小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレ6編の短編集
「食べること」は、体を作り、エネルギーを得ること。
「食べること」は、家族や社会での人間関係を円滑にすること。
「食べること」は、生きること。
しかし、それぞれの話に出てくる「食べること」はそれだけではない事に気付かされた。
いや〜 たぶん、私はそのことをぼんやり感じてはいたんだけれど、それぞれの短編の中の会話で明確にされて、ドキッとしたんだと思う。
それは、納得するような、安心するような感じだった。
どの話も少しさみしいような、でも、前に進んで行く強さを感じた。
明日のために、温かいものを美味しく食べたくなった。そして、大切な人に温かいものを食べてほしいし、食べさせてあげたくなった。
『ミックスミックスピザ』
いっそ官能的なくらい不健康で、頭が悪くなりそうな美味しさだった。
気がつけばいつだって、次の仕事の問題点や夫の体調のこと、子どもの教育のこと、食事のこと、ややこしくて意味のあることばかり考えてきた。
あの木漏れ日が差す山を歩いていたときに比べて、私たちの足はなんて重くなったんだろう。決して落とせない宝物を背負い、疲れ、病を得て、無数の問題を引きずり、死ぬまで口にできない弱みまで抱えた。荷は増え続けるだろう。それでも、二人で行く。冒険は続いている。
『ポタージュスープの海を越えて』
この、誰が喜んだわけでもない漠然とした夕飯はなんだったんだ
家族の味の好みとか、栄養とか、生野菜を食べる練習をさせなきゃとか、そういうことばかりジグソーパズルみたいに考えてたら、自分がなにを食べたいかぜんぜん分からなくなってた
この人はきっと、自分が好きでないものは、もう一口も食べていないに違いない。そんな潔さと喜びのにじむ、清らかな食卓だった。
『シュークリームタワーで待ち合わせ』
毎日毎日、生きたいと消えたいの境界をさまよいながら箸を使う友人の口を、食の誘惑でこじ開ける。さくさくと噛み砕かれ、ごくんと嚥下された温かいかたまりは、否応なしに彼女の血肉を潤す。これであなたは、明日も死ねない。 -
Posted by ブクログ
心を、熱く爽やかな風が吹き流れて、文字が音符になって弾ける。
本作は高校生と将来を悩む20代フリーターコーチと吹奏楽の物語。
社会人にも通ずるものがある。
全力で仕事をやりぬいた経験がある人間は、強い。
その後も自律的に限界値を超え続けることができる。困難にぶつかったとき、自分が頼れる自分を持っている、という意味も持つ。過去に全力でやったという体験が、今、明日の自分を生かす。生かされるという表現もできる。
主人公は叫ぶ。
「『あのとき違う選択をしていれば』って思うような場所で奏でた音楽なんて、美しくも何ともない」
コーチも悟り、高校生に語る。
「今日という時間がどれだけいいものだったかを決めるのは、明日以降の自分だ」
最高到達点に届いた経験が、また、人を突き動かす。頑張ることに、無駄なことなんて一切無い。
今を攻めて攻めて、攻め続ける。
これからもそういう大人でありたい。
風。
背中を押してくれる、爽やかな風。
彼らはすっと吹き始めて、ざらっと留まり、ふわっと駆け抜けていった。
身体中を何かが巡る。
読み終えてすぐ「感想を書きたい」、そんな感情を残した傑作。 -
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ネタバレ初めての浅井りょうさん。
オーディブルがめちゃくちゃ推してくるから読んでみた。
これはすごい!
生活していると、誰かを無我夢中で推している最先鋭の人たちがちらっと視界に入ってくることがある。
駅のホームでその世界観の服に身を包んでビッシリとグッズをへばりつけたバックを下げた女の子がいたり、ちょっと気になったアーティストのYouTubeのコメント欄をのぞいたらそこで濃厚な言語活動を展開しているファンたちがいたり。
そんな人いるなー、くらいに思っていた疎い中年の私でも、なんか分かった気にさせられる。
物事の流行り廃りの速度が恐ろしく早い今の世で、ここ数年のキーワードの中でもINFP、Z世代、ファンダム業界の構造を切り出して、これでもかと言語化し物語に織り込む力量と熱量が圧倒的。
仕掛け人、消費者双方の視点から、どんな人がどうしてファンになりのめり込んで信者になっていくのか、なるほどお、と思わされる。
こんなに裏事情丸出しにしていいの?
