小説・文芸の高評価レビュー
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これは名作かと…300ページ位の小説の中にものすごい量の内容が詰まった作品である。
黒髪の後輩に恋心を抱いた先輩と世の中に対して無菌状態である黒髪の後輩をメインに書かれているが京都を舞台に不思議な世界を演出されている…
独特の文体が面白さに拍車をかけており先輩の恋心をベースにしたストーカーのような行動力には脱帽である…ただ外堀を埋める為の行動が黒髪の後輩に届かず滑稽さと切なさが交差する…笑いも…
後半先輩を応援する気持ちで読書スピードも上がっていった…
李白や溝口といった謎の個性的キャラ、パンツ総番長など笑えるキャラ盛りだくさん…
咳をしてもひとり… -
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僕が選んだ面白かった川柳
若い人達へ。
笑えるのは今のうちだけ 笑。
あっという間に、
笑われる側になっちゃうよ 笑笑笑
レジに行き一桁違い戻す服
妻の買う俺より高い犬の服
ねぇあなた昨夜のおかず言ってみて
推し推しと言われて亭主を押してみる
記録にも記憶にもない朝ご飯
駐車場私のクルマどこですか
どこにある?それより何を探して?
俺だって政治家並みの記憶力
歯並びを褒められ言えぬ総入れ歯
おかずより種類の多い薬飲む
飼い猫の名前を忘れ全部タマ
問い合わせオペレーターに「なんだっけ?」
ばあちゃんの同じ話の記憶力
老人会LINEできれば大スター
「お嬢さん」無理やりインコに覚えさせ
同窓会互いの視線が頭頂部
物がすぐ消える不思議な部屋に住み
同窓会変化しすぎたマドンナが
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作者辻真先によくある作品構成上のミステリー。
江戸川乱歩生誕100周年ということで書き下ろされた作品。あとがきに書いてあるのですが作者は生前の乱歩氏に二度お会いしているとのこと。
一回目はテレビドラマにするための依頼、二度目はそのドラマのお礼を言上に。
作品の目次は発端篇、展開篇、終局篇の三部構成。
ページを開くと乱歩の小説を思わせる書き出し。
それに対する手紙。そしてストーリーが動き出すという形式。
乱歩とその弟子にあたる作家の作品のこと。それを元にした小説家志望の青年の投稿小説と手紙。そしてそれを投稿された出版社。そこから始まるミステリー。
どう説明してもわかりにくいのですが、読むのは楽です。アニメの脚本をいくつもやった作者なのでスピーディでコミカルなシーンもありトリックもある。
読み終わった時、妙に充実した感があった。
そんな作品。 -
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主人公は高校を卒業したばかりの杏子(キョウコ)。大学へ行くのは金がかかるから、と選択肢からはずし、専門学校はそこまでやりたいことはないし、ということで、でも就職はなんか違うな…となり「高卒ニート」を避けるべく探したバイト先がデパ地下の和菓子店。
店長はやり手っぽい『大人の女』という感じの人、先輩の男性は背が高いイケメンで和菓子職人を目指している人、そして同僚の女子大生。見た目は格好の良い方々だけど…。そんな中でふくよかな体形の杏子、杏の字はアンとも読めるので「アン」という呼び名になる。
来店する客の中にひとくせある方がいたり、事情がある方がいたり…和菓子のいろいろを知って学んでいくアン。
振り回されたりやきもきしたり、でもデパ地下の店員というメリットもあったりと経験を積んでいく物語。
読み終わった時になんでか涙が浮かんだ。 -
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ネタバレ『恋ポテ!』
最近寒くなってきましたね!
久しぶりに本を読みました♪♪
そんな季節とともに恋ポテを読んできました!今回恋ポテはクリスマス♪
クリスマスといえばプレゼントや雪やパーティー♪皆さんもクリスマス楽しんでください♪今回守崎優芽が源拓真くんに告ったのがホント驚き!今作も面白かったです!!
今回のEバーガー店も楽しそう!!
ハプニングとかもありながらドッキドキ恋&バイト♪人の恋愛とバイト観戦してる気分で読んでる感じがする!!
夏から読み出した恋ポテ!
