小説・文芸の高評価レビュー
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葬儀屋で働く主人公や周囲の人々にまつわる差別や価値観の押し付けに向き合っていく話。
いつもながらの町田そのこだなあと思いつつ読みましたが、各章ごとに話の区切りがあり、それぞれに理不尽なことへの憤りと、そこからの気づき、一つの解のようなものが提示されてゆく、それらがなんというかよい着地で、ざわざわしながらも少しホッとさせてくれるのでした(3章だけはちょっと違く感じたけど)。
この方のほかの作品もそうですが、差別や抑圧に不満や辛さを持ちながら、いつか自身も内面に差別を抱えていることを自覚させられてゆく、という合わせ鏡のような構造をわかりやすく見せるために、登場人物の内心の描写がとてもシンプルか -
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ネタバレどうか、どうか、私。これから先の人生、他人を愛しすぎないように。愛しすぎて、相手も自分もがんじがらめにしないように。私は好きな人の手を強く握りすぎる。相手が痛がっていることにすら気がつかない。だからもう二度と誰の手も握らないように。
この抜粋に惹かれて読み始めた本。
ずっと水無月さんに感情移入しながら読んでしまった、すごくこわかった。
分かっていながらも飛び込んでしまった経験のある身としてはもうずっと、過去の自分を振り返ってるようだったし、自分の行く末をみているような気がした。
(もちろん状況や境遇は全然ちがうけども)
水無月さんは先生を好きだったのかな。先生へは憧れと好きを混同していたけ -
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2026年1冊目。すごく良かったです!
ルーティンをひたすら守り感情の振れ幅がまったくない生活から、平木さんまさかさんとの出会いで彩り溢れる人生がひらけていく感じ。最高でした!
離婚や不妊治療など、冬眠させていた過去の感情を少しずつ思い出してその都度辛くなりながらも乗り越えていく。その時に寄り添ってくれる人がいる。
大人になってから交友関係を広げることを面倒に思いがちの私ですが、出会いっていいなと素直に思える一冊でした。
まさかさんのこのセリフが素敵すぎて心に沁みました。言われたい…!!!!
↓
「僕らあとはもう自分にできることをして老いていくだけです。家のことも子供のことも義実家のことも -
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私の中で一つの忘れられない作品となった。
女、食、適量
私はこの3つがテーマだと感じた。
"フェミニズム""ルッキズム"に関して主人公の里佳は常に振り回されていた。
女子校で育ち王子様のようにかっこよくいて、女性を武器にして仕事を手に入れる人に嫌悪感を抱きながらも、太らないように気をつけて過ごしていた。
しかし、食に目覚め、体重が増え、彼氏をはじめとした様々な人から批判を受ける。
また、この話のキーマンである梶井真奈子は女性は男性を支えるべきであり、豊満な方がモテるというような事を終始述べている。
そして、里佳の親友の怜子に関するトピックで&qu -
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2025/01/03
何か久しぶりに王道の恋愛小説を読んだ気がします。
まずは何よりこの本がとても読みやすかったです。
主人公の勝利(かつとし)は高校3年生のときに遠方へ親が引っ越しする関係で父の友人の花村家のかれんと丈ともに同居することになる。
ともに生活をしていくうちに段々とかれんに惹かれていく勝利だが、かれんは勝利の高校の美術の先生でもあり、行きつけのカフェのマスターのことが好きということでしょうりのでるまくは最初は無さそうなのだが…。
タイトルにある通りで、2人の恋が成就していく過程が描かれています。とてもド直球って感じの恋愛小説だなぁって思いました。表現というよりも展開が読んでいてス -
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日本を代表するSF作品という評価に偽りないと感じました。
SF作品の面白さは設定の作りこみ、本当に起きているかのようなリアルさにあると思うため、舞台設定から描写まで非常に緻密でした。
今の世界情勢についても考えてしまう嫌な読後感ですが、そういった目を背けたくなるようなテーマを扱うことこそSF作品の価値だなと感じました。
テーマとなっている虐殺器官の真相、主人公の葛藤、世界観の残酷さと、読んでいてちゃんと嫌な気持ちになる作品で、様々な観点から考えさせられる作品でした。
こんな世界になっていたら自分もそうしてしまうんじゃないかと思う場面が多々あり、そんな葛藤の気持ちもテクノロジーにより制御され -
