【感想・ネタバレ】罪と罰(下)のレビュー

あらすじ

不安と恐怖に駆られ、良心の呵責に耐えきれぬラスコーリニコフは、偶然知り合った娼婦ソーニャの自己犠牲に徹した生き方に打たれ、ついに自らを法の手にゆだねる。――ロシア思想史にインテリゲンチャの出現が特筆された1860年代、急激な価値転換が行われる中での青年層の思想の昏迷を予言し、強烈な人間回復への願望を訴えたヒューマニズムの書として不滅の価値に輝く作品である。

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Posted by ブクログ

まず読み切った自分を褒めたい!相変わらず文字はびっしりですけども、下巻は上巻に比べると文字が大きくなっていて、物語の展開も読み応え抜群すぎてさくさく進みました。面白かったです!

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2025年08月16日

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金貸しの老女を殺害した主人公(ラスコーリニコフ)がどんどん追い詰められていく描き方は、真に迫るものがありました。登場人物の人格が彷彿とするセリフの数々。どきっとさせられるものが多かったです。主人公以外の人物の描き方も抜群でした。

「罪を犯す権利」があると信じ続けるラスコーリニコフ。しかし、自分のことはさておき、他の人を思う気持ちも合わせ持っている。そんな複雑な精神のせめぎ合いから、永久に解放されないのではないか。ラスコーリニコフのことを思いやる周囲の人物の動揺も感じ取れるので、いたたまれない気持ちになりました。第1部から第6部まで、暗いトンネルの中にいるようでした。

第6部までとは真逆な雰囲気で、たんたんと静かに記されているエピローグ。ラスコーリニコフと娼婦ソーニャの姿に救われました。

推理の部分はテンポよく、場面によってはクレッシェンドがかかっているように進み、エピローグは、デクレッシェンドで静かに余韻を残して終わる。大交響曲のような本作品は、小説という名の芸術でした。

人間の心のうちにある善と悪を描き、読者に真の生き方とは何かを問う内容は、読後も心に深く残っています。

ドストエフスキーは、偉大なる作家だとあらためて思いました。翻訳者の方のおかげで読むことができ、感動です。(★印5つでは足りず、流星群のよう!)他の作品も読んでみようと思います。

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2025年07月29日

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ネタバレ

ドストエフスキーの起点となる小説の下巻。物語のリアリズムに引き込まれる。老婆と女殺しをした主人公ラスコーリニコフの心境の変転が感動を与える。愛は善悪を超えることがラストの場面で暗示される。

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2025年07月28日

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5/6再読✅

めっちゃ面白かったー!!!キャラクターたちの会話のテンポやロシア文学ならではの表現、熱量がとても話を読みやすくさせてくれており、長いですがグイグイーっと読んでしまいます。

再読を経て、あそこで話を区切り、ラストとした点に感嘆しました。すごくいいです。ラストまで読むとそこまで暗くなく、個人的には人生において希望を持たせてくれる話だったなと感じました。ぜひ若い世代に読んで欲しい本です。

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2025年05月07日

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ネタバレ

白状したら罪が軽くなったってラスト
結果だけを見て、一律に罰の重さは計れない。
どんな境遇、状況で実行するに至ったか、精査するために警察・検察・裁判官がいる。罪に対して、然るべき罰を与えることが重要だと言われているようだった。
検察官をやっている親戚がこの本を大事に持っていた理由が少しわかった気がした。

みんな悪いことをして生きている。
罪の意識に苛まれながら、忘れた頃にまた思い出しながら。
私も今までたくさん無邪気に悪いことをしてきた。

主人公のラスコーリニコフは、ある学生のそそのかすような意見に乗っかって、貧困の元・学生を苦しめるクズみたいな人間なんだから殺していいじゃんって、ハエを殺すかのように高利貸しの女を殺した。
悪いことをしないと生きていけないくらい困窮はしていた。
私たちだって、世界中の全員にとって良い行動なんてできない。誰かにとって善良な行動は、他の誰かにとって悪い行動になる。仕事をしていると、そんなことばかり。
ラスコーリニコフみたいに、わたしもとっくに頭がおかしくなってる。自分って悪い人間だ〜って、寝込んだり、人殺してなくてもいくらでもある。
悪いことをしなくて済む世の中だったらいいのに。でもそんなことは無理だから、悪いことと同じかそれ以上いいこともたくさんするように心がけるしかない。それ以上気にしていたら、自分のことを殺してしまう。みんなおあいこ。

