あらすじ
不思議話好きの山岡百介は、処刑されるたびによみがえるという極悪人の噂を聞く。殺しても殺しても死なない魔物を相手に、又市はどんな仕掛けを繰り出すのか……奇想と哀切のあやかし絵巻。
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それぞれの事件が独立してそして最後に一つになって""御行""となる、読んできた全てが破片となって事実の形を示す見事さ。流石の一言。
間を挟まず一度に読んだからこその充実感と達成感。流石に面白すぎるのである。
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巷説シリーズ第2弾。
このシリーズの主題は、一作目『巷説百物語 』の感想で語ってしまったけど、まぁ本作も概ね同じ形かな。
妖怪の本質は「現象(コト)」ではなく「存在(モノ/キャラクター)」であり、存在が語られる以上それは物語を伴う。例えばヌリカベなんかは行く手を塞ぐキャラクターである一方、行く手を塞いだエピソード(物語)が求められるわけだ。順番が逆なんだけどね。
ある「現象」を「存在」に変えるプロセスを「物語」と云う。つまり又市の仕掛けはまさしくこのプロセスを利用しているのだ
しかし百介の出番はここで終わりなのだろうか…。
なんだか淋しくなるような。後巷説百物語が楽しみですねぇ。
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うわぁ〜なにこれ!
5編が繋がっていきながらデカい仕掛けでラスト!
もう全てが綺麗に収まって非の打ち所がない…
これはもう大好きなシリーズかもしれない
そして最後の話で泣かせにきたわ(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
まだ続きあるのに…
どうなるの…
気になりすぎて早く次巻手に入れないと!!
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実に面白い。百鬼夜行シリーズとは反対で、妖怪の仕業にすることで、全てを丸く納めるミステリー。無印よりも続の方が面白く、短編集が綺麗に繋がりつつ、哀愁ただようラストも素敵でした。まだまだ続きがあるし、最後は百鬼夜行シリーズの過去と混ざるのが楽しみ過ぎます。
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すっかり書き忘れ…
感想書くより先に次作を読みすすめてしまってたナア。
読後の切なさ、ラスト数行がとても好き。
最後の最後、
百介に感情移入するあまり
自分もなんだか悲しく切なくなって、
少しばかり涙ぐんでしまった…
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奇談怪談を集める山岡百介は旅の途中で知り合った小悪党、御行の又市たちの過去に触れていくが。シリーズ二作目
前作と時間軸が交差するお話が六篇。それぞれの人生が垣間見える。それぞれのお話はゆるくつながり最終話で……うわぁぁぁん。・゚(´□`)゚・。→
いやもう、読んで?前作「巷説百物語」が面白かった全ての人に読んでほしい。最高。私この終わり方大好きすぎる。
前半は治平とおぎんの過去に関するお話、半ばからは「北林藩」に関するお話。キャラクターがたくさん出てくるからメモしながら読んだけど(京極作品あるある)繋がるんだよ、全部。→
京極夏彦氏の脳内どーなってんの?(褒めてる)マジでヤバい(褒めまくっている)好きすぎる(落ち着け)
もうさぁ。ラストのさぁ。場面がよぅ。サイッコーなんよ。脳内でグワァぁぁって再生されるわけよ。リーダビリティやばすぎ。何話してもネタバレになりそうで怖い。
とにかく最高です。
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一つ一つ短編として楽しめるが、読んでいると気づく、話のつながり。小右衛門の落とし前である老人火で、百介と小右衛門が初めて相対。否、初めて相対したのは死神或いは七人みさきであるか。ここで、又市たちと百介との生き方が別れてしまった様な…。まだ続編があったと思うので、購入して読みたい。
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再読。6~7年ぶり?
