小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
千早さんの表現の細かさとリアルさ。例えば、2人が微妙な空気感になった時の「全さんだけが私をみなかった」。この時の空気感がものすごくリアルになる言葉で凄みを感じる。
私もどちらかというと細かい日々のシーンや人の目線、発言、動きに敏感であり、相手のこころがわかるほうで、この感覚を文章にしてくれている初めての感覚。
拒絶されても挑戦しようと思える瞬間があった。
私もかなり積極的な方だが、しかし相手の思いがこちらに向いてると確信があるときだけ。Fujikoはその確信もないまま、でも真っ直ぐに体当たりしていた。物語の生の短さの描写も相待って、拒絶されようが挑戦することの大事さを学んだ。 -
Posted by ブクログ
自分自身が、地方からそこそこの私立大へ上京した経験があり、いわゆる“中流”から、離婚してシングルマザーになった“下流”へ落ち、そして今また再婚し“中流”へ戻りつつある——
そんな人生を歩んできたからこそ、この物語の描写が驚くほど解像度高くて驚いた。
主人公の由美子のような人に気に入られる娘時代を過ごし、離婚後には珠緒のように見下される経験もしてきた私には、登場人物の階層感が痛いほどリアルだった。また、子育てでも、そこそこ進学校のそこそこの成績だった我が子だから、安心していたら、思ったようにならない我が子の受験。その受験の解像度も高いので、できたら彼の大学受験前に読みたかった本であった。。 -
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ良かったです。
一生懸命なサクラギ先生が素敵だし、生徒たちがそれぞれの過去から逃げたり向き合ったりしながら成長していく姿をひたすら応援できた一冊でした。
第六章
濁った池から逃れることのできない四人に、使い道のない翼を与えてしまった。
仰ぎ見ることしか叶わない空を舞う自由を教えてしまったー。
そんな絶望にサクラギ先生と一緒に打ちのめされた後、明かされた四人の夢。
話の流れが秀逸で、この半年間の秘密のあれこれにワクワク。
第八章ラスト
あなたにとって民主主義とは何ですか?の問いへのヤエちゃんの答え。
「ここにいた時間のぜんぶ」
静かに涙。
思いを伝えてほしかったけれど、こんな終わりもありだな、と思ってからの補習。
「孝子さん。わたしは、君とふたりで、終わりのない物語をつくっていきたいです」
このセリフに涙涙でした。
素敵なラストをありがとう!って気持ちです。
ドラマ化してほしい!
動くサクラギ先生、生徒5人、鞠子夫人が見たい!
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Posted by ブクログ
前半の描写がとても美しく、母の所作や食卓、庭、季節の移ろいなど、日常の細部に繊細な美しさがあって強く引き込まれた。没落していく家族の話でありながら、最初はむしろ静かな生活の質感そのものが印象に残る。
しかし物語が進むにつれて、階級意識、恋愛、死、自己嫌悪といった人間関係や社会の問題が前面に出てきて、前半にあった静かな美しさが少しずつ飲み込まれていくように感じた。かず子の「恋愛と革命」や直治の苦悩も強烈だが、それ以上に、古い時代の終わりとともに美しいものまで失われていく感覚が残った。
題名の「斜陽」は、旧華族の没落だけでなく、作品前半に漂っていた優雅さや静けさそのものが沈んでいくイメージとしても記憶に残っている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ気になりつつも、推し活界隈の話、自分にはあまり縁のない世界だから…となかなか手を出せずにいたけど、朝井リョウ作品であれば間違いないはずと思って読んだところ、期待を裏切らなかった!面白かった!
序盤の「これまではやってきたことが返ってきたが、人生後半はやってこなかったことが返ってくる」みたいなセリフが今の自分に刺さりまくって苦しいくらい。
視野狭窄の状態も、それを外から見て嘲笑ってしまう状態も、どちらの立場の気持ちもすごくわかる。その中身を忠実に上手く表現されている。
皮肉とともに彼ら彼女らの庇い方というか敬う部分も描かれているのがうまいと思う。
どちらにしてもほどほどにしておくべき。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ自分にとってとても刺さる物語でした。
失踪の謎を追うミステリーの要素を持ちながらも、読者の自己の内面と深く向き合わされる。まさに自分好みの小説です。 一言でいうと「善良」は真面目で従順であるがゆえに重要な選択を他人任せにする主体性のなさ。「傲慢」は自己愛の強さゆえに身の程をわきまえない身勝手さと解釈しました。 それらは対立概念ではなく同じ人間の中に共存する性質であり、 どちらも良い意味では語られていないことがまず印象的でした。
自分自身も、架と真実の持つ「傲慢と善良」に当てはまる部分があります。おそらくほとんどの方に当てはまるのではないでしょうか。
嫌われたり反対されるのが怖くて大きな判断をするときに他人の基準に依存したり、謙虚で自己評価が低い一方で、自分のことを棚に上げて他人を値踏みしたり見下したりする。そんな醜さを容赦なく突き付けてくるので、自分のことを言われているようで読んでいて苦しくなります。
特に美奈子達女友達の第3者目線から見た架や真実の描写えぐくないですか。自分の「傲慢と善良」に無自覚な人間って、こうも痛々しくて身の程知らずで虫唾が走る存在に映るんだって思いましたし、自分も無自覚な人間だと思うと言いようのない恥ずかしさが芽生えます。美奈子達のように開き直った上で他人の悪口を肴に仲間内で盛り上がるのが一番ひどいのは言わずもがなとして。
でもそうやって他人には醜く映る真実にだって真実の物語があることが明かされます。まさに『六人の嘘つきな大学生』でもあったように、「人はどこか一部分だけをとって評価できない」がここでも現れます。
「安易に他人を断罪するな」もうこの言葉に尽きる気がします。
そして正解不正解関係なく自ら選択することが大事で、他人にいくら疎まれようとも、自分が誇れる生き方を模索する彼らの生き方になんだか励まされたような温かい読後感でした。
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