【感想・ネタバレ】BUTTER(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子(カジマナ)。若くも美しくもない彼女がなぜ――。週刊誌記者の町田里佳は親友の伶子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井は、里佳にあることを命じる。その日以来、欲望に忠実な梶井の言動に触れるたび、里佳の内面も外見も変貌し、伶子や恋人の誠らの運命をも変えてゆく。各紙誌絶賛の社会派長編。(解説・山本一力)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

展開が気になり、一気に読み進めてしまった。終わりに近づくにつれて終わってほしくないと思った本は久しぶりだった。

里佳がカジマナのペースに飲み込まれ自分の生活や体型が変化していく様子、玲子が横田の家で過ごす時間、里佳がカジマナの罠にかかり底に落ちていく様子どの場面を切り取っても、あまりに濃厚で胸焼けがする。

しかし恐怖で震えていたと思えば、里佳の周りに確かにある人との交流や温かさに心がじんわり溶けていく。里佳は梶井真奈子と出会わなければ、食べる喜びもカジマナにはいない友達の大切さにも気づけなかっただろう。カジマナと出会ったから、彼女を追い続けて考え続けたから最後に自らの居場所を作りみんなで七面鳥を囲めたのではないだろうか。


里佳は不格好な生き様でも明日も明後日も現状よりはマシな気がすると、そんな自分が図々しいと笑っていた。そこにはもう、自分を雑に扱う主人公はいなかった。自分を雑に扱えば、傷つく人がいることを知っているから。

この世の中は、女性の容姿に厳しい。
だけど、Butterはそんな容姿だけではない人との交流や相手を尊重する気持ち、自分の内面を見つめること、現状に満足出来なくても葛藤しながら、何とか折り合いをつけながら毎日をやりくりする人の営みが見てくれよりも大切で温かいものなのだと教えてくれた気がした。カジマナが出来なかった本当の自分と対峙することで見える景色があるのだと感じる。

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

夢中になって、読んだ。


読み終わった感想は、
人生は、美味しい
だった。

殺人犯や男女差別、美味しい料理、夫婦関係、
女性のキャリア、週刊誌、マスコミ

いろんな角度から読める作品だけど、
美味しい料理と人生のコントラストが印象的だった。

カジマナの葛藤と異常性、
主人公の内面の変化や成長、
人との繋がり

人生の酸いも甘いも、比喩的に美味しい料理の描写でよりダイレクトに味覚に伝わってきて、
初めての刺激的な読書体験だった。

読みながらバターが気になって仕方なく、
スーパーでカルピスバターを眺めながら
これを手に取ってしまったら後戻りできないな、と
バター醤油ご飯やバターたっぷりの明太子パスタを
口の中で想像しながらその場を後にした。

でもエシレは一回行ってみようと思う。

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2025年11月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

おもしろ!
梶田の思想を私も父親から若干受け継いでいるので共感てしまった
女はのほほんと金持ちに囲われて美味しいもの食べてヨガにでも行って好きなことしているのも幸せのひとつである、、かもしれない

へー、これフェミニズム文学なんだ
めっちゃおもしろサスペンスコメディと思ってしまった
レイコのお前もかい!って展開からの梶田はキモオタを懐柔できたのにレイコはただ辟易とさせた下りとか爆笑してしまった(あのキモオタが梶田をデブだのブスだのコケ下ろす所は寒気がした あ、デブの未婚の男を嫌悪している私も、リカが太った時に嫌悪感ぶつけてきた同僚と対して変わらないのかもしれない)

リカの父親が当てつけのように不健康になっていく様は不快だった
フツーに水周りの掃除ぐらいしろよ、と

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2025年11月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

かじまなと利佳の不穏な空気感、それぞれの思惑とその緊迫した描写だけで中盤まで牽引されその力量に驚いてたら伶子までもが不穏に。君もか。三つ巴できな臭い心理レースが続く。底辺を流れるのはバターで紡がれた丁寧な料理描写。エシレバター食べたい。かじまなが真犯人なのかというフーダニットの視点から少しずつ軌道がずれ利佳を水先案内人としてかじまなの心理フローを推理しつつ果ては利佳の深層にクローズアップして関係性の作り方が変化していく所絶妙に上手い。利佳は読んでて宝塚男役が頭から離れずだった。七面鳥メンバーに入れて。