もうすぐクリスマスで本の読むタイミングもバッチリすぎて共感できる季節感で面白いです!皆さんにすっごくオススメで〜す!(≧∇≦)
神戸遥真さんの作品が面白くて次回の恋ポテも楽しみです♪ -
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十二国記のエピソード6。
今作は主人公の珠晶が蓬山を目指し昇山するお話し。
主人公の珠晶はとても聡明ですが、子どもには理解出来ない大人の事情がある。旅の道中で色々な大人と関わり、協力したり対立しながら世の理を学んでいく珠晶。"王になりたい"という気持ちは、私欲ではなく、恭国の民としての役割を果たそうという志し。大人ですら国のためを思って行動できる人ってどれだけいるのだろう…。珠晶の勇気ある意志と行動に、とても励まされました。そして、麒麟が迎えに来たときに投げつけた言葉が、珠晶の背負ってきた悲しみや切なさが感じられ、涙なしでは読めませんでした。
あー面白かった。次作に進みます! -
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東京神保町の古書店を舞台にしたヒューマンドラマ。シリーズ2作目。
物語は6話からなり、急死した老古書店主の妹・珊瑚とその又姪・美希喜の2人の視点で交互に語られ、故店主の滋郎の述懐が、適宜挿まれる。
◇
古書店のシャッターを開けながらため息をつく。そこに強い木枯らしが吹いてきて思わず首をすくめた。
70歳を過ぎてから寒さがこたえるようになった。更年期が終わってすっかり冷え性になってしまったようだ。
「珊瑚さん、おはようございます」
そんなことを考えていると、隣のブックエンドカフェから出てきた美波さんが声をかけてくれた。
美波さんは今月から開店時間を2時間早めて朝8時から営業するようになった。モーニングセットも始めたらしい。さらに閉店時間を夜10時まで延ばしてビールやワインも出すことにしたという。
アルバイトを雇っているとは言え彼女の健康が損なわれないか、つい心配してしまう。開店前の店舗前の掃除まで、美波さんは古書店の前までしてくれているのだ。
「今朝もお掃除ありがとう。最近、冷えるわねえ。お身体、大切にね」
あたしも開店の準備をしながら、美波さんに礼の言葉を返す。
「はい」
彼女はあたしに笑顔を向けたあと、カフェに入っていった。 ( 第1話「森瑤子『イヤリング』と川端康成『掌の小説』と日本で一番古いお弁当屋さん」) ※全6話。
* * * * *
前回に描かれていた三様の恋模様。まず気になったのはその行方でした。
1つめは、珊瑚と東山さんの恋模様。東京都心と北海道の帯広という遠距離恋愛に、古希を越えた2人は耐えられるのかというところが気になります。
東山さんが東京に転居するか、珊瑚が帯広に帰るか。それとも「いいお友だち」状態のまま終わるのか。さあどうなる2人の関係。個人的には必ず結ばれてほしいと願うばかりです。
2つめは、美希喜を巡る建文と奏人の恋模様です。 ( 奏人はイマイチよくわからないのですが、何となくトライアングルが成立しているように感じます。)
出版社勤務の若手社員の建文か、作家志望の若者の奏人か。美希喜は気持ちを決めかねているようなので、ある意味もっとも気になります。個人的には、人のいい建文を選んでほしいと思っていました。
そして3つめは、亡くなった滋郎の恋人だった大我のその後。理解はされつつあるとは言え、まだまだ根深く残る偏見をよく知っているからか、大我には忍耐力とともに、若さに似合わぬ諦観も備わっているように見えます。
もともと頭がよく気遣いもできる青年なので、早く前を向いて生きていけるような展開を期待したいところです。
さて結果は……。
さすが原田さんです。特に、滋郎の置き土産が大我の手に渡る場面は感動ものでした。
また、珊瑚のふんぎりや美希喜の気づきがそれぞれの成長に直結していく展開にも感じ入るばかりでした。
6話の中で印象に残ったのは、第1話と第4話です。
第1話は、川端康成と日本一古い弁当屋さんに興味津々でした。
『掌の小説』の「三等待合室」は覚えていなかったので、すぐに読み直してみました。
