小説・文芸の高評価レビュー
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ネタバレ吐く毒が小さくていい。大きな社会問題に切り込むわけでもなく、心のそこからの罵倒でもなく、相手の言葉の隙を突き、日常に旨く潜んでいるハラスメントに対しての肘で小突くような皮肉によって、テンポよく面白く読むことができる。
一篇目の「フットブレイク」では、語り手がとにかく人間味にあふれていてよい。普通の平社員であり、一般的な上司を持つ語り手は、その状況に合わせて自らの行動や感情を揺れ動かしている。注意されたらちょっと腹立っているし、心の中で毒を吐く。本当は気づいていたけど、指摘されたときに初めて気づきましたみたいなリアクションをとる。そして、否定もむなしく水虫であると断定されてしまい、そのときに限り -
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ネタバレ自分は露悪的なところがあるので、千紘とカインという記者と編集者の関係はすごく羨ましく感じた。でも、もちろん、カイン>千紘、のところがほとんど、千紘はカインの権威を利用する節があったと思う。自分はカインに認められた編集者、これはまったくもって、自分の能力ではないし、カインに頼り切ったもの、長くは続かない。
最後には自分を過信してしまって、親密になりすぎて、視野狭窄に陥って、編集者としての一線を超えてしまったんだと思う。カインは本当に信じられないことになって、良く言うと吹っ切れて、視野が広くなって、小説家として報われてくれたのは嬉しかった。あなたを許さない。許したわけではないとは違う。こんなに裏切 -
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鳴海はバイト仲間のエミリに子守りバイトを紹介された。なぐも製菓の社長夫妻の息子さんだ。栄輝は幼稚園児だったがほとんど登園していない。
南雲家ではお手伝いの三枝さんなど、楽しい時間を過ごした。特に奥さんの彌栄子さんとは気が合った。夫の忠雄さんとはうまくいかない。
恋人の暖とはうまくやっている。弟の宏海は問題児だ。トラブルを起こして警察に逮捕された。弟を落ち着かせて南雲家にいってみると、解雇された。忠雄さんが倒れた。
20年経った。母がそちらに行っていないか?と栄輝から電話がある。翌日電話してみると、すぐに帰ってきたらしい。
彌栄子さんを訪ねてみた。お墓に忠雄のお骨を収めたらしいが… -
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ラノベっぽいタイトルに若干引いたけど、新しく入った本なので手に取ってみた。
読み始めたらすごく面白くてびっくりした。
膨大なデータを地道に集める丁寧さ、そこから読み解く意外な世界、
そこを踏まえてさらにフィクションへと昇華する。
思いつきだけでは到達できない、データを集めるだけではどうにもならない、
文体が馴染めなかったらそもそも読めない。
静かなテンションで追いかけていく、日常の中に隠された深い味わい。
ひとつの章を完結させるまでに、近道のない時間の積み重ねがある。
この圧倒的な作業量が説得力を支えてる。
午後の紅茶との関係、トリセツ内のドコモ太郎の日々、
花言葉でたどる愛の軌跡、入浴剤バブ -
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前から気になっていたけれど、この方の本を読むのは初めてだ。
これはすごく読みやすく、面白く、気持ちが楽になる本だった。
自身が躁鬱病と診断されていて、
活動として他の方の悩みを聞く「いのっちの電話」というのを通じて、
2万人近い人と話してきた。
それを初めて、公開のワークショップという形でやってみたのがこの本の内容。
ホワイトボードひとつで仕切った架空の診察室の態で、
1対1で悩みを聞きながらも、その話していることはその場にいるみんなが聞いている。
人の悩みを聞くことで、自分と同じであることに気付いたり、
そもそもそれは悩みなのかということに気付いたりする。
悩んでいる当人は、自分の中でぐる -
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ラストの方泣いてしまったᵕ ̫ ᵕ̩̩
私がいかにも好きそうな本って思って手に取った本。
本当に大好きな本になりました!
