神林作品読破計画、やっと再開。海賊課シリーズ長編第二弾は、構造的にも実験的というか、CAWシステムという人工知能が著述した小説という体裁を取っていた前作「海賊版」より、単純に作りもエンターテイメント寄りで、気楽に読める。
今回登場するのはコンピュータ支援思考システム=CATシステム(Commputer Assisted Thought System、かな?)という”敵”だが、CATSというその名に引っかけて(というかこの名前の方がシャレで生まれたんだろうけど)、人間から機械知性まで猫化してしまう現象が、どうしたって笑える。ベースにはきちんと神林ワールド(「言語」と「意識」がテーマ)があるが、海賊課刑事ラテルと猫型異星人アプロのコンビ…というより、機械知性搭載フリゲート艦ラジェンドラも加えてやっぱり「トリオ」と言いたいが、彼らの会話とドタバタが単純に楽しく、深く読み解かなくても読んで笑って満足な一冊。