小説・文芸の高評価レビュー
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雄町哲郎(おまち てつろう)39歳、内科医。
京都市内にある48床の原田病院で、午前中は外来を診て、午後は市内の在宅患者を診て回る。
秋から冬、寒さの厳しい京都の描写が美しい。そこには、死の床にあってもなお美しく生きる京都人もいる。
哲郎が自転車で回る在宅患者は、ほとんどが死を待つ人である。
よく死ぬ。
意識のない患者にも、哲郎は丁寧に挨拶し、語りかける。そして、何よりも、介護に疲れている家族を思いやることを忘れない。
大学病院で医局長を務めていた頃には知ることのなかった、貴重な体験をしていると思う。むしろ、患者やその家族に教えられると思うのである。
病院で担当する患者の中にも、死を待つ高齢の -
Posted by ブクログ
久しぶりに、心が揺さぶられました。
単純に、すごい物語でもあるのですけど、そこから想起させられることがあまりにも重くて深くて、歴史って何だろうか? と考えざるを得なくなります。
特殊な時代、特殊な思想の下、普通の人々の多くは漠然と何が起きており、何がおかしいのか分かっていながらも、体制に迎合し、「喜んで騙される」ことを選択するのです。
その結果、事実は歪曲され、本質は封印され、歴史にはファンタジーも含まれていくのでしょう。
歌われなかった歌、語り継がれなかった言葉、その中にこそ、本当の歴史は埋もれているのかもしれません。
決してミステリ小説ではありませんが、お見事な伏線と回収もあり、思わ -
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Posted by ブクログ
高校受験という初めての自分の意思で決める道。子どもから大人になる前の第一歩。
物語の舞台は女子校のあるクラスが、合唱コンクールに向けて人選をし練習するところから始まる。
才能、夢への希望と挫折、友情、コンプレックス、嫉妬、親との確執、どれをとっても今だから考えること、仲間と一緒になって行動する大事さ。全てが甘酸っぱく、キラキラしている、それを歌うことでみんなの繋がりが出来るまで、練習しながら対話しながら、お互いに成長していく。
音楽、青春がてんこ盛り。
こんな小説が読みたかった。
私も一緒に成長したような気持ちにさせてくれてありがとう。
次作もあるようだ、早く手にいれなければ!
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Posted by ブクログ
ネタバレ9年ぶりの感想登録であることに驚愕。
久々に、「著書」ではなく「作品」を読み、自分なりに思うことがあったのでネタバレありで書いてみる。
前提として、当方は、秀逸なオチを提供してくれるなら読後感問わず評価する雑食系であることを断っておく。
この前書きから察せられるとおり、本作には痛快な話運びや登場人物への深い共感といったエンタメ要素はほぼないと言ってよいだろう。読み手の心に仄暗い陰を落とすような物語を、丁寧な心情描写と起承転結でくるんで、この世界のどこかで起きているかのようなリアリティに浸してお出ししてくる小説である。
前述した当方の価値観に照らすと、本作品に対する評価は文句なしの☆5である -
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