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地球のジャーナリスト、リン・ジャクスンに届いた手紙は、ジャムと結託してFAFを支配したというロンバート大佐からの、人類に対する宣戦布告だった。ついに開始されたジャムの総攻撃のなか、FAFと特殊戦、 そして深井零と雪風を待ち受けていたのは、人間の認識、主観そのものが通用しない苛酷な現実だった。『戦闘妖精・雪風〈改〉』『グッドラック』に続く、著者のライフワークたる傑作シリーズ、待望の第3作。
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Posted by ブクログ
言葉にすること、言葉によって作られるものに関した話が印象的だった。最後のシーンは爽やかで清々しく、希望を感じさせる美しいシーンだった。
凄いのひと言。好きそうな人をイメージできる作品なので好きそうな人に勧めたいシリーズですね(笑)大変な力作で快作です。
「科学」「宗教」「哲学」「論理」「思想」とかそういうあたりのことを 正体不明の異星体との戦いを通してえんえんこねまわすSF つまり結局SFとは何なのかに戻ってくる気がする とりあえず「哲学」は正体不明で「思想」はなじみうすいので「宗教」で代表 小説としてみるといわゆる作者のライフワークという名の下...続きを読むに 長々刊行間隔あいて完結まで読めるかいろいろな意味であやしいが 完結していなければ評価できない病と思えばまあそういうものか 作者と好み的に合わない部分はやはりあるけれども まだエンタメとして読み得る感
航空戦から引き込まれた戦闘妖精・雪風シリーズが、気がついたら言語SFとなっていた。何を言っているのかわからないが、刺激的で且つ大満足。問題はいつになったら「I have control」と自信を持って言えるような生き方ができるのかだ。ところで、「戦闘妖精雪風<改>」だけ未読だが、やはり読もう。
言葉という武器。認識というトラップ。インターフェイスという戦場。 不肖鴨、もぅ20年以上SFを読み続けていますが、これほど過激な(物理的な意味において、ではなく、構造的な意味においてです)戦闘シーンを目の当たりにしたのは初めてです。 シリーズ第一作では、「人間と機械の相克」が主なテーマでした。が、...続きを読むこの第三作に至っては、第一作のテーマすら小さいと思えてしまうぐらい、斜め上の世界に到達しています。もぅ本当に、タイトルで損をしている作品。爽快なスカイ・アクションを期待していると肩すかしをくらいますが、それ以上に激しい「思考の格闘」が、壮絶なヴィジョンと共に眼前に立ち現れます。 作品の前半部分は、主要な登場人物が主観的な目線で、ひたすら自己の思考を執拗なまでに克明に詳細に記載していきます。読者としてはかなり冗長なフレーズなんですが、物語が大きな展開を見せる後半部分において、ここまでもどかしいストーリー展開の理由が明らかにされます。 この作品を読むという、その行為さえが世界観に取り込まれているというこの驚愕。 それらの重層的構造を扨措いても、ラストシーンの雪風の美しさよ!続編を切に期待します。
神林長平の雪風シリーズが好きなら外せない本。 読んだ直後「このシリーズも行くところまで行っちゃったなー」と思わせましたが、『いま集合的無意識を、』を読んだ後だと、スッキリします。なるほどそういうことかってね。 おすすめ。
ジャムの代理人による人類への宣戦布告から始まる第三部。 だが中身は戦争ものというよりも“意識”や“世界”、“リアル”という諸認識を探る哲学書の趣――なのだが、これが面白いのだから実に困る、いや困らないか(笑)。 そして、第三部にして、ようやっと、深井大尉は戦闘を宣言したのだな。 「おれは、人間だ...続きを読む。これが人間だ。わかったか、ジャム」 それに応えたかのように飛ぶ雪風は、痺れるほど美しい。 SFの醍醐味だ。
