あらすじ
激しい雨の降る夜、眠る夫を乗せた車で老婆を撥ねたかおりは轢き逃げの罪に問われ、服役中に息子を出産する。出所後、息子に会いたいあまり園児連れ去り事件を起こした彼女は息子との接見を禁じられ、追われるように西へ西へと各地を流れてゆく。
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苦しくなって、寂しくなった。どうしようもないことが、世の中にはあるけれど、救いさえ望めなくても、生きていることを、自分だけは否定しないでいたいと思えた物語であった。
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かおりが幸せになるところが早く見たくて、ちょっと焦りながら読んだ。
そのくらい前半のかおりは情緒不安定で、見ているのも辛いほどだった。
その他の登場人物に対しても、色々思いはあるけれど、
ラストの土居さんから「熟柿」という言葉の意味を聞いたときに、私の心からはそんなことはみんな消し飛んでしまった。
例えどのような状況であっても、一生懸命に生きてさえいれば必ず人生は好転し、周りの人にも信じてもらえる。
かおりの人生からそんな風に学びました。
かおりがもっともっと幸せになる所が見たかった。
もっとかおりを応援したかった。
続編希望です。
映画化希望です。
Posted by ブクログ
心臓をギュッと掴まれるくらい切ない話。
両親を事故で亡くしたかおりは、叔父に引き取られ大学を出て、警察官の夫と結婚して妊娠していたが、大叔母のお葬式の帰り道で轢逃げをしてしまう。子供を刑務所で産むこととなり、2年の刑期を終えたところで、夫に言われて離婚。子供は産んだ後、耳の裏に黒子があることしか覚えていない。
保育園や小学校に行ってみたこともあるが、息子とは会えないまま警察を呼ばれてしまう。いつか会えるひを夢見て、地道に日々生活してお金を稼ぐ。
今月一良かった本だと思います。
Posted by ブクログ
素晴らしかったです。
「熟柿」(じゅくし)このタイトルに辿り着き深呼吸しました。
今年一番です。素晴らしかったです。(何度でも)
罪を背負って生きていくという過酷さと、
誰にでも起こりうる怖さを改めて考えさせられました。
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伯母の葬儀の帰り、酔って熟睡した夫を助手席に、
妊娠中のかおりが豪雨の中老婆を跳ねてしまう。
轢き逃げの罪から獄中出産する。
出所後離婚し息子「拓」は夫の元に。
子供に会いたい、触れたい、その一心から常軌を逸した行動もあった。
職場を転々とし先が見えない時間の流れに何度も途方に暮れました。
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轢き逃げは絶対許されない。それでも、
子育ての時間はあっという間。
引き離される辛さは耐え難く、生き別れて十数年は長すぎます。
寄り添う人がいてもいい、会わせてあげて欲しい。
そして後半、驚愕の真実に怒り震えました。
マジで。
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久住呂(くじゅうろ)さん母娘がとてもよかったし、
土居さんも温かい光だ。
嘘と裏切りさえ乗り越えていこうとする
かおりの人生を祈りたい。
息子に会えたと思いますか?
