あらすじ
男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子(カジマナ)。若くも美しくもない彼女がなぜ――。週刊誌記者の町田里佳は親友の伶子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井は、里佳にあることを命じる。その日以来、欲望に忠実な梶井の言動に触れるたび、里佳の内面も外見も変貌し、伶子や恋人の誠らの運命をも変えてゆく。各紙誌絶賛の社会派長編。(解説・山本一力)
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Posted by ブクログ
かの有名な木嶋香苗がモデルの小説。登場人物である「梶井真奈子」は、木嶋香苗のアナグラムを少し変えただけなのかな。
主人公の町田里佳が梶井真奈子と出会うことで、食に目覚め、体型も考え方も、恋人や友人との付き合い方まで変わっていくのだが、栄養を取って自分の血肉とし不要分は排泄するように、町田里佳は梶井真奈子にひどく傷つけられながらも、梶井を通して知った食に対する姿勢や自分の来し方行く末を見つめ直し、古い自分を捨て去り、新しい自分とライフスタイルを獲得する。
・・・軸になっているのは、解説で山本一力氏が書いているように「女性同士の友情と信頼」。読みながら自分のことをすごく考えさせられる小説です。
殺人・ルッキズム・女性への偏見・機能不全家族…。いくつもの食材が複雑な味を醸し出すように、様々なテーマが綴られています。読み応えあり。
タイトルにもなっている「BUTTER」。とにかくバターを使った美味しそうな料理がたくさん出てきます。食と匂いの描写が恐ろしく細かい。
Posted by ブクログ
男女平等が叫ばれて久しい社会において、女性はこうあるべきという論がどんどん少なくなる中、女性は男性に尽くすべきという主張をする殺人容疑者の梶井。女性の権利を訴える人もまた、そうしている自分という存在にいつしかがんじがらめにされ、そこに周囲の反応も加わって自由に生きられなくなってしまう社会というものを、巧みに描いている気がした。男性としてそこまで生きづらさは感じていないことはあるものの、この作品が世界中で読まれているという事実は興味深い。
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美味しそうな料理がたくさん出てきて、その描写が楽しい。エシレのバターをたっぷり塗ったパンを食べたくなったけれど、読み終わった今はちょっとくどくなってしまった。
女性が社会から求められているもの、それを受け入れて生きている自分に気づき、刺さるものが多かった。
Posted by ブクログ
自分のケアをすることが難しい(と思い込んでる)わたしには刺さりまくった本だった。
自分の欲求に素直になることで周りの人生を狂わせてしまっては元も子もないが、自分を大事にしないことが周りへ怒りをぶつけてることになってしまうなら決して褒められたことじゃない。
それにしても、カジマナ…呑み込まれてしまう魅力が恐ろしい。
Posted by ブクログ
美味しそうな食べ物が出てくる物語が好きなので、読んでいてとても楽しかった。
と同時に、登場人物それぞれに人生があって、それが少しづついろいろな出来事によって変化していく様も、興味深く面白かった。
ただ、途中の怜子の行動が突飛すぎて疑問符がつく場面があったが、あれは必要だったのかな?
人に欺かれ、傷つけられたりするけれど、それでもやはり人によって救われるのだと、そう思える作品でした。
Posted by ブクログ
思っていた以上に話しが展開していき、読後の
満腹感が尋常じゃない。よくぞこれほどまでに書きあげたな、とポジティブな意味で呆れた
あまりにも面白すぎて視野狭窄のようになり、
だいぶ梶井真奈子とその食歴に魅入られていた
あやうく次の犠牲者になっていたかも
Posted by ブクログ
しがらみに囚われずに生きれたらいいけれど、それが難しい。見えない核心をつかれる物語だった。
【感想】
登場する誰にも共感できる。生々し過ぎて痛々しくかんじる。
梶井は男を愛しているようで、自分を愛したかったんだと思った。料理や家事は男に愛を伝える手段で別に好きなことじゃない。
梶井はそういうものが女からの愛、女の価値だと、未だ残る昭和の価値観に縛られているんだと感じた。それは母親の教育影響もあるんだろうけど、目立たない田舎の女の子が、そこそこ見てもらえるようになるための、手っ取り早い方法だったのかな?と思った。
どうしても食べてみたくて、エシレバター探したけど無かったので、カルピスのバターで、バターご飯たべた。背徳感でとても美味しかった。普段なら絶対食べないけど、読者の私も梶井に影響されて無事に翌日胃もたれした。
雑誌記者の里佳は、連続殺人の被疑者であるカジマナの独占取材権を得るべく、かぐや姫のような彼女からのオーダーに応えようと奔走します。里佳の親友である伶子もまた彼女の悪意に翻弄されます。