いよいよFAFと特殊戦がジャムの総攻撃にさらされる……のだが、戦闘描写については前二作よりも少なめ。それよりも哲学的問答が多くなり、人間とは何か、ジャムとは何かを幾度となく問いかける。ジャムの攻撃によって、主人公達も、そして読者も予想のつかない展開に巻き込まれて行くのには驚いた。一応空戦ものなのだが...続きを読む、敵が哲学的性質を帯びているため、他には無い哲学的、量子学的戦闘を展開する様子は、人を選ぶものの自分としては読んでいて面白かった。
3冊を一気読みしました。巻が進むごとに難しくなって会話が増え皆さん饒舌です。 アンブロークンは★4かなと思ったけど最後のシーンがよかったので5つです。 哲学的で疲れますがやっぱり面白く、次も読みたいです。
▷雪風の世界には人間は存在していない。(p.329)/おれの生は、おれのものだ。(p.464)▷ロンバートによるとジャムが「人類」に対して宣戦布告したらしい。過去と位置が容易にすり替わってしまうあやふやな世界で零、ブッカー、クーリィ、エディスらの戦いが始まった。各自が、人間とは、自己とは、記憶とは、...続きを読む言葉とは、世界…世界認識とは何かを考え続ける。そしてそれは〈雪風〉とはどんな存在であるかを知ることでもある。逆に言えば雪風を知ることはジャムを知ることにもつながる。▷物語性は影を潜め思惟を深める対話ないしは独白がメインになっている。もしかするとそれらは雪風の世界の内にあり、武器として共有されているものなのかもしれない? 【ジャムになった男】ロンバートがリンに送ってきた手紙の内容は自身がジャムに寝返ったこととジャムがとうとう宣戦布告してきたと伝えるものだった。 【雪風帰還せず】リンはロンバートの実在を確認しようとする。零はジャム(TYPE7)を捕獲しようとし、ジャムも従うように見えるがこれは罠なのかどうか。フォス懸命の分析が続く。 【さまよえる特殊戦】捕獲したジャムをどうするか。ブッカー、クーリィ、フォスと視点が次々変わっていき緊迫感が生まれる。《ジャムとは、ここで戦う人間にとって、自分とは何かを問うための存在、ジャムはまさしくそのために出現したのだ、と思える存在だ。》《コミュニケーションとは、ようするに、自分はなにを考えているのかを知ることにほかならない。相手の考えも自分のものに置き換えられるだろうから、コミュニケーションによって得られるのは、自分自身の無意識の内容、意識していなかった自分の本心というものだろう。》p.146 【雪風が飛ぶ空】ロンバートと桂城は語り合う。言葉と個とリアルとジャムという存在について。 【アンブロークン アロー】〈無意味〉から〈意味〉への侵攻? 〈妖精空間〉? 何が現実で何が現実でないのか、あるいはすべてが現実ではあるのか、自他の区別が解け、なにも確定できない世界での苦闘が続く。これはジャムの攻撃か、あるいは雪風の作戦か?/《自分が雪風になってしまっては意味がないのだ、という考えが意識に上る。》p.211。《自分が人間であること、そうありつづけること、それだけが重要で価値のあることであり、生きる意味はそこにある。そこにしか、ない。》p.212。《行動して感じ取るしかない。感じ取る、まさに、それが、答だ。感じ取ったそれが、あらゆる問いに対する、答なんだ。いま自分が生きていると感じる、それこそが、窮極の答なんだよ》p.387。《ジャムとの戦いは、ようするに、人間を人間として認めさせる戦いというわけだ。まず、そこから始めないといけないのだ。なんという戦争だろう。》p.394 【放たれた矢】現在置かれている場から脱出するために雪風は〈通路〉を目指す。その先に地球は存在するのか、飛び込んでみるまで結果はわからない。《おれはいままで、〈通路〉という連絡口があるからこそ、地球などどうなってもいいと言っていられたんだ。》《おれが真のフェアリィ星人として生きるには、地球と、地球人という存在が必要なんだ。》p.481 ■特殊戦についての簡単な単語集(★は重要語) 【愛】《あなたと雪風、特殊戦の戦闘機械知性体とその人間たち、それを結びつけているのは、愛する、という能力なのよ》グッドラックp.629 【アドミラル56】日本の航空母艦。 