• イン・ザ・メガチャーチ
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    推し活も宗教もアクティビズも。

    推しができた人、推しを失った人、推しを運営する側の人の三人が絡み合いそうで絡まない話。人はどういうときに推しにハマり、失うとどうなるのか?同じ推しの話でも『推し、燃ゆ』が個と推しとの関係の話なのに対し、こっちは社会全体の話だ。

    「メガチャーチ」とは、週末の礼拝への出席者が2,000人を超える超巨大プロテスタント教会のこと。礼拝と言っても『牧師様のありがたい説教を厳かに聞く』というような多くの人にとって退屈と感じるイベントではなく、もっとエンターテイメント性あふれたイベントを行っている。
    例えば、プロの奏者によるオーケストラ演奏であったり、ロックバンドのライブだったり。巨大なコンサートホールで、優れた映像・音響設備を駆使し、ド派手な演出を行う。そのため、高い動員力と集金力を持ち得ている。

    そうなるとできることが増える。教会によってはこれまで行ってきた食料配布をドライブスルー形式にして効率化したり、オンラインで礼拝を配信して参加のハードルを下げたりと、活動の幅を広げ、多角的に人を集めていけるようになっているのだ。
    そうして、裾野を広くすることで、熱狂的な信者が生まれる土壌を作る、というわけだ。

    推し活もメガチャーチと同じ構造だというのがタイトル。

    推し活も、宗教も、アクティビズムも参加人数が違うだけの話で、「生きる意味を考える」ということや「精神的な充足感を得る」という目的でみると本質は同じだな、と思った。

    #深い #じれったい

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    2026年05月17日
  • 都市伝説解体センター 断篇集
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    ゲーム『都市伝説解体センター』のスピンオフ短編集。本編のネタバレが部分的にある。本編に出てきたキャラたちの前日譚だったり、後日譚だったり。あざみ、ジャスミン以外が主人公の話も。「山田ガスマスク……お前、そんなやつだったのか」と思いつつ読了。

    各話ごとに主人公も作者も変わるが、ストーリーはどれも本編を踏襲したつくりになっている。
    不可思議な出来事が起き、その原因となる怪異を探り当て、不可思議ではない真相を解明する、という流れだ。
    主人公によっては怪異の名前まで特定しないこともあるけど、「大体ああいうやつだな」という雰囲気を出してから解決する感じ。

    ​ジャンル的にはホラーっぽいミステリ。ミステリと言っても、かなりゆるい雰囲気だ。

    ​本編のネタバレがあるので、原作をクリアするか、本編の小説を読んでからが良さそう。
    都市伝説解体センターをクリアしたあと、もう少しこの世界観に浸りたい人向け。

    #笑える #ドキドキハラハラ #カッコいい

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    2026年05月02日
  • サイコパス
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    サイコパスは病気? 個性?

     サイコパスについての様々な説自体が面白いし、その説が導かれたエピソード一つ一つも面白い。その上で理解も深まる。サイコパスはただの犯罪者予備軍というだけではなさそうだ。

    「将来サイコパスが治療出来る様になったら、どこまで『治療』すべきなのだろうか」と、ふと思った。サイコパスも一つの個性。『治療』により心から泣いたり笑ったり出来るようになったら、それは『治療』前と同じ人間なのだろうか。「泣いたり笑ったりする事が『人間らしい』なんて誰が決めた。それが出来なければ『治療』されるべきなのか?」となるとちょっと文学的。

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    2020年07月27日
  • 嘘つき王国の豚姫
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    とにかく救いのない話

    「虐められ騙され犯され体を売って生活する」という不幸を絵にかいた様な人生の主人公。しかし「自堕落で嘘つきで、強者には媚を売り、弱者は見下して、我儘が通らないと大声でわめく」ような性格で、同情心はわかない。とにかく救いがなく、主人公をいじめるためだけに書かれたかのような話。

     このタイプの女に迷惑をかけられている人はストレス解消になるかもしれない。ただ、現実にもこれに似た境遇の人間がいることを思うと複雑だ。どこがどうなら、主人公にとって幸福な人生を生きれたのか。もしくは、これこそが一番幸福な人生だったのか……。

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    2020年07月27日
  • アーモンド
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    「コンビニ人間」を想起させる

    「共感能力の低い主人公」と「"普通"を理解しつつ、そうは振る舞えない社会不適合者」との交流は村田沙耶香著「コンビニ人間」を想起させる。作者のソンウォンピョンが「コンビニ人間」の作者と同世代の同性であることも興味を引く。

     日本の「コンビニ人間」は、ああいった結末で芥川龍之介賞を受賞したわけだが、韓国の「アーモンド」はどういう結末を用意しているのか?