Posted by ブクログ
本の雑誌2025上半期1位に惹かれて購入
前半はあまりそんな風に思えないまま読み進んだ
救いがないまま最後はどうなるんだろうなどと思いながら
あらすじとか要約とかじゃなくて、やっぱり、時間かけて自分で読んでいく、読書っていいよね、なんてことを改めて思わせてくれる作品だった
Posted by ブクログ
「月の満ち欠け」「鳩の撃退法」が合わなくて、もういいかなぁと思ってた佐藤正午。え、ムッサオモロい…いや凄いやん、とビックりした。
最後の最後まで上記偏見を持って読んでたのが良かったのか?、熟柿の意味が心にジーンって染み渡る。再会とその後の千葉駅での電話のシーンがもうグイグイと心に沁み込んでくる。
親の愛とは、贖罪とは…。主人公みたいな罪を犯すことは滅多にない(あってはいけない)事だけど、生きてきた中で小さな失敗や自分でつけてしまった汚点はあるもの。それを背負って生きていくことの覚悟、覆い隠す行為の辛さ醜さ、親としての矜持と覚悟、そして子供としての向き合い方…もう色々と身につまされることが多くて。
働いて働いて働いて…とか、贖罪は済ませたとか、政治家が言うてることの真実の姿がここには描かれています。
Posted by ブクログ
作中、土居さんがスマートフォンに入れて愛用している辞書は『大辞林 第四版』(三省堂)です。(巻末より引用)
そうか〜、やっぱり辞書と言えば三省堂だよな〜
わいが学生のときに使ってたのも三省堂やったわ
「国語」も「漢和」も「英和」も「和英」も三省堂やった
皮の(ビニールね)カバーが重厚感あって、なんか持ってるだけで頭よくなったような気がしたんよな
という訳で「ひき逃げ」です
うーん、なんか二つの正反対の思いがひしめいているんよな
そんなもん自業自得や!だいたい二年ちょっと刑務所に入って「罪は償ったんだから」って言う方も言う方や!そんなもん一生許されへんわ!ずっと辛い思いしてろ!という気持ちもある
正直ある
でも、子どもに会われへんというのは、辛いよ、辛すぎるよ
しかも何よもう全部悪い方、悪い方に行ってもうて
そこまでの罪なのかという気持ちもある
ただの事故ならまだね
でも「ひき逃げ」はあかんよ
故意だからね
そして『熟柿』な
うーん、熟柿かぁ〜?
あんまり納得いかんな〜
熟柿かな〜
それでいいんかな〜
う〜ん( ・ั﹏・ั)
なのに★5っていうね
なんなんのこの人
Posted by ブクログ
序盤から救いようのない話が続き、どこに行っても、どう足掻いても、逃げられない現実とひたすら向き合う。正直、苦しくて苦しくて堪らない話だったのは確か。でも、自分の生に向き合って、精一杯生きていく姿に心を打たれ、気持ちが入り込んでしまう凄い作品。
『熟柿』という言葉は、序盤ではネガティヴで気持ち悪いイメージが強く刻まれる。腐敗や停滞、取り返しのつかなさを象徴していたはずの言葉から、終盤ではまるで違った意味を帯びてくる。落ちきったからこそ得られる甘さ、避けられない終わりを受け入れた先にだけ残る、わずかながらも確かな肯定。人生は巻き戻せないし、失ったものは戻らない。それでも、人はその地点からなお前を向くことができるのだと、言葉少なに示してくる。
皆様におすすめしたい、年末に出会った今年一の作品でした。素晴らしいです。
Posted by ブクログ
読み終えたばかりなので胸がドキドキしている。
最初の賑やかな場面から一転。思わぬ事故からどんどん坂を転がるように悪い方に向かってしまう。
かなり自分勝手な偽善者の夫に怒りを覚える。主人公は自分の意志というものが希薄だったのがいろんな人との出会いで本来の気持ちの強さが出てきた気がする。夫に流されていたのでは。
拓との出会いのシーンがリアルで良かった。
晴子おばさんの不気味な熟柿のイメージがラストで一転して感動した。
Posted by ブクログ
序盤では、どこか不気味な印象を与えていた「熟柿」という言葉が、物語の終盤で「待っていれば、いつか機会は訪れる」という作品の核心を象徴する表現として再び現れえ締めくくる構成がとても美しかった。
物語を通して、かおりさんの境遇はあまりにも過酷で、読んでいて胸が苦しくなった。罪を犯したとはいえ、償いを終えた人が、ここまで社会の中で生きづらさを背負い続けなければならないのかと、やるせない気持ちになる。一方で、元夫の衝撃的な発言には強い怒りを覚えた。同じ罪を抱えながらも、子どもの成長をそばで見守れた人と、それが許されなかった人。その違いによって生まれる埋めがたい隔たりに、理不尽さを感じずにはいられなかった。
それでも、物語の最後には、かおりさんの「これからの人生」を想像したくなる余白が残されている。その先にどんな時間が待っているのかを想像させられ、面白い一冊だった。
Posted by ブクログ
最後の数ページ、あの場面を演出するがための1冊だった。読後感が悪くないとみんな感想書いてる割に、冒頭のあまりの救いのなさが容赦なくて、全然信じられなかった。
とりあえず主人公も元夫もダメなやつです。
元夫、私はおまえを許しません
Posted by ブクログ
読み終えた余韻が深すぎて暫く呆然。衝動的発作的に行動してしまう不安定さ。記憶の空白や曖昧さに見る混乱と動揺。母親としての想いに共感を感じずにはいられない。「熟柿」の意味が心に深く届き涙が零れた。今年読んだ中でもかなり上位。ぜひ読んでほしいっ!