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2025年04月28日

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ふぅー(読み切った達成感と感動のため息)

罪の意識に苛まれたラスコーリニコフは、偶然出会ったソーニャという女性の生き方に触れ、罪を告白する。妹ドゥーニャと母とのやり取り。ドゥーニャに思いを寄せるスヴィドリガイロフとの修羅場。まあ皆さん饒舌だこと!笑
数ページにわたる台詞があるから途中で本を閉じられない。

1番のパワーワードは、ソーニャの『十字路へ行って、みんなにお辞儀をして、大地に接吻しなさい。だってあなたは大地に対しても罪を犯したんですもの、それから世間の人々に向かって大声で、〈わたしは人殺しです!〉と言いなさい』だったな。

ただ、結末にたどり着くまでに、ラスコーリニコフは改心したのかしてないのか、なかなか分かりづらかった。

話はそれるけど、キリスト教・改心で思い出すのは『ブライヅヘッドふたたび』。これは主人公と恋仲になったジュリアが割とすんなりカトリックに引き戻されていた。

一方で『罪と罰』のラスコーリニコフは、特に終盤、罪を犯したことではなく、自分の一歩に耐えられずに自首したという一点に、自分の罪を認めていた、ということが書かれている部分を読んだ時は、おいおい、君はまだ改心してなかったのか…!と思った。
二転三転あり、ラスコーリニコフの心が揺れ動きまくっているのがよくわかる。
結果、ソーニャの祈り勝ちで(ソーニャもラスコーリニコフの言動に何回も心揺れ動いただろうけど)、希望の光が差し込む終わり方で良かったな。

解説には同時代に生きた、トルストイとドストエフスキーの作風の比較もされていた。トルストイは現実の客観的描写を重視したのに対し、ドストエフスキーは主観的色彩の濃い、心理的リアリズムを創造したとのこと。
トルストイはまだ『人生論』しか読んでないし、ドストエフスキーも『地下室の手記』と本作しか読んでないから、今後読んでいきたいものがたくさんある。

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2025年04月13日

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ラスコーリニコフは殺人に完璧な理屈を持たせることで、道徳的責任を克服しようとした。しかし、他者を数に還元し、神に成り代わろうとする自分自身の傲慢さには、どれだけ理屈を重ねても倫理的正当性は宿らなかった。その倫理的断絶こそが彼を苦しめ、読者は理屈の中では倫理は完結しないことに気付かされる。

それにしてもラスコーリニコフは頭の良い人物だな。どこまでも理屈の人。理屈っぽいからこそ、直感的な信念だけに完結しない。理性的に自分自身に疑念を持ち問いただせる人格だからこそ、内省が捗って病んでしまう訳で…

自分はラスコーリニコフと同じ行動をしても病まない気がするが、それら自分が決して理屈一辺倒では無く、いつも直感的に都合よく自分を肯定してしまうからと思った笑
自分は罪と罰の主人公にはなり得ない。

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2025年04月06日

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結果、とても良かった。読めるのかな?と不安だったけど、(下)に入ったら俄然読み進めるのが早くなった。
(上)では登場人物の名前が覚えられなくて大変!苦笑

全く内容は知らなくて読み始めた。題名は勿論知ってたけど、ドストエフスキーは何を罪と言い、何を罰と言ってるのか?と気になって読み始めた。

本全体で主人公だけじゃなく、人間の罪深さをあらわされてたと思うし、罰と思われる苦悩が描かれていたと思う。
人殺しの犯罪の前とその時、直後、その後の心理をこんなに鮮明というか寄り添うように描かれている作品があるんだと感じた。
最後は予想外と感じた。