なるほど想像力を掻き立てる ( というか、読者に想像で補いつつ読ませる ) という川端先生らしい掌編作品でした。これをきちんと覚えている珊瑚さんはすごいと、感心してしまいます。
お弁当屋さんは、池波正太郎さん御用達の老舗弁当店でググるとすぐわかりました。「木挽町弁松」ですね。美味しそうな料理の画像だけでもお酒が呑めそう。残念ながらコロナ禍に抗しきれずに惜しまれつつ閉店したそうです。
第4話は、昭和56年発行の『暮しの手帖』4月号の特集記事をうまく使った展開がおもしろかった。
また、タイ料理レストラン「メナムのほとり」で美希喜と建文の距離が近づいた描写があり、うれしい気持ちになりました。
前作の宿題を受けての2作目『新装開店』では、きれいな答え合わせが描かれ、満足度が高かったと思います。
珊瑚さんはどうやら帯広で余生を過ごすことになりそうだし、辻堂社長は引退して高知に移住しそうだし、そもそも鷹島古書店の入るビルの老朽化が深刻なようだしで、この作品もひと区切りついた感じです。
もし続編があるとしたらですが、美希喜と美波さんのコンビになってたらいいななんて空想を楽しんでいます。 ( 古書店カフェとかなら『東京バンドワゴン』みたいになってしまうから違う展開かな。 ) -
Posted by ブクログ
ネタバレ2012年4月に読んだらしいが例の如く1ミリも覚えてないので再読(おれの人生はこんなことばっかりや)。
おもしろいし、よくできた話だ。
文体は淡々としているが主人公は飄々として軽口もちょっとは叩く。また、周囲のキャラクターによって、海外の諜報アクション映画のようなテイストになっている。
以下、がっつりぜんぶ丸ごとネタバレする。
少し未来の話。
主人公のクラヴィス・シェパードはアメリカ軍の特殊検索軍1分遣隊に所属している。仕事は主に暗殺である。
この日も4人組のチームで戦場へ向かう。ヨーロッパとロシアの間にある砂漠と森の町で、虐殺を繰り返すお偉いさんを殺す任務だ。最新装備を身につけ、標的Aの国防大臣のもとへ難なく辿り着く。背後から喉元にナイフを押し当て、尋問する。
「お前はなぜ殺した?」
「なぜだ。わからない」
50過ぎの国防大臣は、自分のやってきたことと、国土が壊滅していってることに、本当にたった今気がついたかのように困惑し始める。クラヴィスは、こわなに狂った言葉が返ってくるとは予想していなかった。なぜおれは殺したんだ教えてくれ、と詰め寄る大臣の首を切り裂き、心臓にナイフを突き立て、殺した。もう1人来るはずだった標的Bのアメリカ人は、急遽予定を変えたらしく現れなかった。
その二年後、4人の作戦メンバーのうちのひとりのアレックスが、自分の車の中でガス自殺した。葬儀の次の日、クラヴィスは思い返す。あれから計5回作戦に加わったが、そのうち4回のターゲットに入っていた男、ジョン・ポール。世界中あらゆるところに現れるとされながらがも、いつも捕まらない男だ。軍からは少しずつ情報が開示される。現代において、ピザを買うだけでも親指での認証が必要だ。網膜、指紋、顔紋などあらゆる生体認証がなければ生活は成り立たない。だがジョン・ポールはそのような痕跡を何一つ残していない。どうやって航空機のチケットを買っているのか、どうやって生活しているのか。
クラヴィスと同僚のウィリアムズはチェコに赴いた。ジョン・ポールのかつての浮気相手のルツィアがいるからだ。クラヴィスは彼女に近づき、チェコ語の講師を依頼する。
ジョン・ポールはサラエボで妻子を失った。核爆弾により、サラエボの街は一瞬でクレーターを作った。IDトレースによれば、そのとき彼はルツィアのアパートにいた。その後の半年を自宅で引きこもって過ごし、突然有名PR会社に入り、国家をクライアントとする案件を複数担当したらしい。かれが担当したすべての国が内戦状態へと転がり落ち、虐殺が発生した。その後ジョン・ポールは強制されて会社をやめる。そして、この男の足跡は交通機関、ウェブコマースなどすべてからぷっつりと途絶えた。最後の認証は、プラハのショッピングモールだ。
ルツィアと親しくなったクラヴィスは、任務でありながら彼女に惹かれていく。あるとき、自分やルツィアを尾行するものに勘付いて調査するが、逆に近まってしまう。背後から現れたのはジョン・ポールだった。