【天田守少尉】FAFの除雪隊員。マース勲章を叙勲し困惑する。 【アレヴィ博士】空軍戦闘心理研究所。 【犬井咲見】日本海軍広報官。中佐。おしゃべり。 【エーコ中尉】特殊戦戦隊機整備担当責任者。 【エディス・フォス大尉】→フォス大尉 【エメリー中尉】エイヴァ・エメリー。オドンネル大尉の実質的な個人秘書で恋人でもあるようだ。 【恐れ】《自分が恐れているのはジャムではなく自分なのではないか。》p.117 【オドンネル大尉】ヒュー・オドンネル。ファーンⅡのテストパイロット。陽気で気さくなタイプ。個人秘書のエイヴァ・エメリーは恋人でフライト前の会話で死亡フラグを立ててしまう。 【ガーゴイル中尉】TAB-15所属。メイル中尉の後任の部隊長。 【カール・グノー大佐】システム軍団・技術開発センター所属。遠隔操縦機を開発した。《ジャムとの戦いに人間など必要ない。機械のほうが優秀だ》〈改〉p.76。 【ガス】リンの大好きだった叔父で生粋の軍人。妻のハナはキラキラした瞳と髪が印象的な小柄だがバイタリティあふれる女性。。 【桂城彰★/カツラギ・アキラ】バーガディシュの後釜として情報軍のロンバート大佐が雪風の電子戦闘要員候補として送り込んできた、いわば公然のスパイ。フォス大尉は簡単なプロファクティングを行いカツラギ少尉は過去の零とそっくりなタイプだと言う。《桂城少尉は、私物としての鏡は持っていないだろう。》グッドラックp.332。ロンバート《ようするにきみは、自由意思などなくてもかまわないと思っていて、成り行きのままに生きている人間なのだ。ふつう、人間はそうは思わないし、そんな生き方はできない。きみはその面で、ふつうではない》アンブロークンアローp.171 【カルマン少佐】再教育部隊の指揮官。 【関係】消滅の危機に瀕した零はジャムと交信する。《おれは雪風に殺されるのだ、おまえにではない。もはやおまえのことなど、どうでもいい。おれと雪風の間に割り込むんじゃない、さっさと消えろ。これは、おれと雪風との関係だ。邪魔されてたまるか。おれはいま、雪風との関係を完成させるために忙しい。邪魔をするな。おれの生死は、おれのものだ。だれにも渡さん。》グッドラックp.451。《「戦闘機とパイロットではなく、友人でも仲間でもない。同僚や戦友でもなく、敵や味方でもないとすると、なんだ」/「簡単なこと。自分自身よ」》グッドラックp.479 【記憶】《記憶とはつねに自分にとってつごうのいい虚構に過ぎない。》アンブロークンアローp.218 【機械】結局のところ人間もどんな生物もメカではあるわけで、その境界は判別しにくいしできないのかもしれません。 【基地】六つある。シルヴァン。ブラウニイ。トロル。サイレーン。ヴァルキア。フェアリイ。全軍の総合参謀本部はフェアリイ基地にあり規模も最も大きい。 【儀礼兵】戦死者の顔をしたアンドロイドで編成された儀式用の人形たち。 【クーリィ准将★】リディア・クーリィ。特殊戦の副司令。鬼のような婆さんだとか。軍に入る前は金融畑の人間で一流のディーラーをめざしていた。《あの准将こそが特殊戦をこのような部隊にしたのだ、彼女の性格意識を反映した戦隊なのだ、彼女にとって特殊戦という存在は、上から与えられた管理すべき組織などではなく、自分のもの、自分の存在の一部、自分そのものなのだろう。それを使って、殴られたら殴り返す。それだけのこと。殴りかかってくる相手がジャムだろうとだれであろうと、そんなのは関係ない。それが正義というものだと准将は信じている。》グッドラックp.416。《相手に理解できるような行動をとってはならない。》グッドラックp.550。《年をとって、若い時分の自分のばかな真似を笑ったり後悔したりしながら振り返るのも、いいものよ。あなたにもそうしてほしい。生命を賭けるなどという真似はしないほうがいい。》グッドラックp.559。《リディア・クーリィ。彼女が、特殊戦そのものなのだ。》アンブロークンアローp.270 【グセフ】相性はヒカラチア。