あらすじ
小学生のとき、担任の先生と町の外からやって来た男が駆け落ちしたのを忘れられない主婦。東京でバツイチ子持ちの恋人との関係に寂しさを覚える看護師。認知症の義母に夫とのセックスレスの悩みを打ち明ける管理栄養士。父と離婚した母が迎えに来て、まもなく転校することになる小六の女の子。発達障害のある娘を一人で育てるシングルマザー。小さな町で、それぞれの人生を自分らしく懸命に生きる女性たちを描いた感動作。
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過去も含めて、全部が自分なんだ。
僕にも、思い出したくない過去がある。
できれば目を背けて生きていきたい。
けれど、怒りも後悔も、そして汚点さえも、
真正面から受け入れたときに初めて、自分の糧になる。
誰かの痛みにも、少しだけ寄り添えるようになる。
だからこそ、いつからだって、
失敗を成長に変えていく努力を続けたい。
「取り返せ」
チャンスは、そう何度も転がってこない。
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男尊女卑に支配された過疎地でもがく女性たちのお話。
徹頭徹尾女性視点で描かれるお話のため、男の私には読むのがキツイところもなくはなかったですが、それでもとても良かったです。辛い状況の中自分を見つけようと縋りもがく人たちの姿が美しいと思いました。
福島のエピソードがないのが意外に感じました。あってもよかったのに。しかし、最後にきれいにまとめるものだな。それもよかったです。
「月とアマリリス」に続いて北九州が舞台となっていて、北九州から抗議でも受けそうだなと思いながら読みましたが、月とアマリリスでは男尊女卑を基本的に男の罪として取り扱ったことに対して、本作では男女が共同で男尊女卑という環境を作り出していることを指摘しています。正直女性作家からこうした視点が出てくることは意外でしたが、むしろそれがとてもリアルに感じられました。「女性の敵は女性」というのはまさにこれのことなんだろうと。
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やっぱり好きだ。町田そのこの世界観にミステリーはいらないんだよな。日常の閉塞感の中で生きる人の背中をそっと押してくれて、その先に細い光を見せてくれる。子ども達が校歌を歌う様でも涙してしまう。これからもこんな作品が読みたい。
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連作短編集
ドヴォルザークの「家路」=「新世界より」
小学生の時、確かに校庭に流れていた記憶がある。
日常の終わりに、日が沈み、家路を急ぐ。
そこには暖かい家族が待っている・・・
しかし、どんな家庭にも暗闇がある。
そこから、新しい世界に飛び出せれば、と望む人もある。
閉鎖的、男尊女卑、地方の小さな町にはよくある出来事を、5人の女性を主人公に、細かく描写している。
力のある者が「鶴の一声」で、周りをまきこみ、
何も言えない者は、ただ従うだけ、
そんな息苦しい世界から飛び出すには、勇気がいる。
田中先生の温かい言葉が、とても心に染みた。
でも、なかなか口に出して言える人は少ない。
玄があのような大人になったのは、やはり、
群先生の事件が「性的虐待」として、心に傷を負ったからだと思う。
少女から女性になる、微妙な心模様が、感情移入しっぱなしだった。
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音楽は年を経てもその人の心をすぐに立ち戻らせることができる。給食、お掃除、放課後の、あの音。
そんなこともあったな、とノスタルジーに浸れるお話。
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ドヴォルザークの音楽と校歌がひとつの感情が動く装置になる仕掛けが良い。小さい町・小さいコミュニティのギスギスした部分には、なんだか見覚えがあって少し苦しい…町田先生は女性の生々しい感情を描くのが上手。子ども視点の章と1話を回収する最終章が好きだった。部外者だからこそ言えること、壊せたもの。最後はスッキリ。
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教師のセックスシーン…からどう展開していくのかと思って読んでいたけれど、連作としてさまざまな視点からの話が面白かった。浮気相手目線の話がいちばん胸にきたな。自分で自分を幸せにする。
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九州北部、廃校が決まった柳町小学校で最後の秋祭りが行われる。そこに因果のある女性たちを主人公にした5編の連作短編集。
いかにも九州らしい(というのは偏見なのか?)旧態依然とした男尊女卑や閉鎖した村社会でもがく女性登場人物たち。そりゃ、こんなに住みずらそうな環境なら、みんな出ていくし、子供も減って廃校にもなるよなぁ、と簡単に思ってしまってはいけないのだろう。
育児や家事を女性に求めてしまう環境は未だにあるし、うちなんかもついつい負担を強いてしまっているかも知れない(できるだけ気を付けてやれることを見つけてやってるつもりだが)。
男女参画とかエラそうに言うてるけど、結局政治と経済が舵を切りそこなった上に、地震や気候変動や疫病で貧しくなり、金を稼ぐ人を増やさざるを得なくなった日本。根本的な性差の差別がいけないのは勿論のことだが、性別の一方に経済的な利益のない作業を強いるだけの余裕がなくなったことをエエ加減冷静にしっかり受け入れないと、衰退のスピードはあがる一方ではないか?
