あらすじ
激しい雨の降る夜、眠る夫を乗せた車で老婆を撥ねたかおりは轢き逃げの罪に問われ、服役中に息子を出産する。出所後、息子に会いたいあまり園児連れ去り事件を起こした彼女は息子との接見を禁じられ、追われるように西へ西へと各地を流れてゆく。
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Posted by ブクログ
熟柿の読み方も熟した柿以外の意味も分からず読み始めました。
→熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時機が来ることを待つこと
轢き逃げの罪に問われ、裁判中に息子、拓を出産。出所後、息子の顔見たさに園児連れ去り事件を起こした彼女は、息子との接見を禁じられ、西へ西へと各地を流れていくお話です。
元夫には、言いたいことは山ほどあるが置いといて(笑)
不運が重なり、そこにあった幸せが夢だったかのように全てをなくしてしまったかおり。
わが子を手放すときの気持ちや一緒に暮らせない現実をどう受け止めたかを想像するだけで苦しい。
生命保険の受け取りを息子にして、毎日一生懸命働く。しかし、不可抗力だったり裏切りなどで職場を転々としていく。後半、かおりが将来を見据えて動き始めたくらいから読む手が止まらなかった。読後感がとっても良いお話です。
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前半は特に主人公の行動に共感出来ず、若干イライラするところもあったけど、読む手が止まらず、徐々に寄り添っていく自分がいた。
熟柿。そういう時間が必要なときもあるのかもしれない。
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会社の先輩が読んでいて気になって読んだ
とても面白かった、章ごとに早くページを進めたくなる文章で土日で読み終わった
内容は、本の題にあるように良い時期が来るまで流されるように過ごしていると好転することがあることを教えてもらった
お金を持って逃げた齋藤さんの行方が気になっている
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熟柿とは期が熟すまで待つという意味。主人公かおりは自分の息子に会いに行こうとするも待ちきれずに失敗するも息子のために生命保険をかけ支払い続ける。木が熟した時、16歳になる息子に会う。16年ぶりに会う息子にどう対峙すれば良いのか。離婚。轢き逃げの罪で刑務所で生活。出所してからの生活。一生懸命働いて生きる意味。どうすれば罪を償えるか。主人公かおりに共感したり、なぜそんなことをと思ったり、どっぷり物語に浸りました。
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土砂降りの雨が降る夜道、泥酔して眠る夫を乗せて車を運転していたかおり。友人からの電話に気を取られ、老婆を撥ねてしまう。怖くなってそのまま走り去るが、轢き逃げの罪で服役。服役中に息子を出産する。息子は離婚した夫に引き取られ、「母親に死なれた子供」として育てる旨を告げられる。かおりは出所後、息子に会いたい気持ちを抑えられず、息子の通う幼稚園を訪れるが…
結婚して、子供を産み、家族を作り、子供を成長させ、夫とともに年をとり、次の世代の家族へバトンを渡す。そんな世間一般の人たちの歩く道から踏み外してしまったかおり。過ちと向き合い、ひたすら息子を想ってひたむきに生きる。裏切られたり前科を知られて後ろ指指されたりしながらも、職を転々としつつ辛抱強く息子と会える日を待ち続ける。赤子で生き別れて以来、顔もわからない我が子を。もし自分が同じ立場だったらと思うと、切なくて苦しくて胸がぎゅっと締め付けられる。泣ける小説は久しぶり。くじゅうろ娘、ナイスアシスト!