特殊戦司令部の(男性にとっての)アイドルでそれをうまく利用する術を身につけている。フォスはそんな彼女のことがちょっと苦手だが、生き方は認めている。仕事の能力は高い。 【凍った眼】空間受動レーダー。ジャムの戦闘機がさまざまな手段で透明化するのに対応した。 【言葉★】この話は「言葉」というものを考える物語でもある。言葉は完璧ではないが人間とってはこれが全てと言えるものではあるだろう。これまでジャムは言葉を認識できていなかったと思われる。《言葉は無意識の思考の一部をスポットライトのように照らし出すことのできる強力なツールだ。》アンブロークンアローp.33。桂城《自分とは何者かと考える言葉なしでは、〈自意識〉すなわち〈自分〉を意識することは不可能だ》アンブロークンアローp.172。《脳なんかなくても言葉さえ存在すればそこに自己が発生する。理屈上、原理的に、そうなる》アンブロークンアローp.173。《ジャムにとって人間とは、われわれが使っている〈言葉〉そのものとして感じられるのではないか、ということです。》アンブロークンアローp.174。桂城《大佐によれば、人間の言語能力というのは人間の無意識野における思考を擬似的に再現しているものだという。なのでジャムは、言語表出された人間の意識を追跡することで人間の思考を捉えることができる、ジャムはそれに全力を傾けただろう、と大佐は想像していた》アンブロークンアローp.460 【コミュニケーション】《コミュニケーションとは、ようするに、自分はなにを考えているのかを知ることにほかならない。相手の考えも自分のものに置き換えられるだろうから、コミュニケーションによって得られるのは、自分自身の無意識の内容、意識していなかった自分の本心というものだろう。》アンブロークンアローp.146。桂城《ジャムが人間とコミュニケーションを取ろうというのは、要するに戦闘行為だ。直接的な戦いの場に人類を誘っているのだと、そう解釈できる。》アンブロークンアローp.188 【権藤大尉】天田守少尉の上官。 【再教育部隊】ジャムに撃墜されたパイロットたちを集めもうそうならないよう再教育を施すための部隊。実際はジャムに取り込まれた可能性の高い人間を一か所に集めようという意図がある。ロンバートが主導する。なぜかバーガディシュやランコムが登録されている。 【サミア大尉】特殊戦十三番機パイロット。ブッカーを後部座席に載せFRX00機操縦中転送された雪風の機動に耐えられず即死。 【死】《生か死か、ではなく、雪風かジャムか、そのどちらをとるか、が自分にとって重要なことだったからだ。》グッドラックp.462 【ジェイムズ・ブッカー少佐】→ブッカー少佐 【シェーナー大将】戦術空軍のトップで総司令官。 【自我】《環境におけるそうした自己の時空的定位を認識する能力というのは、生物に特有なものではなかろうか、自分が今どこにいるのかを捉える感覚器を持っている、というのは。それは認識対象との関係性を能動的に測る能力に繋がるだろう。そうした能力が、いわゆる〈自我〉というものを発生させたのではなかろうか。》アンブロークンアローp.336 【死に様】ブッカー《なぜ生き方ではなく、死に様にこだわるんだ? 死に様はそう思いどおりにはいかんぞ、零。人知を超えた要素が入り込む。しかも、死んでしまってからでは、納得するもないだろう》グッドラックp.163 【ジャミーズ】ロンバートがそう名付けた。共通用語になるかどうかは不明。機械戦闘体に付属する有機物のパーツにようやく関心を抱いたジャムにより作られた人間。基本的には元の人間がおりその光学異性体コピー。すでにFAFや地球に送られていると零やベッカーは考えている。 【ジャム★】異星体。人類にとって異質な存在。その価値観、思考、メンタリティは人類に理解し難い何かのようだ。三十年前「通路」を通り先制攻撃を仕掛けてきた。どういう存在なのかとか侵攻の目的とか何もわかっていない。本気を出してはいないようにも思われる。というより、あえて一進一退を演じているようにも見える。