あらすじ
激しい雨の降る夜、眠る夫を乗せた車で老婆を撥ねたかおりは轢き逃げの罪に問われ、服役中に息子を出産する。出所後、息子に会いたいあまり園児連れ去り事件を起こした彼女は息子との接見を禁じられ、追われるように西へ西へと各地を流れてゆく。
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Posted by ブクログ
熟柿
ー熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時期が来るのを待つこと。
時期に待っていれば夢が叶う。話せないことを話せる。そんなに焦らなくてもコトによっては何年かかってもいいから時間や環境が解決してくれるということを少し学べた気がする。
帯に書いてある通りお涙頂戴の感動作ではなく実際に息子と会った時の情景がとてもリアルだった。確かに17年間会えなかった息子との再会は泣くことよりも戸惑いが勝つよなーとリアルに感じた。
最後の章はめくるページが止まらなかった。
夫の気持ちについては確かにわからないでもない。それに息子を引き受けるためにはどちらか一人が育児を担わなくては行けないと。また、人を轢いた母、それを見ていた父ということになってしまうと「轢き逃げをした両親の息子」というのが出来上がってしまう。それを防ぐために夫は自分は見て見ぬ振りをして妻一人に罪を負わせた。読んでいて本当に悔しくて哀しい場面だった。
この本は久住呂母娘だけが希望だった。久住呂母が主人公のこれまでの経緯を息子に話していたということ、娘が再会の時に間を取り持ってくれたこと、本当に一筋の光だった。ありがとう!!
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熟柿
最初は読み方すら分からず、叔母の好きだった熟柿がどのようにメインテーマにからんでくるのかと思いながら読み始めました。
犯してしまった罪を背負いながらの人生。
様々な波を乗り越えていく主人公の喜怒哀楽に自分の気持ちも重苦しくなりながら読み進めましたが、
重苦しくなるのにどんどん読み進めたくなる物語でした。
"熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時機が来るのを待つ"
苦しみながら焦らなくてもいい。
その時が来るのを待つことがあってもいいんだ。
その意味を知り、これから何か苦境があっても、少しずつ前を向けるようになるんじゃないかと思いました。
読み終わった今、この題名がこれほどしっくりとくるものかと感嘆しています。
Posted by ブクログ
熟柿 タイトルと物語の内容の一致具合が圧巻でした。主人公の息子に対しての思いが未来に対しての希望が感じられるものの悲痛な叫びにも受け取れて、なんどもえずいてしまいました。
作者の方の言葉使いとても好きでした。
他の作品も読んでみようと思います。
Posted by ブクログ
読み終わって色んな感情がいっぱいで、感想がまとまらず。
途中まで思っていたのは、こういう一つの間違いで人生転落していく内容って、いたたまれなくて自分もホント一瞬の判断ミスで後悔してもしきれないことが起こり得るって思うと読んでて怖くて仕方なくて。でも、転職や土地に縁がある〜件から、なんとなく悪いことばかりでもなくなってきて、思っていた結末とは少し違っていたけど、縁も熟柿の一つなのかなとか、しかも久住呂ママ…言ってくれてありがとう(涙)とか、最後は土居さーん頼みましたよ、って心から思った。
2026年本屋大賞ノミネート作3作目
今年もレベル高い
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幸福の中、図らずともひき逃げという罪を犯してしまった女性の物語。
獄中での出産、出所後に子のためという名目での嘆願されての離婚。ただ、子供のことは忘れられず、会えずとも一目だけでもその姿を見たいという、強い想いも叶わない。
戒めなのか、物理的に距離をとり、心の中では常に子供に語りかけ、ただただ誠実に働く日々。それでも過去の罪は苦しめる。誠実に生きようとしても、世情と罪から、やむを得ず各地を転々とすることとなる。
何年経ったのだろうか。いつまでこのままだろうか。
熟柿「熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時機が来るのを待つこと」
柿の実は熟すのか、、
ラストの展開は目頭が熱くなりました。
Posted by ブクログ
ひき逃げしたのは本人だが、ずっとこんなにも…と読んでて沈むような気持ちになる前半。
主人公は悪い人ではないのに1度の大きな誤りで人生の重荷を背負うことになった。しかも獄中の出産だったために引き離される形で息子と別れ。
その後の人生も「息子のために」を想って生活を続け、長い年月が経ってやっと時が来た、熟柿。最後は明るい光の道筋が見える終わりで良かった。
仕事が人生の救いになっていたようにも感じた。
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2026年本屋大賞ノミネート、佐藤正午さんの『熟柿』を読みました。