彼はクラヴィスに語る。私は虐殺に共通する深層文法を見つけたと。各国のうちでもっとも情報を統制しやすい立場につき、それらの言葉たちを流布する。それだけで、徐々にみんなが虐殺へと向かうのだと。この文法による言葉を長く聴き続けた人間の脳には、「良心」と呼ばれるものの方向っけを捻じ曲げる。
ルツィアは、クラヴィスが軍人であることも、ジョンが虐殺を扇動していることも、知らなかった。ジョンはまた消えた。手首を拘束され、酒に仕込まれたナノマシンにより、外部デバイスから簡単に神経へと激痛を与えられる状態にされたクラヴィスにできることはなかった。ただ激痛にのたうち回り、ルツィアを裏切っていたことを暴露それ、だからこそもう痛みを与えてくれ、断罪してくれと願うことしかできなくなる。しかし殺される直前、ウィリアムズたちのチームが突入。間一髪クラヴィスは救出された。
次の作戦はインドだった。インドもまた核爆弾を投下された国で、国境沿いには穴ボコだらけである。インドの武装勢力に、ジョン・ポールが同行している可能性があるという。ということは、ルツィアもそこにいるかもしれない。クラヴィスは、もう一度彼女に会いたいの願っている。会って、ひとこと赦すと言ってもらいたい。
今度の任務は、日本政府から武装勢力の幹部の逮捕を依頼されたという名目だが、本当の目的はジョン・ポールの逮捕である。
クラヴィスは、戦闘適応感情調整と呼ばれる脳神経医学的処置を受ける。現地では、多くの少年少女兵と対峙することになる。銃弾を躊躇なく適切な判断で子どもたちの脳に叩き込むために必要な処置だ。本作の時代において、テクノロジーはとてつもなく進歩しつつも、人工知能よ研究は頭打ちになっていた。戦地において生身の人間にしかできないことが、いまだに多くあるのだ。かくして国家は、正規軍の兵士たちを丁重にもてなすようになる。このカウンセリングもその一環である。クラヴィスは、自分が戦場で犯す罪を背負う資格がない、その罪が虚構であるという恐れを抱いている。彼は戦地で死と隣り合わせになることで、自分の生を実感している。しかしそのとき抱く殺意が、カウンセラーと化学物質によって作られたものだとしたら、生の実感も、罪も、全部嘘っぱちではないのか。カウンセリングによる感情の調整、感覚のマスキング、薬物投与により、兵士たちはは痛みを感じることなく痛みがあるこまだけを知覚できる状態となる。
少年兵、少女兵たちを殺して回りながら、作戦は無事に遂行された。そこには、念願のジョン・ポールがいた。
護送は列車で行う。クラヴィスとジョンは、列車内で会話を交わす。
われわれは似たもの同士だな。
ふざけるな。
いいや同じさ。虐殺の文法が脳に及ぼす影響は、きみらが作戦前に受ける感情調整にとても近いんだよ。
クラヴィスは反論できなかった。が、ジョンの今までの話ぶり、今の落ち着いた態度から、軍に内通者がいると予想する。
そのとき通信が入った。列車後方からヘリが追跡してきているという。チームに警戒を促したその瞬間、列車はレールを外れて横転する。
気絶から目覚めると、生き残りのチームメンバーたちが交戦中である。銃弾が飛び交っている。クラヴィスも手榴弾やグレネードで応戦しつつ進む。環境追従迷彩をまとって幽霊のようにおぼろげな人影たちが舞っている。何人かは、腕や足を失いながらも、標準射撃姿勢で撃ちまくっている。まるでゾンビだ。
そのとき思い立つ。奴らは痛覚マスキングを受けている。
いまこの戦闘は、だれも想像しなかった、同レベルのテクノロジーの恩恵を受けた集団同士の殺し合いであった。クラヴィスがこれまで参加した作戦はそんなものではなかった。すべて、金持ちが貧乏軍隊をタコ殴りにするものばかりだった。
殺しても死なない痛覚的ゾンビ集団が潰し合う状況。
クラヴィスは怖気付き、また安堵した。自分はまだ戦闘の中心から離れている。
しかしやはり進まねばならない。通信がつながっていたリーランドのところに辿りつくが、彼は腕も、腰から下も、吹き飛んでなくなっていた。クラヴィスたちのチームは、初めての完敗を喫した。
リーランドを含む仲間たちの葬儀。
肉片を寄せ集め断片をつなぎ合わせてできた遺体たちが、棺には収められている。
