あらすじ
激しい雨の降る夜、眠る夫を乗せた車で老婆を撥ねたかおりは轢き逃げの罪に問われ、服役中に息子を出産する。出所後、息子に会いたいあまり園児連れ去り事件を起こした彼女は息子との接見を禁じられ、追われるように西へ西へと各地を流れてゆく。
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Posted by ブクログ
「あぁ、なんでそんなことをしてしまうのか…」
主人公の心の動き、行動に対して苛立った。そして、グイグイ引き込まれた。
自分が追い込まれたら、主人公より、はるかに残念な判断や行動をしてしまうのだろう。そう考えると生きることの怖さを感じた。今現在、自分自身が比較的平穏に暮らせているのは運がいいだけかもしれない。
読み終えてグッタリ。
そして、主人公が出会う久住呂親子に感謝した。
Posted by ブクログ
はーーすごくよかったです。
主人公の感じた気持ちや感覚にどっぷり浸かりながらあっという間に読み切りました。
辛い経験や絶望的な状況の中でもとにかく日々をこなして生きていれば、柿が熟すようにその時がくれば、待ち望んでいた望みは叶う、自分の味方になってくれる人が現れるんだと、生きることに希望を持てる作品でした。起きてしまったことは変えられないけれど、その先自分がどう生きるかは変えられる。立ち止まっても転んでもみっともなくても、日々足掻きながら生活することの大切さを実感しました。年齢を重ねて子どもを産んでから再読したいなと思う作品です。
Posted by ブクログ
久しぶりに本を読んでないた。たった一度の罪で最愛の息子と会えなくなってしまった主人公。でも、彼女を支えてくれる温かい人たちもたくさんいて。そして最後には最愛の息子との再会や、自分を包み込んでくれる存在。「熟柿」という言葉がぴったりの小説。心に残った一冊だった。
Posted by ブクログ
絶賛されていて、昨年手に取ったが序盤で挫折してしまった。しかししばらく経って小説が読みたくなり、読みかけだったこの作品を再読。なぜ途中でやめてしまったのか。
挫折したところから読み始め、夢中になって最後まで一気に読破した。
なんと描写のうまいことか。なんと、リアルで、生々しく、苦しい作品なのだろう。最後になってわかる、絶望的な一言と、それでも救われるエンディングと。久しぶりに本を読んで、苦しくて泣いた。同情して、共感して、泣いた。自分とあまりにも違う境遇だけれど、自身の子供に会えない苦しさが、これほどかというまでに伝わってきた。
ちょっとしたことで、ほんの一瞬のきのゆるみで、外れてしまうレール。そして、そんな世界は今いる世界のすぐそこにあり、きっと私だってそんな可能性がゼロではないのだ。とても身につまされる、全うに生きることへの切実さを切に教えてくれる作品。読めてよかった。
Posted by ブクログ
主人公の人生が転換した後に沢山の人に裏切られ、それでも生活していかなければいけない中で最後に信頼のおける場所と人に出会うことができて本当に良かったと思います。人との関わり無くして生きていけないという事を考えさせられると同時に人間関係の悩みが少ない自分の今の境遇に改めて感謝することができました。
Posted by ブクログ
春子叔母さんの葬儀の日、
酔っ払った夫を乗せて自宅に帰る途中。
大雨が降っていた。
そこに携帯がなる。出ないで!お願い!
もうこの時点でぞわぞわが止まらない。
ダメ〜!と叫んでみても、物語は進んでいく。
春子叔母さんの生き方。
春子叔母さんの柿の食べ方。
すべてそこから始まっている。
『熟柿』
熟した柿の実が、自然に落ちるのを待つように、気長に時期が来るのを待つこと。
かつて、さきちゃんを、拓くんを待てなかった
かおりがやがて、少しずつ少しずつ
穏やかに、熟していく。
慌てず騒がすその時はやってくる。
この物語のかおりを取り囲む人々の、やさしさが
所々で胸に響く。素敵な本に巡り会えた。
佐藤正午さんは大好きな作家さんだけれど、
また、さらに好きになった!
