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【第172回芥川賞受賞作】 高明なゲーテ学者、博把統一は、一家団欒のディナーで、彼の知らないゲーテの名言と出会う。 ティー・バッグのタグに書かれたその言葉を求めて、膨大な原典を読み漁り、長年の研究生活の記憶を辿るが……。 ひとつの言葉を巡る統一の旅は、創作とは何か、学問とは何か、という深遠な問いを投げかけながら、読者を思いがけない明るみへ誘う。 若き才能が描き出す、アカデミック冒険譚!
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Posted by ブクログ
めちゃくちゃ好き。登場人物が全員頭が良く、言ってることはよくわからないけど、そのよくわからない出典を辿る物語で、最終的に収束する終わり方がとても気持ちが良い。「言葉はどれも未来へ投げかけられた祈りである」という文章も好きで、ゲーテを読みたくなる物語としても秀逸である。途中にある手塚治虫と鴨川つばめ...続きを読むの繋がりを提示したのは著者の見解なのかどうなのかはとても気になるし、面白い視点であった。 娘が優秀で良い子でさすがにフィクション過ぎるな……とも思うが、「すべてはFになる」の女子大生もこんな感じだったので、アカデミアの理想の女学生とはこういうものなのだろう。
キーワードはアカデミックってことだろうか。このシチュエーションが飲み込めないと、普段容易い純文学とかのジャンルしか読んでない人には難しいのではと思う。good!
名前は知ってるゲーテ。「若きウェルテルの悩み」を高校でちらっと読んで「うーんわからない」と返却した記憶のみ。芥川賞取られたこの作品も、「わかんないかも」と思いつつ手に取ってみたら、読みやすかった!最近は「ちょっと頭を使う作品」を読もうと思っているんだけど、これもまたそんな感じ。ゲーテ、ちゃんと読んで...続きを読むみたくなる。興味の幅を広げたいというか、私の知らないものをもっと知りたくなる作品にまた出会えて嬉しい。そして、「事件」とあるけど…人は死なないし、心がゾッとすることもない。でも確かに事件…かな。賞を取っていなかったら知らなかったかもしれない。賞自体には興味があんまりないんだけど、手に取るきっかけとしてありがたい!な!
さて、まだ「何故そう思ったか」を書き記せるほどに頭のなかがまとまっていないのだけど、とにかくめっちゃ面白かった。 主人公、博把統一(ひろばとういち)は高名なゲーテ学者。ある日、家族でクリスマスディナーに行った店に置いてあったティーバッグのタグに、彼の知らない「ゲーテの名言」が記されていた。 これは...続きを読む本当にゲーテが遺した言葉なのか? 名言の出典を追う中で、彼の探究と思索と人間関係と、そしてゲーテ学者としての生きざまは、意外な方向へと向かっていく。。。 本作のテーマは何かと問われれば、個人的には「閉塞感からの解放」という印象を持った。 まず第一には、アカデミアの閉塞感からの解放。 学問というものは、真理の探究であって、客観性、再現性を重んじるものであり、根拠のないデータや言説を用いるのは一般にタブーとされている。 しかし、統一はふいに出会った典拠不明の言葉を追ううちに、遂には禁忌を犯してしまう。 そう、その典拠不明の言葉を典拠不明のまま、ゲーテの言葉として紹介してしまうのだ。 彼がそこに至るには、言葉を追う中で周囲のさまざまな人とのやり取りが影響していく。 ドイツ留学時代の旧友のジョークの記憶から始まり、学生時代から長く親交を温めてきた然教授との、名言・格言がどう生まれるかという議論、若き院生の紙屋綴喜との「ゲーテは全てを言った」か?に関する議論、一徹な学者でありゲーテ研究の大家で統一の義父でもある芸亭學の、定年後に書いた往年の頃とは印象を異にした奔放な?随筆、そして然が起こした騒動・・・。 言葉をどう扱うか、アカデミアにおいて何を真実とおくか。それはどこかに出典を見つけることではなく、その言葉自体が真理をついていることのほうが大事なのではないか。 アカデミアの伝統に従っていると、かえって真理には近づけないのかもしれない。 そんな常識からの清々しいまでの解放を、私は感じ取った。 他にも、本書には(この短い分量で)多分に閉塞感を打破する、爽快且つ前向きな構図がいくつも盛り込まれている。 然が己の身を挺してアカデミアの世界に投げかけた問題提起ももちろんだが、統一の家族関係に対してのあたたかな著者のまなざしも印象的。 結婚して25年、娘も大学4年生ともなれば、妻や娘とは一定の距離というか、共同生活を送りながらもそれぞれの独立した世界を生きている。不仲ではないが心の通う交流も少ない、閉塞感のある生活。 それがこの騒動を通して、典拠不明の言葉が鍵となって、父娘が互いに理解し合い、お互い殆ど相手の領域に関心を持てていなかった夫婦の間にすら、相互に相手の趣味への関心が芽生えたところで本書が終る。 言ってしまえば、本書はあまりにもハッピーエンドすぎるきらいもあるのだけど、でもそれも含めて、知的な印象のベールの下に、閉塞感を打破する爽やかさと、温かく前向きな眼差しとを湛えた、読んで幸福感を得られる一冊だったと思う。