実際にある有名な事件をモチーフとしているように感じました。主題は社会から求められる正しさや、女性らしさや家庭観などに疑問を投げかけることと、様々な形の友情なのかと思いました。
生々しい料理の描写が特徴的で、作中に登場するたらこパスタをつい作ってしまいました。フランス映画のようだと感じる瞬間がありました。
私がこの本の存在を知ったのは滞在先のイギリスでした。昨年のクリスマスの頃、突如店頭に山積みになり文字通りのベストセラーとなっていた光景をよく覚えています。以来ずっと気になっていました。読み始めて、最初に刺さったのがバター醤油ご飯の描写です。バターとご飯、それをこれほどまでに美味しく描いた本がかつてあったでしょうか。そこから続く、まさに垂涎ものの食べ物の数々。一方で、その後ろで肥えていく主人公里佳の、揺らぐ女性としての価値観。彼女がインタビューした受刑者梶井真奈子と関わる間に得たもの、失ったもの。混然と混じり合うこれらの中から里佳が最後にどう答えを出して、自らの人生の道を決めることにするのか、最後まで息を詰めて読み進めました。この本が海外で高く評価を得たこと、そこに普遍的な他者から向けられる視線や、生きづらさ、孤独、そういったものを見たように思います。女性だけでなく、男性もまた共感できることが多いのではないかと私は感じました。
被告人の生き様について
前半は「あぁバター美味しそう、、、」くらいの感想しか浮かんでこなかったが、読んでいくうちに女性の世の中での立ち位置、被告人梶井の胸の内、次々と明かされていく周囲の人との関係やその人たちの考え方見方など書き連ねられていて引き込まれた。被害者たちは梶井に直接手を下されたのか、急に構ってもらえなくなって自分でそうしたのか。女性だろうが男性だろうが自分の好きにし、好きなものを食べて思うように生きていけたらいいと思う。
すごい
相変わらず柚木さんの作品は読んでて、丁寧な描写のため安易に想像できる素晴らしい料理達!なんじゃこれめっちゃ美味しそう!と刺激された食欲が、人間らしいというか、あー、、、、って感じの女のドロドロした闇や裏切りを見せられて、ズーーーンと凹んでって、やっぱ元気なときにしよう、、、、っていう、、、なんとも言えない後味を残してくれます
自分がどっちかって言うと、リカ達のキラキラ系頑張る女子ではなく、カジマナのような外見なので、なるほど納得な部分多い
美味しいもの食べて、太って何が悪いって感じ
食べたいもの我慢して、痩せるのが本当にいいのか?
、、、って思っても、やっぱ骨の髄まで「痩せてるほうが美しい」となってる世間はとても怖い
いやー、、、大変面白かった!
Posted by ブクログ
でもきっと
何キロ痩せても多分合格点は出ないのだろう
とうに気づいてる
どんなに美しくなっても仕事で地位を
手に入れても仮にこれから結婚し子供を産み育てても
この社会は女性にそうたやすく
合格点を与えたりはしない
Posted by ブクログ
カロリーの高い小説。
キリのいいところで寝ようと思っていたのに
突如ぶっ飛んだ怜子の行動でそのまま読み進めた。
海外でも多く出版されているみたいだけど
奇妙な日本の固定観念みたいな部分で
読まれているんだろうか。
リカが父親とのことを、
自分のせいとは限らないと
切り離していくさまはよかった。
あのときああしていればと思うことは
たしかにあるけど、
どれもこれも結局そうしていた未来は
いまここにないのだから
切り離していくことも大事なんだよな
特に残された側は。
礼子失踪のくだり、犬がいなくなったことで
実家から亮ちゃんに連絡行ってもいいものだが
その辺の記載なかったのはあれ?って思ったな。
自己認識と他者認識にずれがあるのは
大いにあることだし無意識な記憶の改ざんも
日々起きているんだろうなあ。
過去を掘り起こしていく作業ってむずかしいね。
それにしても小説に出てくる住宅価格、
時代を反映していておもしろい。
Posted by ブクログ
いくつか食に関する小説を読んだりしてきたが、こんなに読んでいてお腹が空く小説は初めてだった。
女として生きる自分が日頃当たり前に感じている不平等さとか何気ない不満が繊細に描かれていて、自分についても見つめ直すいいきっかけになる小説だった。
Posted by ブクログ
カジマナのペースに乗せられて盲信していく主人公が、段々自分のことを考えるようになって、人を支えようと成長していく姿を見たような気がします。
感想が難しいですが、面白かったです。
Posted by ブクログ
週刊誌記者の町田里佳が、連続不審死事件の容疑者梶井真奈子(カジマナ)を取材するうちに、いつの間にか自分自身の内面を深く探索してしまう物語。
カジマナを巡る冒険。
決してたどり着くことのない蜃気楼のように、正体を掴んだと思ったら、また別の影が見え始めるカジマナの人物造形が不気味。
主要な登場人物は皆女性で、女性が抱くミソジニーの根深さがこれまた深刻。
女性や家族に見捨てられ、当てつけのように自滅してみせる男性達の幼さが際立つ。(全く非論理的だし、当てつけにもなってないけど、こういう行動って名前があるんだっけ?)