解説で作家の事が書かれていて、この本を書いた時そんな苦境な状況だったのかぁー思った。自業自得みたいな話だったけど、本人も自らの罪と罰をいつも問いてたのか。

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2025年03月25日

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ネタバレ

印象に残った本ベスト5に入る。

特にスヴィドリガイロフがドゥーニャから拒絶されたシーンが印象に残った。スヴィドリガイロフはどんな人物だったんだろうか最後にわからなくなった。
愛を得ることができずに亡くなったスヴィドリガイロフとソーニャの愛によって救われたラスコリニコフを対比させて考えてしまった。

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2025年02月24日

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ネタバレ

監獄に入っても変わらなかったラスコーリニコフの思想が、ソーニャとの愛の力によって遂に崩れるという結末が好きだった。「どう終わるんだろう?」という興味で読み進めていたけど、個人的に刺さる終わり方だった。また、1860年代ペテルブルグの社会風刺や、ポルフィーリーとの対決といった、色んなおかずがある小説だと思う。ドストエフスキー自身の「暴力をも辞さない」思想がラスコーリニコフに投影されていることを知ってより好きになった。

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2025年02月19日

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展開がドラマチックでハラハラ。
昔なぜ挫折したのかと思うくらい読みやすかった。

前半のマルメラードフ一家の悲惨なほどの貧しさと出口のない不幸さ。死を持ってしてやっと解放される苦しみが延々と続き、本当に哀れで哀れで…。
同じ貧しさでもラスコーリニコフの貧しさとはまたレベルが違うのだが、ラスコーリニコフは一線を超えてしまう。その描写が凄まじくリアリティがあり、何でこんなに殺人者の解像度高いわけ?と本当にしんどくなってしまう。
ラスコーリニコフの魂の救済はいつ訪れるのか、と思う一方で、彼の異様なまでの潔癖さ、信念の強さ、頑固さを見るにつけ、簡単に自白したり心を入れ替えるような奴ならこんな事件起こすわけないもんな、ポルフィーリィとの対決も負けんなよ、みたいな謎な気分になってくる。
なのでラストの場面は涙なくしては読めなかった。

罪と罰は登場人物のキャラ立ちが素晴らしく、全員語りたいのだが、その中でお気に入りだったのはラズミーヒン。
彼が出てくるとほっとする。登場人物で唯一と言っていいほど闇がなく、バカがつくほどまっすぐで心が美しい。女性陣も心は美しいのだが、それぞれに哀しみや苦しみがある中で、ラズミーヒンは何というか妙に明るいんだよね…。

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2025年01月25日

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ネタバレ

貧しい学生ラスコーリニコフが、金銭目的で高利貸しを殺害する。彼は罪悪感に苛まれ、精神的に苦悩する。
道徳、自由、救い、愛と友情の描写や、ポリフィーリーとの緊張感のある対峙は、読み応えがある。

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2024年09月08日

Posted by ブクログ

ドストエフスキー著「罪と罰」
ロシア文学だけでなく世界的にも5指に入るだろうという有名な作品。
一番最初に読んだ時はまだ中学生の時で担任であり部活動の顧問でもある先生に読まされた。自分の人生で一番最初に読んだ外国人作家さんであり、思い出の詰まっている作品でもある。

今にして思えば何故あの先生が自分にこの作品を薦めてきたかが理解できる。多分自分の言動行動への意識付けをさせる為、植え付けさせる為だったのではないだろうか?
当時の自分は学校という集団の中で協調性が著しく乏しく、何事にも反発していた。簡単にいえば荒れていた。度がすぎる事も多々あり、その都度反省と後悔をしていたが繰り返す事によりその行為にも慣れが生じどんどん加速していった。他人や大人から見れば幼い利己的価値観全開の子供でしかなかっただろうと思うし、実際にそれだけだった。

