あらすじ
眠りつつ髪をまさぐる指やさし夢の中でも私を抱くの――甘くも苦い大人の恋をうたい“恋愛歌人”の名を不動のものにした、今なお伝説の歌集。28歳から34歳までの作品を収録。
本書は1997年5月8日初版発行の新装版です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
あとがきを読んで、チョコレート革命とはそういうことか!と
日本語の曖昧さが活きる歌がたくさん
不倫は私にはわからなく、誰かを傷つけたくはないけども、自分のための記録として記すならば、そこにある気持ちは普通の恋愛のように感じてしまう
サラダ記念日に衝撃を受けて読んだこちらも良かったけど
最初に読んだもののほうがインパクト強く感じてしまう
時間が経てば、自分のコンディションが変わればまた感じ方も変わるかな
Posted by ブクログ
真実を伝えるそのためには、いくらでも嘘をつく、というのがあまりにチャーミングに心に刺さる。
すごくわかる。
表現てそういうことなの。
事実なんかより心のきらめきやゆらめきが大切なんだよ。
Posted by ブクログ
どうしようもない気持ちになった。自分の愛しい人への気持ちは募り、行き場のない報われなかった想いを呼び起こさせる。色気が強すぎて朝には読めない。
Posted by ブクログ
大人の言葉には、摩擦を避けるための知恵や、自分を守るための方便や、相手を傷つけないためのあいまいさが、たっぷり含まれている。そういった言葉は、生きていくために必要なこともあるけれど、恋愛の中では使いたくない種類のものだ。
Posted by ブクログ
『サラダ記念日』で一世を風靡した俵万智さんの第三歌集。
28歳から34歳までの歌だそうです。
恋(不倫の恋)の歌が多いのですが、旅した時の歌、父親への歌、17歳で亡くなった詩人の山田かまちへ捧げた歌もあります。
でも、レビューを読まれた方が混乱しないように一番多い恋(不倫の恋)の歌を以下に載せます。
不倫の恋は道徳的ではないですが、せつない恋ですね。
ひしひしと伝わってきました。
まず、タイトルとなった歌。
○男ではなくて大人の返事する君にチョコレート革命起こす
恋には、大人の返事など、いらない。君に向かってひるがえした、甘く苦い反旗。チョコレート革命とは、そんな気分をとらえた言葉だった。
大人の言葉には、摩擦をさけるための知恵や、自分を守るための方便や、相手を傷つけないためのあいまいさが、たっぷり含まれている。そういった言葉は、いきてゆくために必要なこともあるけれど、恋愛のなかでは、使いたくない種類のものだ。そしてまた、短歌を作るときにも。言葉が大人の顔をしはじめたら、チョコレート革命を起こさなくては、と思う。
ーとあとがきで俵さんはおっしゃられています。
○日曜はお父さんしている君のため晴れてもいいよ三月の空
○逢うたびに抱かれなくてもいいように一緒に暮らしてみたい七月
○地ビールの泡(バブル)やさしき秋の夜ひゃくねんたったらだあれもいない
○「泣くなよ」と言われて気づく今我が泣いているのは「わたし」のためと
○肩並べ新宿駅に向かう時もう少し続け信号の赤
○スリッパの右と左を間違えたような感じに響くサヨナラ
○君の好きな曲さえ知らぬ一人(いちにん)が君の新婦となる木の芽どき
○花札の絵柄のような春よ来い なんてことない日も悪くない
○抱きあわず語りあかせる夜ありてこれもやさしき情事と思う
○ブーゲンビリアのブラウスを着て会いにゆく花束のように抱かれてみたく
○妻という安易ねたまし春の日のたとえば墓参に連れ添うことの
○家族にはアルバムがあるということのだからなんなのと言えない重み
○焼き肉とグラタンが好きという少女よ私はあなたのお父さんが好き
○ポン・ヌフに初夏(はつなつ)の風ありふれた恋人同士として歩きたい
Posted by ブクログ
夏休み-31
激ヤバだ。激ヤバだ。自分の言葉がどんどん拙くなる。
苦しい恋の歌に挟まれる、広い世界の土地模様。とにかく拙い私は語れないので、何首かひいて、勘弁。
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我はもう撃たれてしまいし鳥なれば君の視界の外に安らぐ
故郷とは生地にあらず「家族」という花ことば持つ花咲くところ
今日あったことを告げたき一日の終わりに通じぬ携帯電話
シャンプーを選ぶ横顔見ておればさしこむように「好き」と思えり
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Posted by ブクログ
サラダ記念日とは打って変わって、大人の恋。
俵万智さんより好きになる歌人は、この先きっといないでしょうと思った。そう思わせる「ほんとう」の気持ちが、この歌集には込められていた。
男ではなくて大人の返事する君にチョコレート革命起こす
私もいつも、同じことを思っています。
言葉が大人になってしまったら、チョコレート革命を起こす。私もその反旗運動に、参加させてください。
Posted by ブクログ
三十歳前後につくられた三冊目の歌集。旅行や不倫の歌が多め。
映画や舞台にも引けを取らないドラマが短歌という表現媒体でも展開されていて非常に楽しめた。
あとがきに、「短歌は、事実を記す日記ではなくて、真実を届ける手紙で、ありたい。」「人を想って揺れる心は、これからも私にとって、大きなテーマだ。」とあり、この方の歌に惹きつけられた理由がわかった。