【感想・ネタバレ】熟柿のレビュー

あらすじ

激しい雨の降る夜、眠る夫を乗せた車で老婆を撥ねたかおりは轢き逃げの罪に問われ、服役中に息子を出産する。出所後、息子に会いたいあまり園児連れ去り事件を起こした彼女は息子との接見を禁じられ、追われるように西へ西へと各地を流れてゆく。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

犯罪を犯してしまった人のその後の生活が描かれていて、重苦しいんだけど何故か読めてしまう。

強烈な感情がそのまま、みたいなダイレクトな表現がないからかもしれない。

ただただ、リアル。
感情的になって人を刺す人の気持ちもなぜかスっと入ってきて、作者が本当に経験してるのでは?と思わせるくらい自然だったのがすごい。。

強烈な記憶ほどところどころ覚えてない、とか、息子と感動の再会を果たした時の感情とか、体験したことないけどなんかすごくリアルで、
(現実味がないことが起きているのに頭はどこか冷静で、街にある店舗一つ一つが目に飛び込んてくる感じとか、唐突に午後の紅茶という固有名詞が出てくるところとか、ほんとすごい)
なんとなくこれがほかの作者にない佐藤正午さんの作風なんだなと思った。

そして熟柿の意味が最後出てくるの、アニメみたいでアツい。笑

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2026年10月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

色々複雑なのは分かるけど離婚する必要あった?って思ってたら最後に旦那が気付いてた&拓が同じことを話し出して、、、

もちろん轢き逃げはダメなことだけど、そこからのかおりの人生が辛すぎて、、最後の拓の『市木さんもお母さんだし』でようやく許された感じがして泣きました

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2026年10月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。熟すまで待つができるようになったら人生楽になりそう。いつも結果もとめてばかりの生活だから。

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2026年10月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

熟柿ー熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時機が来るのを待つこと。
気長に時機が来るのを待つという希望が視えるラストにカタルシスを感じる。

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2026年10月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

妊娠中に人身事故・ひき逃げ事件を起こしてしまった女性の半生が描かれた物語。

人を殺した母親と死んだ母親とどちらがいいかを迫られ、出産後に離婚、子と離れ離れになってしまった市木かおりの真面目さや不憫さに、胸が締め付けられる想いだった。

子供と離れ離れになり、顔も見られず、会うこともできない。元夫がどのように育てているかもしれず、行く先々では犯罪者として社会から省かれる。こんなに苦しい人生あっていいの...??

一度の過ちで、一生が台無しになる。私なら絶望で前に進めるか自信がない苦境にも見舞われながら、少しの希望を見つけて前を向こうとする姿がかっこよかった。

最後はやっと信頼できるパートナーに出会えたり、子供に会えたりと、熟柿というタイトルがしっかり回収される綺麗な終わり方で安心した。
この流れのまま報われなかったら落ち込み続けるところだった。

目を背けたくなる現実に立ち向かう強さ、自分が犯した罪と向き合う誠実さを見て、私ももっと頑張らないと、という気持ちにさせられた。よかった。

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2026年10月25日

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ネタバレ

タイトルの通り「時機を待つ」ことの重みと残酷さ、そして救いを感じる物語だった。

​主人公が息子と再会するまでに要した16年。
「もっと早く会えたのでは」とタラレバを考えてしまうが、複数回主人公が起こした騒動を含め、あれはまだその時機ではなかったのだと受け止めることで、人は救われるのかもしれない。

​元夫の隠していた真実には憤りと虚しさを覚えるが、その卑怯さと引き換えに子を育て上げた責任を果たしている点に、割り切れない感情が残る。

​私事ながら今年子どもが生まれたこともあり、息子と会えない現実から逃げるように働き続ける主人公の姿や、それでも一瞬たりとも我が子を忘れられない描写は胸に刺さり、苦しかった。

息子に対して​真実はまだすべて明かされておらず、息子側の心情には余白が残る。
真実が明かされる時も、息子側が受け入れる時も「いずれ必ず訪れる」と信じさせてくれる、どこか温かい希望の残る読後感だった。

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2026年10月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

轢き逃げを起こしてしまった妊婦の話。
どこまでもやるせなく、気持ちが重くなる作品だったけど、とても良かった。
轢き逃げして服役中に産み引き離された我が子の姿を見たくて、居場所を特定したり連れ去ろうとしたり。
客観的に見るとかなり異常な行動だと思うけれど、主人公の気持ちも手に取るように分かってしまって、でも引き離すべきだとする元夫の気持ちも、私が当事者ならそうするかもなと思って、辛かった。
最後に息子と会うシーンでボロボロ泣いてしまった...
轢き逃げによってすごく酷な人生を歩むことになってしまったわけだけど、少し報われた気がして良かったです。強い人だなと思った。
道を踏み外すってこんなに怖いんだと思った。

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2026年10月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『熟柿』生きるために働き、息子への思いを支えに歩き続けた人生

佐藤正午 著

ひき逃げ事故によって人を死なせ、家庭を失った女性が、離れ離れになった息子への思いを胸に、各地を転々としながら生き抜いていく物語。

佐藤正午の『身の上話』にも通じる、人生の行方が予測できない語りの面白さがある。主人公が次にどこへ向かい、どのような出来事に巻き込まれるのか。先の見えない展開に引き込まれ、読み進めるほどページを繰る速度が増していった。

