小説・文芸の高評価レビュー
-
Posted by ブクログ
人の心を読む力を持つ医師・天久翼が、訳あり患者が集まる神酒クリニックで診療にあたる医療ミステリー。
本格的な謎解きの緻密さを楽しむというより、全体がひとつの“仕掛け”として組み上がっていくタイプのエンタメ作品。
個々のキャラクターや情報が無駄なく配置され、それぞれの役割が噛み合いながら、最後に一気に収束していく展開が心地いい。
段取りよく進んでいく流れと、迷いなく核心に踏み込んでいくテンポの良さが、この作品の魅力だと感じた。
天久翼の読心という能力は強力だが、それが物語の推進力となり、ためらいなく真実に迫っていく痛快さにつながっている。
その一方で、浮かび上がるのは人が -
Posted by ブクログ
納棺師、それも損壊が激しい遺体の修復を手掛けるだなんて凄いなと頭が下がる思いだった。
自分自身は人の死とは今のところは縁遠いが、保護猫活動で猫の死に触れる機会はこれまで多くあった。遺体というのは生きて眠っている状態とは明らかに様子が違っていて、遺体というそれだけでも強烈な物悲しさを発揮し、例えよく知らない子でも涙を誘う。死因や年齢も様々で、幼く理不尽な非業の死ともなると悲しみに胸を鷲掴みにされる。簡単に慣れてしまえるものではない。激しい感情の波は心身を容易く疲弊させてしまう。
だから長く納棺師の仕事を続けられるというのは本当に凄いことだと思う。そして死が常に傍にあるからだろうか。登場人物達はお -
Posted by ブクログ
『流転の海』全巻で毎日芸術賞
とうとう第九部まで読み終わってしまった。
達成感というより、まだ読み続けたいという思いが強い。
1巻目を読み始めた時は、熊吾に対する嫌悪感が強く、すぐにリタイアするものと思っていたが、宮本輝の読みやすい文章にも助けられ、ゴールインしてしまった。
数多くの裏切りにも会い、晩年は落ちぶれてしまった熊吾だが、無償の親切を施した、たくさんの人たちから、大将、大将と慕われたことも事実。
また、幼少の頃から、さまざまな悪所(ストリップ劇場、競馬、祇園のお茶屋、キャバレー、パチンコ屋など)を連れ回され、熊吾なりの人生訓を教え込まれ、人生勉強をさせてもらった伸仁(宮本輝)が -
Posted by ブクログ
面白かった…。最近読んだ「百冊で耕す」に読書の醍醐味は空気に浸ることというような記述があったけど、まさにその醍醐味を存分に味わうことができる極上の空気を持つ作品でした。「過ギニシ薔薇ハタダ名前ノミ」……痺れる。
「生真面目な行為の胡散臭さを嗤う」ことが人々が共通して持つ真理を失くしてしまうことになるという考えは、「これが正解だ」と決して言うことができなくなった近年の流れの出発点のように思える。
アリストテレスの詩学第2部やミケーレ、オッカムのウィリアム、「マルゲリータ」など実際の出来事や人物との繋がりも面白い。(解説読まんとわからんかったが)
「覚書」で作者が告白している「一人の修道僧を毒殺し -
Posted by ブクログ
ネタバレいや~ 平井 太郎さんのエピソードが面白いなぁ〜
岡本一平、田谷力三って、もしかして〜
Google ポチポチ 、、、
うわっ!! 実在の人物だ!! しかも本当に後援会を作ってる!!
あれ!? これは、ノンフィクションだったけ!?
違う!? やっぱりフィクションだわ!?
いや! もうノンフィクションとしか思えない!
大正から昭和にかけて激動の時代を鮮やかなにえがかれていて、乱歩と千畝がそれぞれに悩みながら生きている姿が時に痛々しく、時に清々しい。
時代が、二人を取り巻く人々が、乱歩と千畝の人生に影響をあたえていくたびに、気をもみ、そして、胸をつまらせてしまう。
「愛・命・運・縁・恩 -
Posted by ブクログ
別の短編集めた本に載ってたのが面白かったので、読んでみたよ。
面白かったけど、私には製菓に対する知識がなさすぎるな…。そして化学も苦手なのだよ。説明されたら理解はできるのでまあ。
推理要素とお菓子、おいしくてよいね。推理は難しくなさそうに見えるのだが知識ないのでふんふん聞いてる感じでした。ただ最後の話は絶対これだろ、と思っていたのにまんまと手のひらの上だったのに驚かされた。そして前に戻る羽目になる展開。
少しずつ、本当に少しずつ、前に向かっていく主人公は応援したくなる。おいしいけれど、それだけではない。一歩を踏み出す勇気を褒めてあげたいお話。 -
Posted by ブクログ
最近の子供は物語を読めない?!
言葉の中身を理解できない子供が増える実態、そのルポルタージュの結果は…
この本を私が読んだ感想は、いろんな大人が都合を子供に押し付けた結果なのだと思う。
教育機関、SNS、家庭環境…
ままならない事もあるので、親とか先生とか特定の大人を責めても問題は解決しない。
どの環境においても、どの要因も歯車の一つでしかないので、どれかが上手く回らないと好転は期待できない。
ただ、やはり言葉を一つでも多く知ること、直接的に人と関わる機会を得ることで国語力は身につくものであることは想像通り。
それを、どの段階でどうやって身につけるかで人生変わるなと…。
国語力は社会を生きて -
Posted by ブクログ
面白かった。
●非常によく練られた物語だった。
●当時のラッセンの絵を思い出す。
●まさか、それをモチーフに、こんな壮大な嘘の物語なんて、話の冒頭では想像出来なかった。
●この物語は個性的なキャラクターが多くいて、特に最初は、主人公の年老いたキャリアウーマン、凄く地味なキャラクターだと思っていたら、巧みな取材能力でヴァレーズに関する核心に迫り、海玲の大麻クッキーなど巧妙な手口を見破るなど、想像できないキャラクターで、対する大麻クッキーなど、巧妙な手口を使う海玲やゴーストライターのグラントササキなど、癖のあるキャラクター盛り沢山で、ストーリーを終盤まで盛り上げている。
●ラストも最初は物足り