小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
10作目、遂に秘密が暴かれて大きな進展があるか!?とワクワク半分だったので、
相変わらず一進一退な歩幅感と最後の予想を裏切る展開に混乱。笑
初期の董胡はもっと芯が強くて、一度決めたら誰が何と言おうと猪突猛進するような印象
(たとえ敵陣の后だったとしても病に臥せているものがいると分かれば手を差し伸べ薬膳料理を振る舞う姿とか)だったけど、
前作然りずっと迷っては落ち込み、あれこれ悩んで先へ進まない姿が目に留まるようになってきた。
怖いもの知らずで純真だった董胡が、
尊武を始め様々な思惑を持つキャラクターと
自身の過去に翻弄されて
ある種の生への責任も感じるようになって
迷うことが増えたのかな。
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Posted by ブクログ
ネタバレ凪良ゆうさんの描く、周囲には理解されない、本人にしか分からない幸せの形は、本当に読者の心を締め付けます。本当は到底理解なんてできてないはずなのに、物語を読むうちにまるですんなり理解したかのような気持ちにさせられるのは、書き手の力なんだと感じます。何一つ意図が伝わっていないまま勝手に結論付けて飲み込む不器用な人たちが、意図を真っ直ぐ本気で伝えてくれる人たちに何度も何度も救われて、救いの手を払っても掴んでもらってようやく自由になりますが、残された時間は本当に短いものです。それでも彼女が選び、掴んだ幸せを誰が否定できるでしょうか。少しこてこて過ぎる京都弁も、ええやんと流しましょうか。
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Posted by ブクログ
ネタバレ読後感はとても清々しく、この本が自分にとっての『運転者』になったような気になる作品だ。(まだ実践・体感していないので気になるという表現になったが)
実は半年ほど前に小林正観氏という方を知り、それから本や動画を見て出来ることから実践はしているが、共通の考え方でこの本にも書かれていることがうまく出来ていないことが多かった。しかし自己啓発本のように書かれているより、ストーリーの中で織り交ぜることでより理解しやすかった。
修一だけがこのタクシーに乗っているのかと思ったら、他の登場人物も時代や場所を超えてこのタクシーに乗っており、微妙に関わりあっているのが面白かった。
営業職をしている人には特に心 -
Posted by ブクログ
太平洋戦争をアメリカの視点から描く、大部の作品の二章目いに当たるのが本作だ。第一章の最後でミッドウェー海戦により日本の劣勢は明確になった後、ガタルカナルからサイパンの陥落(日本側から見て)までが、この第二章で取り上げられる。
この上巻では、ガダルカナルの陥落直前までが描かれ、日本軍が南太平洋ではっきりと劣勢になるところで下巻へと繋がっていく。
すでに当時の出来事を歴史的な出来事として見ている自分のような人間からすると驚きだったのだが、この南太平洋の戦いというのも、決して当初はアメリカ軍にとって優勢ではなく、 彼らも様々な苦労をした結果として少しずつ少しずつと戦いを有利にしていったことがよくわ -
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こないだ読み終わった『耳なし芳一のカセットテープ』がめちゃくちゃ面白かったので同じ作家さんの作品を読みたかった。
これはずーっと流行っているモキュメンタリーホラー系だけど、伏線みたいのとか斬新。
いちばん最後に主人公?のXにいくことができるんだけどそこも読み込むとさらに面白いし仕掛け的にありありのあり笑
S邸って、令和の迷い家なんやろなーとは思うけどそれだけじゃなくておじいさんと呼ばれてる死体みたいな若い男とか、S邸行ったあと死んだ人たちがみんなS邸から何か持ち出してたとか全てが回収されていくのは読みやすくて良い。
しかし、最後のXは謎のままだし、謎は謎で終わってるのは怪談ではありありのありで -
Posted by ブクログ
「汐灘サーガ」三部作最終章。
上巻に続き、弁護士川上は汐灘での手伝いに入った事件で動いていたが、真野もまた汐灘で少女を探しているということが気に掛かり、何故なのか誰なのか?知り合いの刑事に尋ねていた。
被害者と加害者、双方の息子がいつどのような場面で顔を合わすことになるのだろうかと気を揉みながら2人の行動を目で追うことになる。
因縁のある汐灘で、嫌な思いをしながら何度も少女を探すのを諦めようとする真野だったが、店に戻れば常連の警察官である石田に途中で諦めるなと言われ、汐灘のかつては刑事だった安西までもが動いてくれるのを見るとやはり動かないではいられなかった。
やっと手がかりが掴めたと確 -
Posted by ブクログ
ラーメンやカレーなど、気軽なひとり食べ歩きが好きな身としては、共感できたし、非常に面白く読めた。
言い換えると、面倒臭い人がどう食事や日々を楽しんでいるか、どう言葉にしているかがわかる本だと思う。それでいてユーモアがあるので、鼻につかず面白い。
なんだかんだ難しいことを考えても、おいしいものを食べるときは無心だし、そのこだわりが日々の生活で大事だと思う。独り身でも、家族がいても。
著者とY氏が主な登場人物だが、自分もそれぞれでどちらかの立場や考えに近いと思えた。ひとり飯のときはこだわるが、飲み会の時は話すことが目的だからどこでもいいなど、自分を客観的に見つめられたと思う。
また、装丁に惹