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「致死性脳劣化症候群」という、複雑な思考をすればするほど脳が劣化し、やがて死に至るという不治の病に冒された妻。小説家という職業は、この病気と最も相性の悪いものだった。妻は書かない人生を選べるのか、現実に追い立てられる夫婦の行く末とは……
本作は、不治の病にかかった妻の物語であるside:Aと、side:Aを受けて描かれたside:Bの2部構成となっています。Side:BはSide:Aを描いた小説家のストーリーになっているのですが、最後まで読み進めると、Side:Aをフィクションとは思わせないような構成と、綺麗ごとでは片付けられないような現実の描写の生々しさが読者を引き込んできます。「実は作者の実体験で、ノンフィクションなのではないか」と思わせるほどの構成は圧巻です。何度も読み直したくなります。
有川浩先生の入門編としては少し重めかもしれませんが、面白いので是非読んでいただきたい作品です。
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