小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
続編が出ていることを知らず、手にした時はきゃーと歓喜の声をあげてしまった。内容は期待を上回ったのはいいが、出先で読んでいたら涙が止まらず、マスクをしていたことを幸いに目を瞬かせてなんとか凌いだ。
藤竹先生が去った後の定時制に、訳あって入った生徒たち。佳澄ちゃんの起立性障害(だっけ)や岳人のような発達障害が原因で定時制に入っている人もいるということは前作で知ったが、外国にルーツを持つ子、持病、色々な事情で全日制に行けない人がいると知り、通信制を含めてオプションが広がっていくといいなあと思うばかり(なのに東京都の教育委員会は!って感じだが)。定時制に進んだかつての中学の同級生は今はどうしているのやら(当時の私の生きていた世界は狭かったなあ)。
メインキャラのさなちゃんが純真すぎるところは若干リアルさがないが(いや、こういう純真な子こそ中受を乗り切れるのか?)、どの子もそれぞれの長所で貢献できる姿が眩しい。悪い人は出てこないと安心して読んでいられるからこそ、ああきっとこの子も科学部に入ってくれるのねとワクワクしながら読めて嬉しかった。あーすでに続きが読みたい。続きでないかなあ。伊与原さん、3作目もお願いします!!!
(でも翠雨の人も良かったので、あれ系の伝記ものも読みたいです) -
Posted by ブクログ
- 嘘も百回言えば、真実になる。
「厄介なのは、本人にも噓をついている自覚がない場合だ。噓も百回言えば、真実になるんだよ。少なくとも当人にとってはな。」
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テレビ局の下請け制作会社で主に報道系を担当する三田紗矢子。入社七年目にして 人気ドキュメンタリー番組『十一時の肖像』に自分の企画書が通る。
三田が追うのは 母親が乳がんを患った時に見つけた、気鋭のがん研究者・嘉山宗弘教授。人間の老化を止め、がんの進行も抑制するとされる「不老因子」を発見し 脚光を浴びる嘉山教授の存在を広く知ってもらいたいと意気込む三田。
しかし、密着取材を続けるうちに 教授の言葉に違和感を覚え始める。
やがて、三田は「不老因子」の研究不正という噂にたどりつき…。
不正が事実であれば 番組は放送できない。はじめは嘉山教授の疑惑を払拭しようと動き始めた三田だったが、 不正の信憑性が増すにつれ 三田の作る「作品」は姿を変えていく。
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岩井さんもインタビューで仰られていたように、「不老因子」は「STAP細胞はあります!」の事件が根底にあるそうです。
誰が嘘をついている?
それともみな真実を語っている?
やばい!面白い!
研究の不正を暴くストーリーのようにみえて
次第に 三田の様子がおかしいことが気になり始めます…。
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「わたしは嘉山教授の不正の証拠を必ず見つける。だって、それが使命なのだから。」
「そこに至るルートが多少ねじ曲がっていても、ゴールさえ正しければ、悪を絶すことができる。」
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はぁぁ〜ずっと心臓がヒリヒリ ビリビリする読書でした。
人が誤った方向に進んでいく様子を読んでいくってさ、ヒリヒリよね。 そしてバクバクでもあるよね。その過程が すごく丁寧に描かれていてね。流石です! どんどん読み進めちゃいます。
で、タイトルの『風車と巨人』とは
セルバンテスの古典名作『ドン・キホーテ』の有名な一節に由来しています。
自分を正義の騎士だと思い込み、風車を巨人と勘違いして突撃していくドン・キホーテの姿は嘉山なのか、それとも…
(Google AIより)
あとね やっぱりね 人が判断を誤る時って その時の精神状態だな〜って改めて思った!
過度なプレッシャーと睡眠不足。そう!睡眠不足!これ本当そう。初めての出産で全然眠れなくなっちゃった時に本気で我が子をどこかに預けようって旦那さんに相談してたこと思い出した。今では不可解な考え! ちゃんと食べてちゃんと寝ろ!!
ってことを客観的に見てくれていた吉沢(突然の)。良い奴だったな。
そしてそして、肝心のラストですが
めっちゃ予想の斜め上!!
