【感想・ネタバレ】熟柿のレビュー

あらすじ

激しい雨の降る夜、眠る夫を乗せた車で老婆を撥ねたかおりは轢き逃げの罪に問われ、服役中に息子を出産する。出所後、息子に会いたいあまり園児連れ去り事件を起こした彼女は息子との接見を禁じられ、追われるように西へ西へと各地を流れてゆく。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

本の雑誌2025上半期1位に惹かれて購入

前半はあまりそんな風に思えないまま読み進んだ
救いがないまま最後はどうなるんだろうなどと思いながら

あらすじとか要約とかじゃなくて、やっぱり、時間かけて自分で読んでいく、読書っていいよね、なんてことを改めて思わせてくれる作品だった

0
2025年12月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「月の満ち欠け」「鳩の撃退法」が合わなくて、もういいかなぁと思ってた佐藤正午。え、ムッサオモロい…いや凄いやん、とビックりした。

最後の最後まで上記偏見を持って読んでたのが良かったのか?、熟柿の意味が心にジーンって染み渡る。再会とその後の千葉駅での電話のシーンがもうグイグイと心に沁み込んでくる。

親の愛とは、贖罪とは…。主人公みたいな罪を犯すことは滅多にない(あってはいけない)事だけど、生きてきた中で小さな失敗や自分でつけてしまった汚点はあるもの。それを背負って生きていくことの覚悟、覆い隠す行為の辛さ醜さ、親としての矜持と覚悟、そして子供としての向き合い方…もう色々と身につまされることが多くて。

働いて働いて働いて…とか、贖罪は済ませたとか、政治家が言うてることの真実の姿がここには描かれています。

0
2025年12月19日

Posted by ブクログ

作中、土居さんがスマートフォンに入れて愛用している辞書は『大辞林 第四版』(三省堂)です。(巻末より引用)

そうか〜、やっぱり辞書と言えば三省堂だよな〜
わいが学生のときに使ってたのも三省堂やったわ
「国語」も「漢和」も「英和」も「和英」も三省堂やった
皮の(ビニールね)カバーが重厚感あって、なんか持ってるだけで頭よくなったような気がしたんよな

という訳で「ひき逃げ」です

うーん、なんか二つの正反対の思いがひしめいているんよな
そんなもん自業自得や!だいたい二年ちょっと刑務所に入って「罪は償ったんだから」って言う方も言う方や!そんなもん一生許されへんわ!ずっと辛い思いしてろ!という気持ちもある
正直ある

でも、子どもに会われへんというのは、辛いよ、辛すぎるよ
しかも何よもう全部悪い方、悪い方に行ってもうて
そこまでの罪なのかという気持ちもある

ただの事故ならまだね
でも「ひき逃げ」はあかんよ
故意だからね

そして『熟柿』な
うーん、熟柿かぁ〜?
あんまり納得いかんな〜
熟柿かな〜
それでいいんかな〜
う〜ん( ・ั﹏・ั)

なのに★5っていうね
なんなんのこの人

0
2025年12月19日

Posted by ブクログ

序盤から救いようのない話が続き、どこに行っても、どう足掻いても、逃げられない現実とひたすら向き合う。正直、苦しくて苦しくて堪らない話だったのは確か。でも、自分の生に向き合って、精一杯生きていく姿に心を打たれ、気持ちが入り込んでしまう凄い作品。
『熟柿』という言葉は、序盤ではネガティヴで気持ち悪いイメージが強く刻まれる。腐敗や停滞、取り返しのつかなさを象徴していたはずの言葉から、終盤ではまるで違った意味を帯びてくる。落ちきったからこそ得られる甘さ、避けられない終わりを受け入れた先にだけ残る、わずかながらも確かな肯定。人生は巻き戻せないし、失ったものは戻らない。それでも、人はその地点からなお前を向くことができるのだと、言葉少なに示してくる。
皆様におすすめしたい、年末に出会った今年一の作品でした。素晴らしいです。

0
2025年12月19日

Posted by ブクログ

読み終えたばかりなので胸がドキドキしている。
最初の賑やかな場面から一転。思わぬ事故からどんどん坂を転がるように悪い方に向かってしまう。
かなり自分勝手な偽善者の夫に怒りを覚える。主人公は自分の意志というものが希薄だったのがいろんな人との出会いで本来の気持ちの強さが出てきた気がする。夫に流されていたのでは。
拓との出会いのシーンがリアルで良かった。
晴子おばさんの不気味な熟柿のイメージがラストで一転して感動した。

