あらすじ
激しい雨の降る夜、眠る夫を乗せた車で老婆を撥ねたかおりは轢き逃げの罪に問われ、服役中に息子を出産する。出所後、息子に会いたいあまり園児連れ去り事件を起こした彼女は息子との接見を禁じられ、追われるように西へ西へと各地を流れてゆく。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
忘れられない作品。元旦那が利己的で本当に許せない、、!鶴子もノンデリすぎる。力づくで人生を進める主人公には本当に幸せになってほしい。主人公は年を重ねるごとに晴子叔母さんに近づいているような気がして、晴子叔母さんの実態は親戚が思うようなものではなかったことを表しているのかもしれない。続編はないだろうけど、その後の皆さんの人生が気になる。最後に「熟柿」の意味が変わったところでこの物語の印象が大きく変わった。
Posted by ブクログ
主人公のかおりの罪は、誰にでも起こりうるような過ちというか。身近ではあり得ない、小説やドラマの世界という客観視できるようなものではなくて、日々運転する私にとって、身の引き締まる思いで読み進めた。雨の夜、運転中に電話がなる、思わず手にとるようなこともある。集中が途切れる時はある。
かおりは、その後もそんなに大きく間違ったことはしてないのに、なぜか悪い方へ悪い方へ…。つらい。特に、大阪で金を盗んだ斉藤さんが一番許せない!
なんとか、幸せになってほしい、怯えず笑顔で過ごす日が来ないかとずっと祈ってた。ラストで、斉藤よりも悪いやつが判明した!かおりの悔しさ、奪われた人生を思うと、なんとかして、この2人には天罰を!と願ったが、もちろんそこはなく。ただ、息子の拓とのつながりが見え、土居さんとの明るい未来を感じられたラストだった。描写や会話がとてもリアルで、上手に表現するなぁと感心しながら読んだ。
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人との関係で、答えを急いでしまうことがある。相手にも相手の時間があると、頭ではわかっているのに。そんなもどかしさを知る人に、手渡したくなる一冊でした。
雨の夜、轢き逃げを起こしたかおり。服役中に産んだ息子と離れ、各地で働きながら生きる年月が描かれます。
静かな文章なのに、読む手が止まらない。息子に会いたいあまり危うい行動に出る彼女には、「そこで踏み止まって」と何度も思いました。それでも、働き、暮らし、息子を思い続ける姿を追ううちに、彼女の幸せを願っている自分がいました。
「時が熟すのを待つ」という言葉も、その年月を読んだ後だからこそ沁みます。いつ願いが叶うかもわからないまま、目の前の生活を続ける。待つことには、こんな強さもあるのだと感じました。
終盤の静かな光に、読み手の私もようやく息をつけました。ただ、救いが訪れても、罪や失われたものが消えるわけではない。安堵の中に、償いとは何かという問いが残ります。
短い言葉で知るだけでは届かなかった感情が、読み続けた先にありました。かおりと時間を過ごすうちに、自分の気持ちも変わっていく。小説を読む豊かさを、改めて感じた作品です。
Posted by ブクログ
長い長いこれからも続くであろう物語
「熟柿」という題名が
最後の最後にしっくりきた
人は1度罪を犯してしまうと
本当にこんな人生を歩まなければ
ならなくなるのか?