     純文学と、エンタメ小説との違いがあるから、どちらがどうとは言えないが、私はコンビニ人間の終わり方が好きだった。ただ、この本のような終わり方を好む人も多いだろうなとは思う。

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    2020年07月27日
  • 文芸オタクの私が教える バズる文章教室
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    短くまとまり読みやすい

     内容自体は他の文章読本でも見たことがあるようなことばかりで、特に目新しいことが書いてあるわけではないが、読みやすさ、わかりやすさは頭一つ抜けている印象。

     ある界隈の常識を別の界隈にわかりやすく伝えるメッセージがバズることがあるが、まさにそれを体現しているように思う。『文章を書くのが大好き』界隈の常識を、『SNSでつながりあいたい』界隈に伝える。そんな感じの書籍だ。

     文章読本として目新しいことがないからと言って、読んでつまらないわけではない。著名人の文章の書き方を主題にしたエッセイとしても十分に面白い。
     いろんな作家、エッセイスト、アイドル等々の文章が広範囲に集められていて、それぞれを書評家の著者が「この部分がこんな風にいい」と解説してくれているのだ。「なるほど、そこでそう思うんだな」と納得したり、「思う、思う」と共感したり、「ええ、そこをそんな風に受け止めるんだ」と心の中でツッコミを入れたりと、読んでいて楽しい。

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    2020年05月30日
  • 殺人鬼フジコの衝動
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    途切れることなく陰鬱な世界

     人情として、不幸な人がただ不幸なままでいるよりも、一度幸せになってから再び不幸になる方が読んでいてつらいだろう。

     その点で言うと、この作品の主人公フジコはずっと不幸なままなので、読者としてフジコの不幸に関して段々と慣れていく。いくら読み進めても、もう落ちるところまで落ちてしまうしかないと、諦めの気持ち以外は出てこなくなってしまう。生育環境に同情はするものの本人の歪んだ性格も相まって、「いつかは幸せになってほしい」と思うことも出来ない。


     それでも「あとがき」には衝撃を受けてしまう。フジコはもうどん底で、これ以上不幸にはなり様がないと思っていても、これこそが本当の不幸なのだとばかりに別系統の不幸の存在を明かされる。

     最初から最後まで途切れることなく陰鬱な世界でありながら、緩急があって飽きずに読み進められ、さらにその上で、最後に読後感を悪くする仕掛けも用意されている。良いイヤミスだった。

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    2020年05月21日
  • インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実
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    前作とは種類の違う不穏な物語

     形式上『殺人鬼フジコの衝動』の続編だが「前作を上巻とした下巻」「前作で完成していると考える人にとってはスピンオフ」の様な作品。前作と同じようなものを期待して読むと肩透かしを食らうが、私自身は面白かったと思う。

     前作の殺人鬼視点とはうってかわって、今作では事件を追う記者側からの視点になる。記者たちはフジコの養母下田茂子にフジコの事件とはまた別の事件についてインタビューを試みようとする。しかし、どうにも上手くいかない。その段階では記者たちにとって、下田茂子はただの事件関係者であって、警戒すべき対象ではない。そのため、何も疑うことなく普通に接して、結果的に翻弄されてしまう。しかし、読者の私たちは茂子の本性を知っている。そのギャップが不安を生む。

    「記者たちは大丈夫なのか?」
    「茂子に取り込まれてしまわないだろうか?」
    「フジコの様に『蝋人形、おがくず人形』となり果ててしまわないだろうか?」

     ずっと不安な気持ちを持ち続けたままに読み進めないといけない。

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    2020年05月21日
  • カレンの台所
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    ファンじゃなくても楽しめる

    「『塩少々』なんて書き方では曖昧過ぎてわからない」
    料理初心者がレシピ本を見た感想としてよく聞く話だが、この本はそんなレベルをはるかに超える。


    「早足で来てサクッと帰宅するくらいの量でお願いします」と言われて「はいはい。これくらい入れればいいんだね」と納得できる人はいるのだろうか。私は何を想像すればいいのかすらわからない。

     普段タレント本を買うことはないし、そもそもタレント滝沢カレンのファンでもないのだが、試し読みしてみたら面白かったので思わず買ってしまった。あまりに独特な表現、ストーリーテリングなので、意味を理解してツッコみながら読もうとするとすぐに疲れてしまう。一日数作品ずつゆっくり読んで、のんびり楽しむのがよさそう。

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    2020年05月21日