正直に言って、主人公に1ミリも共感できない。
でも、だからこそ「本物」を感じてしまう一冊でした。
読み心地の悪さが、癖になる
この物語の主人公、とにかく考え方が現実から「絶妙にズレて」います。物事がうまくいかない理由を外に求め、自分に都合よく解釈する。その姿はどこか他責的で、少しばかり妄想的。でも、ふと立ち止まって考えると気づくんです。「あ、これ私の中にもある醜さだ」と。
「至らなさ」という名のリアリティ
ドラマの主人公のような清廉潔白さはありません。
ここにあるのは、剥き出しの**「人間の至らなさ」**です。カッコ悪いし、イライラする。けれど、そのズレこそが、私たちが日常で無意識に蓋をしている「リアルな人間臭さ」なんだと思い知らされます。
救済は、劇的にはやってこない
この物語が突きつけるのは、救済の地味さです。
人生をひっくり返すような大逆転劇なんて、そうそう起きない。
• 救いへのヒントは、ありふれた日常の瞬間に落ちている。
• それを見逃さず、泥臭くつかみ取るのは、結局自分の「勇気」でしかない。
読み終えた後、鏡を覗き込んだ時のような、少し気まずくて、でもどこかスッキリした不思議な感覚が残りました。
「共感できない」からこそ、目が離せない。佐藤正午さんが描く「人間の本質」に、じわじわと毒される感覚をぜひ味わってほしいです。
Posted by ブクログ
様々なドラマティックな部分 きっと色々あったんだろうなと思える部分がばっさりカットされていたり時間が経った後に知ったり、時間の長さと雄大さと話の巧さに久しぶりに本を読んでドキドキしていた 本当に酷い事が起こってしまって絶望しても生きていればなんとかなるかもしれないと思える本 しんどくても柿が熟すのを待っていても良いのかもしれない
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今現在母親の介護をしている私には物語中の親子のやり取りが心に刺さりまくって涙が溢れてきました。犯罪者の烙印を押された主人公はひたすら悲惨な目に合うのが読んでて気が滅入りましたが、タイトルの意味がわかるときには晴れやかな気持ちになり、少し救われました。物語に引き込む力はとてつもないです。
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仕事で辛い思いをしたときに読みたいと思う小説でした。重苦しい展開から始まり、何とか必死に生き抜いて行った先に、生きていく希望が湧いてくるラストに感動しました。人生は長期戦だということを改めて実感させてもらいました。
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「熟柿」いい言葉…
熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時期が来るのを待つこと。
あと百合さんの「見て見ぬふりはできません」
も心に響いた。
話はドロドロした内容で途中感情ぐちゃぐちゃになったけど終わり方がキレイで落ち着いた感じだった。
Posted by ブクログ
すごい作品でした…
かおり自身が書いたエッセイを読んだような。
性別も年齢も異なる作家さんがこんな作品を生み出せるなんて。小説家さんってすごいです。
刑期を終えたとはいえ、人の命を奪った上に逃げてしまったことは事実。更生ってその時点ではなく終生続くものなんだろうな。
被害者を思い出させる「介護」の仕事に向き合うことを決意した覚悟。
かおりはあの日だけ取り返しのつかない大きな間違いをしてしまったけど、その後はずっとずっと勤勉に1日1日を生きていて、その様がたくさんの人の心を打つからこそこの作品が愛されているんだなぁ
「生みの親」という圧倒的かつ神秘的な存在は何にも代えられないのだなと思い知らされた。
・田中徹也
もうずっと嫌なやつで極めつけに最後の方でもっと嫌な感じ。かおりのことそこまで愛してなかったんだろうな。かおりよりも拓を選んだ。
でも!悔しいけど、徹也の判断は拓のことを考えるなら間違っていなかった。刑期を終えたかおりがそのまま母として生活するのは、拓に様々な影響がありすぎる。人殺しの息子!お前のお母さん犯罪者!とか言われるの容易に想像つく。
「お母さんがいない」拓だからこそ明るく真っ当に育ったけれど、「お母さんが犯罪者」の拓の人生だったらどうなっていたかは想像するのが怖い。
・パチ屋の斉藤
もうほんとなんだったんだこの人。性悪説すぎるだろ〜嫌い嫌い嫌い!
・久住呂親子
フィクションであっても、ここまで人のために何かしてくれる人が存在してることがなんとも興味深かった。咲ちゃん最初っから最後まで拓くんママの味方でいてくれるなんて。徹也にも情報共有してて、結果的に久住呂さんのおかげでかおりの暴走が制御されてるし…同級生の訳あり親子のためにここまですることが現実では必ずしも正解ではないけど、行動力のある素敵な親子だった。
・再会
もう、ずっと、咲ちゃんが拓くんを連れてきたことがわかってからというもの、涙が止まらず…。
かおりと会うと決断したそのことだけでも十分にかおりが救われたのに、それ以上に、生みの母であるかおりへの渇望が垣間見えて…
幼稚園の時なんで待っててくれなかったの?って…!!!!
