小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
当時本当に死を意識しながら、決死隊として尽力されてきた人たちのリアルを知った。ここまで危機的状況だったとは。とにかく菅首相がいらんことしてくれるなぁーと思ったけど、東工大の出身で意外と物理の基礎知識があったこととか、情報がない中であの動きに至るのはやむを得ないのかなとか、少しわかることもあった。政府、東電本部と現場の動きとか、自分の会社でシステム障害起こした時の感じを思い出した。とにかく吉田所長のリーダーシップ。東工大大学院出身でどちらかというとエリートコースだったのかと思うけど、現場の作業員達とも関係性深く、学生時代から持っていた仏教への深い知識や関心のベースがあったからこそ、死の淵であれだ
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今作は、一枚の地図に隠された謎を、青年時代の栗原さんが追うミステリー。
謎が謎を呼ぶような展開と、その圧倒的な読みやすさで、今回もページをめくる手が止まらず一気に読み終えてしまいました。
作中には、ときに「これは必要なのだろうか?」と感じるほど色々な図解が挿入されています。でもこれは、読書に慣れていない方や、怖いのが苦手な方でも物語の世界にスムーズに入り込めるよう工夫された、雨穴さんならではの仕掛けなのだろうと感じました。
今回印象的だったのは、単なる謎解きミステリーに留まらず、登場人物たちの感情に焦点が当てられていた点で、切なくも爽やかな読後感でした。
雨穴さんの作品は、いつも物語にぐ -
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とても感銘を受けた1冊です。
書かれているどの人物も皆記憶に刻みつけられる話ではあるが、特に岡田資、大西瀧治郎、満淵正明、有泉龍之助、本間雅晴、阿南惟幾の話は非常に考えさせられるものでした。
我々はこういう人達のことをあまりに知らなすぎる。自分達の国は、この様な立派な方々の人生と死の上に成り立っていることを、しっかりと学ばねばならない。この本に書かれている人達の前で、誇れる日本を我々はつくれているだろうか。恥ずかしいことをしていないだろうか。自分の利益ばかりを追い求めていないだろうか。
この本は、多くの日本人に是非とも読んで頂きたい1冊である。そして、恥ずかしくない人生を送ることを決意させ -
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ネタバレプロローグで語られた、「その光を私は浴びたことがある」という言葉は、抽象的な表現だと思ったが、決してそうではなくそのままの意味だった。それが分かるのは、本当に最後の最後でありながら、冒頭のその言葉がそのシーンまで記憶に残されていたのは、たまたまではなかったと思う。何気ない言葉のようで、知らず知らずのうちにこころに引っ掛らせる力があったのだろう。
主人公がつらつらと語るシーンは、良くも悪くも、頭の良さが垣間見れた。人を見下すというのは、どう考えても良くない部分ではあるけれど、特別なものではない。みんな口には出さなくても、自分より下の相手を見つけて、人のダメな部分を心の奥底で馬鹿にすることで、安 -
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千早茜さんの最新作を読みました。
大好きな作家さんということもあり、主人公マリエが離婚後に出会う年下の恋人との関係が気になって、数時間で一気に読み終えてしまいました。
マリエの性格が自分と少し重なり、自然と親近感を覚えました。
「人は役割に流されて、欲しいものや本当の気持ちを忘れていく」
「確かなのは、嫌悪や別離に至るまでもない小さな幻滅や諦めは生活のあちこちに散らばっていて、こうして離れるまで私はそれに目をつぶっていたということだ」
これらの言葉を読みながら、
これを言ったら相手にどう思われるだろう。
私は相手にとっていいパートナーでいられているだろうか。
自分の気持ちを我慢してまで「 -
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ネタバレ梓崎優先生の最新刊が読めるなんて!嬉しすぎる!!
普段は風景描写が苦手で目が滑るけど、梓崎先生は本当に目に浮かぶ様に描かれててずっと読んでいたい。そして着地があまりに素晴らしい「美しい雪の物語」。
「重力と飛翔」を読んでて思い出したの(大好きな!)宮部みゆきさんの現代青春モノ。淡々としていた語り手が最後に辿り着いた感情の正体に気付いた時の切なさたるや…!
キャラの立った3人の学生が魅力的な謎について語り合う表題作の「狼少年ABC」は(やっぱり大好きな!)伊坂幸太郎さんのよう。少し鬱屈とした現状を吹き飛ばすような、愉快な未来を感じさせてくれるラストも素敵!
そして、個人的に人生で1番好きな短