忘れてしまっていた部分も多々あれども、しっかり覚えていてちゃんと「再感動」させられた部分も多数♪
シリーズは全5作中4冊までは既読。
再読の2作目。
本編(?)はここで完結し・・この後「前巷説…」(前日譚)「後巷説…」(後日譚)と続いたはず。
※「西巷説…」は、別主人公のサイドストーリーという位置付けだったかと思っていたのだけど、
今回の再読をしてみたら、
百介が又市に束の間の再開をするまでの6年間の空白が気になった。
江戸城に巣食う大ネズミ退治・・
事触れの治平が命を落としたという東西の抗争・・
もしかして、これらのエピソードが「西巷説…」で語られてるのかしら?と。
世界観を読み終えてしまうのを敬遠し読まずに寝かしてきた「西巷説…」も、そろそろちゃんと読まねば❗️と思った。
★5つ、9ポイント半。
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再読。内容はぼんやりとは覚えていた。前作「巷説百物語」に続く今作であるが、このシリーズはどの話も人の心を揺さ振るのが上手い。特に最後の話である「老人火」はそれでしか幕を引けなかった二人の天狗の遣る瀬無さ、そして又市と百介の最後は感情移入できるものでもないのに思わず感情移入してしまう。きっとここで百介の中のなにかは終わってしまったのだと私は強くそう思っている。
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シリーズ第2弾
今回は、又市一味の過去も少し触れられ
妖怪を騙った仕込みも、藩全体を巻き込んだいちだんと凝った壮大な話になってゆく。
狂気の藩主の話は鳥肌もの。
今回で百介と、又市たちの話はどうやら終わり??
もっとこのメンバーの話を読みたかったかも。。。
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やっぱり楽しいですね。巷説シリーズの続編です。
又市さんがかっこいいですね。
百鬼夜行シリーズの榎さんも人気がありますが、きっと又さんも相当人気があるんだろうなと思います。
今回のお話は短編ですが、それぞれのお話が繋がっていました。
それにしてもひどい。ひどすぎる。で、ちょっと考えてみました。
の大好きなことをやめろ、してはいけない、でも大好きで仕方ない。そんな場合、自分はその欲望を抑えることができるだろうか。自分ならそれは本を読むこと。きっと我慢できなくて、ばれなければ、なんとかしてその欲求を叶えようとする。
人殺しはちょっと違うとは思うけど、そう考えると少し怖いです。
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巷説シリーズ第二弾。
連作短中編集の体裁を取っているこの、必殺仕事人シリーズ。
中でも【続】は核となっており、各話に散りばめられた悲しみ憎しみが、最終話に収斂されていく様は本当に秀逸。
百物語、というからにはまだまだ続いていくんだろうか。
是非とも100話、描き切って欲しいです。
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巷説百物語の続編。 巷説百物語と時系列が絡み合っているので、又市、百介一行の動きを整理しながら読むと前後関係が面白い。 今回も仕掛けとして化け物をこの世に生み出し、人の無念を丸く収める鮮やかさに圧倒される。 最後の仕掛けである老人火は、残念なことに全然わからなかった。誰の立場にも立てないまま読み終えてしまい、残念である。けれども悲しい幕引きだったという印象は残っている。 いつか分かる日が来ると信じたい。しかし分かってしまうことが怖い気持ちもある。
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りん。
御行奉為ー。
江戸の大店の若隠居百介が御行又市やおぎん達の妖怪仕立ての仕掛けに自ら巻き込まれていくシリーズの二作目。
今回はおぎんや治平の悲しい過去も関わって来て前作よりすべてが深かったです。人情味もあり、仕掛けもどんどん大きくなってとてもおもしろかったです。
個人的にいちばんよかったのは船幽霊。
最後のお話は淋しく切な過ぎました。
これで又さん一味の活躍は終了?ここからは過去のお話なのでしょうか?
とはいえまだまだ先は長いので楽しみたいです♪
朱美さんを思わせるようなきっぷのいいおぎんさんが好きです。
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いやー、感動した 全部の話に伏線が張られてて、各話にでてきた話が「死神」に繋がるっていうのがめっちゃ良かった 前作よりも人情味溢れてて最高だった 百介と又市の関わりが無くなったのが寂しいけど、良い幕引きだと思った
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物凄い話だった。
御行の又市
山猫廻しのおぎん
山岡百助
この三人の物語の最終章だった?