0
2025年12月16日

Posted by ブクログ

序盤では、どこか不気味な印象を与えていた「熟柿」という言葉が、物語の終盤で「待っていれば、いつか機会は訪れる」という作品の核心を象徴する表現として再び現れえ締めくくる構成がとても美しかった。
物語を通して、かおりさんの境遇はあまりにも過酷で、読んでいて胸が苦しくなった。罪を犯したとはいえ、償いを終えた人が、ここまで社会の中で生きづらさを背負い続けなければならないのかと、やるせない気持ちになる。一方で、元夫の衝撃的な発言には強い怒りを覚えた。同じ罪を抱えながらも、子どもの成長をそばで見守れた人と、それが許されなかった人。その違いによって生まれる埋めがたい隔たりに、理不尽さを感じずにはいられなかった。
それでも、物語の最後には、かおりさんの「これからの人生」を想像したくなる余白が残されている。その先にどんな時間が待っているのかを想像させられ、面白い一冊だった。

0
2025年12月13日

Posted by ブクログ

最後の数ページ、あの場面を演出するがための1冊だった。読後感が悪くないとみんな感想書いてる割に、冒頭のあまりの救いのなさが容赦なくて、全然信じられなかった。

とりあえず主人公も元夫もダメなやつです。
元夫、私はおまえを許しません

0
2025年12月12日

Posted by ブクログ

読み終えた余韻が深すぎて暫く呆然。衝動的発作的に行動してしまう不安定さ。記憶の空白や曖昧さに見る混乱と動揺。母親としての想いに共感を感じずにはいられない。「熟柿」の意味が心に深く届き涙が零れた。今年読んだ中でもかなり上位。ぜひ読んでほしいっ!

0
2025年12月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

かおるの一途な息子への気持ちに、子どものいない私でもとても感情移入して読む手が止まらなかった。でも私は、どちらかというと息子の気持ちのほうが共感できて切なかった。犯した罪は許されないし消えないけど、それは本当に息子が望むものなのか?とも思った。16歳の拓の態度や言葉一つひとつが胸に刺さって苦しくもなったし、嬉しさも感じて、読後はとても不思議な感覚になった。
[熟柿]というタイトルを最後に回収していて、読んで良かったと思える一冊だった。

0
2025年12月09日

Posted by ブクログ

熟柿の読み方も熟した柿以外の意味も分からず読み始めました。
→熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時機が来ることを待つこと

轢き逃げの罪に問われ、裁判中に息子、拓を出産。出所後、息子の顔見たさに園児連れ去り事件を起こした彼女は、息子との接見を禁じられ、西へ西へと各地を流れていくお話です
元夫には、言いたいことは山ほどあるが置いといて(笑)
不運が重なり、そこにあった幸せが夢だったかのように全てをなくしてしまったかおり。
わが子を手放すときの気持ちや一緒に暮らせない現実をどう受け止めたかを想像するだけで苦しい。
生命保険の受け取りを息子にして、毎日一生懸命働く。しかし、不可抗力だったり裏切りなどで職場を転々としていく。後半、かおりが将来を見据えて動き始めたくらいから読む手が止まらなかった。読後感がとっても良いお話です。

0
2025年12月04日

Posted by ブクログ

前半は特に主人公の行動に共感出来ず、若干イライラするところもあったけど、読む手が止まらず、徐々に寄り添っていく自分がいた。
熟柿。そういう時間が必要なときもあるのかもしれない。

0
2025年11月29日

Posted by ブクログ

会社の先輩が読んでいて気になって読んだ
とても面白かった、章ごとに早くページを進めたくなる文章で土日で読み終わった
内容は、本の題にあるように良い時期が来るまで流されるように過ごしていると好転することがあることを教えてもらった
お金を持って逃げた齋藤さんの行方が気になっている