って思える。そのくらいリアル。
言うて小説だもん、実際のところは知らんけど。
浅井りょうさんの描く業界の世界。
良いもの読ませてもらったけど、ラストがちょっと不満。
チャミスルが振り向いた後の展開、まあ地獄絵図しか思い浮かばないけど、しっかり書いて欲しかった。物語が尻切れに終わってしまった印象。
(オーディブルではチャミスルと読まれるんだけど本ではchamisurの表記なのか?生年月日とスミカの逆さ読みで娘だって気づけ、父。しかし思い込みが強過ぎて気づけない)
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ネタバレ下巻はあっという間で一気読み。
読んでいる間はエミルとジョアンヌとフランスを旅したような気持ちになって、自分にとっても素敵な時間を過ごせました。
始まりはエミルの最後の旅という目的だったけど、ジョアンヌにとってもジョセフとの約束を果たすという目的があったとわかって納得できた。
そこからはもうあっという間で最終盤にエミルとの約束を果たす過程で、ジョアンヌは改めてトムとも別れを告げられたのかなと解釈。そのおかげでエミルの両親に場を提供することもできたんだな。エピローグの妊娠諸々はおまけっちゃおまけだけど美しかったし、こうやって命は続いていくと親になってしみじみ感じた。
リメンバーミーで死者は記憶の中で生き続けるとあったけど、エミルもジョセフもトムもジョアンヌが覚えていたり、語り継ぐ限り生き続けるし、自分も身の回りの人のことは覚えたりたまに話したりしたいなと思った。何より大切な人には自分からアクションして会話しなきゃな。。
個人的にはジョセフがかっこいい父ちゃんすぎてダントツで好きなキャラでした。映画化するならジョセフを1番かっこよく映してくださいネ!!!! -
Posted by ブクログ
小学生中・高学年向けの本を探して。
私はコントは詳しくないのですが、このシリーズはコントで活躍する芸人たちが書いた「読むコント」だそうです。
本書作者は「うしろシティ」の金子学。(私はわからないのですが…)
中学生になった僕の学校は真面目なんだけどどこかズレてる。僕の友達も、町も、お父さんもズレているんだけどね。
テストの点数で「バトル開始!」テストが楽しくなった!
神社の縁日には塾や美容院が店を出して大賑わい。
ピアノ漫画でピアノを始め、サッカー漫画でサッカーを初め、今度は不良漫画で不良を始める男子。
白塗りバッハ変装で息子の初デートを見守る父。
みんなメチャクチャだけど「不良の決闘」「バッハ姿で自転車で疾走」「記念写真ではなく記念スケッチを残す父」は読んでいて変な感動があったかも??
「よくわかんないけど、楽しい」中学生活。 -
Posted by ブクログ
純文学?なのかな
短編がどれも読みやすく面白い。一番面白かったのは「世紀の善人」。すらすら読めてしまった本だった。また読みたい。
「世紀の善人」
主人公の安井から見たら、会社の同僚(サンゾウ)は全員同じ。自分では何もできない。それなのに安井のことをこき使ったりするなどする。なにか痛快で、また読みたいと思う話だった。
この筆者の会社に対する視点がすごく面白い。会社という組織を俯瞰して見ており、自分では何もできない会社にいる男の人たちを批判している。この主人公のフィルターから見る同僚(サンゾウ)は、群れないと何もできない、いつまでも男尊女卑がこべりついているそんな人間たち。終わり方も良い。また読みたい。
「小人二重面相」
小学6年生にして自分の容姿を見るのが嫌で鏡を見ることができない主人公の話。友達と卒業旅行でディズニーを計画している。けれども、写真を撮ると嫌でも自分の顔を見なければならず行きたくない気持ちになっている。そんな話。
小学6年生にしては考えが大人びすぎていて、そこまで大人びていたら相当頭いい子だろとか変な感情になってしまって入り込めなかった。
「わたしを庇わないで」
デブがデブと言われて、デブであることに対して開き直る話。自虐のワードセンスがよく、テンポ感が面白い。デブになってこれを読むと、デブであることを肯定してしまうような話だった。
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Posted by ブクログ
とてもとても良かった。
まず、夏川草介氏の書く小説の文体が好き。
今回はオーディオブックで聴いたのですが、目で文字を追って読んでも、耳で音として聞いても、スーッと心地よく入ってくる綺麗で粋な文体が好きです。
ストーリーも良かった。
医師を経験されていた作家さんだからこその、切実な医療に対しての想いがにじみ出ていて、読者に届いたと思う。
主人公の雄町哲郎だけでなく、見方によっては対局な考えを持つ飛良泉教授、哲郎とは違う路線を歩む花垣准教授、三人三様の想いが伝わってくる。
だけど、三人とも目的は一緒なのですよね、たぶん。
エピクロスというキーワドも、興味深かった。
あ、「スピノザの診療所」を読んでいなかったので、読まなくてはー!
お医者様にお世話になる可能性がある人(つまり皆)にお勧めの一冊。
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