小説・文芸の高評価レビュー
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三秋ワールドの素晴らしさを言葉で表すのは難しい。
強いていえば、「100パーの彼女」を描くのが抜群に上手く、またそれをどこまでも自覚的に書いているのが良い。 さらにそれが胸を打つ巧みな情景描写によって美しく飾られているのが素敵。
今回のヒロイン達にしても悶えてしまうほどのキラーフレーズの数々がたまらなかった。
脳に巣食う寄生虫の性質によって孤独な生を送る2人が、同じく寄生虫のはたらきによって、運命的で作為的な恋に落ちる話。
思考も恋情も脳内物質の働きにすぎないのであれば、それが虫やウイルスによるものであろうと本質に変わりはないのだと思う。主観こそが世界を構成する全て。
終わり方は心残りがある -
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ネタバレ『まほろ駅前』シリーズ第3弾。
どうやら今回が最後のお話のようです。
第2弾にも出てきたキャラクターたちが勢揃いして(と言っても残念ながら岡夫人は登場しませんでした)、「狂騒曲」の文字通り「狂おしく騒がしい」感じでしたが、最終話にふさわしい内容だったと思います。
しかし、終盤で南口ロータリーに岡さんたちが出向いたシーンは、何度読んでも面白くて笑ってしまいました。本人たちは真面目にやっているので失礼だとは思うのですが(^^;
「時刻表遵守!」と書かれた旗をなびかせながら行進し、野菜を販売する団体、看板持ちの三つ巴の場所取り合戦は、ぜひ映画でも見てみたいです。
ちなみに「野菜を間引いてもバスは -
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人間の根本的に大切なことについて改めて実感させられた。
チャーリーは手術により急激に知識を得て、天才になるが、そうなるにつれて、本来持っていた素直さや誠実さ、素敵な笑顔を失っていき、傲慢になり、孤独を感じるようになる。たしかに知識があると視野が広がるが、それよりも優しさや誠実さ、笑顔といったものがとても大切だと気付かされた。
チャーリーは最終的に元の状態に戻ることになるのだが、その時に天才のときには失われかけていたチャーリー自身の持つ人としての魅力が再び現れて、優しさにあふれるチャーリーの姿にすごく泣きそうになった。
すごく感情の揺さぶられる衝撃を受けた本だった。
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ネタバレ面白かった。これに尽きる。
話題になったWEB版「走れメロス」を読んだことがあり、とても面白かった記憶があった。
普段、オモコロチャンネルをよく視聴していて、作者であるかまどさん、みくのしんさんについて知っていたこともあり、書籍版を読んでみたいと手に取った。
本を読んでいる人の話を本で読むという未知なる体験であったが、みくのしんさんの共感力に圧倒されている間に本が終わっていた。
私の読書経験上、読み進めている途中で「あと、どのくらいで終わるのかなー」と残りのページを気にしてしまう時間があるのだが、この本ではそんな時間が生まれなかった。
みくのしんさんは一行一行丁寧に時間をかけて、作者の意図や -
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『スローターハウス・ファイブ』、または『子供十字軍』として知られる本作は、村上春樹が多大な影響を受けたことで知られるカート・ヴォネガット・ジュニアの代表作だということで、手に取った。
当初は「スローターハウス」を文字どおり「虐殺の館」と解釈し、大衆性の強いSFホラーを想像していた。しかし実際には、けいれん的なタイムトラベルやトラルファマドールといったSF的装置を用いながら、戦争、そして戦争における人の死という主題を鮮明に浮かび上がらせていく作品だった。
主人公ビリー・ピルグリムは時系列に反して時空間を生き来するため、場面ごとの関連性は薄いように感じられるが、その脈絡の無さが、本作の主題を考 -
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読み始めてすぐに、私のことだ!と思い夢中になって読みました。
カウンセリングでの会話とカウンセラーによる助言で徐々にでも思考回路が良い方へと動いているのがよく分かりました。
だけれども、最終的に完治せず。
モヤモヤ感は残りました。
しかし、完治が難しいところこそが、精神疾患の辛いところだと思います。
私もいつも自信はなく、他人から非難されることを恐れて生きている。この世の中に疲れそうになる。
私に似た人間に今までなかなか出会うことができず、私だけがダメなんだ思っていたところに、全く似たような思考回路の人間が存在する事を知れて、安堵感を感じました。
著者のペク・セキ様は最近お亡くなりにな -
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ネタバレこの小説には、2つのテーマが描かれていてるように思う。1つは、自分が抱えている問題を、他人に委ねることことなく、自分自身で乗り越えていくことの強さについて。もう1つは、限りある人生の中で、何と、誰と、どのように向き合い、時間を過ごしていくのかということ。
ヤングケアラーとして、切り離せない大人達に振り回され、幾度となく傷つきながらも、無力な自分ができる最大値を考え、家族を維持するための自分の役割を全うする。暁海と櫂の両者の心情が理解でき、特に、自分のことを後回しにしてでも、その役を生真面目に貫く暁海に感情が引きずられ、心に深く重く刻まれた小説となった。
人生の早い段階で、簡単には消せない問 -
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上手い!面白い!
相変わらず、お腹?いや肛門話がますます大輪の花を咲かせ、カッコいいダンスレッスンを受講し一回目で心折れまくったり、勿体無い精神が発動したのでバンジージャンプに挑戦して白目剥いたり、師走の中クリスマスケーキをホールで五個続けて食べたり、おもしろ海外旅行の予定を組んで自分で同行者の友達にトイレ税を払ったあげくトイレを詰まらせたり、、、
私の一生分の面白いことを100倍やってるし、それをエッセイ三部作に残してくれるなんて、なんて素敵な人なんだろうか!
エッセイを読んでから、YouTubeで朝井氏を検索しまくり、寝る前に10分観ることが日課になるほど、ファンになってしまった。
人 -
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宝島社文庫の真崎訳で読み始めたのだが、意味の取れない文がけっこうあって、この岩波訳で読むとちゃんと意味が通るので、語り口は好ましかった(一人称が"僕"なところとか)のだが断念。これを書いたときソローは30代なわけで、若干支離滅裂なのは仕方なかろうと思っていたのだが、この岩波の飯田訳を読むとそんなことはないことがよくわかった。いろんな訳で読んで、"私"で訳しているものはどうも冷たい感じがして結局読み続けられなかったのだが、意外とこの飯田訳はしっくり来る。読み進めていくと、地の文に埋め込まれているもっとフランクな語りかけとコントラストをつけるためにそうしてい