一度会えたら幸せになれるのか」という問いに対して、単純な肯定を与えない作品だった。再会は救いであると同時に、新たな痛みや後悔を生むこともある。その現実的な描写が印象に残った。また、それぞれの物語が最終的にツナグ自身の成長へとつながっていく構成も巧みで、人と人との関係の重みや、“想いを伝えることの大切さ”を強く感じさせられた。読後には、誰かに会いたいという気持ちと同時に、「今を大切にしたい」という感情が残る作品だった。
Posted by ブクログ
いつか来る大切な人との別れのために、伝えたい思いの棚卸しをしようと思いました。
祖母が亡くなり、悲しい気持ちで手に取った小説。祖母に会いたくなり、涙が止まりませんでした。最期に会いに行く予定でしたが、1週間間に合わず急逝してしまったので伝えたいことは自分の胸にあります。でも、ツナグがいたとしてもそれでも良いのかもしれません。会いたいけれど一夜では足りないし、会ったとしても別れの辛さ、募る思いは変わらないと思います。
生きている間に伝えたいことは伝えなければいけないし、伝えられる状況が当たり前だと思ってはいけない。自分自身も天災や事故に巻き込まれ、いついなくなるかもしれない。大切な人に大切なことは日々伝えていこうと思いました。
Posted by ブクログ
続編は読みません。
軽い気持ちで辻村先生の作品を手に取り初めて読みましたが綺麗な世界観と残酷な現実が混じり合い人間の感情のような複雑なものを感じました。
嵐と御園編がとにかく儚く残酷な物語で取り返しのつかない事をしてしまうと本書のテーマでもある繋がりというものが切れてしまう、現実となんら変わりない事柄であるが故に深く鋭く刺さる内容でした。
使者と書きツナグと読む、ツナグというタイトルは死者との取り付けだけでなくもっと奥深くにある人と人との関係性そのものを題材にしようとしたからこそのタイトルなのではと、浅い考察ではありますが感じた部分です。
かなり辛い内容も含まれていましたが最後まで美しい文に踊らされながら読み切りました、辛いが故に続編は読めないと思いますが辻村先生の作品はこれからも愛読していこうと思います。
Posted by ブクログ
なんだろうこの感覚。死というテーマなのに、何故目前が明るい。生きる事に希望を見出した人々がそこにいて、不思議な感覚になる。
永遠の別れは悲しい。寂しい。歩美が言うように確かに死者に会いたいというのは、生きてる者のエゴだ。
ただこの物語は、何故かそこに光があるのだ。
「親友の心得」は映画の印象が強かったが、小説で読むとまた辛かった。たった一つの過ちが生涯の後悔になるとは。たった一言が離れられない足枷になるとは。
Posted by ブクログ
いざ自分も一生に1度だけ会いたい人に会えるなら
どうするかと考えましたが、結局考えれなかったです。
今感想書いている僕が思っていることは、もし会いたい人が居るのならそれは自分の愛している人がこの世の中から消えていなくなってると思ったから
あんまり考えたくもないけど、何故か深く考えてしまいました
またこれが時間が経つにつれて考え方が変わっているかもしれない。そう思いました。
Posted by ブクログ
とても面白かったです!
最後の章でツナグの仕事と各章との繋がりも分かって、いろいろ腑に落ちました。
本当にこんなことできたら、自分は誰と会いたいだろう?
