名称未設定さんのレビュー一覧
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短くまとまり読みやすい
内容自体は他の文章読本でも見たことがあるようなことばかりで、特に目新しいことが書いてあるわけではないが、読みやすさ、わかりやすさは頭一つ抜けている印象。
ある界隈の常識を別の界隈にわかりやすく伝えるメッセージがバズることがあるが、まさにそれを体現しているように思う。『文章を書くのが大好き』界隈の常識を、『SNSでつながりあいたい』界隈に伝える。そんな感じの書籍だ。
文章読本として目新しいことがないからと言って、読んでつまらないわけではない。著名人の文章の書き方を主題にしたエッセイとしても十分に面白い。
いろんな作家、エッセイスト、アイドル等々の文章が広範囲に集められていて...続きを読む -
途切れることなく陰鬱な世界
人情として、不幸な人がただ不幸なままでいるよりも、一度幸せになってから再び不幸になる方が読んでいてつらいだろう。
その点で言うと、この作品の主人公フジコはずっと不幸なままなので、読者としてフジコの不幸に関して段々と慣れていく。いくら読み進めても、もう落ちるところまで落ちてしまうしかないと、諦めの気持ち以外は出てこなくなってしまう。生育環境に同情はするものの本人の歪んだ性格も相まって、「いつかは幸せになってほしい」と思うことも出来ない。
それでも「あとがき」には衝撃を受けてしまう。フジコはもうどん底で、これ以上不幸にはなり様がないと思っていても、これこそが本当の不幸なのだと...続きを読む -
前作とは種類の違う不穏な物語
形式上『殺人鬼フジコの衝動』の続編だが「前作を上巻とした下巻」「前作で完成していると考える人にとってはスピンオフ」の様な作品。前作と同じようなものを期待して読むと肩透かしを食らうが、私自身は面白かったと思う。
前作の殺人鬼視点とはうってかわって、今作では事件を追う記者側からの視点になる。記者たちはフジコの養母下田茂子にフジコの事件とはまた別の事件についてインタビューを試みようとする。しかし、どうにも上手くいかない。その段階では記者たちにとって、下田茂子はただの事件関係者であって、警戒すべき対象ではない。そのため、何も疑うことなく普通に接して、結果的に翻弄されてしまう。しかし、読者の私...続きを読む -
ファンじゃなくても楽しめる
「『塩少々』なんて書き方では曖昧過ぎてわからない」
料理初心者がレシピ本を見た感想としてよく聞く話だが、この本はそんなレベルをはるかに超える。
「早足で来てサクッと帰宅するくらいの量でお願いします」と言われて「はいはい。これくらい入れればいいんだね」と納得できる人はいるのだろうか。私は何を想像すればいいのかすらわからない。
普段タレント本を買うことはないし、そもそもタレント滝沢カレンのファンでもないのだが、試し読みしてみたら面白かったので思わず買ってしまった。あまりに独特な表現、ストーリーテリングなので、意味を理解してツッコみながら読もうとするとすぐに疲れてしまう。一日数作...続きを読む