ここまで続いてきた前巷説百物語、巷説百物語の完結編となったのか?
最後の最後に又市が仕掛けた、藩を動かすほどの仕掛けが見事だった。
京極堂シリーズも好きだけど御行の又市一味のシリーズも負けてない。
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【2024年170冊目】
投擲する狸、首を跳ねられても蘇る男、消えた花嫁、山の民と船幽霊、殺しに魅入られた死神、二人の天狗。仕掛けを施し、悪を滅する。巷説百物語シリーズ第二弾。
一話からぐっときてしまいました。こんな泣かせるような話書いたっけ京極先生…私の涙腺が緩い?とか思ってたら、話がどんどんエグくなっていって、やっぱり一番怖いのは人間じゃねーか、と。むしろ、祟られてるとか取り憑かれてる方がまだいい、正気で狂気の人間の怖さ。
一見、それぞれのお話が別物に見えたりしますが、連作短編集で少しずつ繋がっています。これ、最初は今作でお仕舞いにしようと思ったんじゃなかろうかこのシリーズ…と思わせる切ない終わり方。良かった、続きのシリーズが出ている状態で読んで…打ちひしがれてしおしおになっちゃうところでした。
シリーズは順番に読んでいきますが、物語の時系列は前後しながら進むようです。なかなかさらっと読めるシリーズではないのですが、やはり伏線の張り方も含め、面白いので次作も楽しみに読もうと思います。
初読:2012年11月1日以前
Posted by ブクログ
『巷説百物語』の続編。
連作短編集。を装った長編。
長編だと気づいた時の私↓
「ちょ、これもしかして長編じゃね? なんか今回は時間軸がハッキリしてるしえらく符合することが多いなとは思ってたんだけど、まさかの長編? それなら最初からそう言ってくれよ、短編だと思ってたから重要なキーワードも心に留めずにここまで来ちゃったよ!!!」
さらに最後まで読んだ直後の私↓
「え、終わり???? このシリーズここで終わるの?? だって続巻出てるじゃん、これシリーズモノなんじゃなかったの? しかも何この最後の『江戸に戻った百介は、生涯二度と旅に出なかったという。』って! こんな大事なことをこんなサラリと書く?? 日本中の怪談を収集して百物語版行するのが百介のライフワークじゃなかったの? それをこんなに簡単に覆す?? これは悲しい! めちゃ悲しいぞ!!」
いろいろえらくショックで、読後はしばらく哀しみに打ちひしがれてた。
このシリーズは凄く好きなわけじゃなかっただけに、予想外の展開で興った引力にかなり持っていかれた。
要は京極夏彦にキレイにヤラレタ私であった…。
感想としては上記が全てなんだけど、未来の私のためにあらすじを記しておく(忘れるので)。
・野鉄砲……百介の兄、山岡軍八郎登場。同心の兄に呼ばれ八王子まで出掛けた百介は、額に石がめり込んだ同僚の骸を見せられ、人智か物の怪の仕業かを相談される。野鉄砲という怪を紹介した百介だが、一日猶予をもらい、又市に意見を仰ごうと江戸に引き返す。話を聞き顔色を変えた悪党達は、物怪狩りに発展することを予言し、兄のために加護の札を授ける。百介は八王子に戻り、果たして山狩の支度をしている兄に、護符を渡す。山狩の結果、兄以外全員が野鉄砲に襲われ、さらに上役は額に石礫をくらって命を落とした。
実は死んだ二人は、治平の盗賊時代の親方島蔵の娘と孫(そして治平の嫁と子供)の命を奪った奴らで、島蔵が改良した石礫を弾にする鉄砲で仇をとったのだった。
(そうか、ここでまず野鉄砲が出てくるんだな)
・狐者異……蘇生するとの噂の悪党祗右衛門のさらし首を見に行った百介は、途中でおぎんと同道になる。首を見たおぎんのただならぬ態度をきっかけに祗右衛門について調べた百介は、祗右衛門が15年前にも10年前にも首を斬られていることを知る。そんな時ふいにやってきた又市に何となく近況を話すと、又市は祗右衛門の蘇生は事実だと語り、あれは人ではないのだと退治に必要な大判の札を見せる。