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2025年11月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

4.0
最初は推理ものかと思ったが、人間成長物語だった。
描写が細かくて、こんなに読者に頭で想像できる文章を書く作者は料理物向いてるなと思った。時々細すぎて想像出来すぎるがゆえ気持ち悪いと感じる文章も出てきたけど、主人公の忙しい日常が美飯によってゆっくり感じられたり安心して読めてよかった。
みんな何かを理由にして悲しい思い出にしたり、悲劇のヒロインになったりするけど、そのせいでとか人を理由にして結局自分のケア(豊かな食生活とか健康)を怠っているだけだという自分にも重ねた時その甘えを指摘されたような気がして、改めて考えようと思った。読んでいる間乳製品やバターがたべたくなって探して食べていた。セブンでバター醤油おにぎりが売っていたのも、思い出込で良い。

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

現代日本の女性の生きづらさや複雑さを描いた作品だけど、単にフェミニズム文学と一言でまとめられない奥行きがある一冊だった。

実際にあった事件をモチーフとして扱いながら犯罪小説ではないという点も、容疑者と記者が料理を介して通じていくという構図も、私にとってはすごくユニークなものだった。
主人公・里佳の周りで繰り広げられる「フェミニズム(伶子)vs アンチフェミニズム(梶井真奈子)」の対立が続くのかと思ったけど、読み進めるほどに愛の物語なんだと気づく。恋人への愛だけじゃなく、家族、友人への愛、自己愛。どれについても、作中に何度も出てくる「適量」という言葉が一番のキーワードだと感じた。
梶井真奈子のように、最初は理解不能に見えた人物でさえ、里佳が彼女の言動を辿り、面会を重ねるうちに「愛の不足」というシンプルな核が見えてくる。登場人物みんなが正直で、その率直さが読んでいて清々しかった。

また、後半、篠井さんの家にみんなが集まって暮らす中で、里佳が「みんなの拠り所になるような住処を持つこと」の素晴らしさに気づき、自分の家を買ってパーティーを開くラストがすごく良かった。
私は、「自分の部屋の隣や階層違いの部屋に友達たちが住んでいて、お互い好きな時に気軽に行き来して、ただ一緒に夜ご飯を食べる、とかが叶うマンションがあったらいいな…」という理想の暮らしを、誰もが一度は想像したことがあるんじゃないかと思っている。里佳の選択はまさにその願望に通じるもので、読んでいて胸が高鳴ったし、彼女や周りの登場人物たちの未来に希望が見えて、読後感がとても爽やかだった。

私の頭の中には常に、人生においてきっと一生残り続けるであろう言葉——「女性の自立と女性らしさは共存する」——が置かれている。この小説はまさにその価値観を体現している作品だと感じた。時代に合わせようとして“ガワ”だけ作られたものじゃなく、芯のある物語。きっとこれからも長く頭に残る一冊になると思う。

女性の権利や社会進出に関して、先進国の中でも日本はまだ保守的だと言われるけど、この小説が多くの女性に支持されている背景には、そうした状況もあるのだろうと思う。
一方で、日本では新しいと受け取られるテーマでも、海外、特にイギリスなどから見ると、「え、日本ってまだここ?」と驚かれるかもしれない…そんな現代の世界の中の日本が透けて見えた気がした。

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2025年11月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大好きだった恋人と別れた理由が、誠と里佳の別れ話とまるで同じだった。
ストイックで努力すれば何事も解決できると思っていて、太ることは自己管理ができていないからで、相手に対する愛情不足の現れだと言われた。
付き合った頃より太ったとしても、美味しいものを頬張って幸せそうにしている姿を愛おしいと思う私がおかしいのか?それを相手に求めるのは傲慢だろうか。
昔から男に体型を批評されてきた。痩せていたときはぽっちゃりした人が好き、太ったときは努力不足、もっと胸があった方がいい、ない方がいい。聞きたくもないのに心に残った細かい傷跡が消えない。
この本がベストセラーになることが世界中に仲間がいる証に思えてそれが嬉しい。

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かったけど長くてまとまりに欠ける印象かな
食べ物や料理をする描写はさすがで読んでいてお腹がすいてたまらなくなる
今年は絶対七面鳥食べようと思った

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2025年11月25日

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