春子叔母さんのように熟しきった柿にストローをさしてすすってみたくなった。
さぞかし、甘いことだろう。
でも、これって腐りかけの味もしそうで怖いけど
‥‥
Posted by ブクログ
なんとな終わり方
これでもかの訥々としたパーフェクトデイズのようなそれよりもマイナスぶれのある日々の中、仏教とかってこういう人生の為にあるのかと。人を疑ったり憂いたりするよりもきっとそこまで人は意地悪じゃないのかもと期待するまでもなく、プラマイゼロくらいのノリで捉えていると、日々の積み重ねがきちっとケツを揃えてくれるような人生を垣間見せてくれるのかもしれない。
最後の1行まで読んで本当によかった。
Posted by ブクログ
出口の見えないトンネルをずっと走り続けていて、ようやく出口が見えたような、そんな感覚を覚えた。
書き出してみて気づいたのだけれど、この物語そのものが「熟柿」を表しているということなのか。「熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時機が来るのを待つこと」。まさにそのものだと思う。かおりは、息子との再会、土居さんのような人や、福岡という新たな故郷との出会いを、ずっと待っていたのか。
最初はこの先どうなってしまうのだろうと続きが気になって仕方がなかった。中盤は少し間延びしているように感じたけれど、これはたぶん、読める期間が限られていて焦っていた読者自身の都合も大きいと思う。最後の元夫からの電話からは、読む手が止まらなかった。
どこか他人事とは思えない状況だったからこそ、最後にちゃんと時機が来てくれて、本当によかった。救われた。土居さん、ありがとう。
Posted by ブクログ
熟柿(熟して自然と木から落ちる柿)のように、焦らず力まず、時が満ちるのを待つ時間こそが、人生を甘く成熟させる。
「待つこと」も選択であり、前進である。ただ手をこまねいて放置するのではなく、時が解決してくれるのを信じて静かに見守る「積極的な忍耐」が大切。
また、人にはそれぞれのタイミングがある。自分のペースを相手に押し付けず、相手が心を開く瞬間や、状況が整う瞬間を尊重することが大切である。
力ずくでコントロールしようとするのをやめ、流れに身を任せることで、最も美しく納得のいく結末(熟した果実)を手に入れることができる。
Posted by ブクログ
たった一度の過ちでも、人生が180度変わってしまう。罪は償っても、おしまい、というわけではないし、それこそ一生かけて償うもの。
だけど、罪を犯した人が一生幸せになってはいけないのか。子どもに会うことも許されないのか。
難しい。。
Posted by ブクログ
熟柿 「柿の実が自然に落ちるのを待つように、
時期が来るのを待つこと」
まさしくタイトル通りのストーリーだった。
ひき逃げ事故を起こして、服役中に息子を出産、その後離れ離れとなってしまう。出所後、夫から離婚を告げられて、息子のためを思ってそれを受け入れるが、息子への思いが断ち切れず、接近したい気持ちと罪悪感を抱える市木さんの十数年を描いた話。
ことあるごとに「息子に会えるのではないか」「息子の話が聞けるのではないか」と期待しては裏切られる描写があって、客観的には 期待しすぎ 都合よく解釈しすぎ にみえて辛く感じるけれど、後半から常識的な思考もみられるようになって、その現実を市木さんが認識した時が一番本人も辛いだろうし、読者も辛かった。
そしてくじゅうろさんは何者なんだ
Posted by ブクログ
私も同じ選択をする。「母親が犯罪者である」より、「母親はいない」の方が背負う不幸は少ないと思うから。
視野が狭まり冷静さを失った、息子会いたさの行動。普通に考えれば、それはヤバいでしょなのに、まさに盲目。世の犯罪もそれぞれの背景があるのかもと、これまでの私の勧善懲悪の思考に揺るぎが起きた。
出口のない孤独の真っ只中では、罪を犯した者として仕方のないことと、私も同一視して読み進めた。真面目に只々必死に生きているだけなのに、何と難しいことか。でも仕方のないこと。そう受け止めながら読む。
そして土居さんとの出会い。「待つ」という大きな愛。委ねることができればどれほど楽になることか、でも、失ってしまうかもしれない。勇気なんて出せるはずがない。
息子は、罪が「離婚する理由になるのか」問う。え?
たらればだが、「犯罪者である母親として存在していたら」の彼の苦悩を加味したら、この台詞は出るのだろうか?もしくは、この上なく良き出会いに恵まれ育ったのか?
