小説・文芸の高評価レビュー
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長野県安曇野を舞台に、研修医・桂先生と看護師・美琴さんの視点で描かれる医療小説。テーマは高齢者医療である。
延命治療をするか、それとも看取るか。正解のない問いが繰り返し登場し、読んでいて心がざわつく場面が多かった。
医療は今、ひとつの限界点にある。大量の高齢者たちをいかに生かすかではなく、いかに死なせるかという問題に直面している──作中のそうした指摘は重く、目を逸らしてはいけないことだと感じさせられた。
「どこで治療を引き揚げるべきかのガイドラインは存在しない」
この一行に、気持ちを全部持っていかれた。医療は昔より確実に進歩し、治療に関するガイドラインも無数にある。それでも、最期の線引きだけは -
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『スピノザの診察室』に続く雄町哲郎シリーズ第2弾。前作の哲学者がスピノザだったのに対し、今作はエピクロス。テーマは「幸福とは何か」である。
エピクロスが示す幸福の条件は、悩みがないこと、苦痛がないこと。そこに著者は「孤独ではないこと」という一項を加えている。現役医師として20年間、人の命と向き合い続けてきた人だからこそ辿り着いた答えなのだと思うと、この一文だけで胸が詰まった。
エピクロスの言う快楽と、自分たちが漠然と口にする幸福は、似ているようでいて、どこか決定的に違う。この作品は、その違いを問い続けてくる。
物語としては、マチ先生と周囲の人物たちの関係の積み重ねが前作より深く描かれている。 -
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ネタバレ本編あってこそなのだけど、本編より好きかもしれない。
本編は、毒親と言いたくなる強烈な母親との関係性や、ヤングケアラーの苦しみ、それゆえに共鳴し合う櫂と暁海の行く末がメインのストーリーとなる。
そして、他者の物差しを無視して自分の意思で選択をすべきということが強いメッセージであるように感じる。
一方で、星を編むで考えたのは『家族』とは何かということ。
先生の衝撃的(ヤバすぎる)な過去や、仕事と家庭のバランスに悩む二人の編集者、暁海や先生やその家族たちのその後の人生(色々ありすぎ)。
現実社会では普通ではない家族や夫婦の様々な形が描かれる。その関係性はとても歪なものだった。しかしそれが、血が -
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ネタバレ医療小説でありながら、哲学も同居する不思議な読後感の一冊だった。
主人公は雄町哲郎(マチ先生)。大学病院で将来を嘱望されながら、妹を亡くし、甥を引き取ったことをきっかけに京都の町医者としての道を選んだ人物である。
奇跡的な展開も、緊迫した場面もない。それでも読み進めるうちに、静かに何かが満たされていくような感覚があった。
「我々には未来を変える力はない。変えられないということは、虚しいことのように思えるけど、実はそうじゃない。目の前の哀しい出来事は、誰のせいでもないということだ」
昨年、父を亡くした自分にとって、この言葉はしばらく支えになっていた。手を尽くしても、大切な人を失ったときには「も -
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ネタバレ※十角館の微ネタバレを含みます
おもしろーーーい!!!泣
しっっっかり騙されたーーー!!!
やっぱり綾辻行人先生の小説を読むと、ミステリー小説を読んだなぁって感じするな…!
ミステリーを楽しむ本って感じ…!(語彙力)
テンポよく人が死ぬ!(言い方)からもうハラハラしながらどんどん読み進められるし、
文章も分かりやすくて、変な癖とか、くどさとかを感じないのと、
これいる?みたいな無駄に感じられる内容が挟まるせいで集中力が切れたり手が止まる、みたいな事もなくて、サクサク読みやすいんだよなぁ。
人間関係もちゃんと描かれてるんだけどあくまで主軸はミステリーで、バランスがとてもいい。
偉そうな言 -
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ネタバレいい本だった。12年と7週と4日を1940年の世界大戦初期から1952年まで生き抜いたクラレンスというオスのスズメの飼主キップスとの交流を描いた愛溢れるノンフィクション。
150ページ余りの本文と40ページほどの解説からなる文庫。1952年に出版されこの本は2010年に梨木香歩訳で再び世に出た秀作だ。ジュリアン・ハクスレーという英国の鳥類学者の解説とともにネイチャーリストの梨木香歩、作家の小川洋子の解説はこの本を一層高めている。
生まれて間もなく巣から落ちて障害をもったスズメがピアニストのキップスに拾われて12歳の天寿を全うするまでを描いている。野生のスズメだったら老いれば天敵に食べられ