あらすじ
激しい雨の降る夜、眠る夫を乗せた車で老婆を撥ねたかおりは轢き逃げの罪に問われ、服役中に息子を出産する。出所後、息子に会いたいあまり園児連れ去り事件を起こした彼女は息子との接見を禁じられ、追われるように西へ西へと各地を流れてゆく。
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Posted by ブクログ
6月に生まれた生後2ヶ月の息子をもつ身としては、こんなに可愛い盛りを見ることもできず、ただ想像するしかなく、刑務所の産室で右耳の裏にてんとう虫みたいな黒子を見つけたことをずっと宝物のように覚え続け、ただただ息子に会いたい気持ちを抱きながら、会えないまま過ごし続ける主人公の姿を、本当に胸を痛めながら読みました。
拓くんにもう一度会えてよかった。
土居さんに出会えてよかったね。
希望をもてるラストでした。終始悲しい気持ちになりましたけど読後感はよかったです。
Posted by ブクログ
熟柿:熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時機が来るのを待つこと
こんなに泣けると思わなかった。中盤まで暗澹とした出来事が続くけど、気長に待って最後まで読み進めてよかった。過去は変えられないけど、未来への一筋の光を感じるラストが心に沁みた。
Posted by ブクログ
audibleにて。
「あ、これミスったら人生詰むかも…」とか、「これ、ワンチャン自分死ぬんじゃね?」みたいな経験したことある人は分かると思うんですが、あの過度にストレスがかかった状態の脳があんまりうまく動かない感じというか、ちゃんと文字を読んでるのにぼんやりとしか理解できなかったり、物事の判断が上手くできなかったり、あとから思い返しても記憶がおぼろげだったりするような状態ってあるじゃないですか。
主人公が人生の選択肢を間違えていくときの様子が、自分のその状態を再度体験しているようで、ぞわぞわしながら読みました。ずっと怖かった。文章の表現の凄さを感じた。マジですごいなと。
作品としては、晴れやかというか希望が見えたエンドと言う感じで、タイトルの回収も美しくて素敵だったけど、主人公に感情移入して考えてみると、「それで幸せな感じで良いの…?やっぱ不幸過ぎない?そりゃ自分が選択肢を間違えまくったのが原因だとは思うけど…」と思ってしまった。
やはり母になった経験が無い未婚のおじさんでは人生経験が足りないのか…ッッ!!
当たり前の話ではあるけど、読んでる自分が人生のどのフェーズにいるかとか、経験次第で感じ方が違ってくるのはとても面白いなあと思った。
Posted by ブクログ
本屋大賞2位。
初読みの作家さん。
いやー、、もう読んでてどんどんしんどくなった。
やめて、やめてと思いながら、貯金持ち逃げされたあたりで谷底。
まず夫さ、妻妊娠中で、自分は酔っ払って寝てて、ひき逃げは良くないよ確かに。でもそれで離婚して子どもにも会わさず、死んだことにするなんて。
しかも、案の定、起きてたっぽいし。ひき逃げに加担してるし、なおさら最悪だな。
会えずにいる子どもの存在だけが生きる糧。
これが30年前の話じゃなく、つい最近の、しかもほぼ同年代の女性の話で、知らないだけで現実にも居るんだろうか。。
んでも、どうしても最後まで現代の話と思えなかった。。
8割読み進めるまでは、これ本屋大賞でもおかしくなかったなと思ったけど、急に息子と再会したあたりから、唐突感に冷めてしまった。
いつのまに土居さんの存在が大きくなってたんだろ?