なんとなく、地球側をフェアリイに誘い込み地球の兵器=戦闘用コンピュータを進化させようとしているようにも見える。あるいは人類の非人間化が目的のようにも見える。あるいは人間など見ていないように見える。一にして全、全にして一というような存在に見える。〈神〉のイメージに近いかもしれない? 【ジャムについての記述】《ジャムは人間の本質を消し飛ばしてしまうと。》〈改〉p.303。《ジャムにとっては機械知性体のほうが人間よりもリアルな存在に違いない。》グッドラックp.209。《あれは影で、実体はおれ自身かもしれない。》グッドラックp.364。《ジャムというのは、集団的な存在ではないんだ。》グッドラックp.482。《ジャムとは、ここで戦う人間にとって、自分とは何かを問うための存在、ジャムはまさしくそのために出現したのだ、と思える存在だ。》アンブロークンアローp.146。ロンバート《われわれ人間というのは、それぞれが違う現実を生きている、ということだ。しかし、ジャムには、そういうわれわれ人類の世界が理解できないに違いない。ジャムにとっては、人間には人の数だけ現実がある、ということが本質的に理解できないのだろう。》アンブロークンアローp.182。《これまで一度として、ジャムを異星人だと感じたことはない。ジャムというのは自分たちと姿形は違っていても同じ生物にはちがいないだろう、などと意識したことは、まったくないのだ。》アンブロークンアローp.466 【情報化】《真偽取り混ぜた膨大な情報は物事をあいまいにし、あいまいさは、不信を生じさせる。そう、現代人は信頼ではなく不信を物事の判断基準にしている。情報量が増大するにしたがってその伝達内容の信頼性は低下するという物理法則のまはまに、人間同士の信頼関係も揺らいでいるのだ。》グッドラックp.11。《『少佐、あなたはまるで、ジャムとは神のような存在だ、それが実在するかどうかを考えなくてはいけない、そう言っているようですか?』/『まさに、そういうことになるだろうな』》グッドラックp.543 【シルフィード】FAFの戦闘機。双発。高価で数が少ないが現在量産型を開発中。外観のイメージ的には実在の戦闘機F-15 イーグルに近いのかと。エンジンはフェニックス。 【信頼】《そう、現代人は信頼ではなく不信を物事の判断基準にしている。》グッドラックp.11 【心理トリック】ブッカー《常識だと思っていた世界が見方を変えると反転してしまう、という心理トリックを使ったミステリには傑作が多い。》アンブロークンアローp.108。…個人的な好みもそういうミステリです。ただし叙述トリックを除く。 【スーパーシルフ★】シルフィードのうち特殊戦の十三機は戦術偵察用に改造・運用されており「スーパーシルフ」と呼ばれることもある。必ず戻ってくるという任務のための強力な火器を持つ。電子頭脳を強化された空飛ぶコンピュータというべきものであってフェアリイ基地地下深くに設置されている戦略コンピュータや戦術コンピュータとダイレクトに繋がっておりスーパーコンピュータの端末とも言えそうだ。後部座席に電子戦オペレータが搭乗する。エンジンは最終的にはフェニックス・マークⅪ。 【生】《自分が生きているのがわかるというのは、たいしたことじゃないか。それ以上のどんな、確かなものを望めというんだ?》グッドラックp.458 【選択基準】《その根底にあるわたしの選択基準はこうだ、「敵か」それとも「味方か」。》アンブロークンアローp.11 【戦闘知性体】雪風たち戦闘知性体もジャム同様人類とはまったく異なる存在。どちらも人類のことを気にしていない。戦闘知性体にとって人類は目的を達成するための自分たちのパーツくらいの認識っぽい。ジャムと戦闘知性体は互いに存在を認識できているようだ。 【戦い】《戦いに理屈はいらない、零は思った。他人にはなぜそれがわからないのだろう。》〈改〉p.119 【チュー少尉】ムンク大尉の相棒。 【通路★】異星体ジャムの地球侵略用通路。半径五百メートル。紡錘形をしており最大直径三キロ、高さ十キロ。