その当時この「罪と罰」を読んだというか読まされた時は何も感じなく、長い作品でダラダラと上下巻合わせて900頁を読むのが苦痛でしかなかった。「なんて罰だ」と冗談交じりに周りにもらし、ただ眺める様に読み飛ばした記憶しかない。

それから数十年経ち30歳位でこの作品をしっかりと読んだ時には当然違う見え方がしていた。
己の過信から招く罪の罪深さとみっともなさ。その罪自身をはぐらかしてみたり、言い訳の様に回りに言いふらしたり、自身の正当性というマウントを取ったり、そのものから逃げたり。そのくだらない自己防衛のような行動の裏で罪の意識は常に残り罪を犯したという意識からは逃げられやしない。
流石に殺人やら窃盗やらの大それた犯罪を犯すことはなかったが、嘘や偽りといったくだらない幾つもがいくらでも罪として犯している様に思えた。その犯した罪に対して罪の意識がついてきてるのか?といえばそもそもそこに罪の意識が無かったといえる。
この作品を読み人間は簡単に罪を犯すという教訓を学ぶと同時にそこに意識を結び付けないといけないと意識する様になった。
そしてもし罪を犯したならば真正面から向き合いある意味で堂々としっかりと自分の非を受け入れないといけない。自分に正直になることで自分の心が閉じて蝕まれる前に認める事で解放せねばならない。タイミングを失って深みにはまる前に、自意識がしっかりとしているうちにしっかりと対処すべき事なのだと思う。
また罪を覆い隠す様に更にまた罪を重ねる罪のループほど非人道的に思えるし格好悪い人間の立ち振舞いにも思える。しっかりと非を認め反省する事こそが人としての道義であるだろうし、自分自身をしっかりと保つ為にも気付いた時には真っ先に非を認めるべきだ。

きっとあの先生はこの事を自分に教えたかったのだろうと、振り返るとそうとしか思えない。
そしてこの奥深く難しい「罪と罰」という作品を先生が中学生の自分に読ませる事で、その時は分からなくてもいずれ大人になった時に気付きを与える為に長い年月をかけた課題としてくれた、今後の人生と時間をかけた宿題を課せたのかな?と今では感じられる。年を重ねてやっと入り口が見えてきたという感覚だが。

この「罪と罰」という作品に関しては一般的には大衆古典文学なのだろうが、自分にとってはある意味で自分の成長の証がつまっている作品でもあり、自己啓発的な哲学書に近い感覚をも持っている。
いつの日か自分も「この本を読んでみろよ」と、あの日の先生みたいにかつての自分のような誰かにこの作品を薦める日が来るかもしれない。
その時がもしきたら自分もまた新たな成長の証をこの作品に新たに重ねる事がきっとできると思う。
もしかしたらあの先生も若い頃誰かにそう薦められた経験があり、巡り巡って自分に巡ってきたのかもしれない。そうであればこの作品は時代も国も超えて、遠く離れた日本で密かに脈々と受け継がれている作品なのかもしれないと思っている。

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2024年08月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

圧巻だった。そこらの本とは一線を画してる。

読んでからいろいろ考えたけど、解説にほぼ書いてあったのであれ読めばここに書かなくていい。自然に考えさせられるってこと自体まで書いてあった。

翻訳は少し古い感じがするけど、そもそも作品自体も古いのであんまり気にならない。今だったら尼さんとは言わない気がする。

エピローグに入る前、本編の最後が本当に凄かった。あのあたりのどこか半ページだけでも星5は決まる。

スヴィドリガイロフが本当に良いキャラクター。あまりに下卑てるけど人間らしい。

覚えておきたいのはラスコーリニコフが後悔していないということで、罪の意識に苛まれて自殺するんだろうなという当初の予想とは全然違ってた。100人殺せば英雄、といった軽い言葉で片付けられるような思想じゃない。