Posted by ブクログ
かおるの一途な息子への気持ちに、子どものいない私でもとても感情移入して読む手が止まらなかった。でも私は、どちらかというと息子の気持ちのほうが共感できて切なかった。犯した罪は許されないし消えないけど、それは本当に息子が望むものなのか?とも思った。16歳の拓の態度や言葉一つひとつが胸に刺さって苦しくもなったし、嬉しさも感じて、読後はとても不思議な感覚になった。
[熟柿]というタイトルを最後に回収していて、読んで良かったと思える一冊だった。
Posted by ブクログ
熟柿の読み方も熟した柿以外の意味も分からず読み始めました。
→熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時機が来ることを待つこと
轢き逃げの罪に問われ、裁判中に息子、拓を出産。出所後、息子の顔見たさに園児連れ去り事件を起こした彼女は、息子との接見を禁じられ、西へ西へと各地を流れていくお話です。
元夫には、言いたいことは山ほどあるが置いといて(笑)
不運が重なり、そこにあった幸せが夢だったかのように全てをなくしてしまったかおり。
わが子を手放すときの気持ちや一緒に暮らせない現実をどう受け止めたかを想像するだけで苦しい。
生命保険の受け取りを息子にして、毎日一生懸命働く。しかし、不可抗力だったり裏切りなどで職場を転々としていく。後半、かおりが将来を見据えて動き始めたくらいから読む手が止まらなかった。読後感がとっても良いお話です。
Posted by ブクログ
前半は特に主人公の行動に共感出来ず、若干イライラするところもあったけど、読む手が止まらず、徐々に寄り添っていく自分がいた。
熟柿。そういう時間が必要なときもあるのかもしれない。
Posted by ブクログ
土砂降りの雨が降る夜道、泥酔して眠る夫を乗せて車を運転していたかおり。友人からの電話に気を取られ、老婆を撥ねてしまう。怖くなってそのまま走り去るが、轢き逃げの罪で服役。服役中に息子を出産する。息子は離婚した夫に引き取られ、「母親に死なれた子供」として育てる旨を告げられる。かおりは出所後、息子に会いたい気持ちを抑えられず、息子の通う幼稚園を訪れるが…
結婚して、子供を産み、家族を作り、子供を成長させ、夫とともに年をとり、次の世代の家族へバトンを渡す。そんな世間一般の人たちの歩く道から踏み外してしまったかおり。過ちと向き合い、ひたすら息子を想ってひたむきに生きる。裏切られたり前科を知られて後ろ指指されたりしながらも、職を転々としつつ辛抱強く息子と会える日を待ち続ける。赤子で生き別れて以来、顔もわからない我が子を。もし自分が同じ立場だったらと思うと、切なくて苦しくて胸がぎゅっと締め付けられる。泣ける小説は久しぶり。くじゅうろ娘、ナイスアシスト!