物語のラスト、ドヴォルザークのBGMが終わるとともに、ここまで登場した女性登場人物たちがさまざまな開放を予感させる。現実の俺たちは開放して前に進める、ドヴォルザークを聴くことはできるか?
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とても良かった
読み終えたあと清々しい気持ちになった
田舎に暮らす女性たちのそれぞれの生き方や感じ方、取り巻く自然の有り様が作者の巧みな表現力によって場面場面が映像として浮かぶ
誰もが抱える葛藤や後悔や迷い
共感したり圧倒されたり
町田その子さんさすが!
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自分らしく生きることの難しさみたいなものをひたすらに感じた本でした。特に田舎街で、子どもを育てる女親にとっては。すごくわかるなと思う部分もたくさんありました。
最後の終わり方は自分的には少し微妙でしたが、随所に散りばめられた名言のようなものにはハッとするセリフもあったり、自分の背中を押してくれるような言葉もあったりで、総じて読んでよかったなと思える作品でした。
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廃校になる小学校の最後の秋祭り…。
準備に追われるママ達のその時の心境や日常の『思い』『悩み』が色んな方向から知ることができて面白かった。
姑との関係性は『田舎あるある』かもしれないなぁ。と、思っていながら読んでいました。
それにしても、登場人物が多くて覚えの悪い私は読むのにすごく時間がかかってしまいました(汗)
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かつてこんなに冒頭がインパクトのある小説があっただろうか。
【担任の先生のセックスを見たことがある。】
ですよ!?その言葉にもびっくりですが、想像すると、もっとびっくりですよねΣ(・□・;)
だって小学生がそんなのを見た日にはとんでもない衝撃ですよね!
そんな冒頭で始まる物語はめちゃくちゃ優しい物語でした。
その担任の先生のセックスを見た少年少女が大人になってからの物語。
小学校が来年廃校になるということで、秋祭りが舞台となって、それぞれの人物の物語が始まります。
そういえば、私の母校の小学校も、三世代ふれあいとかいって、小学生は劇をやったり歌を歌ったり、そして保護者は豚汁を作ったりってことがあったなぁと、まるでこの地元のことを描いているんじゃないかと思ったほど。
この田舎では、男尊女卑やら昔のことで笑ったり、なんとなく閉塞的な空気が流れている。
そんな場所で作者が言いたいことは、きちんと声をあげないといけないということ。そして、自分だけは自分のために最後まで足掻くべきであって、自分のために闘うことを放棄しちゃいけないということを伝えている。閉塞的な空間であればあるほど、こうした方が楽だなとか、角が立つから言わないでおこうとか思ってしまうことが多いけど、ダメなことはダメときちんと声をあげていかないとと思わされた。
この物語には流されやすくて、読んでいてイライラしてしまう人も多く登場するが、何人かカッコいい人も登場する。私は特に佳代子さんの義母がカッコよかったなぁ。あの章は読んでいてずっと清々しかった。
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狭いコミュニティでの暮らしにくさが、人間模様と女性心理を交えて描かれている。1日の終わりを告げるドヴォルザークの家路とともに、その辛さや悩みにも終止符が打たれているように感じ負の感情ばかりではない。
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廃校が決まっている小さな町の柳垣小学校のお祭りを舞台に、在校生、保護者など、柳垣小学校に縁のあるそれぞれの人物の視点から、それぞれの人生の物語が描かれているのが面白かったです。