ミチルと真由《だけ》の成長物語でもなく、キリエさん《だけ》の成長物語でもなくて、それぞれ登場人物のスピンオフ書いてほしい!!って思うぐらい、それぞれのキャラが濃く描かれている本だなって感じました。
特にキリエさんの決意に胸打たれて、
真由は実際にいたら嫌いになるかもって思ったけど
嫌いにはなりきれないキャラの魅力がありました。
最終的には、真由の心情が分かるし好きなキャラになりました。
緊迫感が強い青春ストーリーって感じで、
分厚い本なのに、
《今日はここまで》ができ -
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ネタバレ映画化すると聞いて原作から読んでみました。表題作は独特の文章と主人公のあまりに繊細な思考がしんどくてしんどくて。でもそこがとても良い。私もたぶん学生の頃に漠然と考えていたはずのことが丁寧に丁寧に言語化されていて、痛々しいったらなかったです。(いやでも私はこんなに優しくなかったしもっとアホでした)
とはいえ、インターネット黎明期だった私の学生時代とは他者や社会との関わり方も全然違っていて、今の時代だからこその生きづらさもヒシヒシと伝わってきて。「あーこんなに先回りしちゃえるんだ」とか「あんなに繊細なのにここはスルーできちゃうんだ」とか。今っぽい感覚が新鮮でもありました。
映画祭ではよりによっ -
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「50歳になりまして」読後に、続けてこちらを読みました。表紙の光浦さんとてもいいお顔!
光浦さんがんばったんだなー。カナダに入国するところから試練がはじまっていました。
最近テレビで拝見する光浦さんは、カナダに留学して、ゆるーくカナダ暮らしを楽しんでいらっしゃるイメージで、憧れていました。やっぱり芸能人だし、タレントパワーで留学なんて簡単にエンジョイできちゃうんだろうななんて。
いやいやいやいや光浦さんがんばってたんだよー。すごいなー。ことばが完璧に理解できない状態でPCが苦手で、よく乗り越えたなー。この本は光浦さんの奮戦記であります。
内向的で人を観察してばかりでお友達を作るのが下手な -
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文哉が寺島からビジネスの知恵を教えて貰ったり、懇親会で島に暮らす人、別荘に暮らす人達との交流で新たなな人との繋がりが増えていく様子が描かれており、読んでいて凄く面白かったです。
姉の予想外過ぎる行動に振り回される文哉ですが、芯を貫き通す様子が勇ましいと思いました。
下記は個人的に一番考えさせられる一文です。
引用 284P
物事は、見る立場が変われば、見え方はまったくちがってくる。そのことをシンプルに表現している。おそらく芳雄にとってこの景色は、額縁に飾りたくなるほど美したのだ。芳雄だから見いだせた、最も思い出深い瞬間だったのだ。
美しいとされる場所を検索して訪れるのではなく、自分自身 -
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ネタバレはあー!嬉しい!
暗夜鬼譚の十年後。
清明と弟子の、妖し退治奮闘記。
ズボラで怠惰だけど優秀な師匠と、思春期反抗期まっさかりの弟子。そして、地獄から追放された馬頭鬼の三人同居は、歪ではあるけれど、平穏で楽しそう。
そして!
相馬五郎が来たー!
嬉しい!
前シリーズの主役コンビが大好きで、二人が離れ離れになってしまった事に、納得しつつも寂しかった私には、めちゃご褒美展開だった。
瀬川貴次さんの作品の平安時代は、ちゃんと平安時代なのだけれど、現代と地続きに感じられて、小難しくもなく、ストンと登場人物に寄り添える。
今回も、幽霊だったり鬼だったり人外が登場しつつも、基本的には怪異は人の心が起 -
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阪神タイガースのリードオフマン、近本選手の書籍を久しぶりに予約して読んだ。贔屓球団の欠かせない選手である一方、私自身は一つ上の先輩のような目で近本選手の発言や発信を追いかけているので、楽しみにしていた。結果は期待以上だった。
近本選手は、数字で評価される野球の世界にいながら、自身のアプローチや思考にこだわり、試行錯誤を楽しむ。言語化を重ねながら新しい発見をする姿は、正解がわかりやすい世界にあっても白黒をつけない生き方を体現している。非常に尊敬する。
特に心に残ったのは、第8章「決断」の一節。「先が見えるより先が見えない人生の方が面白い」という言葉だ。まさに私が最近考えていたことを、近本選手
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