【感想・ネタバレ】熟柿のレビュー

あらすじ

激しい雨の降る夜、眠る夫を乗せた車で老婆を撥ねたかおりは轢き逃げの罪に問われ、服役中に息子を出産する。出所後、息子に会いたいあまり園児連れ去り事件を起こした彼女は息子との接見を禁じられ、追われるように西へ西へと各地を流れてゆく。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

本屋大賞第2位ということで読んだ。1位の朝井リョウさんの作品も傑作だったが、本作も負けず劣らず、というか土俵が全然違うのだが、傑作。熟柿ってそういうことか!読後に世界が違って見えました。

物語前半は正直、暗い。それこそ朝井リョウさんとか、東野圭吾さんの作品に通ずる、そういうことって誰にでも起こり得るよな…という他人事とは思えない、それ故に胸が苦しくなる感覚。

中盤から後半は、そのに光が差すような、でも、差さないような感覚。それでも生きていくのだ、と。母の強さ、と言う言葉は本質じゃないし、使いたくもないのだが、他に一番近い言葉が見つからない。

この物語の後、かおりさんが少しでも幸せになることを祈ります。

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2026年04月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公の女性の心情を、終始彼女の視点で深く深く捉えた作品。
読んでいる間、まるで自分が彼女の人生を生きているかのように感じられた。
特にタイトル回収が見事だった。
叔母が、家にある柿の木から取れた熟し切った柿を夜な夜な啜るシーンから、最後に土居さんが発した「熟柿」という言葉、ひたすら待つという意味へ繋がる流れが、とても綺麗にまとまっていた。
ストーリーは重く苦しい部分も多いが、長く辛く待ち続けた末に訪れるあたたかな救いの結末に、深い余韻が残る。
各章の終わり方と、月日が流れる行間の使い方も絶妙で、静かに没入させてくれる。
本当に素晴らしい一冊でした!

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2026年04月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

よかったとこ
・犯罪という判断は、ごく一般的な人間の意識の延長線上にあるものなんだろうなと思った。多くは決意する間もなく、気づいたら転落しているのだろうな
・今はネットの普及もあって、犯罪歴のある人が心を改めて社会復帰を目指しても、難しいだろうな
・そんな苦境の中で、生活を切り詰め、子に生命保険を遺すという目標に命を捧げる主人公を応援したくなった。がんばれー
いまいちだったとこ
・元夫や主人公の金を持ち逃げした女が報いを受けなかったことはもやもやした。現実的ではあるのだろうが…

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2026年04月21日

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ネタバレ

期待しすぎた。1回でも大きな間違いをするとその後の人生にずっとその間違いがついて回るのが怖い。刑務所に入って償ったとしても、後ろ指さされる人生になるのかと思った。お腹に子どもができてこれから幸せというところからの事故、子供と離され、会いたくても会えないのはしんどい。赤ちゃんに1度だけ抱いた子どものために欲を捨てて働き続ける姿に感動した。最後に救いがあってよかった。

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2026年04月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ストーリーは重くて陰鬱な気持ちになる内容であったが、読破後は自分なりの納得できる結論の様なものを模索させてくれる不思議な作品でした。
終盤、息子と実の母親との再会のシーン。
ハッピーエンドで終わるかと思いきやそうではなく登場人物それぞれの思惑、願望、欺瞞が一気に詰まった感じがして展開に頭が追いつかなかった。笑
ただ主人公の母親は、息子との再会が遅すぎたんじゃ無いかと思う。
スプーンですくえる様なドロドロでいちばん甘い時期、「熟柿」を逃してしまったんじゃないかな。

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2026年04月26日

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ネタバレ

ひき逃げ事件を起こし、夫に離婚を言い渡された女性が、自分が産んだ子供を育てることが出来ず、その息子を思い続けながら生きるお話。
文章が読みやすく読む手が止まらなかった。
事件を起こした事で身を引く立場だと認識し、家族から離れざるを得なくなっても、ずっと息子を大切に思い続けている姿が印象的だった。

ただ、事故当日、夫も同じ空間にいたはずなのに、当事者と同席者でこれほど立場や周囲からの目線が変わってしまうのかと、恐ろしくなったし、妻に罪を擦り付けようと(?)する夫の態度に終始イライラしてしまった。

人を轢いてしまったと知っていようが知っていなかろうが同じ空間にいたことは事実だし、妻のせいにばかりする夫はあまりにも自己中心的すぎる。
責任を逃れたのであれば、せめて刑期満了になった妻を迎え入れてあげるのが夫にできる償いなのではないのだろうか?
そんなことを考えさせられる一冊だった。

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2026年04月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

圧倒的リアリティで、とても切なかった。

本屋での評価が高かったので気まぐれに久々に小説を読んでみたが、読んで良かった。

昔の自分の感覚をまざまざと思い出した。
私は子どもを産んでないし、人を轢いたこともないし、刑に服したこともない。
かおりとの共通点といえば四十を過ぎるまで人生が安定せず職と土地を転々としていた点くらいだ。
でも、何故かものすごく共感し、かおりの感情や行動の描写がとても自然にイメージできた。