取り返しのつかない
あの日に戻れたら…
と思う人は
この世の中に
たくさんいるんだろうなと思わされた
ニュースで短絡的な事件を
耳にする度に
「あぁー
なんでそんな事しちゃったんだろうな…」
と、この本を読んだら
その人の人生を思わずにはいられない
そんな物語でした
Posted by ブクログ
犯罪を犯してしまった人のその後の生活が描かれていて、重苦しいんだけど何故か読めてしまう。
強烈な感情がそのまま、みたいなダイレクトな表現がないからかもしれない。
ただただ、リアル。
感情的になって人を刺す人の気持ちもなぜかスっと入ってきて、作者が本当に経験してるのでは?と思わせるくらい自然だったのがすごい。。
強烈な記憶ほどところどころ覚えてない、とか、息子と感動の再会を果たした時の感情とか、体験したことないけどなんかすごくリアルで、
(現実味がないことが起きているのに頭はどこか冷静で、街にある店舗一つ一つが目に飛び込んてくる感じとか、唐突に午後の紅茶という固有名詞が出てくるところとか、ほんとすごい)
なんとなくこれがほかの作者にない佐藤正午さんの作風なんだなと思った。
そして熟柿の意味が最後出てくるの、アニメみたいでアツい。笑
Posted by ブクログ
色々複雑なのは分かるけど離婚する必要あった?って思ってたら最後に旦那が気付いてた&拓が同じことを話し出して、、、
もちろん轢き逃げはダメなことだけど、そこからのかおりの人生が辛すぎて、、最後の拓の『市木さんもお母さんだし』でようやく許された感じがして泣きました
Posted by ブクログ
クソおもしろい。
ずーーーっと苦しい。
ずーーーーーっと。
大きな塊を抱えて生きてる感じ。
ギリギリ壊れてるくらいの精神の表現。
どこかずれている会話のなんとも言えない怖さ。
決して戻らない時間、人生。
たぶん誰もが経験したことのある、あの嫌な感覚を、
取り返しのつかないことに対するあの嫌な感覚を100倍に濃縮したような物語。
この方向に感情を動かされたか、と何とも言えない読後感。
読書っていいね。
Posted by ブクログ
とてもよかった
わが子への思いが強すぎるあまり非難されることもあったが、息子の存在が生きる希望になっていたからこそ真っ当に生き、最後自分の手で希望を掴めたのだと思った
Posted by ブクログ
妊娠中の人身事故をきっかけに転落する人生の話。
主人公の目線での物語り。
とても暗く、救いもない。
そんな日常を淡々と生きてる、贖罪の念に囚われて抑圧し続けている、でも生き別れた息子に対して抑えきれな想いがあって傍目から見ると暴走してしまう。
そうなるだろって冷めた目で見ることもできるだろうな、でも息子だけが彼女の人生の確かな光だった。
溺れる者が藁をも掴もうと、必死に足掻いてるさまを笑える人なんて本当はいないんじゃないだろうか。
僕は男性だけど、母親の気持ちが痛いほど伝わって苦しかったなぁ...
出口のみえない陰鬱な日々にも救いはあった、手は差し伸べられたし、その手を取りにもいった。
時機はやがて巡って、彼女も心穏やかに生きられる時が来るといいな。
Posted by ブクログ
熟柿ー熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時機が来るのを待つこと。
気長に時機が来るのを待つという希望が視えるラストにカタルシスを感じる。
Posted by ブクログ
冒頭が村田沙耶香さんの小説のようなエキセントリックな話に?と誘導してからの…我が子を想う母の一途さの切ない話に展開しました。
不憫な状況が続き相当無理してメンタルがキツめだけど腐らずヤケを起こさず自分には我が子がいるという想いだけで自らを鼓舞して淡々と社会生活を送るかおりさんの強さに好感を持ちました。
とくに最後の辺りが好き最高でした。
Posted by ブクログ
妊娠中に人身事故・ひき逃げ事件を起こしてしまった女性の半生が描かれた物語。
人を殺した母親と死んだ母親とどちらがいいかを迫られ、出産後に離婚、子と離れ離れになってしまった市木かおりの真面目さや不憫さに、胸が締め付けられる想いだった。
子供と離れ離れになり、顔も見られず、会うこともできない。元夫がどのように育てているかもしれず、行く先々では犯罪者として社会から省かれる。こんなに苦しい人生あっていいの...??