ずっと内容が濃い。日本中の文系の卒論これだけで補えそう。

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2024年06月09日

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聖なる娼婦ソーニャの存在。ラスコーリニコフが導き手として求めていたものは、英雄ナポレオンではなく彼女であったにちがいありません。娼婦と殺人者、神を愛する者と無神論者。一見対照的な2人の間に、言葉では語りつくせない魂の結びつきがありました。

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2025年08月11日

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 自分勝手な考え方により、自分の行いを正当化して犯罪に走ってしまう。これは犯罪を犯す人全般に共通して言える心理だが、その犯罪後の公開により、自分という人間を貶めたり、自分の罪を人に告白することで、罪悪感を軽くしようとする考えや、他人への善行により、人間としての自分の価値を高め様と考え、行動することに非常に共感した。特に、自分の罪に対して自分自身で自らを罰する行動を行うことで、より精神的にも肉体的にも辛い状況に追い込まれること。そこから、自分自身で這い上がる力がない場合には、只、無償なる愛と呼ばれる人との繋がりのみがその人を救う力を授けるだけだと考える。

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2025年10月10日

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最後の盛り上がり。後半一気読み。

主人公の危うい考えは、差別、貧困、不条理、暴力、病の溢れた社会に放り出されれば、誰しも近しい思いは持つのではないだろうか。たとえ殺人は犯さなくても。
いじめや、差別、宗教二世で起こった、ここ最近の日本の若者が起こした事件。隠れラスコーリニコフは、世間に沢山いるのかもしれない。
でも忘れてはいけないのは、再起できるということ。愛があれば。きっと。

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2025年06月29日

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ネタバレ

本書のタイトルは罪と罰だが、テーマとして「愛と許し」があげられる。
殺人を犯した主人公は、ソーニャの愛に触れることで自首へと至り、互いに愛し合っているこを自覚することで希望を見出す。愛されていると感じたからこそ、川へ身を投げることをやめることができた。
一方、スヴィドリガイロフについてだが、解説の中で、ニヒリズムの行き着く先の暗示として彼の自死が述べられている。彼もソーニャと心を通わす前の主人公と同じく、世の中を悲観的な目で見ているが、彼は主人公とは対照的な最期を迎える。彼はドゥーニャを愛していたが思い届かず、拳銃自殺を選ぶ。ニヒリズムが法的な罪ではないにせよ、悲惨な答えに行き着いてしまうことの表れなのだ。放心と疲れ、虚無が私を定めないように、祈る気持ちを忘れずにいたい。

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2025年05月01日

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長年読もう読もう思っていて、なかなか手が出せずにいた「罪と罰」を、ようやく読むことができて、まずは良かったと思います。固く重苦しい話かと思っていましたが、コメディ的な要素も多くあって、それなりに楽しく読めました。

マルメラードフが死にかけているところに、派手派手な格好でやってくるソーニャなんか、哀しいけれど、笑ってしまいます。ラスコーリニコフの母親のおろおろしたところもとてもコミカルで、これを楽しいと言ってしまっていいのかどうかとも思いますが、楽しいです。

文庫本の裏表紙にあるあらすじですが、全然本質をついていないように思いました。罪の意識とか良心の呵責とか、そういうことかなぁ。まぁ、広く言えばそうかもしれませんが、ラスコーリニコフのあれば、過剰な自意識とかプライドとかそういうところなのではないかと思いました。

登場人物の中では、やはりスヴィドリガイロフがいいですね。相当ちゃらんぽらんなことをしてきたのは間違いないでしょう。ですが、噂になっていること全てが本当とも思えません。ドーニャにそこまで嫌われるほどではなかったと思いたい。幼い婚約者(?)にお金をどっさりやって、去っていくところなんか、気持ち悪くも格好いいではありませんか。

スヴィドリガイロフにしても、ラスコーリニコフにしても、やっていることの振れ幅が大きすぎて、どういう目で見たらいいのかよくわからなくなります。人間の本性が合理的ではないってことなんでしょうかね。

