小説・文芸の高評価レビュー
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ネタバレ村の安寧と繁栄のための人柱になる定めの双子の物語
人柱の条件が『美しい娘』なため、同じ顔だけど、生まれつき顔半分にアザのある姉は必然的に生かされる
ゆえに、父母からも村人からも『生かされるくせに』と虐待されて育つ姉、16歳で『贄になるから』と大事に育てられる妹
生まれた時から村中で虐待されて育った宵の描写が、本当に『働くことと叩かれること』しか知らなくて、憎んだり妬んだり卑屈になったりしない無垢さで、そこが素晴らしく良い……
また、殺される事が決まっている環の、死への恐怖はあってもそれが必然と受け止めている純粋さと緩やかな虐待にも泣けた
双子がそれぞれの立場で素直な描写が本当素晴らしい -
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愛と平和は、雌竜が吐く霧によって保たれている。夫婦の愛と社会の平和は、忘却によって保たれている。
雌竜の霧。いい表現だ。
それはともかくカズオ・イシグロが導き出す現実は、身も蓋もないぐらいに厳しい。『私を離さないで』を読んだ後、目の前が真っ暗になるような思いをしたが、この『忘れられた巨人』も同様の読後感を持った。アーサー王物語も古代ブリテンの歴史も知識がほとんどないまま、ファンタジー的な物語なのかと思って読み進めていたが、終盤の終盤に一気に心が鬱になりかけた。
夫婦の旅の目的地は、三途の川の向こうの死の世界だ、と私は読んだ。結局、死は一人で迎えるしかないものである。最後の場面、主人公の決 -
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ああドストエフスキーを読んだ、とまた思えて良い
ドストエフスキーの長編小説群が「五大長編小説」という括りで呼ばれることがあるなんて、恥ずかしながらこの小説に出会って初めて知った。『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』は自分の読書経験の中でも最高峰に入り、『白痴』『悪霊』も非常に好きな作品だが、ほかに長編があるとは知らなかった。残り一つがこの『未成年』である。順番で言うと『未成年』に始まり『白痴』『悪霊』『未成年』『カラマーゾフの兄弟』となる。『悪霊』と『カラマーゾフの兄弟』の間の作品ということであれば、これを読まずに死ぬわけにいかない。しかも、こなれた日本語を操る亀山郁夫氏の翻訳である。 この -
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ゴールデンカムイの最適併読本
本書は、マンガ「ゴールデンカムイ」の最適な併読本である。ヒグマの恐ろしさを当時の新聞記事から拾う形で伝えてくれており、ゴールデンカムイの描写がリアルであることを裏付けてくれる。 とにかくヒグマは恐ろしい。私は、本書に出てくる当時の新聞の引用で「つかむ」という表現が気になった。例えば次のように使われている。 「三歳くらいの熊がミツの後頭部に一撃を加え、ミツをつかんで引きずって行った」『小樽新聞』昭和十一年八月三十日より要約 「熊は市太郎の背中から猛然とりかかり、その両足をつかんで風車のごとくクルクルと廻しながら、悠々と草むらに姿 を隠した」『北海タイムス』大正
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