カジマナの行動を模倣した里佳や伶子は自滅します。社会規範の枠内からではカジマナの域に達することは出来ないということでしょう。安心と同時に物足りなさも感じました。規範を逸脱した上で、枠内に戻ってきて欲しかった、出来ればカジマナも連れ帰って欲しかったけれど、そう簡単にはいかないようです。
面白かったです。
Posted by ブクログ
読む手が止まらない面白さ。構成の見事さ。
この後どうなるの?と続きが気になって仕方ない。特に中盤からの引き込みが見事。
割と近年では分量が多いにも関わらず、最後まで殆ど息継ぎなく一気に駆け抜けるように読ませられる。
作品は連続殺人の容疑で収容されている女性の記事を書くために彼女と接触を図ろうとする女性記者の話だ。
主人公の気持ちになって読んでしまう人は、振り回され続けて穏やかな気持ちになかなかなれないだろう。
古典的女性観や夫婦の在り方が抉るように取り上げられ、今注目される振り回されない生き方、自分らしく生きることを考えさせる話だと思う。
最後が少し尻すぼみ感を感じたので星1つ下げたものの、4.5ぐらい。もっと駆け抜けて見せてほしかった。
Posted by ブクログ
若くも美しくもない彼女がなぜ男たちを騙し、財産を奪い、殺害容疑で逮捕されたのか、、、
週刊誌記者の里香が面会を通してカジマナに触れていく。
カジマナにのめり込んで変わっていく里香を興味深く見ることができた。
世間の評価に惑わされず、欲求に忠実に生きてみたいと感じた。
美味しい食事が食べたくなる。バター醤油ご飯が食べたくなる。
Posted by ブクログ
れいこがりかが別れて今後は恋人はできないかもしれないと言った時に伝えた、
どうして待ってばかりなのか。自分から好きになることはないのか。という問いとともに伝えた言葉がとても印象的だった。
以下本文より、
ー
りかみたいな人に心から好かれたら、その人は幸せだし、恋愛に発展するとか関係なく素直に嬉しいと思うよ
第一、りかが好意を持つ人はあなたを邪険にしたり利用したりしないと思う。
私が保証する。
ー
現代人は関係性に白黒をつけることや、明確な意味を持つことに執着しすぎているのではないかと思った。
人間関係なんて、ただ好意を持ち、それを伝えることでポジティブに繋がることができるもので
それが必ずしも恋愛や友情でなくて良いのだと感じた。
この言葉には純粋に人を信じて、好きになって、好意を伝えるという行動はもっと難しく考えすぎずやるべきなんだという気付きをもらった。
梶井の人並外れた人間関係についても、同じことが言えるのではないかと思った。
人間関係の曖昧さ、そこから逆に言葉以上の強度をもったなにかを感じた。とてもおもしろかった。
Posted by ブクログ
とても読み応えのある一冊でした。
特に以下の文章に特に共感し、印象に残りました。
どんな女だって自分を許していいし、大切にされることを要求して構わないはずなのに、たったそれだけのことが、本当に難しい世の中だ。取材を通して知り合う、成功者と呼ばれる女性ほど、それが顕著に表れている。皆、何かに強く怯え、ストイックに我慢し、異常なほど謙虚で、必死に自分を守ろうとしている。里佳自身、いかに他人から褒められようと、仕事で評価されようと、自分にあらゆる面で満足点を与えられないでいる。
少しも可哀想と思えない。(中略)彼が一人の食生活を自力で改善しようと思わない点がひどく引っかかるのだ。
(中略)すべてを投げ出した自堕落さが……なによりも自分を捨てた妻や、新しい生活を送る息子に対する呪いのように感じられる。こんなに惨めな自分の姿をよく目に焼き付けておけ、お前達のせいだからな――。口に出して救いを求めることはなく、誰かが手を差し出すまで騒ぎに騒ぐ。てこでも暮らしを変えない頑なさ。家族が大切だと言いながらも、妻子が自分を見殺しにしたという見方を世間にされることはまったく厭わない。気持ちを切り替え自分の力で人生を立て直すくらいなら、もう彼は命をなげうっても構わないのだと思う。