ウィリアムズは、怒りに包まれている。だが自分はどうか。怒りも憎しみも、どこを探しても見つからない。ウィリアムズを真似て怒っている風を装う。クラヴィスは、誰を憎めばいいかわからない。カウンセリングは必要ない。自分を罰してくれる人を、クラヴィスは求めていた。
最後の作戦はアフリカだった。ヴィクトリア湖で、イルカや鯨が養殖されており、その肉が人工筋肉として輸出されている。だが多くの人はそれを知らない。知ろうと思えば、調べれば、タグを辿ってわかることなのに。
ヴィクトリア湖は、ケニア、ウガンダ、タンザニアに囲まれた広大な湖だが、ここの沿岸部はいまヴィクトリア湖沿岸産業者連盟という独立国家となり、先進国に承認されている。ジョン・ポールは、今度はここで呪いの言葉を撒き散らし始めている。ジョンはプラハで行方をくらましたが、逆にいえば、プラハの搭乗口で足跡の消えたものが彼である。軍上層部はそこからしらみつぶしに彼の現在地を探し当てたらしい。
またしてもチームはシーウィードによる湖への降下作戦を取ったが、降下直前に下からロックオンされる。クラヴィスはひとり、管理官の静止を無視して手動でシーウィードを切り離し降下した。仲間たちがどうなったかはわからない。単独で進むしかない。ジョン・ポールを殺すことが本作戦の目的だ。しかしクラヴィスはペンタゴンの意思でも命令によるものでもなく、自分自身の意思でジョン・ポールを殺すために来たのだ。
湖を抜けた後は、迷彩をまとってじりじりと這い進む。ここのゲストハウスにジョン・ポールがいて、国内メディアを統括する立場についているらしい。
しかしゲストハウスに到着し、発見したのはジョンでなくルツィアだった。兵士との会話を聞く限り、彼女はジョンの妻ということになっているらしい。あるいは本当にあの後結婚したのか。
静かに尾行し、彼女の入った部屋に侵入する。部屋には誰もいず、ジョン・ポールの手書き原稿やスピーチ草案などが置き離してある。そこには英語とは思えない様々な記号と単語が並んでいた。理解はできそうにない。そのとき背後で銃の安全装置を外す音が聞こえ、振り返る。ジョンがこちらにら拳銃を向け、悲しそうな顔でこちらを見ていた。ID認証のない時代もののブローニング。
2人は会話を交わす。ジョン・ポールが、なぜ各地で虐殺を振り撒いているのか、その真相が語られる。まず「虐殺の文法は、食糧不足に対する適応である」ということ。
そしてそれをばら撒く目的は、「自分の愛する人と世界を守ること」だという。
現代は個人認証セキュリティによってテロを防いでいると言われているが、それはデータを見れば嘘である。絶望から発したテロは、自爆や特攻まいった、追跡可能性のリスクを度外視したものだからだ。セキュリティでは止められない。
だからジョン・ポールは、自分の愛する人と世界を守るため、「それ以外の世界で殺し合いをさせる」ことを選んだ。自国の紛争が起きてしまえば、他国への侵略もテロもやっている余裕は消え去る。現に、ジョンが他国で紛争を起こさせたことで、アメリカに対するテロ件数はついにゼロになった。
「わたしのしていることが正義だとはわ絶対に言わない。わたしはただ、自分が守りたいものを守るために、やれることをしているだけだ」
隠れていたルツィアが現れる。
「クラヴィス、この人を逮捕して。アメリカで、虐殺の文法の話を裁判にかけるの。みんな、知る必要がある。選んだ結果としての責任と自由を背負う必要がある」
そのとき、ルツィアは背後から撃たれ、頭の半分を失った。そこにはウィリアムズが立っていた。クラヴィスは彼に対し発報する。廊下の先からウィリアムズが言う。
「クラヴィス落ち着け。命令は暗殺だ」
「彼女は殺さなくてよかった」
「いいか、暗殺命令は出ていたんだ。ルツィアとジョンは両方とも殺すよう俺は言われていた。俺は俺の世界を守る。家族に、この世界がどんなにくそったれかなんて知らせなくていい」
国防高等研究計画局としては、虐殺につながる研究に資金を出していたなんてスキャンダルになりかねない。上層部はこの一件を完全に葬るつもりである。
クラヴィスは、ジョンを引っ張って窓から飛び降りる。ふたりでジャングルを逃げる。クラヴィスは彼に聞く。ルツィアを失い、自分がやってきたことを悔いているか。