今までのかおりの行動は、適切じゃないものもあったにしろ、結果としてそれさえも拓が母の関心を感じられる出来事になってたんだなぁって。
連絡先を交換したし、福岡にも会いに行くとまで言っている。
拓くんの気持ちが第一ではあるけれど、かおりが拓をこれまでめちゃくちゃに愛していた歴史を、かおりと話して、知って、驚いてほしい。
Posted by ブクログ
2026年本屋大賞ノミネート作品という事で手に取りました。
主人公のかおりは、轢き逃げ事件を起こし、獄中出産。出所後に、夫から子供の為にと、離婚を迫られる。子供の将来を思うなら離れないといけない。1人後悔を背負って各地を転々とするも、一目最愛の子供に会いたいと思い‥
たった一度の過ちで人生が変わる。あの時こうしていればという後悔は誰でも経験はあると思いますが、この物語の主人公は、もしかしたら自分だったかもしれないと強く感じさせられました。
そして、タイトルの「熟柿」、この言葉の意味を知らなくて本当に良かった。物語の前半と終盤でガラリとイメージが変わるこの言葉。読後の余韻も素晴らしい。
この物語は完成されているのだけども、主人公のかおり以外の視点のスピンオフ作品も見てみたいなぁ。
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ゆったりとした河の流れのような、壮大で、自分の心と静かに向き合いたくなるような小説だった。本屋大賞の候補作となり、決して派手ではないこのような小説が、多くの読者に求められているということをとても嬉しく、心強く感じた。
正直、最初はかおりのことを「ちょっと頭がおかしくなってしまった人」なのかなと思っていた。けれどその根底にあるものが、ただの一度も揺るがなかった息子への思いであることが次第にわかり、それを踏み台にするようにして新しい人生の一歩を踏み出していく姿には胸が熱くなった。その人生は「熟柿」という言葉をまさに体現していた。シンプルな帯に書かれたその言葉の意味が、熟れていく果実のようにしっとりと重さを増して心に迫ってくるのが感じられた。かおりが拓と再会した時に、偶然おそろいのニューバランスのスニーカーを履いていることに気づいた場面、そして最後に福岡へ向かうことを「帰る」と表現した場面が印象的だった。
Posted by ブクログ
2026年本屋大賞ノミネート作品ということで読んでみた。とても切ない話だったけど後半は少し希望が感じられた。
轢き逃げ事件を起こした主人公かおりは当時妊娠しており刑期中に息子を出産。事件をきっかけに夫と離婚し罪を償いながら孤独に生きていた。息子に会うことだけを希望に。
前半はかおりに降りかかる不幸がこれでもかと言うくらい続き胸が苦しくなった。また読んだ後も、もし夫がかおりと息子を早く会わせてたら、とか、もっと早く夫からの電話に気付いてでてれば事態はこんなに深刻にならなかっんじゃないかという思いが巡り、やるせない気持ちになった。
最後に息子と再会する場面は涙なしでは読めなかった。
Posted by ブクログ
私はこの話グッときた。
最後の15ページを読むか寝るかで迷ってとりあえずその日は寝て翌日に腰を据えて読んだけどそうしてよかった。
土井さんとはどうなるんだろうと思ってたけど最後に出てきてそこで熟柿の話しててタイトル回収もできてる。
2026年本屋大賞ノミネート頑張ってほしい。
Posted by ブクログ
佐藤正午さん著「熟柿」
著者の作品は初読み、数ヶ月前から気にはなっていたが今回の本屋大賞ノミネートを機に購読に至った。
まずタイトル「じゅくし」。読めない…
漢字自体は難しくないし、意味も解るのだがこの読み方は知らなかった。
購入するまで「じゅくがき」だと思っていた。
うっかり書店で店員さんに「じゅくがきって本あります?」なんて聞かなくてよかった。恥ずかしい思いをするところだった。
物語はまるで「熟柿」の通り。
表紙に「熟柿」の意味が刻まれている。
主人公かおりの息子「拓」の出産から、もう一度息子に会えるその日を待つその人生は決して気長にその時がくるのを待つだけの人生ではなかった。重くて苦しい日々の連続の毎日が描かれていく。
ひき逃げ事故からマイナス方向に傾倒していくかおりの人生。
あの時強く踏んだブレーキから彼女の人生のハンドルは自分の思うままでは握れなくなってしまう。罪の意識、罪人としての重圧、離ればなれの最愛の息子の存在。