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一気読みしてしまった。
終始スズキタゴサクの掴めなさが不気味だった。対照的にどんどん追い詰められ、負の感情が顕現してしまう警察側の焦燥感が事件の深刻さ、異様さを表現していて一気に読んでしまった。結末は思ったよりも複雑だったが、齟齬や違和感はないながらも想定の外側で驚いた。「命の重さは平等か」という命題がテーマの一つであった。人類全体として俯瞰で見れば命の重さは平等であるというのが一般的というか倫理的に角が立たない答えだが、実際主観的に見れば当然命に優先順位はつくわけで、それはすなわち命の重さは平等でないことになってしまう。これはおそらく誰でもそうだと思う。公共の福祉を守る立場として、このパラド -
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ネタバレ青春版ツインピークスという感じでした。
ピップの性格といい、物語の展開といいとても好きでした。
以下ネタバレ
カーラとナオミの父であり教師でもあるエリオットは、関係を持ってしまったアンディを突き飛ばして頭を強打させ、アンディの恋人だったサルシンに罪を着せて殺してしまう。
アンディの妹であるベッカは、自身がレイプされた原因のドラッグをアンディが売っていたことを知り、問い詰めるが謝罪もなく無下にされる。小競り合いが起こった時、頭を強打した影響で倒れてしまうがベッカは助けずアンディが死んだ後別の場所の貯水タンクに死体を隠す。
小説内でも言及されていましたが、エリオットやベッカやア -
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推し活、あるいはアイドルを題材にした物語は世に溢れているが、この本がすごいのはアイドル本人ではなく仕掛け人、没頭する若者、その先に行ってしまったものの3人を主人公にしたことだと思う。アイドル自身の苦悩を書いた瞬間に誰かの共感を引っ張る陳腐な物語になっていたはずだ。
特におじさんが本当に良かった。孤独な人間は本当に脆い。毎回思うが朝井リョウは本当に何人頭の中に飼っているんだ?
また、どう見てもあの事務所だな、みたいなアイドル系の推し活にある程度知識があればすぐわかる元ネタや、講釈系数字系リアコ系などのファンのタイプ、チャートハック、熱狂的なファンを引き寄せるアイドルの傾向など本当に解像度が高い -
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やはり面白い。これほど世の中をデフォルメしつつ、生々しいリアリティを伝えてくれる作品はなかなかない。滑稽でユーモラスに感じることもあれば、生き残るために切実に普通を求めるお話でもある。
昔から家族に”普通”になることを望まれていたのだけど、本人は普通の基準がわからない。
そんな彼女がコンビニに出会い、その店員としてコンビニの部品になることで、普通に生きるための基準を得る。
コンビニというシステムの中で部品となることで輝く古倉恵子。
そんな彼女が結婚適齢期を過ぎてもコンビニバイトをし続けることに奇異の目を向ける世間…。
芥川賞受賞後にすぐ読んだので、その時以来だが今のほうが面白く読めた。いくつ -
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ネタバレ当初思っていた内容とは違っていて、初めはあまり進まなかったのだけど、上巻の中盤くらいからグッとギアが上がって、そこからはもうグイグイと引きずり込まれて、怒涛の展開に翻弄され、読み終わったいまではぐったりと虚脱しながらこの感想を書いています。
広東で幕を上げるこの作品、なにが起こっているのか明らかにならないまま、あれよあれよと物語は進み、舞台はイギリス、ロンドンからオックスフォードへ。
ほぼ史実通りのなか、たった一つのフィクションが紛れ込まされ、主人公はそのフィクションにまつわる大きな事件へと巻き込まれていきます。それは、「銀」を媒体とした「翻訳の魔法」。異なる言語で、同じ言葉を刻み込んだ -
Posted by ブクログ
ネタバレ■ 強く印象に残った点
- 「鳥の言葉」という、これまで学問として正面から扱われてこなかった領域に挑み、新しい分野を切り拓こうとしている点のすごさ。
- 一つの対象に極端なまでにのめり込み、食事を忘れるほど集中する姿勢の面白さと凄み。
- 実験の設計や検証の過程、鳥の鳴き声の意味づけが非常にわかりやすく、読んでいて純粋にワクワクする。
- 「動物が言葉を話すかもしれない」という問いを、ロマンで終わらせず、粘り強く検証していく探究心。
■ 読みながらの率直な反応
- 一つのことにそこまで没頭できる姿勢への強い羨望。
- 新しい発想を形にし、実験方法そのものを生み出してい