一度の過ちで、一生が台無しになる。私なら絶望で前に進めるか自信がない苦境にも見舞われながら、少しの希望を見つけて前を向こうとする姿がかっこよかった。
最後はやっと信頼できるパートナーに出会えたり、子供に会えたりと、熟柿というタイトルがしっかり回収される綺麗な終わり方で安心した。
この流れのまま報われなかったら落ち込み続けるところだった。
目を背けたくなる現実に立ち向かう強さ、自分が犯した罪と向き合う誠実さを見て、私ももっと頑張らないと、という気持ちにさせられた。よかった。
Posted by ブクログ
タイトルの通り「時機を待つ」ことの重みと残酷さ、そして救いを感じる物語だった。
主人公が息子と再会するまでに要した16年。
「もっと早く会えたのでは」とタラレバを考えてしまうが、複数回主人公が起こした騒動を含め、あれはまだその時機ではなかったのだと受け止めることで、人は救われるのかもしれない。
元夫の隠していた真実には憤りと虚しさを覚えるが、その卑怯さと引き換えに子を育て上げた責任を果たしている点に、割り切れない感情が残る。
私事ながら今年子どもが生まれたこともあり、息子と会えない現実から逃げるように働き続ける主人公の姿や、それでも一瞬たりとも我が子を忘れられない描写は胸に刺さり、苦しかった。
息子に対して真実はまだすべて明かされておらず、息子側の心情には余白が残る。
真実が明かされる時も、息子側が受け入れる時も「いずれ必ず訪れる」と信じさせてくれる、どこか温かい希望の残る読後感だった。
Posted by ブクログ
ずっと読みたくてようやく。
でも読み出してびっくり、めちゃくちゃ重い。
主人公はひき逃げをしてしまい、服役中に子を出産。でも離婚をし子とも会えなくなり、一目見たいと子に会いに行き、連れ去り事件をも引き起こしてしまう。
頑張っても、罪を償っても、罪は一生残る。
頑張っててもお金は盗まれるし、回りからは罪を起こした人として厄介払いされるし、読んでてとても辛かった。ふと考えた。私の職場が例えば新しい人を採用したとして、その人に犯罪歴があったとしたら、採用を取り消すのだろうか。もはや試験期間中に気づいたとしたら、その人はもう雇わないという選択になるのだろうか。でもそれだと、その人はもう一生普通には暮らせないのだろうか。
子どもに会いたい、でも会えない。犯罪者の子どもにはなって欲しくない、でも少しでもいいから、遠くからでも見たい。切なさとやるせなさが伝わって辛かった。私は夫と離婚してよかったと思うよ。
主人公は確かに悪いけど、夫もずるいと思う。
全部全部1人に押し付けるなって思うし、でも子どもの事を言われるとなんとも言えない。でも逆に捉えると、子どものことを出してくるのはずるいと思う。最後息子は会いたいと言ってくれて希望ある終わり方も見えたわけだけど、でもおそらく、これからだ。
これからいろんなことが息子にも、主人公にも、試練がのしかかってくる。
東野圭吾の手紙、という本を思い出した。
熟柿、か。
とても渋くて食べれなかった柿が時間を置くことで甘く実り、渋みが抜けて食べやすくなること。
熟すまで時間はかかるけど、時間が経つことできっと甘くなる。生きてさえいればきっといいことがある。そう思えた1冊。
Posted by ブクログ
交通事故ひき逃げを起こしてしまった妊娠中の女が刑務所に入り、出産し、我が子と別れ、夫とも離婚され、職を転々とする話。
岐阜、大阪、九州などいろいろなところで旅館の仕事、パチンコ屋、介護士など様々な仕事をしていく。
最後には刑務所で出産をしてから会っていない。16歳の息子と再会することができ、母とこのつながり、会話、心の変化などが描かれていた。
一度刑務所に入ってしまうと、身内からも見捨てられ職を転々とし、生きていくのは大変なのだろうか不可抗力とは言え、交通事故で人を知らせてしまうと、犯罪者としてのレッテルは一生続くのだろうか
Posted by ブクログ
人が不幸になっていく様は、なぜこんなにも目が離せなくなるのでしょうか。つらい話がずっと続いて、息苦しいほど。『でも、きっと』そんな思いで読むことを止められない。一瞬の判断が人生を狂わせた母子の物語。柿が出回るこの季節に読めてよかったです。言葉というのは深いですね。熟柿のイメージが反転し驚きました。
Posted by ブクログ
轢き逃げを起こしてしまった妊婦の話。
どこまでもやるせなく、気持ちが重くなる作品だったけど、とても良かった。
轢き逃げして服役中に産み引き離された我が子の姿を見たくて、居場所を特定したり連れ去ろうとしたり。
客観的に見るとかなり異常な行動だと思うけれど、主人公の気持ちも手に取るように分かってしまって、でも引き離すべきだとする元夫の気持ちも、私が当事者ならそうするかもなと思って、辛かった。
最後に息子と会うシーンでボロボロ泣いてしまった...