序盤~中盤迄、同情心を煽られながら読み進める。彼女の人生の重たさが辛かった。
終盤の展開は圧巻。
息子とのやりとりは素晴らしかった。
今まで散々息子の事を「拓」と心で呼んできていたのに、いざ本人を目の前にすれば「キミ」と喋らざるを得ない。同様に自身の事も「お母さん」という一人称で話せない。
かおりの心情がまるで自分自身が彼女になったのかと思うくらいに理解でき凄くよかった。
ここから考察も少し書きたい。
息子とのやりとりの後に電話をかけた相手が土居。
土居との電話での話の中で「電車のホームを間違えたみたい」とかおり。
急いでホームに駆けつけ乗るべき列車に乗り込んだ。間に合った。
息子に会い、話をし、その時が正にかおりの中で柿が熟して落ちた瞬間だったのだろう。
その後、彼女はまたあやふやな感情を引きずりながらも土居に電話をかけて、一旦は間違ったホームに並ぶも最終的に正しい列車に乗り込む事ができた。
これは…
この先の彼女の人生を表しているのであろう。あの事故の日に歩み出してしまったレールからの脱却なのだと感じられる。
彼女はもう間違わないだろう。
彼女はもう失わないだろう。
自分の過去の重責と向き合う中で、それらを隠さざるを得ないのが彼女の人生だった。
しかしこの先彼女は大事にしたい人にはもう隠さないだろうと推測。
土居にも、拓にも。
「熟柿」。古い柿が熟して落ちて、そしてまた新しい次の実が実る。
この作品の場合、「熟柿」とはその後の未来の事をも含ました言葉なのかもしれない。「再生」という言葉の意をも。
かおりにとって再スタート、乗るべき列車にしっかりと乗れたのだと読みとった。
中盤迄不幸の連続で辛かったが最後は圧巻だった。素晴らしい作品だった。
Posted by ブクログ
半分まで読み進めた時点で、「キツい…」と音をあげてしまった。それほどに、主人公の身に起きることや寄ってくる人がとてもしんどくて、救いはないのかと。けれど、タイトルの熟柿が現すように、ほんの、ほんの少しずつゆっくりと長い時間をかけて、縁と縁がつながっていく。最後まで読んで良かったと思ったし、人の人生を追体験したというか、読んだというより、主人公の長すぎる人生を、時期がくるのを、一緒に見てきたという感覚があり、とにかくもう、なんかとんでもない小説を読んだ…という気持ち
Posted by ブクログ
「熟柿」という言葉を一生忘れないと思う。そのぐらい重く深く印象に残る作品でした。
本を読んで感動しても泣くことはあまりないのですが、久しぶりにポロポロと涙が溢れました。最後は希望が見えて本当に良かった。
ノミネート作品を片っ端から読んでて、まだ全て読んだわけではないけれど、大賞はこの作品では!?と思いました。
Posted by ブクログ
面白かった。1人の女性の人生を通じることによって、辛いばかりではなく、小さな希望が見つけられる人生の素晴らしさを味わうことができる。
タイトルの熟柿のもつイメージと意味合いが最初と最後でスッキリと変わっていくことで、辛いばかりの人生が少しだけ開けていくところが素晴らしかった。
妊娠中だった主人公の女性は、伯母さんの葬儀の帰り道に人を跳ねてしまい、怖くなって轢き逃げをする。そこから人生がどん底に落ちてしまう。刑務所の中で産んだ子供は夫が引き取り、夫からは離婚される。まるで希望のない人生を延々と生きていく絶望感に、終始、主人公の可哀想な境遇が読んでいて辛い。罪を償って出所してきても、一生ついてまわる轢き逃げの罪悪感。なかなか仕事も続かない。心無い言葉を投げてくる人や、お金を奪うような悪人たちもいる。たった1度の過ちが人生を大きく変えてしまう。
ただ一つ、自分が産んだ子供に会えないとは分かっていつつも、その想いだけはずっと持ち続けて生きている。そんな主人公の唯一の希望。どこまで悪いことが続けばいいのかと思い読んでいる手が鈍ってしまう。
伯母さんの葬儀の時、亡くなった伯母さんの大事にしていた柿の実で遊んだから、その呪いなのか。冒頭のシーンで、その伯母さんは親戚中から嫌われていて、疎遠にされていたことが描かれている。その中の一場面で、夜中に中身がじゅくじゅくになった柿を啜る伯母さんの恐ろしげな姿が印象に残る。まるで、妖怪か、呪いのように。
それ以降、主人公は不幸な人生が続いていくので、柿の呪いかと思うくらい、柿がネガティブな印象を持ってしまう。
