【感想・ネタバレ】BUTTER(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子(カジマナ)。若くも美しくもない彼女がなぜ――。週刊誌記者の町田里佳は親友の伶子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井は、里佳にあることを命じる。その日以来、欲望に忠実な梶井の言動に触れるたび、里佳の内面も外見も変貌し、伶子や恋人の誠らの運命をも変えてゆく。各紙誌絶賛の社会派長編。(解説・山本一力)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

男の自己愛、幼児性からくるセルフネグレクト。女は献身に生きがいを感じるものの、それを当たり前だとおもわれると殺意にも似た感情を抱く。この辺りが見事に描かれている。緻密な料理に関する描写は、その両方に対して象徴的な意味を持っている。これが初期モチーフか。

そして、本作はシスターフッドの物語だった。いや、そこだけに収まっていない。親子、友情、パートナー、コミュニティの再生の物語だった。

最大の見せ場は、主人公のカジマナへの対峙の仕方だ。同感、共感、対決、そして、共感。痛めつけられても、拒絶はしない、内面での対話を続ける姿は、新しい文学を見た思いがした。

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2026年02月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ


女ってなんでこんなにも求められることが多いのだろう、とうんざりする気持ちを書いてくれてる素晴らしい本。

私は世間一般的に"美しい"とされる容姿とは全くかけ離れているし、カジマナに勧められるがまま食べて太った里佳みたいに、体型のことを詰られたこともたくさんあります。
だから本当に共感と辟易でいっぱいでした。

だからこそカジマナのことを尊敬もします。
"自分の嫌なことから徹底して目を背ける"
"女性としての役割を徹底的にする"
そんなこと簡単に出来ません。
そこに振り切れる彼女が本当にすごいと思いました。

でも、里佳と立場が逆転してからの彼女はちょっと哀れで。
七面鳥を皆で食べるための招待状を出せたその勇気を別の方向に向けられなかったのかな、と少し切なくなります。
チヅさんや里佳がカジマナを可愛く思った気持ちもわかりました。

獄中結婚してから供述を変えたカジマナの本心には結局里佳さえも理解できないままで。
彼女の本当の理解者が現れることをカジマナ自身が拒んでるように思えます。

作中に出てくるウエストのケーキが食べたくなりました。
バターはケチるな、これだけは正論です。

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2026年02月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

木嶋佳苗をモチーフにした小説と聞き、興味が出てきて読んでみました。途中までは、梶井の殺人事件の真相が週刊誌の記者の主人公が解明するのかなと読んでいましたが,そういう小説ではなかったです。そこについては結局よくわからずで,もやっとしました。
この小説に分かりやすい物語はなく、人間関係をさまざまな角度から丁寧に描写することで、日々生きづらさを抱える読者にも所々、何かが刺さる描写や考え方が見つかるような小説なのかなと思いました。そんな感じなので、途中よくわからなくなってはきますが、なんだかんだ気になって最後まで読むことはできましたが、若干の中弛み感はいなめず。。

体型についての世間の厳しい目線や生きづらさなどは、時代が追いついてきたのか、最近だとむしろ人それぞれがいいよね。痩せてることにこだわるのは良くないという風潮になってきている気がします。

最後のみんなで集まってたべる七面鳥のシーンが印象的。七面鳥が食べたくなりました。

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2026年02月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった!文体はめっちゃこってり重たい。だけどラストは何処か爽やかで良い読書体験だった。カジマナは救われなかったけど、救われたらカジマナ自身が崩れちゃうんだろうなってわかった。里佳とカジマナの二人が七面鳥を囲む世界線なんて本当は存在し得ないのに、どうしても想像しちゃう自分がいました。

破壊的な救済にはこれまで築いたアイデンティティの崩壊が表裏一体で付いてくる。救われることでこれまでの全てが崩れるくらいなら、今までの構造を知り尽くした凄まじい孤独に身を置いて生きたかったんだろうね。

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2026年02月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

料理を他人(特に異性)をコントロールするために利用し、結果的に殺人を犯してしまった女性と、それに感化され同じ思想に囚われながらも周囲の人たちの存在のおかげもあり、さらに自分の中の世界を広げることができた女性のお話。

この小説以上に料理及び食事の描写が繊細なものがあれば是非教えてほしい。ここまで美味しそうに描いているものは私は他に知らない。空腹なときにこの本は読まないほうがいいよ。

主人公の雑誌記者と殺人犯の女性ははっきりと対照的に描かれていて、同じ思想にたどり着きながらも結局自分を変えることができなかった殺人犯、新たな境地に達してさらなるステップアップをする主人公。それに引っ張られてか周りの人間もそれぞれの問題と向き合い、解決に導かれる。

こうやって感想書いてると嫌でも自覚しちゃうけど、私は多分殺人犯みたいにこのままじゃダメとわかっちゃいるけど変われない側の人間なんだろうなと自己嫌悪に陥る。

しかし、主人公のようにたった一度の食事で人生が大きく変わることだってあり得るわけだ。
私は今はまだその時ではない。そのうち何か自分の人生観を変えるようなことが起きるはずだ。それを座して待とうではないか。
そういうふうに考えて現実から目を逸らそうと思います。

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2026年02月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

文章のところどころ、文学的な表現が多くてどういう意図なのか考えさせられる。考え始めると読み進められないので読むのに時間がかかりました。こういう文章をスラスラ読めるようになりたいなぁ。。
料理の味は食欲をそそられるような表現が多く、バター使いのラーメン、七面鳥が食べたくなりました。

前半〜中盤は、自分の軸を持っていて傲慢なカジマナに惹かれていく主人公。しかし後半になるにつれてそれは寂しさの裏返しだと分かっていく。親友や理解のある仲間を持つ主人公に対して、同性の友達を作りたくても作れないカジマナ。両極端にいる2人がお互いに惹かれ合うが、最後はカジマナの嫉妬?により、どん底まで突き落とされてしまう。カジマナは結局、友達のできない自分を変えられない一方で、主人公は大事な親友や仲間に励まされ、前を向いていく。

結局、理解ある友達や仲間を作っていくためには、強がっているだけではダメで、時には自分の不安や弱さを見せることで絆が生まれるんだなと感じた。

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2026年02月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読んでる間は結構しんどいなって思うことが多かったです。

誰かと比較したり、体型のこと言われたり、根も葉もないことを言われたり。一度は心当たりがあるようなことが多く出てきて、心理描写が妙にリアルで、それがとてもしんどかった。

でも主人公やその周りの登場人物達が、どんどん自分の道を見つけて、問題を抱えながらも自分の決めた道を生きていく姿に救われた気がします。
悩みは尽きることがないけど、人と人が支え合うことの大切さ、大切にしてくれる人がいる素晴らしさを改めて教えられた気がします。

読みながら、結構気持ち的には主人公に引っ張られてたなと思います。
序盤は梶井って女にすごく引かれたというか、やばそうと思いつつそのヤバさがなんか妙に魅力的に映ったりして。でも主人公やその周りが翻弄されていく様に、私自身もモヤモヤして、辛かった。
直接関わってなくても、これだけの人達を翻弄する梶井という女、恐るべし。
まぁ、最後は確かに梶井を過大評価してたな、という気持ちになったけど。でもそれは主人公達が粘り強く梶井という一人の人を見つめ続けたからそう思えたんだと思う。

とりあえずバター料理が食べたくなった。
さすがに七面鳥は無理だけど、なんか挑戦してみたい。

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2026年02月05日

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