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途切れることなく陰鬱な世界
人情として、不幸な人がただ不幸なままでいるよりも、一度幸せになってから再び不幸になる方が読んでいてつらいだろう。
その点で言うと、この作品の主人公フジコはずっと不幸なままなので、読者としてフジコの不幸に関して段々と慣れていく。いくら読み進めても、もう落ちるところまで落ちてしまうしかないと、諦めの気持ち以外は出てこなくなってしまう。生育環境に同情はするものの本人の歪んだ性格も相まって、「いつかは幸せになってほしい」と思うことも出来ない。
それでも「あとがき」には衝撃を受けてしまう。フジコはもうどん底で、これ以上不幸にはなり様がないと思っていても、これこそが本当の不幸なのだとばかりに別系統の不幸の存在を明かされる。
最初から最後まで途切れることなく陰鬱な世界でありながら、緩急があって飽きずに読み進められ、さらにその上で、最後に読後感を悪くする仕掛けも用意されている。良いイヤミスだった。
Posted by ブクログ
「バレなきゃ悪くない」
これが藤子の行動原理であり、愛と美への執着が行動理由だった。バレなきゃいい、の考え方は少なくない人が甘えとしてもってるものだ。それが繰り返され、慣れ、悪化すると、癖化した犯罪になる。日々、小さなことでも「バレなきゃいい」で動いたらだめだなと教訓になった。
藤子は嫌いな母と同じ道を歩むことに気づいていながらもそれを肯定し続けた。知らないうちに母を学んでいて、親子関係はその人を構成する重要な役割であることが分かる。これは現実世界でもその通り。
藤子に殺された無関係な人々は、少なくとも藤子と接してる間は悪い人ではなく、殺されたことに関して無念でしかない。でも藤子が苦しみ続けたのも事実で、こんな殺人鬼が育ってしまったことをどう阻止できたのか。(フィクションだけど現実にもあるから)考えないといけないと思う。
Posted by ブクログ
鬱屈とした展開が続く。
解説にあった“素晴らしい嫌悪感”という表現が的を射ている。
苦しい表現、痛々しい感情が続いていくのに、読む手が止められない。
どんな終わり方をするのか、期待を込めて読み進めたが、そのまま終わる。実は娘の話だった!というどんでん返しオチかと思ったら違っていた。
このまま終わるのか…と残念に思っていたら、あとがきで高評価確定。なるほど、と感嘆してしまった。
はしがきとあとがきの構成が素晴らしい。
内容が陰湿、口悪く言えば胸糞悪い展開しかないので、人に勧めるのは憚れるが、解説にもあった通り、世の中の濁った部分を見たい時にはいいかもしれない。
人に勧めにくいという意味では星3だが、読み続けさせる文章力と見事な構成を評価して星4としたい。
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