読み出すと止まらない寝不足本。リーダビリティ、人物造形、伏線回収、意味浸透するタイトル、全てにおいて大満足の五つ星。これは年末の各種ランキングで上位にランクインしそう。私の中で、「KADOKAWAの白地装丁本は面白い」説がある。『地雷グリコ』しかり『エレファント•ヘッド』しかり本書しかりだ。たまたまかもしれんけど。KADOKAWAさん、次の白地本も期待してます(笑)
佐藤正午さんは本書が初読。澱みない会話やリード文で引きつける文体がかなり私好みだった。直木賞も受賞されてるとのこと。またもや追いかけたい作家が増えてしまった。他の作品も読み進めよう。
中央公論文芸賞 受賞
本の雑誌が選ぶ2025年度上半期 ベスト10 1位
Posted by ブクログ
「熟柿」…「じゅくし」と読むことをこの本で知った
27歳のかおりは、酔って寝ている夫を助手席に乗せ運転中、人をはねる
轢き逃げの罪に問われ、服役中に出産
子どもはすぐに引き離され、離婚した夫に引き取られる
会いたい一心でいろいろ行動を起こすものの…
全ての歯車が合わない
とにかく読んでいてそう感じた
あの時ああしていれば、、、の繰り返し
出てくる登場人物が、危うい人が多い
なんで鶴子と縁切らないんだろう
かおりは凄いな
ただいつか息子に会うためだけに、ひたすらに働いて毎日を生きている
そうして気づいたら44歳
「柿の実が季節になれば熟すように、物事の成就には適した時期がある…」
(文中より)
熟すの遅いよ
半分を超えたあたりから先が気になって気になって一気読み
後半、涙が止まらず…
きっとこの先はかおりも報われる日が来るだろう
そんなラストだったので★5
映画化あるだろうな
個人的本屋大賞ノミネート候補
Posted by ブクログ
帯の書店員さんのコメント通り、「読み終わった後、しばらく他の本を読みたくなかった。」
それぐらい、引き込まれて圧倒された小説。
今年のNo.1かも!
一つの理由として、主人公が息子を産んだ年に近い時期に私も息子を出産したこと。幼稚園、入学式といった子どもの成長、東日本大震災やコロナの時期も息子と拓くんの成長が被る。自分が産んだ子どもに、出産後ずっとずっと会えない、写真すら見れず、近況もわからない。主人公の気持ちを想像すると…。
出産を控え、新車を買い、親戚に祝福された幸せな人生が、一夜にして激変した。自分や周囲の人間の人生をメチャクチャにした重すぎる罪の刑に服し、出所した後のかおりの記憶の抜け落ちの描写や、ふわふわした行動に心理的不安的さを感じ、ゾクゾクしてしまった。それはそうなるよね…と。
ロードムービー的に西へ西へと様々な理由で職を変えて何年もひっそりと倹約しながら働く主人公。会えない息子にせめて遺産を残したいと。犯した罪は消えない。ただ、息子を思い、働き続ける長い時の流れの中で、少しずつ事件前の主人公に近づき、事件前後の状況も主人公の記憶とともに明らかになっていく。最初の晴子おばさんのお葬式の場面で、元夫の性格を冷静に分析していましたもんね。これも軽い伏線かな。
最後の主人公が博多に戻るラストシーン、盛り上がり、はやる気持ちがググッと胸に押し寄せました。読後、放心…。読みやすいのに、深い深い小説。映画化しそう。
Posted by ブクログ
最後には息子と会えるのだろうと思いながら読んだ そしてとうとう会えた時の二人の間のやりとり 舞台設定は秀逸 このシーンは泣けた
また夫とのすれ違う記憶 空白で生まれるズレ
細部に及ぶメリハリ さすがと思った
Posted by ブクログ
2025年57冊目
本の帯で
2025年上半期1位とか
最高傑作とか
絶賛されてるコメントとかで
読む前のハードルが高くなりすぎたこの小説
そのハードルを悠々と超え、何かすごい物語に出会えた感動を噛み締めてる
熟柿、じゅくし
読めて良かった
Posted by ブクログ
その母心、ブスリと刺さる!!この渋いタイトルと装丁から想像していたような静かなストーリーではなく、意外にもアクティブでアグレッシブな話だった。普段は犯罪者サイドには冷たい視線で読んでしまうが、本書は流石に主人公に感情移入せざるをえない。罪を犯したときの感覚がリアルだし、その後の人生の津々浦々。苦労と心持がまあ伝わる伝わる。「長期戦を覚悟で人生を生きる」というセリフに感銘を受けた。「機が熟す」を柿で表現するのも見事な手腕。引っ越しの準備をしなきゃならないのに夢中で読んでしまった。こりゃ秀作だ!