最後の、村上三好と考えが似ていて凄く共感する場面があって、「そうそう、ホンマそう!!」って呟きながら読み進めていたのが印象的でした。
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて手に取りました。のちに作者を見て、52ヘルツのクジラたちと同じと知りました。そちらは未読ですが気になっている本です。
読んでから少し間が空きましたが覚えている範囲で感想を。
誰もが、見た目からはわからない悩みを持っている、ということを考えさせられました。
また、自分の小学校の頃に思いを馳せ、25年ほど前・・ずいぶん昔のことだな・・としみじみと感じました。
個人的には登場人物が多い上に、苗字だけ、名前だけで語られることがあり混乱しました。メモしながら読めば良かったです笑
いつかのあのこ
「自分に嘘をつかないところは、美徳でもある。悪いことは、もちろんやったらいかんけど、でも素直さは大事にしなさい。」
これは自分の子供にも伝えたいと思いました。
「いつも奪われる側だから、奪う側になってやりたい」という考え方で、浮気をさせる。方法はよくなくても、悲しい理由だなと感じます。
自分のために戦うことを放棄しちゃダメだ。
この言葉も素敵でした。
クロコンドルの集落で
昔小学校で教師をしていた田中先生ー認知症のおばあちゃんのはなし。一番好きだったかも。セックスレスに悩む主人公に、本当は義理の母だが、母として寄り添ってくれる姿に感動した。
最終章は、伏線が回収されてスッキリする展開でした。どの章にも出てきて、気になる存在だったピンクの髪の毛の女の子が、大活躍。
しかしただただ、香坂は気持ち悪い笑
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登場人物それぞれの想いが章ごとに描かれ、どこかで繋がっていた。大人になった女性の鬱々とした悩みに共感できる所もあった。自分だけの為だけに生きていけたらもっと楽なのにな…。
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この作品を読んでほとんどの人は故郷のことを思い出すであろう。
自分が小学生だった頃の景色が蘇ってきた。
いつまでもあるものだと思ってしまうが廃校になることだってあるわけで。。。
もし廃校になるとして大人になりそこを訪れた時に何か忘れていたことを思い出すこともあれば今を生きているがゆえにそこにまた置いていく思い出もあるのだろう。
読み始めは田舎の閉鎖的な世界での女同士の嫌な部分が見える内容だったので不快な気持ちで読み進めましたが全体を通してそれぞれの視点で描かれているのでその人の立場での気持ちが読み取りやすかった。
人には色んな事情があるんだなと改めて思う。
みんな複雑な気持ちを抱えながらも生きている。
話に出てくる夕暮れの情景がハッキリと目に浮かぶ作品でした。
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田舎特有の人付き合いと男尊女卑としがらみやらなんやら要素が多すぎるしクソ男の博多弁がリアルで終始イライラした、実際見えないだけでみんな内側は汚くて汚れてて思うこと悲しいこと傷つくこと抱えて普通のフリして生きてるんだろう、見えないけど同じ時間を一緒に過ごしてる
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情報量が多過ぎて酸欠になりそうだった
今日だけ盛り上がっている廃校直前の小学校、
田舎の閉鎖的な雰囲気が暗くて登場する女性全員の裏の声がエグくてうへーっと思ったけれど、
そこで育った者たちの事情があって皆必死で生きている
しかし香坂、マジきっしょ!