不幸話が好きなわけじゃないけど、急に全部ハッピーエンドに向かってて、おいてけぼり感強く減星。
Posted by ブクログ
亡くなった叔母の法事帰りに人身事故を起こした妊婦の主人公は、泥酔で助手席に眠っていた警官の夫を思いその場をごまかし轢き逃げした。それがきっかけとなり刑務所で息子を産むも引き離され、出所後が夫に離婚を迫られ息子に会わせてもらえなかった。それから幾年。
受刑者の出所後の人生は果敢なきもの繰り返しで常に前科が付き纏う。女一人生きていくだけでもそれが枷となり、その苦しみの中で自分が産んだ子に会いたいという母性の思いだけはいつまでも強く、会おうとするたびにパトカーに乗る羽目となる。このパトカーに何度も乗る件が帯で紹介されており、ああ、これは切ないと納得した。会いたいと思いが強くなるほどに息子から遠く離れて暮らす羽目に追われ千葉から遥か遠い福岡にまで来てしまう。それまでに転々と移り住んでくるにあたっては人の縁があり、所在なさげであった主人公も次第に強く生きていける一人の女性と成長し、そしていつしか機が熟し、それは柿が熟して自然に落ちるように、会いたいと切に願っていた息子との再会の場に巡り合えた。熟柿というタイトルだけでは全然わからなかった物語がこんなに思い尽くされた子への愛情、しかしそれには大きな障害もあり、この親子がその後どんな会話を続けていくのだろうと考えさせられる。そして、なにより、この物語には後半大どんでん返しが明かされ、そんな伏線あったのかぁ!!!って唸ってしまった。これには完全に参りました。最後に、咲ちゃん、ファンになりました。
Posted by ブクログ
まずは──とりあえずハッピーエンドというか、明るい感じで終わって良かった…。めっちゃ重かったーー。
正直に言うと、読めば読むほど暗い気持ちになっていく話で、読んでいてずっっとしんどかった。しかも、ちょっと良いことが起きて(希望が見えて)はダメになる、の繰り返しという、ずーっと上手くいかないより心が折れる展開が続くので、心理的にクる。
具体的な内容に関しては、「母親も1人の、迷って悩んでもがく人間なのだ」ということはよく分かった。一方で、未婚・子なし・運転免許なし、事件当時のかおりより若い私には、かおりのことを想像するにも限界があり、いつまでもうじうじした思考で情緒不安定なかおりに、共感どころか鬱陶しさや苛立ちを感じることがとても多かった。
また、「前科もち」というその一点において、悪質で殺意のあった凶悪殺人事件の犯人かの如く、出所後の行く先々で理不尽が続くので、「なんでたかが轢き逃げの、しかも事故で?」と思ってしまった自分がいたが、そうやって無意識に犯罪や命に優劣をつけてしまっていることに気がついてぞっとした。とはいえ、今回のかおりのケースは何とも言い難いのだが…。
あとは、出てくる人たちに(勿論良い人もいるが)かなり嫌な人が多く、(その人たちが所謂“世間”を表していると言えばそうなのだが)特に友人鶴子、元夫、パチンコ店時代の斎藤が最悪だった。この後者2人に関しては、どうしても勧善懲悪的な展開を期待してしまったし、最期までざまぁ展開がなかったため、読後の今もモヤモヤしている。
確かに轢き逃げは良くないが、この3人が「人を(事故でも何でも)殺していないだけ」で野放しなのは、どうしても解せない。結局、世の中は上手く立ち回った者勝ちな世界なのだろうか。
私は、かおりの生き方は不器用だと思うが、ここまでの扱いを受けて当然とも思えない。結論は出ないが、色々なものを見つめ直すきっかけになる本だったと思う。
Posted by ブクログ
はぁ〜、熟柿。か。
以下、土居さんの言葉一部抜粋↓
「略〜柿の実が季節になれば熟すように、物事の成就には適した時期があるというか、そのときが自然に訪れるのを気長に待つというか〜略」
物語の最後の最後に、『柿が熟して落ちた』。
この後はきっとかおりの未来も明るいものになるだろう。
でも、正直に言って…読書中ずっと感じた気持ちの悪さがかなり目立つ。かおりの行動、言葉、判断。
拓に本当に会いたいのなら、なぜそんなことをする?と思わずにいられない。
誰かわからない電話、何度もかかっているのになぜ出なかったんだろうか。もっと早く出ていれば、夫の真意に早く気づくことができたかもしれない。
なぜ幼稚園に行って、咲を待たなかったのか?もう名前を確認しなかったのか。後に拓本人が言ったように、一緒に暮らせていたかもしれない。
なぜ小学校で母親だなんて名乗りでたのか。名乗らなければ後ろからひっそりと見ることが出来たかもしれない。
拓に会いたい気持ちがひしひしと伝わってくるから尚更、モヤモヤしっぱなしだった。
そんなモヤモヤがありつつも、物語終盤にやっと拓に会えたのは、幼稚園に行って咲ちゃんに会ったからだし、小学校で騒ぎを起こして久住路さんに出会えたから、拓と繋がり続けることが出来た。
ずっと謎の電話に出なかったから、元夫が罪悪感に耐えきれなくなるタイミングで再会できた。
福岡に根を下ろし始めた今だからこそ、かおりが自分自身を保つことが出来た。
熟柿なんだなぁと思った。
最後は納得できたものの読書中の気持ち悪さが長くて、評価は⭐︎3に。
追記:他の方の感想で「純文学のよう」と書かれていて、だからこの気持ち悪さも含めて評価が高くなるのか!と納得。偉そうに言うことではないけれど^^;