小説・文芸の高評価レビュー
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富安陽子先生の物語と五十嵐大介さんの絵による1巻から続いた大長篇も、いよいよ本巻で完結となった、このシリーズは、神からのメッセージを如何に理解するかが鍵となった頭脳戦の面白さと、最初はあれだけいがみ合っていた中学生たちの心の成長を実感しながらの熱い友情とが、見事に融合された独特さが魅力となっております(2016年作)。
天ツ神から選ばれたアレイを始めとした七柱のカンナギたちと、黄泉ツ神率いる得体の知れない故の怖さがある影たちとの戦いについて、『古事記』だけではなく、世界に散らばる不思議を贅沢に盛り込んであるのが、それらに興味を促せてくれるという点に於いても素晴らしいと思って、それはドイツ -
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心があたたまりほっこりする物語でした。
とはいえ内容は、現代社会において皆がなんらかの不安や悩みを抱えている、自分にもどこか当てはまる登場人物達が、軽井沢のホテルの手紙室で千色あるインクの中から自分だけの琴線に触れた色でペンを紙にすべらせていく、そのうちに内側にあった気持ちに気付かされ、救われていく。
自分の気持ちを持て余し見えないように蓋をしがちだが、手紙を書くこととはその蓋を少し開けるようなことなんだろう。
インクにも興味があるし、私もペンで手紙を書いてみたい!軽井沢のホテルを本当に探してしまいそう。
シリーズものなので、疲れて一日を終えたあとの寝る前読書に、とてもオススメです。 -
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なんとも言えない気持ちを引きずっています。
あみ子は純粋でおおらかで人を喜ばせたいと思える子。だけど常識的に関わるのは難しく、適切な対応が必要な子なんだと想像できます。
診断されて「支援が必要」となれば周囲も「そういう子」として付き合えたかもしれない。この子は違うんだから、と。
でもその区別なしに皆に受け入れられる事は難しい。同級生はあみ子を全く理解できないし、迷惑を被ることだってある。
明確に区別された方があみ子はあみ子のままでいられると考えてしまう自分にもモヤモヤ。うーん。そうなの?どうなの?モヤモヤ。
家族も周りもどんどん疲弊して壊れていくのを、あみ子はどう受け止めていたんだろう。
あみ -
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読み終わった後の幸福感が今までにないような感覚で思わず投稿。今後の人生の節目でまたこの本を読み返したい、それくらい、それくらい、いい本と出会った、、
この本でとても印象に残ったのが「母親になってから明日が二つになった」「自分の明日と、自分よりたくさんの可能性と未来を含んだ明日が、やってくる」梨花さんの言葉。こんな表現を今まで聞いたことがなかったなぁと同時に素敵すぎる!ってなって、心に刻まれた感じ。
森宮さんと優子ちゃんのやりとりも、仕事の休憩中の私をホッコリさせてくれた。オムライスのシーンはほんとに思わずフッと笑ったけど、周りに人がいなくて助かった。あと早瀬くんとシュークリーム食べてるところも -
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『三四郎』(夏目漱石)以上に、心理描写に引き込まれました。
主人公の長井代助、30才。裕福な家のお坊ちゃんで、親の脛をかじっている。働かないで暮らせる。インテリと頼りなさが同居した感じ。
読み始めからゾクゾクします。不倫の話。代助の不倫相手は友人、平岡常次郎の妻(三千代)。代助と三千代は、互いに好意を持っていました。しかし、代助は平岡と三千代の結婚をとり持ってしまう。自分の気持ちより、友人の思いを優先して。
三千代との再会で過去の恋が再燃すると、頼りなげな代助が、大人の男性になっていくように思いました。しかし2人のやりとりから、三千代の方が度胸が座っていると感じる面も。彼女は病気持ちで、 -
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千夜一夜物語になぞらえて、誰かの物語の物語の物語…が無限に続く構造になっていて、脳がバグっちゃいそうでした。自分がどこにいるかわからなくなるような夢の中にいるような感覚に襲われます。
1〜3章の熱帯に現実が侵食されていく狂気も好きだったし、4章以降がシンプルにファンタジー冒険活劇もので、自分が度々ありえないことが起こる世界を探索してるようで、ワクワクして一気読みしてしまいました。
読んでて「君たちはどう生きるか」を初めてみたときのあの意味分かんなさすぎて圧倒される感じが思い出されました。また読んだら、1〜3章とそれ以降のつながりがもっとみつけられるのかも。失踪した読書会メンバーはそれぞれの物語