小説・文芸の高評価レビュー
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ネタバレtoi booksで購入。
ものすごかった。SFチックな世界を描きながら、怖いくらいに今の社会の雰囲気がありありと描かれていて恐ろしい。それは言わない約束、気づいてないふりしてやり過ごすことになっていることを全部剥ぎ取って、顔を両手で掴まれ「こうですよね。私たちの住む世界ってこうなっていますよね」と無理矢理に直視させられる感覚の読書だった。
この社会はそれぞれの存在に対して、一定の果たすべき役割や振る舞い、感じ方を受け入れさせようとする圧力に溢れている。そこから外れてしまったら、はぶられてしまったらサバイブできない、と感じる生きづらさ。
中心的には女性の生きづらさ、息苦しさ、が描かれてい -
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ネタバレ中学時代に大好きだった本を約10年ぶりに。
1年ほど前、私の好きな本として付き合う前の彼氏に紹介したらすぐに読んで感想文を送ってくれた。今回は反対に私が再読をすすめられて手に取った。
中山七里さんの本はこの「さよならドビュッシー」をきっかけにほとんど読むほど大好きだったが、やはり何度読んでも面白い。
ミステリー×音楽×青春劇という要素は、クラシックになじみのある私的には最高の組み合わせだった!
>印象的な点
岬洋介はピアノ演奏をハードとソフトの両面から構成されると構造的に教えているのが面白かった。ソフト面では、演奏者が作曲者・作曲背景・時代をどれだけ理解しているかという“解釈力”が大切にな -
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テスカトリポカから作者を知り、本作を読んでいます。
京都暴動というクライムサスペンスの皮を被った、進化と自己鏡像認識がテーマのゴリゴリのSF作品です。
SFにサスペンス要素がひとつまみ入ってる感じでしょうか。QJKJQでもそうでしたけど、単純なサスペンス、グロテスクで終わらないのが作者の凄さですね。
話が動き始めるまでに時間がかかります。
テーマ自体が壮大なため、物語の中に前提知識を入れ、かつ、説明くさくならないようにするためにはどうしてもこのページ数がいるのでしょう。
物語は中盤から加速し始めて、疾走感のあるシーンも相まって、400ページくらいから一気に読み進められました。
少しとっつ -
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高校生の頃に夢中になって読んだ本を再読。
当時は海外に行ったことがなく、西ドイツからルーマニアにかけての情景は全て想像の中でしかなかった。
大人になって実際にドイツ・ハンガリーなどの東欧諸国を訪れたことで、ドナウ川の流れやヨーロッパの果てしない平野、駅に降り立った時の寂寞感が私の中で現実のものとなった。
母・絹子とその愛人の長瀬、娘の麻沙子とドイツ人の恋人シギィ。
四人の複雑な関係のまま進んでいく旅路は、一編の叙情詩のように感じられる。
高校生の頃に憧れた麻沙子に近づけているかはわからないが、それでもこの作品が私の人生に影響を与えたことは間違いない。 -
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とてもえぐられた。自分の生き方を見つけた瞬間にへし折られ諦めなければいけない社会、現実だなぁー…
そして自分自身に対しても悲しくなった。つい、じゃぁ何が正しいのかと正解を求めてしまう自分。私は理解者だよと安心させようと両手を広げている自分。正しいルートに乗ろうと必死な自分。。でもそれは社会の一員として働く側としては必要だし求められる。でもそれは誰かにとっては目障りな事もある。難しい…!!
色んな考えや悩みや環境や経験に基づく個人個人のマイノリティがあるのは当たり前で、みんな声を大にして言ってないだけで誰しもがそうなんだなって逆に安心することもできる、厳しいけど優しい、そんな作品でした。
私 -
Posted by ブクログ
共感したり、反発したり、たくさんの思いが溢れてくる良書だった。
真実が石巻に行ってからのパートは特に好きで、これまで母親に依存され、依存していた真実が、ようやく自分を取り戻せていく過程をみて、本当によかったと思えた。
"架に会おう。前に進めなくて、これで終わりになっても。終わらなければ、真実はたぶん、その次のことさえ、見えてこない。終わってもいい、と初めて思えた。"
ここに、一人の人間が成長する姿を見た。まるで、パリパリと音を立てて殻を破るように。
終わりを迎え、受け入れることで、人はそれを過去として昇華し、未来へと進める。
この後架とうまくいこうとも別れようとも、 -
Posted by ブクログ
本好きな池澤父娘の仲の良さが伝わってきて、楽しげで微笑ましい。
児童文学から始まり、SFやミステリへと話が広がって行って、私の好みのジャンルであったこともあり、これは読んだことがある、それはまだ読んでいないという感じで二人の話に入り込み易かったのも良かった。
翻訳本にはあまり食指が動かない私だが、「翻訳物は確実に面白い。訳者が翻訳して日本で出版する時点で、すでに高いハードルをクリアしているわけで、よほどでない限り外れはない」という発言を読み、読んでみようかなと心動かされる。
子どもの頃の私の愛読書だった坪田譲二が「今ひとつ切れ味が悪い」と評価が低かったのには苦笑した。
「人間そのものに