そうこうしているうちに、先に祗右衛門を捕えた同心笹森が攫われる。部下にあたる同心田所が百介を訪ね、誘拐が祗右衛門の仕業だとして、人が蘇生することなどあり得るのかと問う。祗右衛門を捕らえる決意をする田所に、又市の話を思い出した百介は治平から例の御札を預かり田所に渡す。果たして田所は御札の効果で祗右衛門を捕え、斬首に成功する。
その後、実は祗右衛門は義賊で、おぎんは祗右衛門と町家の娘との間の子であること、祗右衛門の立場を利用し「祗右衛門」というシステムを構築したのが笹森だったことを、又市から明かされる。田所が斬ったのは笹森だった。
(ここでおぎんの出自が明らかになるんだな)
・飛閻魔……貸本屋の平八登場。百介を呼び付け、直近の旅の土産話をしたあと、人探しを頼む。もちろん、百介の背後にいる又市を当てにして。尾張の豪商が、入れ込んだ挙げ句消えてしまった女・白菊のために御殿まで建てて、籠もっていると。渡りをつけた又市は白菊を知っていて、百介は白菊の身の上を知る者たちから話を聞く。又市の仕掛けで尾張の御殿は燃え失せ、豪商は正気に戻るが、百介は又市から、実は白菊はすでに死んでいて、成りすました女がいること、火に興奮する性癖であることを聞かされる。
問題は、百介と又市の関係をなぜ平八が知ったか。北林藩で平八はおぎんの育ての親小右衛門と出会っていたことが分かる。
そう、この話がキモ。冒頭の平八と百介との間で交わされた、江戸で人が死んだだの北林藩の七人みさきだの花嫁が持参金持って道端に倒れてただの、世間話的に出てきた話題が、にわかに主軸に躍り出る。ここだよ油断してたの。
・船幽霊……この話も情報量が多い。
淡路の仕事を終え、百介がおぎんと土佐まで行こうとする途次、怪しい侍に後をつけられているらしいことに気づく。捲くために山道を行くと、賊らしき者どもに襲われ、結局その侍に助けられる。侍は東雲右近、北林藩家老に人探しを依頼され、土佐の川久保一族を探っていた。北林藩では辻斬りが続き、現藩主との確執の末に自害した前藩主の正室の弟が下手人とされた。それが川久保とゆかりがあるためだ。
そうそう、各話の各章をページ最後の行で終わらせる京極夏彦の狂気は指摘しておきたい。
あと、めちゃ急展開でビックリしたけど、シリーズをきっちり終わらせたのはファンにとっても良かったんだと、次はいつ読めるのかとモヤモヤしながら待ち続ける京極堂シリーズのファンは思うのであった。
(編集中)
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明治の代になり山岡百介が隠居老人になってから語る不思議な話。岡本綺堂の三浦老人のようなものだ。秀逸なのは「五位の光」でしょうか。おぎんの娘りん、その娘小夜など大河小説のようなスケールで、又市たちの影を感じながら出てきてくれる。百介の話、楽しみましょう
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今作は全編百介の視点で描いていることから、又市一味の各キャラクターの人となりがよく分かり、切なさと恐怖と可笑しさの混じった異様な世界観にのめり込んで行く。
最後の事件の真相が知りたくなるので、このまま続編突入必至。
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決して嫌いではないんだけど、読み進めるのに少し躊躇する。
百介が切ないのと、仕掛けが大き過ぎて何が何やら‥。
もう小悪党じゃないじゃん、何だってできるじゃん、みたいなね。
あと、野鉄砲で百介の兄が「昼も夜もなかろう」的なことを最後に言うのが好きだったんだけど、いつまでもふらふらはできないのね‥と切なくなる。
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再読。腕が痛い背中が痛い。それでも読みたいわけで、サロンパスのお世話になって読み終わりました。最後の大仕掛けの成功の裏には、悲しくてやりきれない思いが残って、又市さんやおぎんさんは向こう側へ行ってしまい、百介さんは寂しいことだろうな。江戸に帰ってどんな風に又市さん達を思い出すのだろう。