轢き逃げによってすごく酷な人生を歩むことになってしまったわけだけど、少し報われた気がして良かったです。強い人だなと思った。
道を踏み外すってこんなに怖いんだと思った。
Posted by ブクログ
「熟柿」とは良い言葉だと思った。
話を読み進める中で意味を知ったのだが、「機が熟すまでじっくりと待つ」という生き方は、主人公であるかおりそのものではないか。
勿論かおりは望んでそうなったのではなく、長い忍耐の末に息子と会えることになったのだが。
暗い話であり、かおりも後ろ向きな性格なので読むのにも辛抱が必要だったが、読み終わったあとは1人の一生を隣で見てきたような充足感があった。
車の事故は怖い。
たった一度の過ちで、人生が真逆に走り出してしまうことがある。
でもその中で、かおりにとって道が拓けていくラストでよかったと思う。
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2026本屋大賞第2位受賞作
過去の過ちを背負って生きることの苦しさと、それでも消えない母親の思い。読んでいて苦しくなる場面もありました。
タイトルの「熟柿」のように、物事には焦ってもどうにもならず、時が熟すのを待つしかないこともあるのだと思いました。
読み終えたあと人生の後悔や親子の絆、時間の重みについて考えさせられる作品でした。
Posted by ブクログ
重たいお話だったけど、最後には光が差した。
過去ではなく、今の市木さんと向き合っている久住呂親子や土居さんがとても素敵だった。生活では過去の経歴が付き纏って、これからも苦労はするだろうけど、彼らの存在がいつも人生の光になるだろうな。物事の成就には適した時期がある。あまり焦らずに人生を選択していかねば。
Posted by ブクログ
『熟柿』生きるために働き、息子への思いを支えに歩き続けた人生
佐藤正午 著
ひき逃げ事故によって人を死なせ、家庭を失った女性が、離れ離れになった息子への思いを胸に、各地を転々としながら生き抜いていく物語。
佐藤正午の『身の上話』にも通じる、人生の行方が予測できない語りの面白さがある。主人公が次にどこへ向かい、どのような出来事に巻き込まれるのか。先の見えない展開に引き込まれ、読み進めるほどページを繰る速度が増していった。
ただし、読み終えて振り返ると、物語そのものが大きな広がりを見せるわけではない。最初から最後まで読者の関心を引きつけるのは、ただ一つ、主人公と息子の関係がどのような結末を迎えるのかという問いである。
その答えを先送りするように、転居と転職が繰り返され、主人公の苦悩や不満が延々と語られる。まるで結末を期待させながら、その直前でコマーシャルに切り替わるテレビドラマのようでもある。次の展開を知りたいという期待が読書を牽引する一方、繰り返される心理描写には冗長さも感じられ、読み手に忍耐を求める部分があった。
しかし、本作の読みどころは、息子との再会という物語上の目的だけではない。むしろ印象に残るのは、主人公が一人の人間として生活を維持することの厳しさである。
山梨の温泉旅館、岐阜のパン工場、大阪のパチンコ店、そして福岡のホテルへ。職場を失い、同居生活が終わり、時には前科を知られたことで金銭を奪われる。ようやく手に入れた生活の基盤が、本人の意思とは関係なく崩れていく。
興味深いのは、彼女が新しい土地で住まいを確保する方法である。住み込みの職場を探し、知人の紹介で同居先を得て、社員寮のある求人を頼りに移住する。自ら不動産を探して独立した生活を築くのではなく、仕事や他人との関係を通じて、ようやく寝起きする場所を確保している。
ここには、頼れる家族も十分な経済的基盤もない人間が、一人で生きていくことの現実が表れている。彼女にとって働くことは自己実現の手段ではない。生活を失わないための切実な営みである。昼間の仕事に加え、空いた夜の時間も労働に充て、倹約を重ねて金を蓄える。その姿には、人生を立て直すという言葉だけでは片づけられない、生存そのものの厳しさがある。