Posted by ブクログ
いやー…言葉にならない
再生の物語というにはあまりに罪悪感が強く、人は誰でもやり直せるなんて簡単に言えもしない
ただそれでも、待とうが待たずともいつか機は熟す
ただ一回の誤りとズルさ、ほんの少しの違いで変わる人生
主人公の変化に心を掴まれる
Posted by ブクログ
十章の息子宛の手紙のところで、小説を読んで久しぶりに頭が痛くなるくらい泣きました
途中辛くなるところもあるけど時間を空けて何度でも読みたくなる小説でした
Posted by ブクログ
佐藤正午のしんみり系に弱い。あと全キャラ良いんだよな。まじで一生読みたい本。大好きなタイプの終わり方。あと佐藤正午のテクニックひけらかさない感じかっこよすぎね?さりげないから読んだ後浸れんだよなー
Posted by ブクログ
雑誌の記事でこの本を知り興味が
あったので読んでみました。
最後に題名の意味を知り深く
静かに感動が続いている。
人生って何て過酷で長い
旅路なんだろう…
強い想いを持ち真っ直ぐに
自分の想いに正直に生きる事
そうすればいつかは願いが叶う
そんな事を思わせてくれる
小説でした。
著者の本をまた読んでみたい
と思います。
Posted by ブクログ
角田光代さんがこの小説を薦めていたので読みました。今年一の小説だそうです。(角田さんのトークイベントより) この小説、一年に一章ずつ書かれて行った小説だそうです。一年に一章ずつ原稿を渡されて、編集者はさぞやきもきしただろう、と話されていました。まさにタイトルのような執筆の仕方、小説『熟柿』(厳密には一年に一章は途中までのようですが)
そして読後。他の方も書かれていましたが、共感とか強い感情移入は無かったんだけれど、読み終わったら何故かとても沁みてくる読後感で。とても不思議です。
角田さんもそんな感想を話されていました。なるほど、確かに、と今なら分かる気がします。
Posted by ブクログ
少し時間が空いた夕食後に読み始めた。気がついたら深夜迄一気読みしてた。重い話だけど活字から目が離せなかった。
夫とまだ見ない子供と和気藹々とした親類達、それが一転しての度重なる辛い日々。ひたすら子供を思うかおりさんの気持ちが切なかった。
Posted by ブクログ
みなさんが読まれているのを見て予約していたんですが、残り2人から全然進まなーい!!
も、もしや借りパ、、、いやいや!!
誰よ!早く返してー!!
と念を送っていたら
やっっっと返してくれたようで
やっと借りられました(o^^o)
佐藤さんの作品は初めて読みます
『熟柿』(じゅくし)と読みます
ちょうど向かいのおばあちゃんが柿をくれました(^^)枝についたままの柿に子どもたちは大喜び(´∀`)
でも食べるのは5歳の息子だけ、、、笑
この時期いろんな方に柿をもらって5歳の息子だけデザートが豪華になってホクホク顔をしてます笑
『柿が好きだし、ドングリも好きだから僕はクマだね』だそうです笑
さて本題に入ります
激しい雨の降る夜、眠る夫を乗せた車で老婆を撥ねたかおりは轢き逃げの罪に問われ、服役中に息子・拓を出産する。出所後息子に会いたいがあまり園児連れ去り事件を起こした彼女は、息子との接見を禁じられ、追われるように西へ西へと各地を流れてゆく。自らの罪を隠して生きる彼女にやがて、過去にまつわるある秘密が明かされる。
事故自体は誰にでも起きます。
自分にも起きる可能性があります。
でもその後どうするかでこんなにも変わってしまうのかと恐くなる作品でした。
かおりの一人称で進んでいきますが
どこか淡々と物語は進んでいきます
かおりはあまり共感できるタイプではなくて
感情移入はしにくい感じ。
なんだか頼りないし
読んでてモヤモヤというか、
ちょっとイライラしてしまうこともあったけど
一番イライラしたのは夫かな
ひき逃げ、もちろん絶対ダメだけど
一回の過ちであまりにも変わってしまった人生や、その後の仕打ちが辛くて、そして怖い。
でもそういうものなのかもしれない。
かおりの頭は息子でいっぱい。
後悔や、諦め、
そしてちょっと希望が見えると
そればかりしか考えられなくなり
また落胆する
自分の未来に途方に暮れる
そんな様子が
淡々としてるのに
ひしひしと伝わってきました
この熟柿という言葉が
終盤胸に凄く響きます
「熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時機が来るのを待つこと」という意味だそう。
一面真っ白な表紙にぽつんと置かれた熟れた柿はこの物語の印象とぴったりだと思いました
Posted by ブクログ
熟柿という言葉を初めて知りました
読んでいくと確かに熟柿という言葉ぴったりな作品でした
ある日起きてしまった一つの出来事
罪を償わないといけないし、この罪は償っても消えることはありません
そんな罪を背負ったかおりは一人で生きていきます
正直読んでて辛い気持ちになってけど、かおりのなかにある息子という希望が唯一の光で、読んでてとにかく幸せになってくれと願ってました
熟柿というタイトルの通り、息子との再会っていう夢は叶ったけど涙ありの感動の再会というよりは、これから先の希望に繋がっていくって感じのラストでした
罪を犯した一人の人間の一生にフォーカスした読み応えのある作品でした
Posted by ブクログ
装丁やタイトルのシンプルさと同じく、ただひたすら息子に会いたいというとてもシンプルでひたむきな想いが描かれている。かおりの罪はどんなことがあってもしてはならないことで後から悔やんでも裁かれることは致し方なく、息子が将来、本当の母親の過去を知った時にどう思うかを考えるといたたまれなくなる。でも、自分が同じ立場だったらやはり会いたくて堪らないだろう。長い年月の間にたくさんの苦労や絶望がありこれでもかとの追い討ちが辛すぎる。その先でのやっと叶った息子との邂逅には涙が出た。淡々と語られる中に、陰と光を見た。
Posted by ブクログ
おかしてはならない罪をおかしてしまったかおり。
罪を償った後、
千葉から西へ西へと追われていくが
その都度、
手を差しのべてくれる人が現れて
何とか生きながらえていく。
最後の地で出会えた土居さんの言葉がいつも深い。
咲ちゃんも真っ直ぐないい子だよね。
苦しくて辛い展開が続くけれど
それでも読み終えて良かったと思う。
熟柿の意味を噛み締める。
Posted by ブクログ
一時の判断の誤りのゆえに、刑に服すことになり、獄中出産した息子を思いながらも会うことも叶わず流転を続ける主人公。彼女の切々とした言葉、息子への思い、後悔などがとてもリアルで、彼女の身を案ずる身内であるかのように引き込まれて読み続ける、なかなか重い読書体験だった。
Posted by ブクログ
初めは主人公の我を失うほどの衝動や、ポジティブとも狂気とも取れるような行動力に若干置いてかれるような感じだったけど、焦らず1度深呼吸してみてと寄り添ってくれるような話だと思った
数人、会話が焦ってるような台詞回しなのもそういう意図なのかな
最終的には良い話
Posted by ブクログ
本の雑誌で2025年上半期ベスト10の1位に選ばれていたので、購入。
著者の名は本屋で目にしていたが、初挑戦。
人付き合いの悪かった晴子伯母の葬儀から小説は始まる。この晴子伯母の半生を語る物語かと思ったが、違った。
主人公の女性、生んだ時に一目見た息子と再開するまでの長い時間。こんなことって有り得るのかなとか考えるけど、何とも判らない。
なんの予告も無く、クライマックスは訪れる。主人公も読者も予想してたシーンじゃないかも知れない。それでもクライマックスだった。
(引用)
ふざけるな、とわたしは思った。
「捨てたんじゃない」
わたしはそう言って立ち上がり、息子に向かい合ってますぐに目を見た。
この後の感情の発露が胸に迫ってくる。余分なことを書く必要はないと思う。
読後、熟柿のタイトルが沁みた。
Posted by ブクログ
白地に柿1つのシンプルな装丁。
『熟柿』というタイトル。
とてもよい。
『熟柿』は初めて知った言葉だけど、最後まで読んで、かおりはその通りの生き方だなと思った。
1つの出来事をきっかけにかおりの人生が大きく狂っていく。
してはいけないことなので当然ではあるのだけど、ここまで苦しい道のりを歩まねばならないのか。
半分くらいまでは読み進めるのが本当につらかった。
でも、長い時間はかかったけれども光が射すこともある。
罪は消えることはないけれども、彼女はその光に手を伸ばしてもいいのではと思った。
元夫は最後までちょっと理解できなかったが…
Posted by ブクログ
熟柿。熟した柿が落ちてくるのを待つ。