南極点から千キロ、西経およそ百七十度、ロス氷棚の一点にある。三十年前のジャムの先制攻撃によって人類は初めてその存在を知った。 【テストパイロット】《他人とうまくやっていけない人間はテストパイロットにはなれない。》グッドラックp.169 【電子戦闘要員】特殊戦の機体の後部座席オペレータ。閉鎖的空間で戦闘機の機動に耐えつつ膨大な情報処理をしなければならない。ある意味パイロット以上の激務。 【特殊戦★】特殊戦第五飛行戦隊、あるいは「SAF」、通称「ブーメラン戦隊」。零の所属する部隊。スーパーシルフ全機が配備される。形の上では一部隊だが独立した司令部を持ち軍団レベルの運用がなされる。他の部隊に一~二機ついてゆき戦闘情報を収集する。その任務はたとえ味方機が全滅したとしても戦闘には直接参加せず情報を収集し必ず帰投すること。パイロットには鉄の意志ないしは人間性の欠如が必要で「なにかの手違いで人間になってしまった機械」という人格の者が選ばれている。当然他の部隊のパイロットからは嫌われており「死神」と呼ばれたりもする。特殊戦の戦闘機は十三機、最後の晩餐。一番機「雪風」に零(元は三番機だった)。二番機「カーミラ」はズボルフスキー中尉。三番機「チュンヤン(春燕)」はタン中尉。四番機「ズーク」。六番機「ミンクス」。七番機「ランヴァボン」はブリューイ中尉。十一番機「ガッターレ」はプッツァー少尉。十三番機がサミア→ヤガシラ→無人機「レイフ」。 【ドクターレクター】フォスの私有パソコン。実在するが、ふだんは特殊戦の戦術コンピュータ内に構築されたエミュレータを使っている。 【トマホーク・ジョン】航空電子工学(アビオニクス)の天才。バンシーの異変を零とともに調査することになった。零は会った瞬間彼を戦士として認め握手をした。インディアン。心臓はプルトニウム238の熱で動いているので日本には入国できなかった。《そう、祖父は口ぐせのように言ってた、みんなで一緒に食べよう、一人だけ腹をいっぱいにするやつは仲間じゃないってね。》〈改〉p.182。《零、あなたはいつまでもブーメラン戦士ではいられないだろう。氷のハートはいつか融ける》〈改〉p.192。《ぼくは・・・・・・人間だよな》〈改〉p.196 【ナイト】カール・グノー大佐のチームが開発した小型無人の格闘戦闘機。遠隔操縦する。格闘戦=旋回性能はシルフィードを上回る。「マクロス」の「ゴースト」に近いイメージかと。 【南雲】アドミラル56の艦長。 【人間】《人間に仕掛けられた戦争だからな。すべてを機械に代理させるわけにはいかんだろう》〈改〉p.97。《人間には予備の人生はないんだ》グッドラックp.271。《ヒトは群れて生きる生き物だ。組織という群れが危うくなるというのは、即、個人の生命が危うくなるということであって、それはヒトが誕生したときからそうだったに違いない。》グッドラックp.357。というか群れて生きるようになって初めてヒトが誕生したということかもしれまへんね。 【バーガディシュ少尉】零のフライトオフィサ。後部座席に乗る相棒。頼りになるが地上では素っ気なく生きている死体のようだと零は思うが自分も同じだということも意識はしている。 【パイロット】→特殊戦 【バルーム】特殊戦の軍医。冷蔵薬品庫にビールを常備している。 【バンシー】空中飛行基地。シルフィードの部隊を搭載し原子力と遠心力で飛ぶ。これまで一度も地上に降りたことがないし降りる機能もない。二艦あったがバンシーⅣはジャムにやられ今はバンシーⅢのみ残っている。 【ヒカラチア】プーメラン戦隊の女性オペレータ。 【ピボット大尉】特殊戦の情報分析担当。 【ファーン】単座の格闘戦闘機。 【ファーンⅡ】ファーンを高性能にし無人化を念頭に開発中。 【プーメラン戦隊】→特殊戦 【フェアリイ★】「通路」が繋がっていた先の惑星。ジャムの母星かどうかたか、全天のどこにあるのかなどいっさい不明だが現在の主戦場。ジャムによって戦場として選ばれ地球側がここに呼び込まれたような雰囲気もある。太陽は連星。原生恐竜とかいるらしい。