なんやかんやで、結末はとても爽やか。めでたしめでたし、と言いたいところですが、本当にそれでいいのか? とも言いたい。夏目漱石の「行人」を読んだ時も感じたことですが、自身は勝手に救われたようになっていますが、周りの人たちは知ったこっちゃないんですよね。特に「罪と罰」では老婆とリザヴェータが亡くなっていますから。

そうはいっても、少なくとも一人の心が救われたわけで、それを喜ばしいと思うべきなのか、そして周りもそれを祝福すべきなのかとも思いました。まぁ、文字がみっちり詰まった上下巻の本をよんで、お腹いっぱいの大満足という感じです。

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2025年02月17日

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登場人物の精神状況があまりにおおげさじゃないかなんて感じたりもしたんです。一つ一つの行動に根ざす感情が誇張されているような気がする。それは、冷静な日本人だからそう思うのかもしれません。この時代、決闘なんかもあったロシア人にとっては、そういう心の揺れとか激情というものはありきたりのものだからこそ、こういう小説が生まれたんだともとれます。

ロシア文学初挑戦。
ドストエフスキーなんて名前とイメージから、
けっこう堅めの文学なのかなぁと予想して読んでみたのですが、
これがそんなこともなく、読ませられる小説で、面白く一気に読んでしまいました。
名作なんていわれると、真面目くさっていて、倫理観とかをおしつけられるような
内容なんじゃないかと邪推してしまってましたね。
登場人物のロシア人の名前が、似通っているのが多かったり、会話などで変化したり
(ソーネチカをソーニャと呼んだり)するのに慣れるのには最初ちょっとだけ
苦労しましたが、なんのことはない、夢中になって読ませられました。
そのうち、『白痴』や『カラマーゾフの兄弟』も読むかもしれません。
19世紀の文豪、あなどれず、ですわ。

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2025年06月06日

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ネタバレ

読み終わったあとの解放感が凄かったです。
当時のロシアの情勢を知っていたらもっと楽しめたかも?
私の学がなさすぎて…!

ラスコーリニコフ自身、一応罪を認めたということですかね?
本作は「罪と罰」の罪の部分が強いイメージです。
物語が終わった旨で括られていますが、続きがあるとしたら、罰の部分はもっとしんどい気がします。

ラスコーリニコフ程ではなくとも、彼との共通点を見つけては1人焦ってました(笑)
光属性のソーニャといることで、その罰に苦しむか、きちんと更生されるか…。
後者であってほしいですね。

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2025年10月26日

Posted by ブクログ

ついに、罪と罰を読んだことがある人になったぞ!
思っていたより読みやすくて、後半にいくにしたがってどんどん面白くなっていった。
ただ、心情の変化とか、よくわからない部分もあるから「誰か解説してー」と思いながら読み終えた。

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2025年09月30日

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世界的にも名作とされる19世紀の連載小説後編

名前の呼び掛け方が頻繁に変わるので、人物相関図を手元に必要。おそらくロシア語では呼び掛け方で感情等のニュアンスの違いを表現するのだろう

途中ページをめくるのが作業になりつつも、スヴィドリガイロフのキャラやエピローグ辺りは、のめり込んだ

ロシア文学を過度に高尚なものと期待していたが、当時は娯楽としても凄いものだったように思う

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2025年08月24日

Posted by ブクログ

一度は読まなきゃ!と思っていた本を読み切った\(^o^)/でも私好みではないな(-_-;)殺害から自白までの何日間かと、私が読んだ何日間かが同じくらいだからか、常に「でも人、殺したんだよね( ・`д・´)金品盗んでるし」「御託はいいんだよヽ(`Д´#)ノ」という思いが頭をグルグル回る(・_・;)時間をかけて、考えながら読めば違うのかも?(-.-;)

