小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
過去、現在、未来と時を超えた手紙のやり取りでナヤミを解決するナミヤ雑貨店。
手紙を通してのやり取りはその人の素直な気持ちが綴られていて、読んでいると相談者の気持ちにも相談される側の気持ちにもなりました。
登場人物はみんな違う悩みを抱えて相談していたのに、人生のどこかで誰かと繋がっていて、これでよかったと思える道を歩いている。
見ず知らずの人からの言葉がきっかけで運命が変わることは良くも悪くも現実味があって、言葉の重みを感じました。
店主のお爺さんの、どんな悩みにも真摯に答える温かい人柄が素敵です。(映画は拝見していませんが、配役が西田敏行さんなのは納得です) -
Posted by ブクログ
人気や評判に違わぬ独特な面白さで、なおかつ想像以上に尖った作品でした。
あまりに切れ味良すぎて、個人的に犯罪小説やサスペンス読むよりもしんどかったかもしれません…。
視野を狭めて“物語“に没入していく人間を的確に淡々と描写しており、今の社会に横たわる事象や価値観、感情をえげつないほど生々しく見せつけられる。読んでいて思わず「そこまで書いちゃうのかよ……」と驚くくらい、明け透けなくて容赦がなかったです。
登場人物それぞれの言動や感情に「わかりたくないのにわかってしまう」部分があり、否が応でも色々考えさせられるし、気持ちを引っ張られる。読んでいてまるで自分の心の傷に塩を塗っているかのような気分でし -
Posted by ブクログ
独ソ戦中、平穏に暮らしていた村をドイツ軍に襲撃され、母と村人を殺された敵を討つ為に銃を取った少女セラフィマ。ソ連軍の狙撃兵となり最前線で目にする景色が敵兵の死が仲間の死が、彼女を徐々に変えていく。
刻々と変わる戦況、積み重ねられる死と数字、叫びや劇的な表現よりも淡々と記録されたような文章に静かな恐怖があとを引く。
残酷で辛い、目を背けたくなる…でも目を逸らせない。そんな風に葛藤しながらも最後まで読み切ったのはこの物語が生きた人間の記録として迫ってきたから。
終盤セラフィマにとっての本当の敵を理解した瞬間、色んな感情が溢れた。女性兵士達が戦った意味、守りたかったもの。敵の姿は戦争そのものの醜さ -
購入済み
アニメの続き
アニメ一期の続き、二期からのお話。
少しずつ大旦那様と葵の距離が近付いていくのが良い。料理の描写がやっぱり美味しそうで、ご飯が食べたくなります! -
Posted by ブクログ
暴言を繰り返していた夫。妻の量子はある日、ついに暴力を振るってきた夫を正当防衛のために殺してしまう。そこへ、最近、久しぶりに再会した大学時代の後輩、桂凍朗が訪ねてきて、事件は意外な方向へ進んでいく。
「なぜ、そんな名前をつけたの?」と言いたくなるような相変わらずのネーミングセンス。
『不思議の国のアリス』は子どもの頃、読んだことがあるけど『鏡の国のアリス』は読んだことがなく、ジャバウォックという言葉すら知らなかった。学校司書なのに恥ずかしい…。
そして毎回、伊坂作品はよくわからんなーと思いながら読んでいくと突然、刺さる言葉が出てくる。今回も「他人と過去は変えられない。自分と未来は変えられ -
Posted by ブクログ
ネタバレ久しぶりに小説を読んで涙が溢れた。
百合江と里美、理恵と小夜子、最初は誰がなんだか関係がよくわからなかったけど、みなさんそうみたいで安心した。人に勧めるときは最初にこの4人の説明だけしておきたいと思った。
物語は杉山百合江の生涯を描いた大河小説って部類らしい。それがまぁ、あまりにも苦しくて苦しくて、気分が落ちてる時は読まない方がいい。元気な時でもパワーは持っていかれる。
一生懸命読めば百合江が報われるんじゃないか、幸せになれるんじゃないかと信じて読み進めるけど、辛い経験しすぎ。多くは望んでいないはずの百合江なのに、なぜこんなに報われないものか。
そう思って読んで、ラストシーンで涙がこぼれた -
Posted by ブクログ
競走馬と人々の「継承」を主題に、馬主一家の波瀾に満ちた二十年間を描いた長編小説である。
父を亡くし、深い喪失感に苛まれていた税理士・栗須栄治は、偶然のビギナーズラックによって的中させた馬券をきっかけに、人材派遣会社「ロイヤルヒューマン」の社長・山王耕造の秘書として働くことになる。
競馬に情熱を注ぎ、自らの名を冠した馬の勝利を渇望する山王とともに、栗須は有馬記念の制覇を目指す。
本作は競馬を題材としていながら、競馬に馴染みのない読者でも十分に楽しむことができる。
むしろ、競馬の知識を持たない読者であっても惹き込まれるほどの熱量と、読書中の没入感は圧倒的である。
オーナー、レースマネージャー