小説・文芸の高評価レビュー
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未完成?
主人公は、いつも自己演出し、そんな自分を自分であざとい人間だと考えている。実際は凡人なのだと自覚してみるが、才能に憧れ、素の自分を見失っている。本書は、そんな自分から脱皮しようと足掻く男の青春小説であり、『花火』『劇場』に続く三部作の締めか、と始めのうちは想像しながら読んでいた。でも読み進めるうちに、これが後の作品の出発点になってほしいと感じた。読後感想を率直に言ってしまうね。これは未完成作品? 何か骨組みだけの建物を見た感じがした。スカスカのところがいっぱいあって、それぞれの物語の間がもっと埋まっていないといけないのでは、と。つまり主人公が抱える自己演出問題は、昔の恋人、旧友、父 -
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ネタバレ面白かった
凄惨な展開に陰鬱な気分で読み進めていたけれど最後一応メインキャラクターは生き残ってホッとした
真相が明らかになる気持ち良さや最悪な状況から脱する事が出来た解放感安心感に加え苦しさと切なさが残る余韻が良い
最後の最後まで実は『もう1人』は別の人物でした〜とかそういう最悪などんでん返しがあるのではとビクビクしていたがそんな事もなく一安心
勅使河原が風見を殺したと告白したシーンは愕然とした
全体が暗い雰囲気の中まだ登場シーンは楽しさがある勅使河原だっただけに尚の事
でも生きてて良かった風見
それまで超然とした雰囲気の見崎だったけれど生い立ちや血縁者との関係性の話でグッと感情移 -
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ネタバレ今回は、統括診断部のチームとしての一体感と鷹央の小鳥遊への信頼が表現されている作品だった。
小鳥遊の恩師である浮雲新一が「皮膚を貫く透明な弾丸」で殺された。統括診断部が調査に当たり、鷹央が真相を見抜くが、それは『正解のない問題』であった。真相解明は小鳥遊一人の手に委ねられた…
事件の真相は、最初に違うだろうと思って除外しているものであり、いいどんでん返しであった。しかし、犯人の動機も考えるのが難しいものであった。法律では罰されるが、果たしてそれが正しいことなのか。その判断こそが、『正解のない問題』であった。
事件を起こしてしまった人の気持ちを考えることも時には大切であると気付かされた。
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静かで胸がじんわりする物語だった。
川上未映子さんの描く情景はなんでこんなに胸を打つんだろうか。同じ女性だからだろうか。
私とは生き方も環境も違うのに、でもなぜだか彼女の考えていることを私も考えたことがあるし、わかるのだ。
はじめと最後で、彼女の置かれた環境はほとんど変わってない、なのに彼女自身が少しだけ、でもとても大事な部分において変わったことがよくわかる。変わったという表現もなんか違う、もっと適切な言い方で表したい。
この本のことを軽く扱いたくない、この本を読んで感じたことを大切にしたい、冬子の生き方や存在ひとつひとつを大切に思える、そんなような気持ちになる読後感だった。 -
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統帥権の発想は今も生きているかもしれない
コロナ対策は自由と人権を圧迫した。当時、専門家として対策を担った尾身茂氏は、菅首相と並んで記者会見し、首相と並ぶ権力者の風であった。新型インフルエンザ等対策推進会議の議長、あるいはその下部組織の分科会会長に過ぎない立場にもかかわらず、だ。本来の姿でない権力体制が容易にまかり通ってしまった時期だった。歪んだ権力に勢いを得て増長した専門家は、控えめに言っても多かったと思う。司馬遼太郎は本書で、旧日本軍が振りかざした「統帥権」を考察している。軍参謀本部が本にした『統帥参考』に、次のような興味深い記述を見つけている。冒頭の「統帥権」という章に、以下のように書 -
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推し活に励む人、推し活を作り出す人、陰謀論を唱え出す人、嘲笑する人。
現代の"推し"に視点を置いた世の中の仕組みに翻弄される側する側のリアルな現状。
これまた分析力も語彙力も長けていて読み応えありました〜〜!
MBTIって最近よく耳にするよね。
自己紹介にも書く人増えてるし当たり前な事象になってるんだろうけど。
今のトレンドに大人達もついていかないと乗り遅れて話についていけないってことは昔からあるけど視野を広くか〜忙しいな現代。
そして私にも推しはいる。
それこそオーディション番組を経た某ガールズグループだ。
本書にもbloomとか花とかの言葉が出てくるもんでドキドキし -
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本物のスパイ
現代外交でいまや公然の秘密になっているのは、大使館の現在の機能はスパイ活動のプラットフォームなのだとういことだ。なぜある国が、別の国の国土上に独立主権を持つ物理的な存在を確保すべきかという古くさい説明は、電気通信やジェット旅客機の台頭でもはや完全に古びてしまった。(本書引用)こういう記述を見ると、はやりこの筆者は内部の人なのだなあ、と感じてしまう。現代の本物のスパイが書いた本というだけで、読む価値は大いにある。それにしても、あらゆるデータが政府に筒抜けになってしまう現代の監視社会は、実に恐ろしい。それに実際にかかわっていた人が書いたのが、この本。 -
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地元をその支配下に置く大手自動車メーカー「ユシマ」に勤める非正規工員たちは、ある出来事を通して自分たちの扱われ方に疑問を抱く。過酷な労働環境、抑えられる賃金、そして蔑ろにされる安全と健康。仲間を集め立ち上がろうとする彼らだったが、ユシマは公安と手を組み、共謀罪の名目で彼らを犯罪者にしようとする。骨太な社会派サスペンスです。
リアリティ抜群なのですが、こんな現実があるとは信じたくないような……でもかなり現実にありそうなんですよね。誰にでもできる仕事とは決して言えないのに、簡単に替えのきいてしまう工員たち。命の危険にさらされながらも耐えるしかできない環境にはぞっとします。
非正規工員の彼らだけれど -
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ネタバレペンションで行われた同窓会で起きた密室殺人。
犯人である伏見は事故を装い殺害。密室の扉を開けさせないよう言葉巧みに皆を誘導しようとする倒叙ミステリー。
個人的にかなり好きな部類の作品だった。倒叙ミステリーはあまり読んだことが無かったが、犯人も殺し方も工作も全て明かした上でここまで面白くできるのかと感嘆した。
探偵役である優佳が実に論理的に推理していく様も気持ちよかったし、「何故犯人は時間を稼いでいるのか」という疑問が解けた時もスッキリとした。
動機的にも伏見が完全な悪として描かれない点、優佳も正義の為というより自身の疑問を解く為だけに推理している点。
他人のために殺人した伏見・自身のために -
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ものすごく久しぶりに読み返しました。
十代の頃はわからなかったけれど、オバチャンになってから読むと萌絵ってかわいいなあと感じました。癖のあるところがまた魅力的な良いキャラクターです。
犀川先生も不器用で可愛らしいところがありますね。
トリックをほとんど忘れていたので楽しく読めました。館モノとしてもトリックがとてもよく出来ていると思います。
もちろん小説としても面白いのですが、大胆な仕掛けにもわくわくします。
作者の森博嗣先生が建築を学んでいる人なので、たぶん本当にできるのだろうと思わせてくれるところがいいです。
『封印再度』のトリックはファンの方たちが実際にミニチュアで実験したそうなので、そ
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