警察官の妊婦妻が轢き逃げをしてしまう。同乗してた警察官は辞職し、妻は刑務所で出産し、出所と共に離婚する。
子供に一目会いたいと幼稚園に行くが別の子を抱きしめて逃げ出してしまい、誘拐で怒られる。
小学校入学式にも行くが、追い返されて会えない。
そのまま息子に手紙をノートに書き連ねるけど、出す予定のないのを生き甲斐に、千葉から山梨や大阪や岡山をへて、福岡にたどり着く。行く先々で、人間関係トラブルや過去の服役がバレたり、ルームメイトに全財産を盗まれたりする。不倫してる友達と何ヶ月かに一回電話をしたり、好きになりそうな人に出会えたり、でも轢き逃げと服役の事は言えなかったり。
息子が高校生になり、幼稚園時代からの同級生女子に導かれて面会する。どちらも中々言いたいことが言えなかったり、もどかしい。
Posted by ブクログ
良い評判を聞いていただけに期待値を上げすぎてしまったかもしれない。
主人公が周りが見えていなくて行動が浅はかすぎるし、そもそも人にぶつかったかもしれないのに逃げるところも共感できない。
可哀想ではあるけれど、自業自得だしな…と思う。
子供がいたら少し共感できるところもあるのかも。
「熟柿」の意味は彼女の人生を肯定しているようでよかった。
ルームメイトの斉藤さん本当にイライラした。笑
Posted by ブクログ
けんごさんの動画を見て、そして装丁にも惹かれ購入。
スタートして速攻事件発生。大雨の中パジャマ姿のおばあちゃんを車で引いてしまい、そのまま逃走。その事件を境に生活は一変。お腹の赤ちゃんは刑務所で産み、出所後は離婚…。
本作はその後の「かおり」の物語でした。前科が付いてしまったかおりは働き口を求め、全国を転々とする日々。色んな人に出会い、色んなことを体験し、色んなことを思う日々の中で常に引っかかるあの日の事件。あの事件さえなければと読者の自分も思ってしまいました。
ただ、後半思わぬ展開に急ハンドル。元夫との出会い、久住呂さん、実の息子、そして土居さん。色々な人との出会いを経て移り変っていく心情、状況にのめり込みました。
『熟柿』という言葉の二つの意味は伏線回収的な要素があり個人的にGood!ただ、結局晴子おばさんの特徴的なキャラは『熟した柿』を食べるおばさんの位置付けで直接物語に関わってくるわけではない??
Posted by ブクログ
主人公 市木かおりの27才〜44才の話
主人公は大雨の中運転中に人身事故を起こしてしまう。
視界が悪いとはいえスマホを操作していたかおりは、
その場を逃げ去ってしまう。
ひき逃げだ。しかも殺人。
その後服役し罪を償いひっそりと暮らしていく。
服役中かおりは男の子を出産していた。
旦那からは離婚を伝えられ、
自分もそれを受け入れる。
服役を終えた後のかおりは、
ちょっとおかしくなってしまったのかな?
と思うくらいの文体の表現で
読んでいてゾワゾワした
罪を犯してしまうとその後の人生は
真面目に誠実に生きていても
常に何かに怯え、
住む町、職場をその度に変えていかなければいけないのか、と心が休まるときがなくてとても苦しい。
会えない息子への思いだけで主人公は生きている。
最後の章ですら勝手に読み手の自分に不幸癖が付いてしまい、穏やかに終わるわけがない、
と邪推してしまった
途中で読むことに疲れてしまったが、
希望を願って最後まで読むと
このラストが『熟柿』とゆう事なんだなとわかった。
Posted by ブクログ
79/100
なんか素敵な本だったなぁ
抽象的な言葉での表現になっちゃうけど、想像力を掻き立てられるような言葉がふんだんに使われてる小説じゃなく、作家さんが紡いだ言葉がそのまま頭に入ってくるような文章。
だからこそ物語のストーリー性に起伏があるはずなのに、安定した心持ちで読み進めることができる。
子供と母親の話なので、またこれは歳をとったら見え方もだいぶ変わるのかなーと思った。
「熟柿」…熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時期が来るのを待つこと
今自分が失恋したばっかりだからこそ、この言葉が刺さる。今辛い感情が大きかったとしても、いつか違う事として改めて今の様子を客観的に見ることが出来るかもしれないなー
人生の辛いことや悲しいことがたった一つの出来事で、全てが報われることもある。そうした意味で、生きる中での感情には無駄なことが無いんだろうな、とも思わせられました