小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
その島で起こる「消滅」とは人々から物の記憶が消えること。消滅が起こると人々は消えたモノを粛々と処分し、それについての記憶をなくしていきます。
中には記憶を持ったままの人もいますが、そういう人たちは記憶狩りの対象に。秘密警察に見つかったら彼らは連れ去られてしまうのです。
カレンダーが消えて春が来なくなり雪が降り続く。多くの島民と同じように、消滅を受け入れながら暮らす小説家の「わたし」は、古くからの付き合いのおじいさんと共に、記憶が消えない男をかくまっています。
途中に挟み込まれる、主人公の書いた小説も、だんだん趣きが変わってきてゾクッとします。
周りのモノが一つずつ消えていき…終盤には消えっぷりが加速!もう脱力のラスト。
やっぱり小川洋子さんの雰囲気ですね、静かで綺麗で、ものすごく不穏。 -
Posted by ブクログ
評判が良いのは知っていたが、甘ったるい恋愛小説なんだろうと思いきや、ヒューマンドラマだった。
京都から瀬戸内海の島に転校してきた青埜櫂は、水商売をする金にも男にもだらしない母親と暮らしている。一方、井上曉美の父は女の家から帰らなくなってしまい、鬱病になってしまった母親と暮らしている、お互い駄目な親を持つもの同士理解しあいながら二人は恋人になっていく。村上春樹の登場人物のような、妄想にふけり、時に幻覚をみえてしまう統合失調症のような高校生ではなく、高校生らしい生活を送っていくが、やがて櫂は漫画家を目指し東京へ行くことにするが、曉美は母親が心配で島に残ることにする。櫂は漫画家として成功する。
櫂は曉美とは結婚したいとは思いながらも、気晴らしとして女を作り、曉美は就職して閉鎖的な島社会にうんざりしていく、そして休日は櫂に東京まで会いにいき、櫂の金遣いの荒さに批判的な思いをしながら、櫂は浮気していることにも気付いてしまう、しかし曉美はなにも文句を言わず物わかりがよい女として振る舞う、古臭いまるで母親のような保守的な女になっていた。一方、安らぎを求めていた櫂は、曉美にはおなざりな態度をとっていた。櫂はプロポーズしたが曉美は別れを告げてしまう。子供は環境によって変わるものであるが、櫂の母親と曉美の母親、二人が背負い込んだ荷物は勝手に影響を与えて変えることができない運命のように動いていく。ヤングケアラーは子供の人生を壊す危うさを孕んでいる。
櫂と曉美の人生は交互に書かれている。ここから櫂はゴシップから連載を中止され、太宰治の人間失格のように凋落していく、曉美も母親が宗教にはまり財産を失い、母親の交通事故の賠償金の支払いのため、仕方なく別れた櫂に借金を無心、櫂は快く承諾した。この時すでに借金しか二人の繋がりはない。
曉美の島での評判はさらに悪くなっていた。マイノリティに対して陰口をする。海は流れて清らかでも、島民の心は澱んでいる。曉美は櫂のことも知っている高校の時に世話になった子持ちの北原先生から陰湿で閉鎖的な島の生きる手段として、互助会としての結婚しないかというプロポーズを受けてしまう。これが結末なら櫂は惨め過ぎる。新しい結婚感という望みもしない進歩的な思想の価値観の押し付けなら興醒めだなあと思っていたが、最後はハッピーエンドで終わって安堵した。 -
Posted by ブクログ
プロローグ
そこは、灼熱の地、ソマリア
噴き出す汗は、またたく間に気化し地に届くことはない
だが何故だろう
止め処なく流れる涙は、気化するどころか頬を伝い胸へと流れていく
それは、散っていった物語の登場人物たちに手向けた涙なのか!?
今日もソマリアの大地の頭上には、真っ赤な太陽が君臨していた
本章
『土漠の花』★Super5
第68回日本推理作家協会賞受賞作品だが、本作は紛れもなく、冒険小説の傑作である
ソマリア国境付近で活動する自衛隊の精鋭部隊に命を狙われている女性が駆け込んできた時、自衛隊の命を懸けた戦闘が始まる
果たして、行きて生還することは出来るのか!?
よくある設定なのだが、いゃ〰読ませる、読ませる
手に汗握る展開がこれでもか?これでもかと押し寄せてくる
こういうの、こういうのが好きなのよ!
どストライクな作品である
そう思った!!!
エピローグ
“土漠では夜明けを待つ勇気のある者だけが明日を迎える”
その自衛隊の勇気がソマリアを救った
乾ききった大空に“タケトンボ”が舞った
それは、土漠の中で懸命に生きる花のように見えた気がした
完
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