0
2025年11月28日

Posted by ブクログ

熟柿とは期が熟すまで待つという意味。主人公かおりは自分の息子に会いに行こうとするも待ちきれずに失敗するも息子のために生命保険をかけ支払い続ける。木が熟した時、16歳になる息子に会う。16年ぶりに会う息子にどう対峙すれば良いのか。離婚。轢き逃げの罪で刑務所で生活。出所してからの生活。一生懸命働いて生きる意味。どうすれば罪を償えるか。主人公かおりに共感したり、なぜそんなことをと思ったり、どっぷり物語に浸りました。

0
2025年11月26日

Posted by ブクログ

土砂降りの雨が降る夜道、泥酔して眠る夫を乗せて車を運転していたかおり。友人からの電話に気を取られ、老婆を撥ねてしまう。怖くなってそのまま走り去るが、轢き逃げの罪で服役。服役中に息子を出産する。息子は離婚した夫に引き取られ、「母親に死なれた子供」として育てる旨を告げられる。かおりは出所後、息子に会いたい気持ちを抑えられず、息子の通う幼稚園を訪れるが…

結婚して、子供を産み、家族を作り、子供を成長させ、夫とともに年をとり、次の世代の家族へバトンを渡す。そんな世間一般の人たちの歩く道から踏み外してしまったかおり。過ちと向き合い、ひたすら息子を想ってひたむきに生きる。裏切られたり前科を知られて後ろ指指されたりしながらも、職を転々としつつ辛抱強く息子と会える日を待ち続ける。赤子で生き別れて以来、顔もわからない我が子を。もし自分が同じ立場だったらと思うと、切なくて苦しくて胸がぎゅっと締め付けられる。泣ける小説は久しぶり。くじゅうろ娘、ナイスアシスト!

読み出すと止まらない寝不足本。リーダビリティ、人物造形、伏線回収、意味浸透するタイトル、全てにおいて大満足の五つ星。これは年末の各種ランキングで上位にランクインしそう。私の中で、「KADOKAWAの白地装丁本は面白い」説がある。『地雷グリコ』しかり『エレファント•ヘッド』しかり本書しかりだ。たまたまかもしれんけど。KADOKAWAさん、次の白地本も期待してます(笑)

佐藤正午さんは本書が初読。澱みない会話やリード文で引きつける文体がかなり私好みだった。直木賞も受賞されてるとのこと。またもや追いかけたい作家が増えてしまった。他の作品も読み進めよう。

週刊文春ミステリーベスト10 10位
このミステリーがすごい! 18位
中央公論文芸賞 受賞
本の雑誌が選ぶ2025年度上半期 ベスト10 1位

0
2025年11月23日

Posted by ブクログ

「熟柿」…「じゅくし」と読むことをこの本で知った

27歳のかおりは、酔って寝ている夫を助手席に乗せ運転中、人をはねる
轢き逃げの罪に問われ、服役中に出産
子どもはすぐに引き離され、離婚した夫に引き取られる
会いたい一心でいろいろ行動を起こすものの…

全ての歯車が合わない
とにかく読んでいてそう感じた

あの時ああしていれば、、、の繰り返し

出てくる登場人物が、危うい人が多い
なんで鶴子と縁切らないんだろう

かおりは凄いな
ただいつか息子に会うためだけに、ひたすらに働いて毎日を生きている
そうして気づいたら44歳

「柿の実が季節になれば熟すように、物事の成就には適した時期がある…」
(文中より)

熟すの遅いよ

半分を超えたあたりから先が気になって気になって一気読み
後半、涙が止まらず…

きっとこの先はかおりも報われる日が来るだろう
そんなラストだったので★5
映画化あるだろうな

個人的本屋大賞ノミネート候補

0
2025年11月20日

Posted by ブクログ

帯の書店員さんのコメント通り、「読み終わった後、しばらく他の本を読みたくなかった。」
それぐらい、引き込まれて圧倒された小説。
今年のNo.1かも!