圧倒された。人ってこんな物語/文章書けるんだ。 こういう純文学(?)を初めて読んだのだが、本当にビビった。何より作者の鈴木結生が25歳なことがヤバイ。圧倒的才能を見て落ち込む。 内容で言うと、筆者の実体験もあるだろうけど、あんなにハイソサエティな界隈ってあるんだって感じ。これもまた恥ずかしい。失っ...続きを読むたものばかり数えてしまう。ジンベエに救って欲しい。 「そしたら、綴喜が、『議論において権威を盾にする人は知力ではなく記憶力を用いているに過ぎない』と言ったの。『ダ・ヴィンチもそう言ってるよ』と。」P162 機知に富みてぇ〜。
仕事したくな〜い!一区切りついたし一日くらい休まして!と思って有給をとり、シーシャ吸いながら気になってた芥川賞を読破。おんもろかった〜! 語り口から読みづらい話かな〜と思ったけど、終盤の回収がとてもきれいで、尻上がりに面白くなっていく小説だった。 文体からして生真面目で血の通わない印象の主人公が揺ら...続きを読むぎ、踊らされ、巻き込まれるうちに血の通った人になっていく過程を追うのが楽しかった。知というものの懐の深さ、ユーモラスさも散りばめられていて、恐れずに知る・探究する、ということへの肯定が愛を持って語られているのも良かった。
自分の小説体験史上、もっとも優しい一冊だったかもしれない(それを悪とする観方もありそうだけど、個人的には楽しかった)。 当然エログロなく、それどころか胸をかきむしるようなザワザワが逃げ場無く押し寄せるなんてこともなく、とても穏やかに、爽やかに、でもだからといって、たるまずに、きちんと感情をえぐるア...続きを読むプローチ。斬新すぎた。 学ぶって、楽しい。実にじんわり、人生を豊かにしてくれる。そんななかなか信じられない綺麗事を、この物語は、キレイに信じさせてくれる。 「こういう作品が楽しめるのも、自分がオッサンになったからかな」なんて思いながら、著者欄に目をやると、若干23歳の作家さんだと知り、これまた衝撃を受ける(でもだからこそ、中年の悲哀に対する刺し方が優しいのかもしれない。刺すには刺すがコテンパンにはしない。決して感動ポルノ的な悲劇は使わない。そう考えると、逆になんと現代的なんだろう。読後感の独特の爽やかさは、そのおかげだろうか)。
意外と読みやすく面白い
2025年初めの芥川賞受賞作で、2作のどちらにしようかと迷って初めは登場人物の名前も難しそうでどうかと思ったが、読み始めるとすらすら読めた。1年に1000冊も読む読書家の作ということだし、いろいろな方面のことがよくわかって書かれているし、日常のことを描写するところも面白い。この本だけでなくURLに飛...続きを読むんでゲーテの言葉についての証言を読者自ら調べてみるというのも面白かった。色彩論は前から興味を持っていたし、多様と統合とは気になるテーマだった。最近は読書離れも感じられて自分もいままで大した読書もしなかったが、今後いろいろと関連するものからものへ、興味から興味へと読んでいきたいと思った。この若い新人に到底及ばないが影響されました。 そして今読了しました。とても面白かった。楽しかった。いろいろ自由に発言していいんだと気を軽くさせてくれた。
#笑える #ほのぼの #スカッとする
何も知らずに読み始めたので、途中までノンフィクションだと思い込んでいた(恥ずかしい…) 面白い形態だったけど、もっと自分に知識があればもっと楽しめたのだろうなと思う。悔やまれる。いろんな教養を身につけた上でもう一度読んだら、何倍も魅力的になるのだろう。 細かいところで気になる点はいくつかあって、読み...続きを読む進めるのに少し引っ掛かりを感じたのでその点は少しマイナス。とはいえ雰囲気は憧れの世界だったし、ユーモアもあり、柔らかい混乱やどういうことなの?という面白みもあった。
芥川賞作品とは知らずに手に取った。手に取ってから気づき躊躇したが、身構えるほどには難しい作品ではなかった。むしろ、読みやすい。面白おかしく読んだ。研究者の脳内を覗いているみたいで、とてもいい。 主人公は、ゲーテの研究者だ。還暦間近である。あるクリスマスの日、家族と食事に出かけた際、紅茶のパックのタ...続きを読むグに書かれた偉人の名言の引用に、ゲーテと書かれたものを見つける。しかしその名言には見覚えがない。原文だとなんと書くのだろうか?本当にゲーテの引用なのだろうか?出典探しに取り憑かれる主人公。 全編にわたりずっと、そのフレーズが本当にゲーテのものなのかどうかを探し続ける主人公。その間に、研究者仲間の友人の不祥事があったり、娘の恋愛があったり、恩師でもある義父の衰えを目の当たりにしたりと、我々一般の人間も経験するような日常の中の出来事も起こる。研究者然としているトーンの中ににわかに普通の父親/男の顔が見え隠れするさまに、なぜかユーモアを覚える。 最後はドイツにまで行く。冒頭のプロローグに出てくる作者の正体もわかる。あぁ、ファミリーヒストリー。
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