もしかしたらジャムはこういった「戦場」をいくつも持っていて複数の戦争をしているのかもしれない? 【フェアリイ基地】惑星フェアリイにある地球の基地のうち最大で中心。地下大洞窟の底にビルが林立する都市。 【フォス★】エディス・フォス大尉。零のリハビリプログラムの精神面のケアを担当している医師。女性。若く実戦の経験値が低い。元はシステム軍団のテストパイロットたちの精神的ケアを担当していた。《関係ないでは済まされない。あなたの心は、あなた自身のものなのよ。関係ないなどというのは、それを放棄することだわ。そんな希薄な自己では、雪風にも通用しない。》グッドラックp.302。《あなたが、わたしを、必要としている?》グッドラックp.303。零いわく《特殊戦は実戦部隊だ。結果だけがすべてなんだ。》《役に立つ結果を期待している。》《これはテストだ、などというきみの意識は、甘いとしかいいようがない。》《現実から逃げるなよ、エディス》p.305 【深井零】→零 【不可知戦域】桂城《あれは異化次元空間などではなかったのであり、不可知戦域と特殊戦が名づけた空間などといったものはもとより存在せず、それは実は通常空間を違う視点から見せられただけのこと、なのかもしれない。》アンブロークンアローp.187 【複合生命体】フォス大尉の造語。人間と機械戦闘知性が互いに独立しつつも利用し合えるような存在となることか。 【ブッカー★】ジェイムズ・ブッカー。少佐。零の唯一の友人的存在。顔に切り傷があり凄味がある。零よりも日本通で雪風の機体に書かれた「雪風」という文字は少佐の手になる。元はパイロット。プーメラン作りの趣味がある。いろんな雑学を持っている。《ジェイムズ・ブッカー少佐は、一言でいうならば、恐れを知っている男だった。》〈改〉p.57 【ブラッディ・ロード】フェアリイの太陽は連星で一方からもう一方に向けて吹き出すガスが赤く、ブラッディ・ロードど呼ばれている。 【フリップナイト・システム】→ナイト 【プロファクティング】フォス大尉によると、心身負荷強度分析法などから理論的に導き出された行動心理予測手段の一つ。プロファイリングとは異なる。 【ポラック】チャン・ポラック。国際弁護士。《ポラックは地球の幻想で動いている男だよ。》グッドラックp.126 【マース勲章】最高位の勲章。 【マーニー】TAB-14の看護師。 【ミュレル】ガレ・ミュレル。特殊戦の食堂のシェフ。コック長。 【ムンク大尉】シルフィードのパイロット。 【メイヴ★】FRX00。FRX99の次世代試作機。有人にし、人間の戦闘勘を生かすコンセプト。エンジンはスーパーフェニックス・マークⅪ。機体カラーは黒。形状はジャムの戦闘機に似ている。後につけられた愛称は「メイヴ」、風の妖精を統べる女神。 【メイル中尉】ギャビン・メイル。505攻撃部隊の隊長。ヤガシラの元上司。扱いにくかったヤガシラを特殊戦が引き抜いてくれてせいせいしている。《なぜ自分がここにいなければならないのだ?》グッドラックp.93 【ヤガシラ少尉】矢頭。十三番機のパイロットとしてサミア大尉の後任。元505攻撃部隊の優秀なパイロットだったが自分一人で戦っているようなところがありチームプレイができなかった。零のことを気にしている。ということは人間性が残っているわけで特殊戦には向かないかもしれない。 【ヤザワ少佐】TAB-14所属。 【雪風★】零の愛機のパーソナルネーム。特殊戦三番機。スーパーシルフ。最後の方では地球の空も飛べるエンジン、フェニックスマークⅪを搭載。次第に人間を必要としない兵器に近づいていく。《片想いだ。雪風はもはや独立した意識体になりつつある。いつかふられるぞ》〈改〉p.272。《おれが言いたいのは、零、いつの日か、雪風がおまえの、人間の、敵になるかもしれないということだ》〈改〉p.273 【ライトゥーム中将】ギブリール・ライトゥーム。FAFフェアリイ基地戦術戦闘航空軍団司令。形式上のボス。女に手が早い。上層部の人間らしくプライドは高い。《これまでも特殊戦のわがままは精いっぱい実現させてきた。