一つの理由として、主人公が息子を産んだ年に近い時期に私も息子を出産したこと。幼稚園、入学式といった子どもの成長、東日本大震災やコロナの時期も息子と拓くんの成長が被る。自分が産んだ子どもに、出産後ずっとずっと会えない、写真すら見れず、近況もわからない。主人公の気持ちを想像すると…。

出産を控え、新車を買い、親戚に祝福された幸せな人生が、一夜にして激変した。自分や周囲の人間の人生をメチャクチャにした重すぎる罪の刑に服し、出所した後のかおりの記憶の抜け落ちの描写や、ふわふわした行動に心理的不安的さを感じ、ゾクゾクしてしまった。それはそうなるよね…と。

ロードムービー的に西へ西へと様々な理由で職を変えて何年もひっそりと倹約しながら働く主人公。会えない息子にせめて遺産を残したいと。犯した罪は消えない。ただ、息子を思い、働き続ける長い時の流れの中で、少しずつ事件前の主人公に近づき、事件前後の状況も主人公の記憶とともに明らかになっていく。最初の晴子おばさんのお葬式の場面で、元夫の性格を冷静に分析していましたもんね。これも軽い伏線かな。

最後の主人公が博多に戻るラストシーン、盛り上がり、はやる気持ちがググッと胸に押し寄せました。読後、放心…。読みやすいのに、深い深い小説。映画化しそう。

0
2025年11月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最後には息子と会えるのだろうと思いながら読んだ そしてとうとう会えた時の二人の間のやりとり 舞台設定は秀逸 このシーンは泣けた 
また夫とのすれ違う記憶 空白で生まれるズレ
細部に及ぶメリハリ さすがと思った

0
2025年11月08日

Posted by ブクログ

どうしようもなくうまくいかなくて、どこまで戻ってやり直したらよかったんだろうって思う。けど、過去に戻ることはできないし、生きている限り働いて食べて、寝て、生活していかなきゃならない。
もう、友達なんて、パートナーなんでできない。要らない。と思って。
でも不思議なもんで、人間は出会う。んだよねぇ。さらに裏切られることも、しんどい思いすることもあるし、その人が一生の友だちやパートナーか、なんて誰にもわからないけど、それでもいろいろな出会いの中で、熟した柿が落ちるように、その時が来るんだと思う。
今しんどい思いしてる人に読んでほしい。本だった。先なんか今は見えなくて、苦しいばっかに思えても、大丈夫。いつかみんなの柿は熟す時がくる。信じられないかもしれないけど、大丈夫大丈夫。ってこの本は言ってくれてるみたいだ。

0
2025年12月13日

Posted by ブクログ

角田光代さんがこの小説を薦めていたので読みました。今年一の小説だそうです。(角田さんのトークイベントより) この小説、一年に一章ずつ書かれて行った小説だそうです。一年に一章ずつ原稿を渡されて、編集者はさぞやきもきしただろう、と話されていました。まさにタイトルのような執筆の仕方、小説『熟柿』(厳密には一年に一章は途中までのようですが)

そして読後。他の方も書かれていましたが、共感とか強い感情移入は無かったんだけれど、読み終わったら何故かとても沁みてくる読後感で。とても不思議です。
角田さんもそんな感想を話されていました。なるほど、確かに、と今なら分かる気がします。

0
2025年11月29日

Posted by ブクログ

少し時間が空いた夕食後に読み始めた。気がついたら深夜迄一気読みしてた。重い話だけど活字から目が離せなかった。
夫とまだ見ない子供と和気藹々とした親類達、それが一転しての度重なる辛い日々。ひたすら子供を思うかおりさんの気持ちが切なかった。

0
2025年11月20日

Posted by ブクログ

みなさんが読まれているのを見て予約していたんですが、残り2人から全然進まなーい!!




も、もしや借りパ、、、いやいや!!
誰よ!早く返してー!!



と念を送っていたら
やっっっと返してくれたようで
やっと借りられました(o^^o)




佐藤さんの作品は初めて読みます

『熟柿』(じゅくし)と読みます




ちょうど向かいのおばあちゃんが柿をくれました(^^)枝についたままの柿に子どもたちは大喜び(´∀`)
でも食べるのは5歳の息子だけ、、、笑


この時期いろんな方に柿をもらって5歳の息子だけデザートが豪華になってホクホク顔をしてます笑



『柿が好きだし、ドングリも好きだから僕はクマだね』だそうです笑





さて本題に入ります

激しい雨の降る夜、眠る夫を乗せた車で老婆を撥ねたかおりは轢き逃げの罪に問われ、服役中に息子・拓を出産する。出所後息子に会いたいがあまり園児連れ去り事件を起こした彼女は、息子との接見を禁じられ、追われるように西へ西へと各地を流れてゆく。自らの罪を隠して生きる彼女にやがて、過去にまつわるある秘密が明かされる。