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無類の不思議話好きの山岡百介は、殺しても殺しても生き返るという極悪人の噂を聞く。その男は、斬首される度に蘇り、今、三度目のお仕置きを受けたというのだ。ふとした好奇心から、男の生首が晒されている刑場へ出かけた百介は、山猫廻しのおぎんと出会う。おぎんは、生首を見つめ、「まだ生きるつもりかえ」とつぶやくのだが…。狐者異、野鉄砲、飛縁魔―闇にびっしり蔓延る愚かで哀しい人間の悪業は、奴らの妖怪からくりで裁くほかない―。小悪党・御行の又市一味の仕掛けがますます冴え渡る、奇想と哀切のあやかし絵巻、第二弾。
「狐者異」、「野鉄砲」、「飛縁魔」、「船幽霊」、「死神」、「老人火」
とんでもない極悪人が出てくる。この極悪人を、八方丸く収める又市さんが、それなりに丸く収めるのですが、あまりにも極悪人なので、溜飲が下がりません。
いや、それが、みんなにとって一番良い終末のつけかたなんだろうけれど。
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「妖怪使い」、小股潜りの又市が仕掛ける「怪談」の数々。とはいえ、ファンタジーではありません。つまり、構図は京極堂百鬼夜行シリーズと同じ。一作目同様、こちらも珠玉の京極ワールドでした。京極さんの小説はどれも言葉のリズムが本当にすばらしくて、文章を書くための自分の中のリズムを整えるのにとても効果的。しかも究極ののストーリーテラーですから、お話自体が最高におもしろい。しかも私の大好物(妖怪、怪異系)ばっかりでてくる。幸せすぎる。
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知識量に圧倒される
百介の心の動きにぎゅっとなった
世の中のどうしようもないことをこういう書き方でおさめようとした発想がすごい
百介の口調が少しばかり現代チックなところもギャップだと思うけど面白いというか逆にリアルっぽいと思う
最後切なかったな
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シリーズ第二弾。
江戸にもどった百介は、その後も又市、おぎんを中心とする小悪党たちの世直し的な活動に加わることになり、数々の事件を解決していきます。さらに今回は、百介の兄で同心の山岡軍八郎、おなじく同心で変わり者として知られる田所真兵衛、貸本屋を営んでいる平八、浪人で北林藩に士えることを志願している東雲右近といった人物が物語の脇役を固め、より大きな陰謀に巻き込まれていくことになります。
前巻のような凝った語り口は控えられ、百介を中心としたキャラクター小説という印象がより強いものになっています。又市たちのスーパーマンぶりがますます顕著になっていくのに少々ついていけないと感じてしまいましたが、各キャラクターの背景などもすこしずつ明らかにされており、おおむねおもしろく読むことができました。
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土佐あたりで聞く「七人みさき」の話から平家の落人伝説なども絡めて舞台は四国から北陸まで及び、大きな悪を絶つまでのお話でした。
各章に色々な妖怪のタイトルがついているんだけど、それらはすべて連続しているお話でした。
京極さんのお話は、シリーズで読んでいかないとわからないものが多いね。
幕府にいた大きな黒幕退治についてはサラっと済まされていて、いろんな人間関係が絡んだ「人間の悪」について描かれていました。
でも、スッキリするお話じゃなかったなぁ…。
そりゃ、悪い人間でもそれなりの生い立ちだとか悪になってしまうかわいそうな部分とかがあるんだろうけれど、何の罪もないのにそういった悪いヤツに凌辱されて殺されていくたくさんの真面目な被害者さんたちが不憫でした。
そういうのも含めて「妖怪」なのかもしれないけれど…。
現実の社会でも悪人がそれほど懲らしめられずに、彼らが犯した罪よりも優しい刑に服して生きていくことに矛盾を感じるのに…。
小説のなかではスッキリした世界を見たいかな。
そういうタイプには向かないお話かも。