匿名
バター
一見、男性にだらしなく危ない感じかと思われたカジマナだかそんな彼女と話すたびに魅了され変わっていく里佳。カジマナの男女や食への考え方は変わっているというかどこか達観していてなんだかはっとさせれる。カロリーを気にして絶対できないけどバターを思い切り食べたくなる。
Posted by ブクログ
オーディブルで聴いた。
バター醤油ご飯は一度も食べたことがなかったので、梶井が言うように、炊きたてのご飯と冷えたバターで食べてみたけど、やっぱり予想通り、私は卵かけご飯のほうが好きだなと思ってしまった。
バター自体は好きだけど、ご飯よりパンで食べたいなーと。
太ってることが努力していないと見られる、みたいなことが書いてあって衝撃だった。(私は太っているので)
里佳は元々不健康レベルに細くて、梶井の取材でバター料理を食べまくって58キロくらい?になって、高身長だし全然太くないはずなのに、周りから体型やら外見のことを言われるし、彼氏からも色々言われてて、びっくりだった。そんな彼氏マジでやめな、と思ってたら別れて良かった。笑
梶井の、「好きな時に好きなものを好きなだけ食べるの」みたいなセリフはちょっと好きかも。そんなふうに罪悪感なく堂々と好きなものを好きな時に好きなだけ食べたい。実際食べてるけど、あー太るな〜とか思っちゃうな。
Posted by ブクログ
途中から段々読みやすくなって行った。
主人公がカジマナに考えを変えられていくが、
最終的には自分のものにしていく。
レシピと一緒で自分のものになったら
その考えを他の必要としてる人へ授けていく。
そんな流れを表している小説としては好きだが、
少しミステリーな要素もあったため、
終わり方がパッとしないのが気になった。
Posted by ブクログ
色々な登場人物の行き方 つまづいても 前にすすめる
人間のたくましさ
みんながみんな 上手に生きていくんじゃなく
その人なりの行き方 立ち上がり方が 共感
Posted by ブクログ
実際に起きた木嶋佳苗事件をもとに書かれた作品。
暗黙の了解で女に求められてる母性や、与え続けられることを当たり前になった男を見て、うんざりする気持ちなど、共感してしまう部分も多くあった。
主人公が目を逸らしてきた父親の問題なども、梶井(木嶋佳苗がモデル)の事件と程度は違えど似た部分があると感じた。
誰でも梶井なりえると感じた
Posted by ブクログ
面白かった
カジマナのすごさ。
周りの人に流されないように生きていくのって
簡単なようで難しいのかもしれない。
自分に軸をもって生きる。
そして、他人には他人の人生がある。
それにたいしてとやかく言う権利は
誰にもないのかもしれない
audibleで視聴
Posted by ブクログ
1ページ、1文の中で主人公の感情や思考がどんどん変わっていくので、すごくむずかしかった。
でもそうやってトライアンドエラーをしながら歩みを止めない主人公が逞しく感じた。
Posted by ブクログ
場面描写がとにかくリアルで口の中まで想像することができる。リアリティがあり、かつ各場面を細かく描写しているため目が滑らず、読むのに時間がかかってしまった、、。
Posted by ブクログ
女としてのあり方、料理、おいしいものを食べること、自分らしい生き方など、読みながら共感もあり心をえぐられることもあり、長かったが読みごたえのある作品だった。かじいまなこの奔放で自由な考え方と生き方、その一方で抱える孤独と世間の批判。どこに自分が怒りを覚えるかで、自分がいかにそこを欲してるかがわかるような気がした。人からの評価を気にして好きなように振る舞えなかったり、欲望を恥ずかしいものと押し込めたりすることってたくさんある。我慢したから偉いねって褒めてくれる人なんていないのに。早く自分で自分を認めてあげるようにならないと、見栄っ張りで高慢なおばはんになっちまうぞー!