まだいないということは、きっと幸せなことなんだろうと思います。
Posted by ブクログ
初めて辻村深月さんの本を読みました。
とても読みやすくて、死者と会うという非現実的のように感じるストーリーにもかかわらず、まるで実際にあった話を見聞きしているような気分でした。
章ごとに話の展開のされ方が様々で面白かったです。
私のお気に入りは、「アイドルの心得」と「待ち人の心得」です。
もし自分だったら…と思わずにはいられない作品でした。
Posted by ブクログ
ほんまに泣いた
まじでいい本 めちゃくちゃ読みやすい。
一番好きなのは「待ち人の心得」
ミステリーばっかり読んでたけど、こういう心が洗われる小説もたくさん読みたいな〜
おもしろい
こんなからくりがあったなんてなぁ。嵐と御園のお話は、嵐の御園に対する嫉妬の気持ちややり場のない怒りみたいなものは理解できるから読んでいてとってもしんどかった。御園が生きていた間は憎くて目障りで仕方なかっただろうし、いくら凍った水が死因ではなかったものの実際は御園に敵意も殺意も見透かされ、失ってから親友の存在をありありと感じ、そのうえ親友が主役を務めるはずだった劇もやり遂げた嵐はどんなに胸が張り裂けそうなほどつらかっただろう。
つなぐ使者
亡くなった人に会ってその声を聞きたい悩める依頼人と死んだ人間と生きた人間を会わせる窓口の使者、そのツナグ物語には引き込まれるものを感じる。
Posted by ブクログ
生者と死者を会わせる窓口、使者(ツナグ)。
章ごとに視点が変わり、それぞれの物語が濃く読み応えがあった。また、最後の章は読み進める中で気になっていたツナグの正体について書かれており、各章でのツナグの考えや想いが回収される。
もしツナグが存在していれば、私は誰に会いたくなるだろう。そんなことを考えさせられた。
Posted by ブクログ
久しぶりの長編でやや長さは感じられたものの、最終章の完成度が高く印象に残る1冊だった。
最終章のとりわけ、歩美の「使者システム」に対して倫理的な疑問を投げかけ、生者のエゴや死者への冒涜であると批判する場面が印象的である。
フィクションとして何気なく読み進めていたはずが、「これは現実に通じる話なのではないか」と引き戻され、物語へ深く没入する感覚があった。
依頼者の章の中では、特に嵐と御園の対面が印象深い。嵐が御園との再会を望んだ時点で、その結末はある程度決定されていたのではないかと思う。
嵐は真実を語ることができず、御園はそれを理解したうえで知らないふりをする――その構図を、嵐自身無意識のうちに理解していたように思われる。だからこそ御園は歩美に伝言を残した。それは御園の意思であると同時に、嵐が自分への仕打ちとして心の奥底で望んでいた結末であったのではないだろうか。
最終的に、この「使者」という仕組みは、過去に囚われた人々が前を向くための儀式であり、言ってしまえば確かに占いに近いものなのだと感じた。
確定的な答えを与えるのではなく、依頼者自身の内面にある答えを引き出し、それを受け入れるための取り組みである。
Posted by ブクログ
私は生きてる間に誰と会いたいだろう
おばあちゃんになったら、母に会いたくなると思う。
私より先に大好きな親友が亡くなったら、親友にその1回を使いたいとも思う。家族よりもなんでも話せる親友に。
自分が死んだら誰が私に会いに来てくれるんだろう
親友、家族。いや、今パッと思い浮かんだのは元彼かな。
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死者と一度だけ会えるという設定が印象的だった。
それぞれの話がじんわり心に残る。
特に婚約者に会う話がよくて、会話や気持ちのやり取りがすごくよかった。
切ないけどあたたかさもある作品。
Posted by ブクログ
流石、辻村深月
物語の構成が素晴らしく、最後にかけて盛り上がる
緩やかに流れる物語だが、最終章では別の視点から
読み終えた時に今の自分だったら、誰を選び、誰に選ばれるかを考えて、誰かと話したくなる作品
Posted by ブクログ
私の身近な人で亡くなってしまってる人たちは、どこかで私の生き方、見守ってくれてると思いながら毎日生きてます。これは私の勝手な解釈なので、私は使者に頼む必要はありません。
Posted by ブクログ