事故自体は誰にでも起きます。
自分にも起きる可能性があります。
でもその後どうするかでこんなにも変わってしまうのかと恐くなる作品でした。


かおりの一人称で進んでいきますが
どこか淡々と物語は進んでいきます


かおりはあまり共感できるタイプではなくて
感情移入はしにくい感じ。

なんだか頼りないし
読んでてモヤモヤというか、
ちょっとイライラしてしまうこともあったけど

一番イライラしたのは夫かな




ひき逃げ、もちろん絶対ダメだけど
一回の過ちであまりにも変わってしまった人生や、その後の仕打ちが辛くて、そして怖い。
でもそういうものなのかもしれない。


かおりの頭は息子でいっぱい。
後悔や、諦め、
そしてちょっと希望が見えると
そればかりしか考えられなくなり
また落胆する
自分の未来に途方に暮れる
そんな様子が
淡々としてるのに
ひしひしと伝わってきました




この熟柿という言葉が
終盤胸に凄く響きます


「熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時機が来るのを待つこと」という意味だそう。


一面真っ白な表紙にぽつんと置かれた熟れた柿はこの物語の印象とぴったりだと思いました

0
2025年11月16日

Posted by ブクログ

熟柿という言葉を初めて知りました

読んでいくと確かに熟柿という言葉ぴったりな作品でした

ある日起きてしまった一つの出来事
罪を償わないといけないし、この罪は償っても消えることはありません

そんな罪を背負ったかおりは一人で生きていきます

正直読んでて辛い気持ちになってけど、かおりのなかにある息子という希望が唯一の光で、読んでてとにかく幸せになってくれと願ってました

熟柿というタイトルの通り、息子との再会っていう夢は叶ったけど涙ありの感動の再会というよりは、これから先の希望に繋がっていくって感じのラストでした

罪を犯した一人の人間の一生にフォーカスした読み応えのある作品でした

0
2025年11月16日

Posted by ブクログ

本の雑誌で2025年上半期ベスト10の1位に選ばれていたので、購入。
著者の名は本屋で目にしていたが、初挑戦。
人付き合いの悪かった晴子伯母の葬儀から小説は始まる。この晴子伯母の半生を語る物語かと思ったが、違った。

主人公の女性、生んだ時に一目見た息子と再開するまでの長い時間。こんなことって有り得るのかなとか考えるけど、何とも判らない。
なんの予告も無く、クライマックスは訪れる。主人公も読者も予想してたシーンじゃないかも知れない。それでもクライマックスだった。
(引用)
ふざけるな、とわたしは思った。
「捨てたんじゃない」
わたしはそう言って立ち上がり、息子に向かい合ってますぐに目を見た。

この後の感情の発露が胸に迫ってくる。余分なことを書く必要はないと思う。
読後、熟柿のタイトルが沁みた。

0
2025年12月02日

Posted by ブクログ

ひき逃げ事故を起こしてしまったことを機に、人生を転がり落ちていく主人公が気の毒すぎた。夫がまともな人だったら、家族みんなで生きていけただろうに。そして何より最後、あの時、ああしていれば別の人生があったのか。。と思ったのだろうなぁ。つらい

0
2025年12月13日

Posted by ブクログ

序盤、辛い展開が続いたため、読むことが苦しかった。それでも止まることなく読み進めたのは、やはり著者の筆力が高いからだろう。
それにしても、元夫は無責任すぎんか? とか、なんで婆さん雨の夜中傘もささず徘徊してるんやとか、色々考えてしまう。もちろん轢き逃げは許されざることだが、怪談みたいな話を聞いた上で、常識を逸する出来事に遭遇したら、それを現実と認識できるのだろうか。元夫は普通に最低だと思う。

0
2025年12月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

明日は我が身にならないように。

不慮の事故とは誰にでも起きる。
作品と同じように、夜徘徊しているおばあちゃんがいるかもしれない。
自分を過信して交通事故を起こすかもしれない。
人が飛び出してくるかもしれない。