絶対的に後悔している過去。
絶対変わらない過去。
その絶望が淡々とした文章から滲む。
それでも生きていかねばならない人生。

かおりは人には恵まれていたと思う。
久住呂母娘はもとより、岐阜で一緒に暮らした中乃森さんも(一緒に暮らせるだけでもすごいことなのだ…)一時泊めてくれた中乃森さんのいとこだかはとこだかも、紹介してくれた腹違いの弟(パチンコ屋店長)も、その紹介の馬渡さんも、そして百崎さんと土居さん。
みないい人だった。
斉藤さんに大金を盗まれるという不幸はあったが、それ以外は概ねいい人と縁があったように思う。
そこまで深い仲ではない人も多いから、本当のところは分からないけれど、一人で生きているときに、せめて自分の知る部分、自分に見せる顔だけでもいい人だと感じられることは大事なことだ。
真実がどうであれ、もらった優しさが明日を生きる活力になることは少なくない。

最後の息子との初対面のシーン、お互い何から話していいか分からず沈黙が続き、時間が迫ってから色々なことが溢れる感じもリアルだった。

どういう風に終わるのか全く想像できなかったが、読後感の悪くないラストでありがたかった。
久住呂百合さんが拓に話したシーンを拓の言葉から想像して、なんだか救われた気持ちになった。

これは映像化してほしくない。映像になってしまえばきっと陳腐なドラマになってしまう。この淡々とした文章と時の流れでなければきっとこの感情は味わえない。

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2026年04月24日

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ネタバレ

人間の感情や言動がリアルに描写されていた。
本屋大賞ノミネートされて評価も高かった為かなりハードルは上がっていたが、序盤はどんな話なのかよく分からず胸糞悪くもなりながら読み続けていたが、中盤あたりから面白くなってきてすらすら読めた。

そもそも文章の作りが読みやすく内容がスッと頭に入ってきた。

去は塗り替えられない残酷さがなん度も辛いなと感じるところが多かった。でも本当にかおりは心が強い。強すぎる。そんな女性になりたい。

最終章では主人公に感情移入しすぎて泣けた。
同じことの繰り返しトライアンドエラーしながら過ごしていく日々がいつかの自分を救っていく可能性があるんだなと感じれた。

久住呂咲ちゃんいい子すぎる。軽率に好き。


⭐︎4.1

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2026年04月22日

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ネタバレ

幼稚園小学校までは息子のことで頭がいっぱいで過激な行動もしてしまう主人公が、だんだんと自分の生活を軸に自分を生きて、心の中の息子を大事にしている様子がよかった
感動の再会というより淡々と、でも最後には込み上げる気持ちがリアルでよかった
しあわせになってほしい

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2026年04月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ


一度の不注意や魔の差しでひき逃げの罪に問われ人生が狂い、自分の子に会えず偏見の目にもさらされる主人公。そんな中で子の生命保険金のために真面目に働き続け、子に語る日記を書き続ける姿が苦しくて切ない。子への思いを利用してお金を騙し取られる事件も、やるせない。
それでもところどころで寄り添ってくれる人がいて良かったし、最後に福岡を自分の場所と感じている描写は人の温かさと生き直せるという希望を感じられた。

運命を受け入れて懸命に生きていれば、柿のように、いつか機が熟す。だからそのときまで待つ。いい言葉である。

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2026年04月22日

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ネタバレ

世の中では、罪を償った人がその後幸せになることを肯定する声が多い。私も頭ではそう思うが、当事者にとっては簡単なことではなく、そう思えるまでには時間がかかるのだと感じた。

主人公と息子が再会する場面も、ドラマのように脚色されていないところが良かった。派手さはないが、これからも二人なりの関係を続けていくのだろうと想像できる、余韻の残る良いシーンだった。

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2026年04月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

晴子伯母さんは親戚から嫌われた人だった、という導入は面白く、この伯母さんについてじっくり紐解かれていく話なのかなと思っていたが、主人公・かおりが葬儀の帰りに轢き逃げしたことにより、生活が一変し、その主人公の話。

優しい人物も現れはするが、やたら前科持ちということに対してみんなが厳しく、離婚した元夫もその轢き逃げのせいで警察官という仕事を辞めざるおえなくなったにしても、もう少し主人公に何かあってもいいのではないかと思う。
対して、主人公の行動も思い切りがあるのかないのかどっちつかずで、知り合った人の伝で転職を繰り返したりと、基本的には流されるままの生活で、読んでいてスッキリしない。

自分のことを誰も知らないような遠方へ引越して暮らすくらいの行動力があるのなら、もうその子供のことは諦めるべきだし、ここまで子供のことを諦められないのなら、最初に知り合った弁護士らにとことん相談して、やる気のない父親に何回でも面会して話し合うべきだったと思う。

仲良しの鶴子が刃傷沙汰を起こしたという話を聞かされて、自分と比べたら大したこと無さ過ぎて話に飽きつつ、かおりちゃんは強いからあたしは心配してないよ、という台詞が出ると、「強い女?強い女じゃないよ、わたしは。今度それ言ったら絶交する」「怒らないでよ、親友のほめ言葉なんだから」「冗談よ。怒ってない」p256というやりとり。
半分は本当というか、私だったらもう私とは話の合わない人間だと思って距離を置くかもしれない。

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2026年04月21日

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