想像の斜め上に向かう終わりの展開。
話したいと思う人がいる。生への光が差してくる。待ってくれる人がいる。信じられる人がいる。
どれだけ時間が掛かったことか。掛かった分だけ、いやそれ以上に温かい時間と安らぎを与えて欲しい。もう救われていいよ。
Posted by ブクログ
2026年本屋大賞第2位。
シンプルな表紙に渋いタイトル、評判も良さそうなので手に取った。
伯母の葬儀に参列した帰り道、激しい雨の降る夜、眠る夫を乗せた車で老婆を撥ねたかおりは、確認もせずにその場を立ち去ってしまう。轢き逃げの罪に問われ、服役中に息子・拓を出産する。出所後、息子に会いたいがあまり様々なトラブルを起こしたかおりは、息子との接見を禁じられ、追われるように西へ西へと各地を流れてゆく…
ちょっとした判断ミスから取り返しのつかない罪を犯し、平凡で幸せだった人生の歯車が大きく狂っていく。とてもリアリティがあり、モデルの人物でもいるのではないかと思わせるような精緻な描写。一方で、やり切れない内容であるにもかかわらず、とても読みやすく一気読みさせられた。
罪と罰。罪を償ってなお続く偏見や生きづらさ。不運や苦労の連続。そんな中でも、常に支えてくれる人がいたことが救いだった。そして、明けない夜はないと思わせてくれる素敵なお話だった。
関係ないけれど、晴子伯母さんが柿を食べる描写が怖過ぎて夢にみそう…
Posted by ブクログ
久しぶりに読後感のあふれる小説だった。
妊娠中の主人公かおりは、
叔母の葬式の帰り、泥酔の夫を助手席に
乗せて運転中、轢き逃げを起こしてしまう。
轢き逃げした老婆は亡くなり、
かおりは服役する。
服役中に出産した息子とは一度も会うことができず
夫とも離婚し、服役後は天涯孤独の身となった。
そこからのかおりの壮絶な暮らしが読んでいて非常に辛かった。
お金がなくても息子のために懸命に働く姿、
息子に会いたい一心で会いに行く姿、
同じ母親として、もがき苦しむ母親の姿というものは
読んでいて心苦しい以外の何物でもなかった。
文章は主人公・かおりの視点で描かれており、句点を多用する独特の文体も、かおりという人物の心情や人格をリアルに表現していた。その文体が作品の世界観に引き込まれる要素の一つにもなっていた。
ラストはかおりが前に向いて歩もうとする一面が描かれており、読者としては少し心が晴れた気がした。
Posted by ブクログ
辛いことがたくさんあった主人公に、希望が見えた。その終わりに涙した。
機が熟すのを待つこと、ただ漫然と待つのではなく、その日を思って、今できることを一生懸命しながら待つこと。その先に何かが見えてくることを教えられた気がする。
Posted by ブクログ
すっっっごく苦しかったけど、最後は涙をボロボロと流しながら読みました。
熟柿:熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時機が来るのを待つこと
Posted by ブクログ
「過去に犯した罪が付きまとう」様を、1人の人間の人生を通して見た感覚。ひとつの罪が、子どもと引き裂かれる結果、拭えない後悔を招き、この精神状態が人生の場面場面における判断や決断に影響する。
これを「苦しみ、悲痛」とすればそうなのだが、この物語の終わり方では、それだけではない明るさのようなものを感じざるを得なかった。
Posted by ブクログ
『朝が来る』とか『八日目の蝉』に似た空気。重いけど目が離せなくて心打たれる。で、一気読み。母は強いのだと感じる。母としての行動に、やや狂気的と思いながらも、母になった以上、みんなある程度はそういう部分を持ち合わせているのだろう。
物語と直接的には関係のない鶴子の、だけど重大な引き金と、身勝手さと人間らしさも面白かった。かおりと鶴子のそれでもなんだかんだ繋がっている関係も妙にリアルで人間関係って案外そんなものなのかもなと思った。夫婦にまでなった人でも切れる時はばっさりと切れてしまうのに、なんだかかんだ繋がっている、くらいの「他人」がリアルなのかも。そして思いもよらず、期待していないところで、心の支えになるのかもしれない、と思った。
久住呂さんは素敵。頭が良くて信念があって人を思いやれる人ってやはり素敵。
Posted by ブクログ
久しぶりに小説らしい小説で、次がどんどん気になってすらすら読み進めていける小説でした。
起きた事象だけを考えたらそこまでインパクトのある話ではないですが、小説としてすごくよくまとまっています。
映画化向きな話ではない気がするので映画にはしないで欲しいな。
熟柿と言うタイトルはとても好きなタイトルですが、もっとキャッチーなタイトルにしていたら、本屋大賞も取れたかもしれませんね。
Posted by ブクログ
職場の先輩にお借りして読んだ。
最初の「妊婦がひき逃げを起こしてしまった」という設定が、なかなかない設定なのになぜか他人事には思えず「私だったらどうするだろう」と考えてしまった。
物語の後半で息子との再会を果たしたところは、感動的なドラマっぽい感じでなく実際はこんな感じなのかもなと思った。最終的に自分の居場所をみつけだしてきたところは、主人公のコツコツ真面目に働いて一歩ずつ歩んできたことが報われた気がした。
Posted by ブクログ
佐藤正午さんの『熟柿』を読んだ。冒頭からホラー小説のような心持ちで、不穏な空気や不安感に終始つきまとわられるような読書体験だった。果たしてこの物語をどのように着地させるのか、恐る恐る読み進めた。すべてはこのシーンのためだったんだね。本を閉じて、今は満足。でもやっぱり怖い作品だったよ。
Posted by ブクログ
罪を犯した人間は一生周りから咎められ後悔しながら生きていかなければならないのだろうか。
社会のルールの中で生きている私たちはルール違反して罪を問われれば罪を償わなければならない。
罪を償って人生が終わるわけではなく、その後もずっと死ぬまで人生は続いていく。
その人生の続きは一生不幸でいなければならないということはないはず。
物語りの最後で熟柿という意味を知ることになる。
1人の女性の人生を伴走したような気持ちになれる、そんな物語であった。
Posted by ブクログ
「熟柿」(佐藤正午)を読んだ。
わぁお!!
