小説・文芸の高評価レビュー
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今年一番レベルで良かった。
各話で料理教室に通う5人のドラマが描かれているんだけど、それぞれのドラマをもっと読みたい!でもそれがぎゅっと濃縮された贅沢な一冊。エピローグで明かされるそれぞれのその後がまた良い。思わずクスッとなったり頑張れぇって気持ちになったり。
どの話も好きだけど、安藤くんの話が一番好きだったかな。安藤くんが最後の料理教室で講師の小鳥遊りらに渡す色紙に書いた一言が好き。
自分も悩みや困難どんなことがあっても酸いも甘いもぐつぐつ煮こんで、混ぜ合わせて、時間をかけてでも美味しい料理になりたい。魅力的な人間になりたい。とさえ思わせてくれる。
食事が生きることの基本ってことも改めて思 -
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ネタバレ過食嘔吐をして精神安定をさせる女性の物語。
過食する食べ物は万引きにより手に入れることで、
安心と快楽を得ている。
幼い頃から母親の精神的虐待がきっかけで、
拒食からの過食へ、さらに万引きへと負が連鎖する。
疎遠だった母親が危篤となり、解放されたかに見えたが、表面上だけだった。
家族からも見捨てられ、唯一残ったのは妹の瞳だけだった。
服役後7年が経っていた。
信頼できる同僚にカミングアウトしたことで、
協力者もでき、自身の病気と本気で向き合い始める。
そんな時自身の働く店に訪れた女子高生が
万引きする姿を見つける。
何故万引きするか分からないがしてしまう葛藤。
過去の自分を見ている様で -
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御行の又市の悪友である靄船の林蔵を主軸に大阪での物語を7編収録。シリーズ5作目。
言葉でまやかしを見せつつ靄の中に絡めとるスタイル。
物語の流れが美しい。派手さはないが小気味良い感じがありつつ、締めの「野狐」にやられた感。やっぱり好き
このシリーズは毎回1話目で騙されて、2話目からは流れがわかるからスイスイ読んで、ラストで「ウワァァァァ」ってなる(笑)もう、私の中ではお約束。これが楽しくて読んでる。騙されたい(笑)
今作は江戸時代の関西弁なんで、より読みやすかったのもある。セリフがみんな脳内で西方の→
イントネーションで再生されて、とても良き。関西人で良かった(笑)
そういえば、林蔵 -
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Audible聴了。
殺人や事件のミステリーではなく、学園ものの、しかもゲームを題材にした「本格ミステリー」!
5つのゲーム(グリコ、神経衰弱、じゃんけん、だるまさんが転んだ、ポーカー)を少しずつルールを変えて「地雷グリコ」、「坊主衰弱」、「自由律ジャンケン」、「だるまさんがかぞえた」、「フォールーム・ポーカー」という名のゲームにして、それぞれそのタイトルで短編としてどんでん返しのゲーム結果を描いている(そういう意味で別々のミステリー)。しかも全体を通じて主人公(「探偵」役)の射守矢真兎(いもりや まと)と中学時代の友達(「犯人」役)だった雨季田 絵空(うきた えそら)との疎遠になった理由お -
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ネタバレとても綺麗で、詩的で、それでいて若年性アルツハイマーの残酷さも描かれていて…
うちは病院で看取ったけれど、やっぱり母は1日でも長く家にいて欲しかったんだろうと思ったり、父はどう思いながら生きたのかと思ったり。読みながらでも現実はこんな綺麗に行くわけないと思ったり。
海外文学は値段も高いし、面白さがある程度担保されていないジャンルは手が出にくいが、単行本の時に出会えて良かった。
みんな救われたかはわからないけれど一歩進めそうな終わり方で救われた。
久しぶりに自分の中で「良かったわ」って感情が更新されました。
語彙力がないからうまく表現出来ないけど「満点」です。 -
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ネタバレこの本を読んでいくと、フィクションの小説なのにノンフィクションの事件のルポを読んでいるような気がして、衝撃が半端なく大きかったです。今までの本は読み終わった後に「イヤミス」とか「後味が悪い作品」っていうのは何冊かは読んできましたが、これは読んでる途中でも、「イヤミス」や「後味が悪くなっていく」といった感情がありました。「この小説を読み終えて感想を書こう」と思ってもすぐにはさらっとは書けませんでした。(放心状態がしばらく続いたので)
この小説って「尼崎連続変死事件」をもとに書いた小説っていうのを知って、ちょっと調べました。確かに似ていますね。「自己の親族らとともに他人の家族に寄生して疑似家族 -
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物語って凄いなと、そう思わせる作品だった。緻密な歴史考証、ハラハラさせるストーリー、複雑な人物像、そして最後の着地点…どれを取っても見事な作品である。
エーデルヴァイス海賊団の存在を、私は知らなかった。恥ずかしながら、てっきり作者の創作かと思ってしまった。機会があれば巻末の参考文献から追いかけてみたい。
物語は現在のドイツから始まり、「物語」に移ってからは、戦時下、ナチス体制のドイツが舞台となる。ナチスが、ユダヤ人だけでなく、障害者、同性愛者、ロマの人々なども迫害の対象としていたことが、最近広く知られるようになってきた。直接的にせよ間接的にせよ、加害者となった人たちのことを、何のためらいも