小説・文芸の高評価レビュー
-
Posted by ブクログ
隠されていた麗一の過去に触れられるのでは、と思って本屋で迷わずに手に取った1冊。
想像の何倍も重たい過去だった。
前作で麗一は「自分は気楽な身分なのさ」と言っていた。蓮司はもちろん「麗一に何かあれば滝家全員が悲しむ」と否定した。私も全力で否定したい。
文乃一家は少しずつ前に進みつつ、朝美に自分の罪と向き合う機会を与え続けた。朝美は幼少期からのコンプレックスがあったとはいえ、真実から逃げ続け文乃一家の思いを踏みにじり罪を重ねた。成長してからも他の被害者に対する罪悪感は全く湧いてきていなかった。救いようがない、と思うがそれでも更生の機会を与えられた。
朝美のコンプレックスの原因となった姉は最終的 -
Posted by ブクログ
宙わたる教室の続編として描かれた本作は、宇宙わたる教室を読んでいなくても十分に楽しめ、感動する内容となっている。が、さまざまな伏線回収もあるため、先にこちらを読んでからでも前作を読むことを薦めたい。
前作と同様、様々な取材に裏打ちされた本作は、物語をリアルなものにするだけでなく、読者の中にある科学への興味も刺激する。(例え、科学に苦手があったとしても)そして、物語に織り込まれる群像たちの人生、そして感情とその言葉が、適度に、効果的に挿入され、素晴らしい物語として構築されている。
以前ラジオで著者である伊与原新氏が、「藤竹がいない中で、どうやって科学部を復活させ、研究をするのか。実験したかった」 -
Posted by ブクログ
これはお江戸の庶民の暮らしが分かる絵本でございます♪
お江戸の長屋って4.5畳とか6畳しかなかったんだって。
ほぼ1人1畳で生活してたようなもんよね。
物も少なかったんだろうなぁ。
そして面白かったのがお水事情。
江戸では飲水は買っていたと本を読んで知っていたけど、井戸水の仕組みとか、下水があったとかまでは知らなかったからタメになったねぇ!
川から水道管で引いて、井戸に水が入るようにしてたなんて、なかなか素晴らしい。
糞尿は畑の肥やしにしてたから下水に流れることは少なかったらしいけど、下水を別に分けていたのは衛生的にもとても素晴らしいと思ったわ!
あと大好きな本ね!
お江戸の時代は木版 -
Posted by ブクログ
「こういうの、こういうのが小説だよなぁ」
本を閉じ、思わずそんな言葉が口をついて出た。
私はこういう小説が、たまらなく大好きだ。
「そうそう、小説って本来、こんなものだったよな」と、思い出させてもらった。
昨今、時代を反映した、社会的メッセージ性の込められた小説がウケるけれども、もうそんなのはいいんだよ。
『なんだか少し頭がよくなったような気がする小説』、そんなのはもうよくて。
普段の仕事の中で、殺伐とした労働の中で、現実というものをしっかり体感している。私たちはすでに十分すぎるほど「現実」と対峙している。
時代を切り取った作品を読めば、そりゃ当然「現実」を知ることができる。で -
Posted by ブクログ
「アルプス席の母」タイトルからしてもう泣ける。
うちにも高校生の息子がいる。野球部ではないし寮生活もしていないが、菜々子の気持ちがわかりすぎて。
特に入学して1ヶ月後に痩せ細った航太郎を見た時は他人事とは思えなかった。
ご飯をちゃんと食べてるかどうか、離れて暮らす母としてはこれが一番心配だよね。
父母会の役員。会計係の役目には引いたなぁ。
これに似たことは実際に行われているんじゃないかと思った。監督を「監督さん」と呼ぶのにも独特の文化を感じた。
部の掟や親同士の上下関係、受け入れつつも完全には染まらない菜々子の言動に好感を持てた。
ラストも良かったな。
航太郎かわいいな。
-
Posted by ブクログ
塩田さんの作品はとても好きです。過激な描写がなく真摯で品の良さを感じます。
所々で、マスメディアへの不信や警告みたいなものを感じるのですが、最後の書評を読んで凄く納得しました。
小説は正義と不正義の狭間にあるものをすくいあげ寄り添う事の出来る数少ない媒体であり、作者は、危うくて弱いけれど個人の尊厳を手放そうとしない個人の姿を書いていくだろうとありました。
長い序章の先にある、ラストの風景はとても美しくすぐにでも雪の舞い降りる朱色の橋に立ってみたいと思いました。
しかし、車から降り立った咲子さんの発する言葉を聞きたかったと思った私は、次の章があるのを期待していました。
珠緒さんの穏やかな行先が描 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの本の主張を、自分なりに咀嚼して整理すると、単なる「最近の若者は本を読まない」という話ではなく、
「情報環境の変化によって、人間の思考様式そのものが変わりつつある」
という本だったように見える。
自分用まとめ
① 現代は「読む力」より「消費する力」が求められる社会になった
* 文章の経済価値は急速に低下している
* AIによって「とりあえず説明文を書く」は無料化された
* 動画や音声が主流になり、長文は非効率だと考えられるようになった
* ニュースもSNSも「最後まで読む必要がない設計」になっている
結果として、
深く理解するために読む文化
↓
短時間で消費する文化
へ移行して -
Posted by ブクログ
ネタバレ救急医、武田の元に搬送されたのは身元不明の溺死体。その遺体「キュウキュウ十二」は、武田と瓜二つであった。(尻毛まで!)
武田は遺体と自分は関係があるのか、なぜ死んだのかを調べるため、中学の同級生で医師の城崎と調査を始める。
話の始まりから、すごく不思議で興味深くて心を鷲掴みされました。
そして、真相に近づくところでの重要人物の死。
溺死体だけでなく、重要人物の死の謎まで加わり、こちらは「わっ!? わっ!? わっっ!?」でした。
城崎は「感情に振り回されなかったら 世界はクリアに見える」と。
こちらは話の展開に感情をブンブン振り回されたため、世界はクリアにならず、真相が分かって、めっちゃび