一方で、この孤独な生活を支えているのは、二つの異なる力だ。
一つは、息子への変わらぬ思いである。会えない息子への気持ちを文章に託し、いつかその思いを届けることを生きる目的とする。日々の生活を支えているのは労働だが、その労働を続ける理由を与えているのは息子の存在なのだ。
もう一つは、人との縁である。
彼女は過去を知られることへの恐怖から、他人と深い関係を築くことを避けている。しかし、各地で生活をつないでいく契機には、いつも誰かの存在がある。人との関係が災難を招くこともあれば、新しい生活への道を開くこともある。
なかでも親友の鶴子は重要だ。遠く離れていても頼れる相手がいるという事実が、主人公の孤独を和らげている。作者は人とのつながりの大切さを説教めかして語ることはない。それでも、彼女の生活を追ううちに、人は完全に一人では生きられないという現実が浮かび上がってくる。
人生を支える軸は息子への思いであり、その人生を現実につないでいるのは他人との縁なのである。
終盤、久住呂母娘の働きかけによって、長く停滞していた物語は結末へと動き始める。最後の息子との場面は、感情があふれる展開であり、現実にこれほど劇的なことが起こるだろうかという疑問も残る。
それでも、ここまで主人公の苦難を追い続けてきた読者にとって、その結末には十分な感動と解放感がある。現実的な蓋然性よりも、長年積み重ねられてきた願いが一つの形を得ることへの満足が勝るのだ。
『熟柿』は、息子を思う母親の物語であると同時に、人生の足場を何度も失いながら、それでも働き、生き続ける人間の物語でもある。
結末へ至るまでの長さには疑問が残る。しかし、その長い歳月の積み重ねがあるからこそ、最後に訪れるわずかな光が、これほど大きな意味を持つのだろう。
Posted by ブクログ
読む前は重い内容でずーんとした気持ちになるかも、、と思っていたが、読み易かったし展開の進み方も好きだった。
終わり方的にもう息子に会わないのかな、、と思って切なかったけど本人が決めたならそれでいいよね。
途中でお金を盗まれたり職場を離れざるを得なかったり大変なことはあったけど、拓くんが「お母さん」としてしっかりかおりさんを認識しててよかった。
自分だったらいつ会えるかもわからないままで生きていくなんて辛いなあ。主人公はよくめげずに生きていると思う。
Posted by ブクログ
かおりが事故を起こした27歳は私の今の年齢で、
一つの過ちでその後の人生がこんなにも変わってしまうのかと怖くなる。
今の私には、焦ることも辛いことも逃げたいことも数えきれないほどあって、うまくいかないなぁと思う日々だけれど、この作品はそれでも生きていればいつか光が差すと信じさせてくれた。
今日もそのいつかをゆっくり待ちながら生きていく。
Posted by ブクログ
主人公のかおりにイライラする。ずるい人だなと感じるから。自分で自分のことをスパッと決めてしまえばいいのに周りに流されすぎ。友人の鶴子にも振り回されすぎで、こんなの友人じゃない!と思ってしまう。
Posted by ブクログ
想像するだけで辛くなるような人生だなあ。
読み進めるのがしんどかった。出てくる人たちがあまり仲良くなりたいタイプではないし。
鶴子とかなんなん?って思ってしまった(笑)それと元夫も。。。
かおりのやってることもよくわからなかった。ただすごいバイタリティは感じた。
福岡に流れついて出会えた人たちはかおりが引き寄せたものと思いたい。
久住呂さん母娘はとてもよかった。出会うのが遅かったよなあと思った。
ひき逃げのときにすでにいてくれたら違う展開になっていたのでは?なんて思ってしまった。ええ、意味のない想像です。
息子、拓くんとの再会の場面。駈け寄らない、涙も出ないというそんな感じがよかった。
「一度捨てた子供なのに」は痛打だった。そのあとの幼稚園でのエピソードはずっと言えなかった拓くんの悔しさだった。
