あらすじ
小学生のとき、担任の先生と町の外からやって来た男が駆け落ちしたのを忘れられない主婦。東京でバツイチ子持ちの恋人との関係に寂しさを覚える看護師。認知症の義母に夫とのセックスレスの悩みを打ち明ける管理栄養士。父と離婚した母が迎えに来て、まもなく転校することになる小六の女の子。発達障害のある娘を一人で育てるシングルマザー。小さな町で、それぞれの人生を自分らしく懸命に生きる女性たちを描いた感動作。
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Posted by ブクログ
過去も含めて、全部が自分なんだ。
僕にも、思い出したくない過去がある。
できれば目を背けて生きていきたい。
けれど、怒りも後悔も、そして汚点さえも、
真正面から受け入れたときに初めて、自分の糧になる。
誰かの痛みにも、少しだけ寄り添えるようになる。
だからこそ、いつからだって、
失敗を成長に変えていく努力を続けたい。
「取り返せ」
チャンスは、そう何度も転がってこない。
Posted by ブクログ
九州北部、廃校が決まった柳町小学校で最後の秋祭りが行われる。そこに因果のある女性たちを主人公にした5編の連作短編集。
いかにも九州らしい(というのは偏見なのか?)旧態依然とした男尊女卑や閉鎖した村社会でもがく女性登場人物たち。そりゃ、こんなに住みずらそうな環境なら、みんな出ていくし、子供も減って廃校にもなるよなぁ、と簡単に思ってしまってはいけないのだろう。
育児や家事を女性に求めてしまう環境は未だにあるし、うちなんかもついつい負担を強いてしまっているかも知れない(できるだけ気を付けてやれることを見つけてやってるつもりだが)。
男女参画とかエラそうに言うてるけど、結局政治と経済が舵を切りそこなった上に、地震や気候変動や疫病で貧しくなり、金を稼ぐ人を増やさざるを得なくなった日本。根本的な性差の差別がいけないのは勿論のことだが、性別の一方に経済的な利益のない作業を強いるだけの余裕がなくなったことをエエ加減冷静にしっかり受け入れないと、衰退のスピードはあがる一方ではないか?
物語のラスト、ドヴォルザークのBGMが終わるとともに、ここまで登場した女性登場人物たちがさまざまな開放を予感させる。現実の俺たちは開放して前に進める、ドヴォルザークを聴くことはできるか?
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて手に取りました。のちに作者を見て、52ヘルツのクジラたちと同じと知りました。そちらは未読ですが気になっている本です。
読んでから少し間が空きましたが覚えている範囲で感想を。
誰もが、見た目からはわからない悩みを持っている、ということを考えさせられました。
また、自分の小学校の頃に思いを馳せ、25年ほど前・・ずいぶん昔のことだな・・としみじみと感じました。
個人的には登場人物が多い上に、苗字だけ、名前だけで語られることがあり混乱しました。メモしながら読めば良かったです笑
いつかのあのこ
「自分に嘘をつかないところは、美徳でもある。悪いことは、もちろんやったらいかんけど、でも素直さは大事にしなさい。」
これは自分の子供にも伝えたいと思いました。
「いつも奪われる側だから、奪う側になってやりたい」という考え方で、浮気をさせる。方法はよくなくても、悲しい理由だなと感じます。
自分のために戦うことを放棄しちゃダメだ。
この言葉も素敵でした。
クロコンドルの集落で
昔小学校で教師をしていた田中先生ー認知症のおばあちゃんのはなし。一番好きだったかも。セックスレスに悩む主人公に、本当は義理の母だが、母として寄り添ってくれる姿に感動した。
最終章は、伏線が回収されてスッキリする展開でした。どの章にも出てきて、気になる存在だったピンクの髪の毛の女の子が、大活躍。
しかしただただ、香坂は気持ち悪い笑
Posted by ブクログ
お祭りの準備から本番までの日々を複数の主人公の目線で描くザッピング形式の話。
一話目のドヴォルザークの檻の、田舎の狭い人間関係、無理解な家族の描写が解像度高すぎてこの話は読むのが心底苦痛だった。
二話目以降はそういった描写が抑えられていたので、この人から見るとあの人はこういう風に見えているんだな、と言った楽しみ方ができるようになった。
最終話で第一話の魔法が解けた瞬間が客観的に描かれていて面白かったけど、香坂君が悪者すぎるように描かれているのがちょっと気になった。香坂君は間違いなくキモいけど、悟志もかなりキモいのにちょっと改心して株を上げてるのがなんだかな〜と思った。