ただし、読み終えて振り返ると、物語そのものが大きな広がりを見せるわけではない。最初から最後まで読者の関心を引きつけるのは、ただ一つ、主人公と息子の関係がどのような結末を迎えるのかという問いである。

その答えを先送りするように、転居と転職が繰り返され、主人公の苦悩や不満が延々と語られる。まるで結末を期待させながら、その直前でコマーシャルに切り替わるテレビドラマのようでもある。次の展開を知りたいという期待が読書を牽引する一方、繰り返される心理描写には冗長さも感じられ、読み手に忍耐を求める部分があった。

しかし、本作の読みどころは、息子との再会という物語上の目的だけではない。むしろ印象に残るのは、主人公が一人の人間として生活を維持することの厳しさである。

山梨の温泉旅館、岐阜のパン工場、大阪のパチンコ店、そして福岡のホテルへ。職場を失い、同居生活が終わり、時には前科を知られたことで金銭を奪われる。ようやく手に入れた生活の基盤が、本人の意思とは関係なく崩れていく。

興味深いのは、彼女が新しい土地で住まいを確保する方法である。住み込みの職場を探し、知人の紹介で同居先を得て、社員寮のある求人を頼りに移住する。自ら不動産を探して独立した生活を築くのではなく、仕事や他人との関係を通じて、ようやく寝起きする場所を確保している。

ここには、頼れる家族も十分な経済的基盤もない人間が、一人で生きていくことの現実が表れている。彼女にとって働くことは自己実現の手段ではない。生活を失わないための切実な営みである。昼間の仕事に加え、空いた夜の時間も労働に充て、倹約を重ねて金を蓄える。その姿には、人生を立て直すという言葉だけでは片づけられない、生存そのものの厳しさがある。

一方で、この孤独な生活を支えているのは、二つの異なる力だ。

一つは、息子への変わらぬ思いである。会えない息子への気持ちを文章に託し、いつかその思いを届けることを生きる目的とする。日々の生活を支えているのは労働だが、その労働を続ける理由を与えているのは息子の存在なのだ。

もう一つは、人との縁である。

彼女は過去を知られることへの恐怖から、他人と深い関係を築くことを避けている。しかし、各地で生活をつないでいく契機には、いつも誰かの存在がある。人との関係が災難を招くこともあれば、新しい生活への道を開くこともある。

なかでも親友の鶴子は重要だ。遠く離れていても頼れる相手がいるという事実が、主人公の孤独を和らげている。作者は人とのつながりの大切さを説教めかして語ることはない。それでも、彼女の生活を追ううちに、人は完全に一人では生きられないという現実が浮かび上がってくる。

人生を支える軸は息子への思いであり、その人生を現実につないでいるのは他人との縁なのである。

終盤、久住呂母娘の働きかけによって、長く停滞していた物語は結末へと動き始める。最後の息子との場面は、感情があふれる展開であり、現実にこれほど劇的なことが起こるだろうかという疑問も残る。

それでも、ここまで主人公の苦難を追い続けてきた読者にとって、その結末には十分な感動と解放感がある。現実的な蓋然性よりも、長年積み重ねられてきた願いが一つの形を得ることへの満足が勝るのだ。

『熟柿』は、息子を思う母親の物語であると同時に、人生の足場を何度も失いながら、それでも働き、生き続ける人間の物語でもある。

結末へ至るまでの長さには疑問が残る。しかし、その長い歳月の積み重ねがあるからこそ、最後に訪れるわずかな光が、これほど大きな意味を持つのだろう。

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2026年10月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読む前は重い内容でずーんとした気持ちになるかも、、と思っていたが、読み易かったし展開の進み方も好きだった。

終わり方的にもう息子に会わないのかな、、と思って切なかったけど本人が決めたならそれでいいよね。

途中でお金を盗まれたり職場を離れざるを得なかったり大変なことはあったけど、拓くんが「お母さん」としてしっかりかおりさんを認識しててよかった。

自分だったらいつ会えるかもわからないままで生きていくなんて辛いなあ。主人公はよくめげずに生きていると思う。

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2026年10月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

想像するだけで辛くなるような人生だなあ。
読み進めるのがしんどかった。出てくる人たちがあまり仲良くなりたいタイプではないし。
鶴子とかなんなん?って思ってしまった(笑)それと元夫も。。。
かおりのやってることもよくわからなかった。ただすごいバイタリティは感じた。
福岡に流れついて出会えた人たちはかおりが引き寄せたものと思いたい。
久住呂さん母娘はとてもよかった。出会うのが遅かったよなあと思った。
ひき逃げのときにすでにいてくれたら違う展開になっていたのでは?なんて思ってしまった。ええ、意味のない想像です。
息子、拓くんとの再会の場面。駈け寄らない、涙も出ないというそんな感じがよかった。
「一度捨てた子供なのに」は痛打だった。そのあとの幼稚園でのエピソードはずっと言えなかった拓くんの悔しさだった。
それを必死に真っ向否定するかおりがあまりにも自分本位な大人でなんだかしんどかった。そりゃあ嘘でも認めたくないわな。
でも拓くんがしっかり成長していてほんとによかったし、ここからは自分で未来を変えていくぞという感情を感じて、たくましかった。
希望が見えてくるラストで、そこまでたどり着いてようやく読んでよかったなと思えました。

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2026年10月17日

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