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東北のとある寒村。母親・ヒデと二人暮らしの小学三年生の心平は、川で魚を捕ることと絵を描くことにしか興味がない。そんな心平には心の通い合う少女・小百合がいた。心平の絵が国際的な児童画展に入選し、祝賀会の夜に母親は雪の中で死亡した――。十年後、十八歳になった心平は村に帰ってきた。小百合の家の造り酒屋に勤めるが、小百合に縁談が起きて…。幼なじみの透明な心を謳い上げた清冽な初恋小説。
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Posted by ブクログ
いい小説だなあ。 青森の寒村に、絵を描くことと魚取りだけが好きな心平と、その心平と幼少の頃から一緒に育った耳の聞こえない小百合を描く初恋小説。 好きなことだけやればいいってことはなくて、心平の場合、東京に出てみんなと離れ離れになっても画家の修行にいくのか、小百合の場合、実家を継ぐ為に養子を取るた...続きを読むめに結婚するのかといった現実を突きつけられ、選択を迫られる。 その中で、小百合も心平も婆っちゃも相手のことを思う会話の描写がきれい。英蔵も、自分の好きな子のために生きようとしている姿が、かっこいいし、でも、心平という人物がいることでどうにもならない姿が、切ない、 方言だから、短い言葉ではあるし、よくわからないけど、気持ちは伝わってくる。 秀二郎爺っちゃがいう、自分の中に川が流れていて、その流れに逆らうと後悔するって言葉が、選択の決め手になるんだよな。 冬は酒、春は農業、川は澄み魚が取れるという、昔ながらの日本が描かれていてとても良かった。
東北弁がなんだかあったかい。 何度読んでも最後は涙が出ます。 婆っちゃとのシーンです。 電車の中で読むときは注意しないと。。。
内容(「BOOK」データベースより) 東北のとある寒村。母親ヒデと二人暮らしの小学三年生の心平は、川で魚を捕ことと絵を描くことにしか興味がない。そんな心平には心の通い合う少女小百合がいた。心平の絵が国際的な児童画展に入選し祝賀会の夜、母親は雪の中で死亡した―。十年後、十八歳になった心平は村に帰ってき...続きを読むた。小百合の家の造り酒屋に勤めるが、小百合に縁談が起きて…。幼なじみの透明な心を謳い上げた清冽な初恋小説。 切ない、心平が明るくて楽しそうに絵を書いて、大好きな人達が居るので見ていてほんわかはするものの、父が死に、自分のお祝いの日に母が死に、引き取った祖父母も間をおかず死去。18歳にして誰もいないあばら家に戻ってきて天涯孤独。かなり悲惨な状態なのだけれども、馬鹿にされても、軽んじられても魚を追い、絵を書いていれば幸せという心平の姿に救われます。 耳の聞こえない幼馴染の小百合との淡い恋というか、それを通り越えておさないころから培った絆がさらに切なさを増す。大人の世界に通用しないが人間の根源に有る愛情。これを覆すには彼らはあまりに幼い。小百合に恋する同じ幼馴染の英蔵は心平に嫉妬の炎を燃やし、幼いころから何度も諍いを起こすが、どの瞬間も英蔵は葛藤しながらも男の中の男という決断を下していく。こいつは本物の男だ。血の涙を流すような思いをしながら小百合の幸せを誰よりも祈っているのであった。最後は英蔵を応援している自分が居たなあ。かっこいい。
小百合と心平の無垢の信頼心と、東北の農村地帯の牧歌的な風景描写が相まって、あまりに単刀直入な初恋小説が違和感なく心に染みた。
きれいな作品だった。 少年と少女の極端なまでの純粋さと自然描写、方言が相まって、失われた日本の良さを感じました。 方言は理解できるギリギリの線なので、少し読むのに疲れたかな。
美しい情景。 近所の川でクタクタになるまで遊んだ頃を思い出します。 最初は東北弁に苦戦しましたが、すぐ慣れました。 心平の、小百合の、きれいな心がまぶしい。
確か数年前にも読んだ記憶があります。 読後、さわやかな気持ちになれます。 読み始めは、東北の方言になじめず、読みずらいと感じていましたが、読み進めるうちに、全く気にならなくなりました。 一言でいえば、若い2人の純愛物語…。 主人公の心平、耳の不自由な小百合。 東北の豊かな自然と、2人の心温まる愛情が...続きを読む見事に融合していて、涙がこぼれる作品でした。 川上作品はほかに「ららのいた夏」も読んだかな…。 どちらも汚れた心が洗われるお話です。
青春小説を久しぶりに読んだな~という感じ。第一にとにかく描写に感動したということ!川の周辺や水のきれいさ、家の雰囲気、雨鱒の絵…。(一応)都会で育っている私でも、頭の中で、いろんなシーンを想像しながら読めた。そして、まっすぐな心を持つ主人公たちに心を打たれる。こんなことって…ありえるの?!って思うけ...続きを読むど、それは私の心が歪んでいるからか。あと会話が方言なのも惹きこまれるポイントだと思った。ほんとは☆5つけたかったけど、最後の展開が…というところでこの評価にしました。でもよかったよかった。
初めて私が涙した本である。 方言での会話がリアリティーを出している。 「恋とはこんなに情熱的なものだったのか」 私は殴られたような気持ちになった。 もう二度と読みたくない程に、悲しい恋物語であった。
残念ながらこの本のイメージはありません。耳の不自由な少女と絵の才能のある少年の初恋の物語。東北のとある村に川がある。そこには毎年、鱒が遡上するという。
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川上健一
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