読み出すと止まらない寝不足本。リーダビリティ、人物造形、伏線回収、意味浸透するタイトル、全てにおいて大満足の五つ星。これは年末の各種ランキングで上位にランクインしそう。私の中で、「KADOKAWAの白地装丁本は面白い」説がある。『地雷グリコ』しかり『エレファント•ヘッド』しかり本書しかりだ。たまたまかもしれんけど。KADOKAWAさん、次の白地本も期待してます(笑)
佐藤正午さんは本書が初読。澱みない会話やリード文で引きつける文体がかなり私好みだった。直木賞も受賞されてるとのこと。またもや追いかけたい作家が増えてしまった。他の作品も読み進めよう。
週刊文春ミステリーベスト10 10位
このミステリーがすごい! 18位
中央公論文芸賞 受賞
本の雑誌が選ぶ2025年度上半期 ベスト10 1位
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しみじみとよかった。宮本輝ちっくな。ここのところ母親の心情を描いた作品を続けて読んでいて、親ってこんな感じなんだよなぁと。自分の親や配偶者のことはそんなに気にならないけど、我が子のこととなるともういろいろ心配で気になって…ネーミングがちょっと面白かったり思わず笑ってしまう箇所もあり、不運な事故を起こしたことで前科がつき人生の歯車が狂ってしまう主人公だけど、コツコツ地道に働き続けひっそり生活を送る中で出会う人々と少しずつ関係性を築きながら光ある方へ歩んでいけそうなラストで、あたたかい読後感だった。こんなふうに哀しみを抱えながら一生懸命生きている人に、優しくまっとうに向き合って寄り添える人でありたいと思う。
Posted by ブクログ
淡々と語られているんだけど、なぜか夢中になってしまう言葉と展開の運び方で、あっという間に読んだ。多分文章が洗練されているってこういうことなんだろうな。
主人公が沈みきらずに暗い海底で泳ぎ続ける健気さみたいなものを感じて、応援したい気持ちになった。
ただ…結局元夫とのやり取りや、鶴子との関係、お金のトラブルがあった元ルームメイトとの関係は、なんだかモヤモヤが残ったなぁ…。まぁでもその人たちといい関係を築けなくても、今彼女のまわりにいる人との関係がいいならいい、人生ってそういうもので、運命とか流れには抗えない、みたいな諦めみたいなものも感じた。
子どもとのやり取りは、よかった。いい子に育ってるね。拓。そして、お母さんに最後希望が与えられてよかった。
拓の思春期ならではのやり取りのもどかしさはあるけど、おとなになったときの再会もみてみたいなー。
結末にちょっと歯切れの悪さを感じて★4。だけど、人生ってそうだよね、みたいなメッセージもあると思うので、総じて面白かった!
Posted by ブクログ
市木かおりのこれまでの苦労が、漸く報われたラストシーンに安堵。晴子伯母さんの好物だった柿の話から、物語は怒涛の展開に…拓と幼馴染の、こましゃくれた久住呂咲ちゃんの存在が頼もしかった。
Posted by ブクログ
犯した罪は重いけど、主人公の人生に関わってくる人々がいい人なのは,主人公が真摯に生きているからなのだと思います
主人公にとって、本当の意味での「熟柿」はこれからなのでしょう
この先の未来にも幸せがありますようにと願いたくなる、余韻のある終末でした
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ひき逃げ事故を起こしてしまいました、その結果、刑務所のなかで出産した子どもと縁を切らざるを得なくなった母の心情が細かく描かれている。切り口もユニーク。
Posted by ブクログ
どうしようもなくうまくいかなくて、どこまで戻ってやり直したらよかったんだろうって思う。けど、過去に戻ることはできないし、生きている限り働いて食べて、寝て、生活していかなきゃならない。
もう、友達なんて、パートナーなんでできない。要らない。と思って。
でも不思議なもんで、人間は出会う。んだよねぇ。さらに裏切られることも、しんどい思いすることもあるし、その人が一生の友だちやパートナーか、なんて誰にもわからないけど、それでもいろいろな出会いの中で、熟した柿が落ちるように、その時が来るんだと思う。
今しんどい思いしてる人に読んでほしい。本だった。先なんか今は見えなくて、苦しいばっかに思えても、大丈夫。いつかみんなの柿は熟す時がくる。信じられないかもしれないけど、大丈夫大丈夫。ってこの本は言ってくれてるみたいだ。
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角田光代さんがこの小説を薦めていたので読みました。今年一の小説だそうです。(角田さんのトークイベントより) この小説、一年に一章ずつ書かれて行った小説だそうです。一年に一章ずつ原稿を渡されて、編集者はさぞやきもきしただろう、と話されていました。まさにタイトルのような執筆の仕方、小説『熟柿』(厳密には一年に一章は途中までのようですが)