これはいいね。
想像の上をいく物語の展開に舌を巻く。
市木かおりさんこれいうとあなたは怒るけど『あなたは強いひとだよ』って本当にそう思うよ。
病院の待合室で読んでいていよいよラストに差し掛かるとき泣きそうになって慌てて本を閉じた。
佐藤正午作品を読むのは「鳩の撃退法」「冬に子供が生まれる」についで三作目だな。
Posted by ブクログ
ぐいぐい引き込まれるような感覚はなかったが
2日ほどで読み終わった。
主人公はもちろん、どの人物の立場にも感情移入できた気がする。
自分も子育ては終わったとはいえ、母親なので
主人公の気持ちは切ないほどによく分かる。
だからラストは救われたし、涙が溢れた。
タイトルの熟柿、前半の印象と最後では全く異なる。時が熟すことで得られる結果もあるのだ。長い長い時間待ったからこそ報われること。人の心を変えるには待つこと、たくさんの時間が必要なのだ。
Posted by ブクログ
熟柿という意味を始めて知った。
「あの本、読みました?」で辞書の回があり
数十年ぶりに辞書を買おうかなと思っていた。
人を轢いてしまう、というショッキングな始まりからエンディングまで、母親の気持ちが痛かった。
私の息子ははやアラサー。
子どもとの日々を思い出す。
最後が本当に素敵。
おせっかいの咲ちゃん。
あったかい土居さん。
罪を犯したから人生は終わりではない。
償い、後悔し、自分の人生を生き直す。
温かい人がたくさんの世になりますように。
Posted by ブクログ
本屋大賞ランクインしている1,2位の本を順番に読んでみよう〜ということで購入。
熟柿(じゅくし)という言葉初めて知った。
余談すぎるけど、私自身免許取ってから一度も運転しておらず、ここ最近運転できた方がいいよな、、とペーパードライバー講習に行こうとしていたところだったけど運転するの怖くなった。辞めとく、、、。
かおりは確かに取り返しのつかないことをしたけど、罪を償った後の人の社会復帰って難しいんだろうなと思った。何かサポートしてくれる人がいたりとか支援とかあったりするのだろうか。地域で生きていくことを目標に、社会復帰していくのが流れなんだろうけど周りはなかなか受け入れられないというのも分かる。もっと深く知りたいなと思った。
鶴子みたいな友達がいるので私も一緒にイライラしてしまった笑 なんだかんだのらりくらりと生きていける人っているんだよね。
久住呂ママ、咲ちゃんお節介かなと思ってたけどなくてはならない良い人たちだった。息子に会えたのは彼女たちのおかげ。
かおりが最後の最後に土居さんという居心地の良い人と巡り会うことができて救われた気持ち。土居さんは相手のことをちゃんと見ていてペースを崩さない様に待てる素敵な人。いろんな物事に対してすぐに結果を出そうとせず焦らず、待つという選択肢があるということ頭に入れておきたい。
Posted by ブクログ
2026.07.29
あらすじから想像していたストーリーとは少し違ったものだった。もう少し展開が多く、どろどろと進む物語だと思っていたが、轢き逃げを起こした主人公かおりが、淡々とその後の人生を息子のために生き抜いていく。
タイトルの「熟柿」という言葉をこの本で初めて知った。まさにこの熟語を体現したかおりの半生が描かれる話。
本屋大賞2位とのことで予約待ちして借りたが、期待値が高かったので少し肩透かしを食らってしまった。私には少し合わなかった。
Posted by ブクログ
私のとっておきの一冊は、佐藤正午さんの『熟柿』です。
2日で読み終えましたが、気持ちとしては一気読みしたような作品でした。さすが佐藤正午さん、読ませる力は見事だと感じました。
題名の『熟柿』には、本作では「気長に時期が来るのを待つ」という意味が込められており、作品の内容にぴったりだと感心しました。また、私が調べたところ、「熟柿」には隠語として泥酔漢を指す犯罪語という意味もあるようで、こちらも作品の背景を考えるうえで興味深いものでした。
正直なところ、主人公を含め登場人物にはあまり共感できず、読後感も決して良いものではありませんでした。それでも、なぜか心に残る、強く印象に残った一冊です。