小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
火星探査機ローバー「レジリエンス」は、心を持つローバーだ。人間とはデータやコードのやり取りしかできないから、レジリエンスの気持ちを知る人はいない。でも、同じローバーの「ジャーニー」や相棒のドローン「フライ」とは言葉を交わすことができる。自分に期待して送り出してくれた研究者、ザンダーとラーニアのため、そして、自分が地球に帰還するため、レジリエンスは火星で自分が価値あるローバーだと証明しようと走り続ける。
心を持つローバーという題材が、決して擬人化され過ぎず科学の話と融合していた。レジリエンスの成長の物語であり、ロボットたちの友情の物語であり、ローバーに人生をかけた科学者たちの挑戦の物語でもあり……とにかくとても読み応えがあり、ページをめくる手が止められず一気に読んでしまった。
レジリエンスが搭載している「脳」は、もしかしたら今で言うAIなのかもしれない。レジリエンスが科学者たちの指令を上書きして自分の意思で進路を決めていることが話の筋として成り立つのも、今の時代だからこそではないだろうか。
火星に着いてからの冒険は本当にドキドキわくわくして楽しかった。人工衛星「ガーディアン」やジャーニーが、だんだんとレジリエンスの持つ「心」に染まっていくのも微笑ましい。
終わり方も現実的で良かった。ファンタジーと科学のバランスがとても良い物語。 -
Posted by ブクログ
その人にとって必要なタイミングで出会う、というのは本当にその通りなのだと、この一冊を読んで感じました。
正直いうと、青春小説と聞いていたので、あらすじも知らないのに、高校生の青臭い恋愛について書いてある小説なら読まなくていいやと思ってました。本当にすみません。
この一冊については、もっと早く出会いたかった、というような感想をよく目にします。
でも、私の場合は学生の時にこの本に出会っていても、うまく心に波を立てられなかったと思います。
今、読んだから、心の中にある思い出と、恩田陸さんの書いた文章が、重なり合い、広がり、心に染み渡った感覚になったのかと思います。
とはいえ、こう感じるのは、私の人生経験の浅さが要因の一つだとおもうので、もっと早くこの本と出会いたかった、と言える人間になりたいと素直に思います。
私は融のように無償の愛を当たり前だと思う節もあるし、貴子のように最初から出遅れているという気持ちがあるから自分は自分で他人は他人と思うし、美和子のようにあえて人に言わないけど少し傲慢な部分もあるし、内堀亮子のように子供のような面もある。
どの登場人物にも、自分と重なる部分があり、恥ずかしいような気持ちになり、そして側からみるとそう感じるのかと納得いくことも多かったです。
私にとっては、この本を読むのは今が最適なタイミングでした。
そして、本作の主人公貴子と融が心を許し合うのもこの歩行祭が最適なタイミングだったのだと思います。
融の親友である忍が、「すべてはタイミング」と語っていて、本当にその通りなのだと思いました。
貴子と融がもっと早く話していたら?
杏奈が日本にいたら?
融が忍と走ることを選ばなかったら?
必要なタイミングを、どこかで、神様が見ているのかもしれませんね。
読み終わったあとの満足感がすごくて、
歩行祭1日の出来事しか読んでいないとは思えません。
しばらく、この余韻に浸ろうと思わせてくれる一冊でした。
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Posted by ブクログ
大正の時代でさえ、成金の人身売買じみた結婚は非難の的になるのが意外だった。
戯曲を思わせる転調。瑠璃子も直也も勝平も…みんなみんなちょっとした出来心で起こした行動すべてが報いとなってしまう。
結構ボリュームあるのに退屈せず読み進められる。600ページ近くあるのに4日程度で読み終えるほど読む手が止まらなかった。普段なら2週間〜1ヶ月近くかけて読む量くらいなのに。
新聞での連載だった性質のお陰か、次のお話に移る前に1〜2行程度で前回のあらすじのような文があって、それがとにかくガンガン読み進めるための助けになった。振り返らず進めてしまうスタイルが良い。
なんとたわしコロッケは出てこない -
Posted by ブクログ
胸糞悪い事件やくだらないマウント合戦、あまりに華美が過ぎる生活を演出したようなSNS投稿ばかりが目について疲れる近頃。
お金目当てには違いないのだけど、釣った魚に餌をやらないことをしないというか一応夫婦としての自分の役割は弁えていたり嫌々でもなく普通の夫婦生活としてセックスも日常にあるし、コロナ禍をチームとしてふたりで乗り切った達成感や最期まで面倒は見る意思を持っているようで夫に対して愛はそれなりにある菖蒲の語りが面白い。
グルメものとしてあらすじされているけど、
人生を楽しむための本質は高価なブランドネームばかりではないことと自分ひとりのためにどう生きるか主体的に選択していけると良いよねって言い切っている内容でとても良かった。
サクッと読めるボリューム感だから、読書のハードルをグッと下げて楽しめる。この作品は特に気軽に読んで欲しい。
スマホから目を離して、たくさん本を読んで美味しいものを食べて適度に働いて自分の好きなことを徹底的に探しに行こう。 -
Posted by ブクログ
一気読み完了。
いつ読んでも、小川さんの作品は引き込まれます。
大学の研究員の倉敷秀斗は、ある夜、中学の時の
同級生 桐田奈南に急に呼ばれた。
彼の研究を生かしたビジネスを持ちかけてきた。
「世界一のお金持ちになりたい」と願う、彼女と
彼の一世一代のビジネスが始まる。
まず最初に帯に惹かれた、小川哲版「グレート・ギャツビー」開幕!
このフレーズに惹かれました。
CV、ディープテックなど知らなかった、ビジネス
に関するフレーズが散りばめられている。
ページが進むにつれ、栄光から破滅に進んでいく「オルロージュ」がスピード感を持って表現されている。
桐田の天才的で底の知れない姿に恐怖するし、感情も揺さぶられました。
気が早いですけど、来年の本屋大賞、間違いなく候補になると思います。
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