亡くなった人に一人だけ、一度だけ会える、その人が元気だった時のまま。この設定で展開されるショートストーリーが、いい話だけでなく、嫌な結末もあり、それぞれに泣かせる。途中、設定を正しく保つはずの使者の言動が少し不安定なところに引っかかりながら最終章で納得。この章があった事で物語全体の深さが何倍にもなった感じがする。続編があるようなので早く読みたい。
Posted by ブクログ
後半泣けた。短編のパズルをラストに向かってうまく収束させていくなぁ。親友の心得ではゾクっとするところもあって、中弛みせずに一気読みできた。辻村さん、才能の塊だなぁ。
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亡くなった母に会いたくなりました。『お葬式に出れなくてごめんなさい...』きっと沢山の方が会いに来てくれたことでしょう。みんな、悲しがってくれたことでしょう。天国へ行ってゆっくり休んでいますか。また、夢で会いましょう。
Posted by ブクログ
最初は一話ごとの長さが短く、内容もあっさりしているように感じ、物足りなさがあった。けれど、読み進めるにつれて物語の深みが増し、最後にかけてどんどん引き込まれていった。
特に第三章の「親友の心得」が最も印象に残った。嫉妬という感情の怖さがリアルに描かれており、ちょうど自分自身も似たような感情を抱いていたため、共感できた。
また、この作品を読む前に、「もし過去の選択が違っていたらどうなっていたか」を描く作品(「if」という作品)を読んでいたこともあり、「後悔をしないためにはどうすればよいのか」ということを深く考えさせられた。後悔には、やらなかったことによるものだけでなく、やってしまったことによるものもあると感じた。たとえ自分に非がなかったとしても、人を傷つけてしまったという事実は心に残り続けるのだと思う。
中にはどうしようもない出来事もあり、結果はある程度決まっているのではないかという運命論的な考えにも至った。だからこそ、自分の行動で結果が大きく変わらないのだとしたら、できるだけ誠実で、周囲の人に寄り添える人間でありたいと思う。
誰かに見られていなくても、どうせ同じ結果にたどり着くのなら、自分が納得できる、かっこいい行動を選び続けたいと感じた。
物語の最後に、この不思議な設定の仕組みが明かされていた点も印象的だった。死者との再会という非現実的な要素でありながら、その使者側も特別な存在ではなく、一人の人間として描かれているところに辻村深月さんらしさを感じた。
この作品には続編があるらしいので、ぜひ読んでみたいと思った。
Posted by ブクログ
よかったです。
まず、死者に一度だけ再会させてくれる、ツナグという人物?職業?の設定が面白いなと思いました。
待ち人の心得、という話が切なくて、涙が出そうになりました。
でも、いい話ばかりじゃないところが、辻村深月さんらしくてとても好きです。
Posted by ブクログ
たった一度だけ、生者と死者を結ぶ役割を担う使者(ツナグ)を巡る物語。満月の夜の出来事を単なる美談で終わらせていない点が良い。純真な想いのほかにも疑念や不信感といった利己的理由も描くことで、死者の気持ちも生者と同様に扱い特殊な環境下に置くことで人と人との微妙な心情変化を際立たせている。
と書きつつ、本作の中ではややベタな展開ではある「待ち人の心得」の最も好きなエピソード。
Posted by ブクログ
4組の生者と死者の一夜限りの会合も、ツナグの受け渡しも、どれも良い。けど、1番は女子のいやぁな難しい感情漂う、嵐と御園でしょう。嵐の自分本意さと御園の嵐優先のバランスが演劇の主役に御園が立候補したことで一気に崩れ、嵐が御園の死を望み、叶うようにおとずれた御園の突然の死。御園は嵐の悪意に気付いていなかったふりをして、親友トークしての、逆襲。これ、すごい。美しい。御園は嵐の悪意は許せても、片想いの相手への思いを侵されることは許せなかったんでしょうか。辻村さんは女子の微妙な関係を描くのがうまいです。良かった。
Posted by ブクログ
⭐︎3.7
有名なこちらをやっと。死者と生者の再会。想定していたような感動の再会もあれば、残酷な最後になってしまった再会もあって(親友の心得)、読み応えがあった。
死者は誰のための死者なのか?死者に魂がないのだとしたら、誰のための再会なのか?再会は生きている者と使者(ツナグ)のエゴではないか?と使者である青年が悩む場面が印象的。
「ー見てきて知ってる。あって、必要なことを伝えなかったせいで、一生、そのことを引きずらなきゃならなくなった人もいる。それがどれだけつらいか、見てるから来たんだ。」