小説・文芸の高評価レビュー
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消防士の物語。現場で消火・救助を行う消防士のことも、現場には立たないが影で支える指令室のことも知ることができた。
絶対読むべきだ、と思ったけれど大当たりだった!
5年前に豪雨による水害に見舞われた町のベテランの消防士・秋月が新しく配置されたのは、119の電話をとる指令室の仕事だ。近年話題になっている、迷惑な119通報のことだけでなく、指令室がどのようなことをしているかもわかる。小説ならではの読書経験ができた。
秋月は水害のときも最前線で救助活動をしていたが、水がトラウマになっている。そのトラウマや過去とどう向き合っていくか、そんなお話だった。
つらい水害の記憶がいまだに町に残っている中で、生 -
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ネタバレ星4.7
むかし、フジテレビでやっていたホラーオムニバスドラマ「トリハダ」
これが大好きで、毎回録画して観ていて、そこから派生した「ドクロゲキ」というオムニバスドラマがあって、それを思い出した。
個人的に、読後感がその感じ。
派手な事件や事故やトリックは無いし、凶悪な悪者が登場するわけではない。
ただ、悪意は存在するし、人は死ぬ。
その悪意もそうだし、そこに追い詰められる心理も、ごく身近に起こりうる範囲の話だということが素晴らしくイヤな気持ちにさせてくれる。
かつて「M-1グランプリ」で、かまいたちのお二人が披露した傑作漫才「ポイントカード」
この審査で松本人志さんが言っていた「寄り添っ -
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新聞広告で本書を知りました。
はじめての著者さんでしたが、数頁で心を鷲掴みされてしまった。。
昭和初期、主人公である5歳の少年が隣人の老人を師のように慕い、大自然と師匠から多くのものを受け止め、成長していく物語です。
とにかく四季の自然の美しさの描写が圧倒的にうまいんです。私自身アウトドア好きなので、夏の匂いや雪山の静けさ等を経験として感じていることもあり、そのリアルさとうっとりする表現力にくらくらしました。
しかも、それを幼い男の子の純粋で瑞々しい目線で描かれているのだから震えるでしょ。新しい表現と出会ったことで、私自身の自然賛歌の気持ちもより強くなりました。言葉を知ると感動が深まる。。 -
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ネタバレ自分の視野の狭さを、想像力の低さを責められているような気分になる。正欲というタイトルの意味がわかったとき、その窮屈さに嫌気がした。正しい欲。社会にとってマジョリティにとって普通で正しい欲。
なぜこの本を読もうと思ったのかを思い出していた。帯にあった「読む前の自分には戻れない」というキャッチコピーだ。確かに自分はもう「多様性」という言葉を気軽に使えなくなってしまった。「多様性」という言葉の持つ正しさに気づいてしまった。
「多様性」とは、どこかの誰かが定めた正しさにみんな従えって上からもの言ってるのと同じなんだと思う。
みんな孤独で不安だから確かめ合いたい。分かってもらおうと話しかけて分かってもら -
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2025.12.09
本書の慧眼はトヨタの苦境のみならず、ニデックの未来を予見していることにある。
超ワンマンであるニデックの会計不正が2025.12.09現在解決していない。それがなぜかがよくわかる。オーナー企業への投資の難しさがよくわかる。日本社会の組織に生きる人々には必読の書だとつくづくおもう。でもトヨタとかニデックとかいう企業名は読み手のワタシが勝手に思いこんだことであることを申し添えます。(笑)
でも車検不正の件は事実です。トヨタ強い愛知県民はトヨタ関係者ばかりなので、これを否定することはムリがある。55車検なんて現場ムシの最たる象徴。安売りの整備工場がやるならともかくディーラーに車