とりあえず、エシレバターを今すぐに買いたい。
Posted by ブクログ
かなりエネルギーを使う小説だった。
『自分にとっての「適量」を知ること』が主題だと感じた。適量、の捉え方も2通りあることを読み終えて本を咀嚼している中で腑に落ちた。
一つは、世間一般的な基準ではなく己の基準での足るを知ること。太い細い、美しい醜い、という世間の評価ではなく、自分にとって心地よい指標を信じることは勇気がいるものだと思う。
二つ目は、完璧すぎないこと。カジマナは一つ目の適量については生き方で体現していたと思う。世間の基準ではなく自分の指標で食の嗜好や人間関係を選択している点に孤としての強さを感じていた。一方で、本物主義の料理にこだわった、七面鳥を友人と囲みたかった、というエピソードからも、自分の理想にかなりストイックだったのだと思う。ある程度適当、遊びがあるからこそ、他者や想定外の事態を受容する隙間を持つことができる。
わたしも適量を知って、しなやかに生きていきたい。
Posted by ブクログ
書店で見かけて気にはなっていたものの、あらすじを知らずに聴き始めたので内容に驚いた。実在する有名な犯罪者をモデルにしてるやん!
てっきり不穏なミステリーと思いこんでたので、ちょっと想像と違うかな?と感じながらも引き込まれた。面会室での心理戦や価値観を塗り替えられていく里佳、急に危うくなる伶子の状況など、ドキドキさせられる描写が続いて止まらなかった。
欲望を掻き立てる食事の描写にヨダレも止まらなかった...。エシレのバター食べたい。ウエストのバタークリームケーキを即検索した(売り切れだった)。城みたいなレストランも検索したけど、そこまで高価な食事はする気にならなかった。
元来胃腸が弱く、時間内に残さず給食を食べなくてはいけない小学校教育のせいで食事の時間を憎んで育ったため、けっこう里佳に感情移入しながら徐々にバターの描写に興味を持っていった。
昭和的な(もしかしたら平成も?)男女観というか、「女はかくあるべし」という世間の目にNOを突きつける強烈な作品に、ここ数年よく出会う。
男が女にケアされたがり、自分では何もできないという不思議さは昔から思っていたので首がもげそうなくらい頷きながら聴いていた。
逆にそういう昔世代の男性は「自分で自分のケアなんかするな」という社会圧があったんじゃないかとも思う。それはそれで可哀想。
夫のごはんを作らないといけないという呪縛と同様、ごはんを作ってくれる女がいないなんて可哀想という呪縛も無くなっていけばいいと思うが、後者のほうが難しそう。「可哀想じゃないよな!」と男同士で励まし合う道も呪縛により閉ざされている気がするから。
篠井さんの結末がなんだか救いだった。
キャラクターとしては伶子が一番好き。理想的な有能かつ美しい奥さんとして登場するがめちゃくちゃ危うい。カスタードちゃんとしておっさんの家に居候するくだりは心底肝が冷えた。その結果辿り着く、「誰と暮らしてても自分がやってることは同じじゃないか」という考えも。
男を満たす、もしくは家を保つということはタスクでしかない。仕事と同じ。そこにフォーカスしすぎるとこんなにも無味乾燥になってしまうのか...。
こんなショッキングな展開が続くのに、亮介さんも里佳の彼氏も存在が引き伸ばされて霞んでしまうのが面白く皮肉だった。
Posted by ブクログ
丁寧に心情が書かれていて、続きが気になり終点目指して読み進めた。記者という仕事はこんなにも対象者に陶酔しなければならないのか?と疑問に思いながら、理解はできないけど、こんか記者もいるのかなぁと読み進めた。親友の行動も日々の生活に不満が募り人間関係に追い込まれているにせよ、ここまでする?と疑問に思ったが、やはり続きが気になり読み進めた。
最後、もしかして、記者もこの世から…。と思って、ドキドキしたし、もしそんな終点だったら、衝撃的で忘れられないなぁと想像した。信者を操る人の怖さを知るというか。もう、バターを見るたびに思い出すかもと。。。
しかし、最後は異なる終点に行き、それはそれで良かったが、実生活で自分の食事にバターを使いたい欲望が沸いており、それに負けている自分にも驚いている。体重が1.5キロ増えたことにも。。。