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なんとなく息苦しさを感じながら読み終わった。捨てたいものや守りたいものは人それぞれだけど、彼女たちの選択が後悔のないものでありますように。
「我慢して、諦めて生きんでええ」佳代子さんの義母の言葉が心に響く。きっとクロコンドルの仲間の監視を逃れて、由真の父親に会えたね。
たいした不満もなく笑っていられるあたりまえの日常に感謝。
ドヴォルザークの家路から、貴志祐介著「新世界より」を思い出した。内容によってこんなに曲の印象が違うものかと…
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登場人物の視点から主観、客観が切り替わる町田その子独特のストーリー編成
自分はどこの立ち位置なのか、それともどこにも嵌らないのか、自分に置き換えながら読み進めることもできる
誰にでもあるような、日常のザラザラした一コマを、ドボルザークで纏めているところがこの作品の秀逸なところだと思う
町田その子の作品は他にもたくさん読んできたけど、割と軽めだと、私は思います
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新聞の書評にあり読んでみた本。
インパクトが凄すぎる始まりから、閉塞感漂う田舎の小さな街の小学校、廃校をテーマにし、女性の抱える様々な問題を取り上げている。
ドロドロとしたところが多少あったので、田舎育ちの私は、昔を思い出したりもした。
群先生のような噂になる事は、その地域では、誰かしら伝わっていくことが多いのも事実。
最終的な着地は、ちょっと想像していたものとは違ったのもよかったのかも?
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閉鎖的な田舎で、いろんなもやもやを抱えながら生きていく女性たちの物語(出た人もいるけど)。廃校になる小学校でのお祭りを舞台にした連作短編集。
登場人物が多くて、最初少し混乱した。
なんだか苦しくなるような話ばかりで、少し気持ちが疲れてしまった。時代遅れの男尊女卑の風潮も最悪。
そんな中でも、軽度の認知症である田中先生は、よかったな。義母の言葉に救われる気持ちになって、よかったなぁ。
夫とは別れても、夫の母や姉妹はいい人だから、そこの縁が切れるのは寂しいと思う気持ちは、なんかわかる気がする。
最初いいやつと思ったこうちゃんは、最後は、なんだかなぁ。
最後までなんとなくもやもやする物語だったかな。
Posted by ブクログ
あるいなか町で年度末に閉校になる小学校の最後の秋祭りに集まった在校生、保護者、卒業生達。
各章でその中の一人ずつスポットを当てていて、いなかのしがらみ、閉塞感の中で生活する女性(や女児)たちが描かれています。
田舎ならではの、住んでいる人みんな知り合い、男尊女卑等の昔からの慣習や考え方。
これは確かに今の時代、息苦しいだろうな、と思う一方で、ちょっと話がうまくできすぎている感が拭えませんでした。
小説は色んなストーリーがあっても全然不思議ではないはず。
なのになぜそう思ったのか考えてみましたが、日常の一コマを切り取ったような設定なので、自分の想定する範囲のようなものがあり、それを大きく超えるような、極めて起こりにくい展開になっていたからなのかな、と思い至りました。
Posted by ブクログ
お祭りの準備から本番までの日々を複数の主人公の目線で描くザッピング形式の話。
一話目のドヴォルザークの檻の、田舎の狭い人間関係、無理解な家族の描写が解像度高すぎてこの話は読むのが心底苦痛だった。
二話目以降はそういった描写が抑えられていたので、この人から見るとあの人はこういう風に見えているんだな、と言った楽しみ方ができるようになった。
最終話で第一話の魔法が解けた瞬間が客観的に描かれていて面白かったけど、香坂君が悪者すぎるように描かれているのがちょっと気になった。香坂君は間違いなくキモいけど、悟志もかなりキモいのにちょっと改心して株を上げてるのがなんだかな〜と思った。
Posted by ブクログ
田舎特有のコミュニティの狭さや、男尊女卑の描写が苦しくて読むのがしんどかった…
刺さるセリフもあり、描写の上手さに流石だなと思うものの、今の私には合わなかったかも
共感できる登場人物がいなかったのにも驚いた
香坂さんはいい人かな…?と最初に思ったものの、あまりの気持ち悪さにドン引きです笑
そして衝撃的な書き出し、忘れられないと思う
Posted by ブクログ
すごい場面から物語は始まる
女目線の話かな
同じものを見ても類と香坂の感じ方の違い
男女の違いがハッキリ出ていた
全く素敵な男の人出てこなかったなぁ…