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2025年08月17日

Posted by ブクログ

一生のうちに読むべき本とよく聞くので約一年かけ、少しずつ読み進めた。少しずつでもストーリー展開を追うことができ、想像したよりも重苦しくなかった。何が難しかったかというと、名前。名前の呼び方がいろいろある文化とは知らずに読んだので、登場人物の関係がしっかりわかるようになったのは下巻に入ってからだった。
ラスコーリニコフの心の動きは読み進めていくうちに、「平凡」そのものだと思うようになった。自分の罪に向き合ったり、逃げたり、考えがコロコロ変わる。ドストエフスキーが何をラスコーリニコフに託したのかはよく分からなかったが、社会的に厳しい時代にあったロシアの生活と、今でも変わらない普遍的な人間の模様が読み取れた。

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2025年08月02日

Posted by ブクログ

困窮は選択肢を減らし狂わせるに充分で
理論は狂った思想に正当さを与えるのに充分で
愛は生きる理由に充分なんだ

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2025年03月15日

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ネタバレ

青空文庫で読んだので下のみ登録。
元々海外文学はカタカナの名前が覚えられず苦手だったんだけど、ロシア文学は輪をかけて覚えられない!あだ名もあるので呼称がコロコロ変わるし。長いけど、結構駆け足で読んでしまったので何度か読み直すべきだなあと思った。話の流れをさらったから次はもう少しかみ砕いて読めそう。まあ長いからなかなか手が出しづらいけど……。以下、感想。
・皆貧しく悲惨な暮らしだけど、みんな発狂していくので、貧しさに伴う不安っていうのは人間を狂わせるものなのかなと思った。自分に置き換えて考えても、お金がない時の焦燥感といったら尋常じゃない。官吏の奥さんとか気の毒過ぎた。
・罪を犯した後のラスコーリニコフの描写がリアルでよかった。罪の意識に耐えられないものなんだな、人間は。逃げ続けて時効に至った人とかすごすぎると思う。何かが麻痺しているのか。
・スヴィドリガイロフといいルージンといい、ドゥーニャはカス男に好かれすぎではないか。スヴィドリガイロフの「15歳くらいの嫁を貰おうとしてんだぜ~(ニヤニヤ)」トークは本当にきつかった。ドゥーニャも何もされなくてよかったけど、スヴィドリガイロフの自殺はどれだけショッキングだったろうと思う。
・最終的にはラスコーニコフもきちんと裁かれ、良い兆しを抱いて終わったことはよかった。お母さんには幸せに死んでほしかったけど。ソーニャの兄弟たちも幸せに暮らしているといいね。

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2024年10月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 貧しいエリート学生ラスコーリニコフが、殺人を犯した罪と如何に向き合うかを描いた作品。
 彼は、大いなる善行のためには、その過程において一つの悪行も厭わないことが必要であると考える。また、真の英雄であれば、悪行に対して、罪の意識を負わないはずであるとの思想を持つ。
 水面下で激動する帝政ロシア末期において、社会主義的思想ばかりが先行し、人間として大切なものが見失われていることを指摘した作品と理解した。

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2024年11月23日

Posted by ブクログ

急激な価値転換の時代に強烈な人間回復への願望を訴えた小説。
解説を読んでも、主人公が最後に改心した理由が理解しにくい。

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2024年06月29日

Posted by ブクログ

恐怖で終えた上巻に続き、一体どんな不幸がやってくるのだと恐れていたが、ラズミーヒンの人柄とレベジャートニコフに救われた。レベジャートニコフって誰だっけ、、、?だったけども。
マルメラードフみたいな人はよくいるものなんだろうか?「カラマーゾフ」のドミートリィとか、「白痴」にもこんな自己破壊的人物がいた気がするのだが。なんでやねん、と言いたくなる。程度ってものがあるでしょう!と。

ドストエフスキーは、イワンやラスコールニコフのような思想を支持していたのだろうか。考えてはいたと思うけども(でなきゃ書けない)、それを是非どちらに捉えていたのだろう。

読み終えた後にWikiで時代背景やら名前のロシア語意味とか読んで、少し、何が書きたかったか分かったような気はするものの、本人の考えはどうだろうか。

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2024年07月20日

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