小説・文芸の高評価レビュー
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ネタバレ「本というものが俺たちの人生の外側、一段高いところにあって、本が俺たちに意味を与えてくれるというパターンだよ。でもその場合、俺たちがその本が謎に見えるはずだ。だってもしその本が解釈できると思ったなら、その時点で俺たちの方がその本に対して意味を与えることになってしまう。」
「いろいろな本が含んでいる謎を解釈せず、謎のままに集めていけばどうなるだろうかということなのよ。謎を謎のままに語らしめる。そうすると、世界の中心にある謎のカタマリ、真っ黒な月みたいなものが浮かんでくる気がしない?」
沈黙読書会の店主が物語冒頭で語ったこの言葉。
まさに『熱帯』を表す言葉であった。
正直読んでいて謎が多いし、 -
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前作が番外編的だったのに対して、今作はバッチリ本格ミステリが楽しめる。
中でも表題作は抜群に面白かった。
『スイス時計の謎』
論理的に犯人を特定していく。
一つずつ可能性を消していく論理の組み立ては、ゴチャゴチャしていた頭の中が、火村の言葉によってどんどん軽く、きれいになっていくようでとても気持ちがいい。
火村が論理を積み上げ、NOとは言えない状況を作り出していく過程に痺れる。
このメンバーだったからこそ成立する設定も本当によく考えられている。
精密なスイス時計のようにすべてがカッチリとはまっていくような、完成度の高い大満足の作品。こういうのが読みたかった!
アリスの高校時代の切ない思い出も -
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いやぁ、怖かったぁ、後半ほぼホラー。推し活という“物語”の深海に潜行していく複数の人々の生き様が絡み合い、最後にごにょっともつれ合う。物語の提供者と、薄ら“そう”だと分かっていても自ら物語を拡大解釈して行動のタガを外していくファンダムたち。その絡み合いはあまりにも残酷で読んでらんない気分になるが、途中から怖さを好奇心が上回る瞬間が来て、そこから怒涛の一気読みとなる。ちょっと上手く構成されすぎているっていうのが冷静になると気になる点ではあるけど、それ前提で読めるのでワザとらしさはない(そう来るよね〜って、ほら来た感の盛り上がりがある)。いやぁ、残酷だなぁこの作家さん。霧島部活、読んでみようかな。
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ネタバレ主人公の拙い策略による父の婚約者の事故死。文字にしたらすごく衝撃的だけど、割と深刻に書かない風。
模範的で聡明な淑女で、孤独をはらう「結婚」に夢を見るアンナ。父を手に入れるために策略的にバカンスをする駆け引き上手だけど、やっぱり善良。刹那に生きるプレイボーイの父。その血を引いた遊び人の娘、セシル。まずこの三人の人物描写がすごく上手い。父の見栄や、セシルが父と二人の考えなしな生活を堅実に塗り替えようとするアンナを憎むところが、本当に人物が息づいている。セシルがただひたすらアンナを憎んでいるわけではなく、本文に書かれていたように、「相反する二つの気持ち」、アンナを尊敬する気持ちを持っているところも -
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2024年本屋大賞を受賞した『成瀬は天下を取りにいく』の3作目が刊行された。タイトルは『成瀬は都を駆け抜ける』。大学生になった成瀬あかりを描いている。今作で完結とのこと。
シリーズものになった作品は、1作目が一番良くて、その後の作品はだんだん尻すぼみになっていくことが多い。でも、この成瀬シリーズは違う。1作目が最高に面白くて、2作目はさらにパワーアップして、この3作目ではまたさらにパワーアップして、そして深みが増している。すごい作品だ!
6話からなる作品になっていて、一世一代の恋に破れた同級生、「達磨研究会」なる謎のサークル、簿記YouTuber、娘とともに地元テレビの取材を受ける母、憧れ -
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覚悟を持って読まなきゃいけない類いの作品。
正直、内容の面白さ云々ではない。自分にはキツすぎた。
田中幸乃、30歳。
元恋人の家に放火して妻と1歳になる双子を殺めた罪で彼女は死刑を宣告された。
凶行の背景に何があったのか。
産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら
彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄。
そしてあまりにも哀しい真実。
幼馴染みの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、彼女は……
とにかく読み進めるのが辛すぎる内容。
不特定多数に届く切り取られた情報は、真実とは程遠い。
だが、どうすることもできない無力感。
憤りを感じ振りかざすのは果たして正義なの -
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フォローされていただいる方の本棚でお見かけして…
(Sさん、ありがとうございます)
いゃ〜
作者さまに共感しかない!!
オシャレをすること、お洋服選びは大好き♡
なんだけれど…
年齢とともに似合うものって変わってくるし、やっぱり似合っているって思われたいワタシ♡
悩みは尽きない( ´Д`)=3
でも、こーいう話を女どうしでするの、むっちゃ楽しいですよねぇ~♡
大好き♡
自己肯定感を上げてくれる素晴らしい友だちたちのおかげで、ファッション・服選びを楽しめるようになっているから、良し!!がワタシのファッションとの向き合い方のコツかなぁ〜と思いつつ…
作者さまと背格好も似てるみたいで、悩みが -
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ついに終わってしまった。いつまでもこの吹奏楽部を追いかけていたかった。
アニメもとても良かったが、原作も素晴らしい。読んでいて何度か目元が熱くなった。
本作は全国大会に向けて進んでいくのだけど、真由と久美子のソリ争いがあったり、進路への悩み問題もあったりとハラハラさせられる展開だった。アニメとの違いは、そこかぁ!というところだったが、結末はやはり一緒だったので、違和感はない。私は原作もアニメもどちらも好きだ。
一番、好きなシーンは麗奈と久美子が大好きハグをするところだ。理由はなく、問答無用で好き。何ならこのシーンまで来るために、今までの辛い出来事があったような気さえした。
人によって大切