これを面白いと捉えるかは あなた次第!!(あたりまえ)
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Posted by ブクログ
なんといっても可笑しいのは、グレーゴルは虫になったのにその原因を探ることは一切せず、遅刻してしまう仕事の心配ばかりしていること。家族も彼の変身に驚きはするがすぐに事態を受け入れてしまう。なぜ虫になったのか、人間に戻れるのか、そういう疑問はまったく出てこない。
グレーゴルが変身した虫は原語だとUngeziefer(ウンゲツィーファー)で、語源的に「犠牲に捧げるのにふさわしくない動物」という宗教的な意味を持つ。捧げ物としてふさわしくない動物イコール役立たず、厄介者とも解釈できる。これまでは家族のために自身を犠牲にするかのように働いて一家を支えてきた男が、一晩で役立たずになる。グレーゴルの変身はいわば二重に起きているのだ。人間から虫へ、大黒柱から厄介者へ。役立たずの厄介者は共同体から排除される。資本主義の非人間性を描いていると見ることもできる。
引きこもり小説、または介護小説としても読める。引きこもりの息子は家族の恥だからと家族だけで問題を抱え込む。介護しているうちに人間から物のように見なされていく。かつては家族を支えた男が、いつしか妹から「あれ」呼ばわりされ人間扱いされなくなる。
変身はグレーゴルだけではなく家族にも起きる。かつては一日中パジャマで過ごしていた父親は銀行の用務員になり、それを誇りに思って帰宅しても制服を着たままで過ごす(人格と職業が混ざり合うところも資本主義の一面を象徴しているように思える)。バイオリンに夢中だった妹は音大への進学を諦め店員として働き出し、将来の転職に向けてスキルアップの勉強を始める。そして借金を抱えているとグレーゴルは思っていたのに、一家にはひそかに貯金があったことが判明する!
意思の疎通のできない化け物になってしまったと家族は思っていたが、グレーゴルには人間性が残っていた。妹が演奏するバイオリンを聴こうと半開きのドアの陰からリビングを覗き込むシーンは、この小説中もっとも鮮烈なイメージとして脳裏に浮かんだ。「こんなにも音楽に感動しているのに、それでも動物なのか?」
過去に高橋義孝と池内紀の翻訳で読んだが、この川島隆訳がこれまで読んだ中でもっとも読みやすく感じた。70ページもの詳細な解説が付いていて読む助けになる。これから変身を読むならこの角川文庫がいいのではないかと思う。結びの文章が倒置法で訳されていてちょっと違和感があったけど、その意味は100分de名著の解説を読んで納得した。
グレーゴルが変身した意味や解釈を固定化してしまうと却って作品を矮小化してしまうように感じる。曖昧なまま、各人が見えるものを見出せばいいのだろう。100ページに満たない分量に対して釣り合わないほどの巨大さ。カフカすげえなあ、と今更ながら唸らされる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『イン・ザ・メガチャーチ』を読んだ後ということもあって、人は刺激的な「物語」に飢えているんだな、と感じた。
記事や断片的な情報を見ただけの人たちが、勝手に憶測をつなぎ合わせ、もっともらしく刺激的な物語を作り上げ、それが噂として広がっていく。でも、25年前の事件をめぐって地元で起きたことを見ていると、これはネットだけの問題ではない。ネットによって速く、広く拡散されるようになっただけで、曖昧な情報を面白い物語に仕立てて他人に語りたくなること自体は、昔から人間が持っている醜い部分なのかもしれないと思った。
特に印象に残ったのが、25年前の事件で娘の紗英を亡くした父・新沼忠治の言葉。自分たちについて好き勝手に言う当事者ではない人たちの声よりも、本当に心配し、信じてくれる人たちのことを考えればいい、という考え方がとても力強かった。長年、自分自身も噂に傷つけられてきた忠治が言うからこそ、重みがある。
上巻の時点でかなり面白い。人がなぜ他人の事件にここまで「参加したがる」のか、その怖さがじわじわ伝わってくる。下巻で事件と噂がどうつながり、どこへ着地するのか楽しみ。と考えている自分もまた、この事件を楽しんでいる第三者だと思うとなんとも言えない気持ちになった。
上巻時点評価:8.5点 -
Posted by ブクログ
新興宗教の絡む作品と聞いて、読む事に躊躇してましたが、素晴らしかった。読後の余韻に浸ってしまいました。作家でもあり文部科学大臣である男が表彰式の壇上で男に刺殺される事件。犯人による手記によるノンフィクションの話ととある作家のフィクションの物語。この二分構成が上手いと思う。最終章を読み終わったとき、はたしてこの結末は救いだってのか。
本で読み終え、この作品がオーディブルで聞くために書かれた作品と知り、2周目をオーディブルで聴きました。読むのと聴くのではまた違った雰囲気を感じました。ナレーションに櫻井さんと早見さんは豪華すぎます。今年読んだ中でイチオシの作品になりました。
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