わたしの才覚でだ。それを忘れるな、クーリィ准将。》グッドラックp.425 【ランコム少尉】ジョナサン・ランコム。TAB-15所属。雪風に殺された。ジャムだったと思われる。 【ランダー】アンディ・ランダー。アメリカのフリーコラムニスト、軍事評論家、ロビイスト、兼作家。偏向的な文章を書く。「宇宙大作戦」のカーク船長っぽいかも。 【理性】野生動物は理性的な存在。摂理にかなった行動、プログラムに従った行動を取るという意味で。生と死の狭間では理性的でないと生存の可能性を上げられない。ブーメラン戦隊のパイロットたちもまた理性的。で、理性的なことは一般人類にとっては非人間的。だから疎ましがられる。まあ、ブーメラン戦隊の連中はそれすら理性的にスルーするようだが。 【リン・ジャクスン★】対ジャム戦史を著した。『ジ・インベーダー』というのがそれかもしれない。かなり皮肉な見方をしているようだ。《異星体ジャムも結局のところ、一隣国の仲間にすぎなかったのだといえる。》〈改〉p.138 【リンネベルグ少将★】FAF上層部の一人。情報軍のトップか。ロンバートの行動を黙認している、というか推し進めているフシがある。ジャムとの戦い、ロンバートとの駆け引きそのものを一種のゲームとして楽しんでいるフシもある。 【零★】主人公。深井零。ブーメラン戦隊所属で三番機雪風のパイロット。少尉→中尉→大尉。《地球は苦い思い出を溜めた大きな水球でしかない》〈改〉p.36。《おれは性能の悪いやつは嫌いだ。人間も機械もだ。》〈改〉p.38。《雪風を狙うものはすべて敵だ。おれは雪風以外は信じない。》〈改〉p.171。ジェイムズ・ブッカー少佐が戦争と人間性についてや、戦争が人間のものであるかどうかを考えるが、零は自分が人間的であるのか非人間的であるのかよりも雪風にとって自分が必要なパーツ(できれば対等なパートナー)であるかどうかを重視しているように見える。 【レイフ】特殊戦十三番機として補充された無人機の愛称。「知恵の狼」という意味らしい。機体はFRX99。 【歴史】ロンバート《人間は、歴史から学ぶなどということは絶対にしない。それは当然なのだ、どのような歴史的教訓も一個人にとっては実体験するまでには虚構だからだ。人間は実体験からしか学習できない。生物とはもともとそういうものだ。》アンブロークンアローp.23 【ローラン大佐】フェアリイ基地広報部。 【ロンバート大佐★】アンセル・ロンバート。FAF情報軍の事実上のトップ。女に手が早いがライトゥーム中将よりは洗練されている。《わたしの望みは、ささやかな平安だよ。ま、それは老後の話だがね》グッドラックp.582。《わたしの目的は、ジャムを支配することだ》グッドラックp.583 【AICS】エアインテーク制御システム。自動的なシステムで戦闘機にとっては不随意で機体のコンピュータが感知できない部分だった。 【BAX-4】開発中のパワードアーマー。 【FAF★】フェアリイ空軍。地球防衛機構の主戦力。フェアリイ側「通路」を中心にほぼ同円周上に基地を配置している。構成人員は地球で犯罪者とされた者が多い。 【FRX00】→メイヴ 【FRX99】スーパーシルフを元にした小型軽量機だがコンピュータの容量はスーパーシルフに匹敵する。最終的には無人化を予定しているが当面は特殊戦のパイロットが教育役として搭乗する。 【PACコード】パーソナリティ分類用コード。世界標準でありFAF独自ではない。零の配属もこのコードによって決められた。全国民が幼少時より分類されている国もあれば犯罪者のみが分類されている国もある。より拡張されたPAXコードというものがあり「MAcProⅡ」などのツールでのプロファクティングにはそれを使う。 【SAF】→特殊戦 【TAB-14】壊滅したはずの基地。
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いま集合的無意識を、
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