当然不幸な中にも優しい人はいるもんで、人の縁を感じさせるつながりが希望へとつながっていく。そんな小さな小さな縁に紡がれて、主人公の人生はほんの少しだけ希望を持つことができる。今後の明るい人生への想像ができるようなラストはじんわりと心をあったかくする。
ラストのある人物のセリフで「熟柿」の説明がなされる。それによって、柿へのネガティブイメージがポジティブに変わる。気づけば暗く辛いものが、少しだけ明るくひらけた部分に変わっていることに気づかされる。
大きなクライマックスがあるような物語ではないけど、ゆっくり、じっくりと縁のつながりを感じさせる物語。良かった。
Posted by ブクログ
じわじわと心の奥に響く作品だった。
最後の十数ページは、繰り返し何度も何度も読んだ。胸にじんわりと温かみが広がる、そんな作品。
ひとつのミスが導いた過酷な人生を歩む主人公。それでも誠実に贖罪の日々を送る。そうした日々が報われるかのように長い年月を経て柿の実が熟し、その時が訪れる。
ラスト、間違えたホームに気付き、今度こそと正しい電車に乗る為、道を引き返す主人公に一筋の光を見た。
Posted by ブクログ
一気に読み終えた。
話題性から、奇想天外!どんでん返し!みたいなのを想像してしまっていたので、その点だけ⭐️4。
沁み入るというか…あぁそうか…と…
うーん、感想が難しい。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ良くて感動しました〜!!
「会いたい。でも、今はまだその時じゃない。」
読み進めるほどに、子を想う母親の
張り裂けそうな叫びが胸に突き刺さる!
ただ名前を呼びたい…
顔を見たい…
そんな当たり前の願いが叶わない現実の重さに
こちらまで苦しくなりました
「時機を待つ」という言葉が
再会を願う母親にとってはどれほど残酷で
それでいて一筋の希望だったか…
「熟柿が落ちるのを待つように」
その言葉は、忍耐というより
もはや祈りに近いものを感じました
最後は小さな希望に涙がこぼれました!
しばらくはこの余韻に浸りたいと思います
Posted by ブクログ
警察官の妊娠中の妻が轢き逃げを起こしてしまい、収監され出産するが、そのことが原因で離婚され、子供も取り上げられる。そんな女性が釈放後に様々な差別を受けながらも、接触できない子供に会いたいという思いで生きていくという作品である。オーディブルで聴きましたが、とてもよくできた小説だと思いました。
Posted by ブクログ
あまりに生々しく、リアルな人生の記録。
たった1日で人生が大きく変わること、過去に犯した過ちは決して消えないことを痛いほど感じさせられる。絶望の中でも、常に行動し前へ前へと進み続けるかおりの強さには驚かされた。
ラストの爽快感がたまらなく好き。
Posted by ブクログ
全体としてはきわめてネガティヴな情調。
しかし不思議なことに、読後の満足感は強い。
主人公は、単なる哀れな存在としては描かれない。むしろ、その生の輪郭はあまりに生々しく、リアリティがある。誰にも共有されない時間の堆積。彼女の孤独は劇的ではない。だからこそ、読む者に突き刺さる。
陰鬱で、救いは薄い。それでも読み終えたとき、奇妙な充足が残るのはおそらく、この作品が「孤独」を消費せず、正面から熟させきったからだ。
わりかし感情移入せず「世俗的だなー」とか「そんな執着するもんかなー」とか思いながら読んでいた私ですら、終盤の二人の出会い、会話で普通に涙してしまったのだから、感情移入しすぎた人は嗚咽してしまうのではないか。
表題「熟柿」も秀逸。ジュクシ!
Posted by ブクログ
audible⭐︎
聴き終わった率直な感想。
周囲の目から逃げ回るように色々な場所で働いたかおり。
息子、拓と再会した時"罪をつぐなったのに、なぜお父さんと僕と一緒に過ごさなかったのか⁇"と聞かれる。
世間からは元犯罪とゆう目でみられ、息子は母を許しているような感じ…元旦那は卑怯者。
それぞれの見方が違う。
終始モヤモヤしていた。感想もまとまらない…
フォローさせて頂いた方の感想に、"熟柿"の意味が書いてありこの物語の進み方に合点がいった⭐︎
これからゆっくり柿が熟すように拓の心もほぐされていく。
土居さんがかおりの心をほぐし♡熟していくのを寄り添っているように…
次は本の紙でじっくり読んでみる!