絶対に起こしたくないけど
車を運転するって、それだけのリスクと大きな責任が伴う。
って、なんだか再確認できた。

公務員の夫を持ち、そろそろ子どもが生まれる。
誰から見ても幸せいっぱいの女性が
一瞬の不注意で人生を台無しにしてしまうかもしれない。

自分にもふりかかるかもしれない
っていう、「かもしれない」の連続が妙にリアルで
こわかった。

でも、読書体験としてはすごく大きい。
気をつけなきゃ!って再確認できる、きっかけにはすごくいい。
教習所とか、学校とかに置いとくといいよね。

倫理観を主観にしてみたら
市木さんの行動って褒められない。
だけど、
子どもに一目会いたい。っていう純粋な気持ちで
生き続けているんだなって
納得してしまう自分もいる。

世の中で誘拐とか、ストーカーとかをやってしまう人の
初期の初期を見ている感じ。

全体的に
人間が落ちるかもしれない、大きな落とし穴の中を
ずっと覗いている感じ。

0
2025年12月12日

Posted by ブクログ

白地に柿1つのシンプルな装丁。
『熟柿』というタイトル。
とてもよい。
『熟柿』は初めて知った言葉だけど、最後まで読んで、かおりはその通りの生き方だなと思った。

1つの出来事をきっかけにかおりの人生が大きく狂っていく。
してはいけないことなので当然ではあるのだけど、ここまで苦しい道のりを歩まねばならないのか。
半分くらいまでは読み進めるのが本当につらかった。
でも、長い時間はかかったけれども光が射すこともある。
罪は消えることはないけれども、彼女はその光に手を伸ばしてもいいのではと思った。
元夫は最後までちょっと理解できなかったが…

0
2025年11月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

熟柿。熟した柿が落ちてくるのを待つ。

警察官の妊婦妻が轢き逃げをしてしまう。同乗してた警察官は辞職し、妻は刑務所で出産し、出所と共に離婚する。
子供に一目会いたいと幼稚園に行くが別の子を抱きしめて逃げ出してしまい、誘拐で怒られる。
小学校入学式にも行くが、追い返されて会えない。

そのまま息子に手紙をノートに書き連ねるけど、出す予定のないのを生き甲斐に、千葉から山梨や大阪や岡山をへて、福岡にたどり着く。行く先々で、人間関係トラブルや過去の服役がバレたり、ルームメイトに全財産を盗まれたりする。不倫してる友達と何ヶ月かに一回電話をしたり、好きになりそうな人に出会えたり、でも轢き逃げと服役の事は言えなかったり。

息子が高校生になり、幼稚園時代からの同級生女子に導かれて面会する。どちらも中々言いたいことが言えなかったり、もどかしい。

0
2025年11月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

良い評判を聞いていただけに期待値を上げすぎてしまったかもしれない。

主人公が周りが見えていなくて行動が浅はかすぎるし、そもそも人にぶつかったかもしれないのに逃げるところも共感できない。

可哀想ではあるけれど、自業自得だしな…と思う。
子供がいたら少し共感できるところもあるのかも。

「熟柿」の意味は彼女の人生を肯定しているようでよかった。

ルームメイトの斉藤さん本当にイライラした。笑

0
2025年11月03日

Posted by ブクログ

けんごさんの動画を見て、そして装丁にも惹かれ購入。
スタートして速攻事件発生。大雨の中パジャマ姿のおばあちゃんを車で引いてしまい、そのまま逃走。その事件を境に生活は一変。お腹の赤ちゃんは刑務所で産み、出所後は離婚…。
本作はその後の「かおり」の物語でした。前科が付いてしまったかおりは働き口を求め、全国を転々とする日々。色んな人に出会い、色んなことを体験し、色んなことを思う日々の中で常に引っかかるあの日の事件。あの事件さえなければと読者の自分も思ってしまいました。
ただ、後半思わぬ展開に急ハンドル。元夫との出会い、久住呂さん、実の息子、そして土居さん。色々な人との出会いを経て移り変っていく心情、状況にのめり込みました。
『熟柿』という言葉の二つの意味は伏線回収的な要素があり個人的にGood!ただ、結局晴子おばさんの特徴的なキャラは『熟した柿』を食べるおばさんの位置付けで直接物語に関わってくるわけではない??

0
2025年11月03日

「小説」ランキング