それを必死に真っ向否定するかおりがあまりにも自分本位な大人でなんだかしんどかった。そりゃあ嘘でも認めたくないわな。
でも拓くんがしっかり成長していてほんとによかったし、ここからは自分で未来を変えていくぞという感情を感じて、たくましかった。
希望が見えてくるラストで、そこまでたどり着いてようやく読んでよかったなと思えました。
Posted by ブクログ
Audibleで視聴。
親戚のはるこおばさんのお葬式の帰り道、妊婦である主人公の運転する車が人身事故を起こしてしまい逮捕されてしまう。
刑務所で子どもを産み、出所してすぐ旦那から離婚を切り出され子どもと顔を合わせることも叶わず離れ離れになる。全てに無気力になる主人公が子供に会いに行く話。同じ親として、想像するだけでも泣けてくるのだが、感情移入ができない。
文章はすべて主人公目線の心理描写で描かれているのだが言い回しや情報が多く表現が独特で野暮ったく感じた。
はるこおばさんがちょくちょく出てくるのだが、なんで主人公はそんなに思い入れがあるのかわからない。そんなに思い出もないしお世話にもなってないのに。聞き逃していたのかも。
刑務所で悲しみに明け暮れ、涙も枯れた母親が子どもに会えそうになるにつれて感情がおかしくなっていくのはリアリティがあった。
後半になると慣れてきたのか長い言い回しが苦にならなくなった。後半面白くなるので感情移入できてきたのもあるし、もしかしたら前半から後半にかけて主人公の精神が安定しているのを表現するために文章の表現を変えているのかも。
後半に入るまでとにかく悲しい話だっだが、最後はタイトル通りしっかり報われた。息子が良い子過ぎるなと少し思ったけどそれは報われたということで。
熟柿という言葉が好きになった。
Posted by ブクログ
『熟柿』を読んで、罪を背負って生きることと、物事には適切なタイミングがあるということについて考えさせられた。
罪は消えない。一生向き合い、背負って生きていかなければならない。決して許されることではないが、だからといって、一生光が差さないわけではない。罪を償った後は、その罪を背負いながらも、前を向いて生きていくことは許されるのだと思った。
特に胸が苦しくなったのは、ラストのかおりと息子の拓の会話だった。
拓は母親に会えて、話したいことがたくさんあるはずなのに、照れくささから素直になれない。一方のかおりも、本当は名前を呼んで抱きしめたいはずなのに、その気持ちを抑えて冷静に振る舞っている。
限られた時間が終わりに近づき、ようやくお互いの気持ちを吐露し合う姿が印象的だった。
元夫がかおりにだけ罪をなすりつけていた事実には腹が立った。それでも、かおりはそのことを知った後も、拓の中にある父親の像を壊さないように努めていた。その姿が余計に辛かった。
これまで拓のために必死に働き、ただ一目でいいから息子に会いたい、成長した姿を見たいと願い続けてきたかおり。その思いがようやく報われたのだと思うと、涙が出た。それが同情からなのか、かおりの心境が自分に重なったからなのかはわからない。ただ、泣けた。
再会によって、かおりは救われたのだと思う。これからもたまにでいいから会って、色んな話をしてほしい。そして、これからは拓のためだけでなく、自分自身のためにも生きてほしいと思った。
また、「熟柿」というタイトルの意味も印象に残った。物事には適切なタイミングがある。かおりと拓が再会したのも、幼稚園の頃でも、小学校の入学式でもなく、あのタイミングだったからこそ、お互いに向き合って話せたのだと思う。
ただ、それも結果論なのかもしれない。実際にその時を迎えるまでは、何が適切なタイミングなのかはわからない。だからこそ、何でも自分の思いどおりに進めようとするのではなく、できることをしながら、ある程度は流れに身を任せることも大切なのだと思った。
罪を背負いながらも前を向いて生きること。そして、焦って答えを出そうとせず、時の流れに身を任せること。
この2つのことを考えさせられた作品だった。