そして読後。他の方も書かれていましたが、共感とか強い感情移入は無かったんだけれど、読み終わったら何故かとても沁みてくる読後感で。とても不思議です。
角田さんもそんな感想を話されていました。なるほど、確かに、と今なら分かる気がします。
Posted by ブクログ
本の雑誌で2025年上半期ベスト10の1位に選ばれていたので、購入。
著者の名は本屋で目にしていたが、初挑戦。
人付き合いの悪かった晴子伯母の葬儀から小説は始まる。この晴子伯母の半生を語る物語かと思ったが、違った。
主人公の女性、生んだ時に一目見た息子と再開するまでの長い時間。こんなことって有り得るのかなとか考えるけど、何とも判らない。
なんの予告も無く、クライマックスは訪れる。主人公も読者も予想してたシーンじゃないかも知れない。それでもクライマックスだった。
(引用)
ふざけるな、とわたしは思った。
「捨てたんじゃない」
わたしはそう言って立ち上がり、息子に向かい合ってますぐに目を見た。
この後の感情の発露が胸に迫ってくる。余分なことを書く必要はないと思う。
読後、熟柿のタイトルが沁みた。
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ひき逃げ事故を起こしてしまったことを機に、人生を転がり落ちていく主人公が気の毒すぎた。夫がまともな人だったら、家族みんなで生きていけただろうに。そして何より最後、あの時、ああしていれば別の人生があったのか。。と思ったのだろうなぁ。つらい
Posted by ブクログ
世の中、一歩間違えば…この世は板子一枚下は地獄。逃げたのは意思を伴うから少し違うが、「気がついたら逃げていた」という供述は多い。夫は最低だけど、「両方捕まるわけにもいかない」も理屈としてはある。「熟柿。熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時機が来るのを待つこと」待ちの時間必要なのが人生だが、主人公はお人好しすぎる。
Posted by ブクログ
あまりすきな本ではなかった。
なかなか言い出せなかったり、もっと面白くなりそうなのに…とモヤモヤする。
多分YouTube shortみたいな短時間で得られる衝撃に慣れすぎで,うまく処理し切れないのだろう。
子供にやっと会いに行ったのにほとんど話せない。
春子おばさんと一緒の人生だ…!ってなるかと思いきやそこまで落ちない。
野菜仕入れ男と出会うけど、すごくくっつく訳でもない…
大金を盗まれて、取り返せないなど…
もっと気持ちが明るい時に読むべきだった。
Posted by ブクログ
一度の過ちで離婚し、我が子と離れ離れになってしまい、会いたい気持ちが募る。
しかし、思いが空回りばかりで、世間は過去の過ちを許さない。
長い年月を経て、心情や人間関係に変化が生まれるのか?
愛する我が子と再会できるのか?
どんどん年月は経過するのに、主人公の立ち位置は停滞したままで読むのがしんどかった。
しかし、見て見ぬふりはできないと言ってくれた人とその娘さんや、タイトルの熟柿の意味を話してくれた人など魅力的な登場人物もいたのが救いだった。
Posted by ブクログ
序盤、辛い展開が続いたため、読むことが苦しかった。それでも止まることなく読み進めたのは、やはり著者の筆力が高いからだろう。
それにしても、元夫は無責任すぎんか? とか、なんで婆さん雨の夜中傘もささず徘徊してるんやとか、色々考えてしまう。もちろん轢き逃げは許されざることだが、怪談みたいな話を聞いた上で、常識を逸する出来事に遭遇したら、それを現実と認識できるのだろうか。元夫は普通に最低だと思う。
Posted by ブクログ
明日は我が身にならないように。
不慮の事故とは誰にでも起きる。
作品と同じように、夜徘徊しているおばあちゃんがいるかもしれない。
自分を過信して交通事故を起こすかもしれない。
人が飛び出してくるかもしれない。
絶対に起こしたくないけど
車を運転するって、それだけのリスクと大きな責任が伴う。
って、なんだか再確認できた。
公務員の夫を持ち、そろそろ子どもが生まれる。
誰から見ても幸せいっぱいの女性が
一瞬の不注意で人生を台無しにしてしまうかもしれない。
自分にもふりかかるかもしれない
っていう、「かもしれない」の連続が妙にリアルで
こわかった。
でも、読書体験としてはすごく大きい。
気をつけなきゃ!って再確認できる、きっかけにはすごくいい。
教習所とか、学校とかに置いとくといいよね。
倫理観を主観にしてみたら
市木さんの行動って褒められない。
だけど、
子どもに一目会いたい。っていう純粋な気持ちで
生き続けているんだなって
納得してしまう自分もいる。
世の中で誘拐とか、ストーカーとかをやってしまう人の
初期の初期を見ている感じ。
全体的に
人間が落ちるかもしれない、大きな落とし穴の中を
ずっと覗いている感じ。