「わたしは悔いていない。わたしは命を天秤にかけた。わたしたちの世界の人間の命と、貧しく敵意の影がさす国の人間の命。わたしは目を見開いたもま、完全に正気で、その選択をした。そうして選択がなされたあとで、どれだけの命がわたしの背中に張り付くことになるか、それもはっきりと自覚したまま選択したのだ」
ジャングルを抜けると、味方のジープが待っていた。そして、乾いた破裂音が響き渡り、ジョンが額に穴を開けて倒れた。
発泡したのは自分の部隊の軍曹で、彼は作戦終了を告げた。また、ウィリアムズが死んだことも報告してきた。
ここまでの話を、クラヴィスは軍の会議や裁判やメディアで何度も語った。彼がやったことは国家機密法違反だったから、告発された。しかし司法の手は彼の元へやってこなかった。なぜなら、アメリカ全土で暴動が発生し、それどころではなくなってしまったからだ。
クラヴィスはアメリカ全土に向けて自分のやったことを話した。しかしここからの話は誰にも語っていない。
ジャングルを逃げているとき、クラヴィスはジョンからあるメモを渡されていた。そこにはウェブサイトのURLが書かれており、それは虐殺の文法を生成するエディターであった。
クラヴィスは、ジョン・ポールと同じ手法で、まったく逆の人々を守ることにした。つまりアメリカ国内で虐殺を行わせることである。
スターバックスの永遠も、ドミノピザの普遍性も、なくなった。そうなることが唯一分かっていた彼は、家に食糧をたっぷり溜め込んでいた。
これでしばらくは、アメリカにテロを仕掛けようと思う人はいなくなるだろう。
クラヴィスは、世界にとって危険なアメリカという火種を、虐殺の坩堝に放り込んだ。アメリカ以外のすべての国を救うために。彼は、ジョン・ポールと同じように、その決断を背負うことを決めた。
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Posted by ブクログ
ネタバレなんだか浜野さんの早口口調面白いな〜
まさかさんといい感じでおかしいのに微笑ましいなって思ってたらどんどん浜野さんの元旦那との日々やすれ違い、不妊治療、流産に対する辛さや心の葛藤、子供への渇望が出てきて過去編は読むと抉られる、苦しい気持ちになったけど。
走って走って走り切って、手に入らなくてパキンと心が折れてしまって、、それでそこから10年、同じ日々で自分の心を守ってきていたのかなとか思ったりして、、そんな10年越しに浜野さんとまさかさんは意外な形で再び出会って。
今は、つかず離れずのほどよい距離感、何かに焦らされる事もなく自分以外での不安要素も考えなくていい。
お互いにちょっと寄り添いませんか?っていう穏やかな形で寄り添え合えた浜野さんが本当に本当に良かったねって思ったし。
大恋愛とか激情とかではなくて巡り巡って、出会えた2人の距離感に読んでる自分も安心した。
過去編から終わりまで読むページが止まらなくて、眠たいし寝ないといけないのに読み切ってしまった。
辛い所も読んで浜野さんの過去を知ったからこそ今の巡り合わせがあったのかなって。
ああ、、辛かったんだな浜野さん。真面目すぎて、それ故に子供を産まないと欠落していると思ってしまう考えが自分と似ていて苦しくなる。
でも今はむしろ子供が嫌い、なんであんなに欲しかったのか。
人間はその時のホルモンや立場や環境で欲しいと思うものが変化する。
その言葉にちょっと納得して救われた気がした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレあああ〜懐かしい気持ち。忘れていた気持ちを沢山思い出させてくれた本だった。
男子看護学生の奮闘する話。
授業や実習、怖くても楽しいこともあったなと遠い記憶が蘇る。
純粋な気持ちを思い出させてくれた。
頑張ろうと思った。
そして成道、本当に頑張ったね。母がうざすぎて「うぜぇ、、」って何度も思ったけど最後はちゃんと母も自らの過ちを認めて応援してくれてよかった。私ならあんな状況ならすぐ諦めそうだからなぁ。
本当に、すごい。晴道もまたリハビリを頑張って旅行の計画を立てれるようになって本当によかった。
人生に遅いはないんだなと思えたし懐かしい気持ちを引き出してくれた素晴らしい本だった
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