あらすじ
江の島に「ねこもりさん」と呼ばれる女たちがいた。それは島の猫の世話をするという、とある食堂の隠れた仕事。 1912年のすみゑ、1967年の筆、1988年の溶子、そして2017年の麻布。一家の女たちが、ねこもりとして生きたそれぞれの人生は、新しい命を結び、未来を繋いでいく。あなたの血にもきっと流れている、百年の物語。
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現在の麻布のねこもりとしての急展開から始まり
過去に場面展開して、
すみゑさんと鶴さんとのねこもりと遊女との約束。
時が進んで筆の話になると
春吉さんや松前さん庄二郎さんも登場してきます。
2人の馴れ初めもすみゑさんの時のように素敵です
最後まで感動的で一気読みしました
どの時代の章にも〖トラちゃん〗が出てきてくれて
まさにねこもりさまのお話です
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江ノ島にある、100年続く食堂の過去と未来が描かれる。
それぞれの時代を生きた、すみゑ、筆、容子、現代の麻布まで。
ねこもりという、江ノ島に暮らす猫の世話をすることが、食堂の女性に課せられた役割だった。「半分亭」という店は、最初茶店だったのが、名物ツブ貝を使った丼「江ノ島丼」を生み出し、宿泊もできるように発展してゆく。
そこへ夜逃げしなければならない事情が生まれるのだが、それも理由があった。
「半分亭は、猫とお客さんに助けられてつづいてきた店」
と代々受け継がれてきた。そこにはある猫が必ず現れている。
最後に気になっていたことがぜんぶ明かされて、気持ちの良い終わり方。続編をあれこれ想像してしまう。永遠に続いてほしいお店の話。
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江の島で代々、島の猫たちのお世話をしている女性たちの100年に渡るお話。
「ねこもりさん」と呼ばれる彼女たちは、先祖代々猫のお世話をしているが、猫たちの方からもきちんと認められていて、ある時は島中の猫たちに見送られ、ある時は島中の猫たちに出迎えられる。そんな先祖代々の女の血筋‥‥「魔女の宅急便」や「コーヒーが冷めないうちに」を思い出しました。中には、ねこもりなんてやってられない!江の島を出たい!というのもいたりして、これは「あまちゃん」を思い出しましたね笑。
大正から平成まで四世代の女性たちの生き様、とても胸を打たれました。個人的には「あまちゃん」タイプの溶子の章では泣かされました。「言ってくれなきゃ、わかるわけないべ」「家族とは難しいもんだな」‥‥あ〜!泣いた!
全編通して、潮の香りを感じました。子どもたちとよく江ノ電には乗りに行ったけど、江の島までは足を伸ばしてなかった。江の島に行ってみたくなりました。
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一度は行きたい江の島!戦前から続く食堂兼民宿の「半分亭」の女性は島の猫を見守る役目を担っている。その「半分亭」と、「半分亭」と「ねこもり」を引き継ぐ戦前、戦後、現代にわたる四世代の女性の話。猫たちもほんの少し手助け。序章で訪れる一家の悲劇。大事に続けてきた「半分亭」がなぜそんな事に…?の答えが戦前からの「半分亭」の家族達の生き方や、時を越えて絡み合う不思議な人と人の縁から導き出される。筆さんの章が1番好き。とても印象に残る作品。
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タイトルで選んだ初めての作家さん。
江の島で長年営業してきた半分亭。その女主人の親子3代にまつわるお話。それぞれの主人公の若い時の話を中心に人と人のつながりが描かれています。猫との関係性も面白い。
最初はどうなる事かと思いましたが、章立てを見ていたので安心して読み進めることが出来ました。
個人的に江の島関連の本が続きましたし、母娘の三代葛藤話が続きました。
こういう時代を超えてつながる話好きです。
最後はうるっときちゃいます。お勧め。
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タイトルと表紙に惹かれて選びました。
初めは帯に書かれた「百年目の奇跡」とゆうのがピンとこなかったのですが、やはり名取さん作品、最後まで読んで、全部(伏線?とまでは言いませんが)回収され、わかった時にはまたもや泣かされました。
一章から、宿に泊まりに来た昔ながらの常連さんの借金の連帯保証人になり、家族で夜逃げする所から始まり、不穏な感じと、主人公と共に不安と不満を持ちながら読み始めました。それから代々猫の世話をするねこもりさんとしての女の人達の人生について書かれ、島にいる人達の関係を知り、なぜ一章で起きたようなことが起きなければならなかったのかを知ります。
上記にも書いたように最後に全部が繋がり、やっと百年の奇跡の意味を知り、そしてねこもりとしての感動を味わいました。
いやぁー、トラがいい仕事してましたね!あと、江の島をちゃんと隅々までゆっくりさん散策したくなりました。
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江の島に住みながら、猫のお世話と食堂を営む女性の話です。一世代に限らず、何世代にも続き、時間経過は100年ほどの壮大なスケールになっています。人との絆が次の世代にも受け継がれていく様にはとても感動します。恩を忘れない義理堅さを教えられた気持ちになりました。
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優しくて強くて、心に残る物語でした。
4世代に渡って描かれる江の島の食堂のお話。
いきなり夜逃げシーンも描かれていて表紙から想像していたイメージを覆されました。
主人公となるのはそれぞれその時代のねこもりたちですが、物語に寄り添うように猫たちが出てきます。
夜逃げのシーン、ずらりと並んだ猫たち。また最初の方だったけれど、何だか涙が出てきました。
最初から最後まで。
一本につながるねこもりの歴史。
じーんと心があたたくなります。
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装丁の店を確かめに江の島に行きたくなった。近くにいるのに行くことはほとんどない。たまには行ってみようかな。すみゑから麻布へと脈々と続くねこもりという血。ねこもりという役目はないけど、オイラも親父とお袋からこれでもかっていうほど良くも悪くも血を引き継いでいる。若いときはあんなふうになりたくないと思っていたけど、今となってはしっかり似ていると思うし、昔ほどの嫌悪感はない。なんでだろう?溶子が庄二郎を許し認めるのはちょっとわかるような気がする。「半分亭は猫とお客さんに助けられてつづいてきた店だ」を世代を越えて守る佐宗一家のひとりであることを誇らしく思えるようになったからこそだと思う。今日は母の日。お袋に電話をして、人一倍元気な身体に産んでくれたことを感謝した。喧嘩もするけど家族っていいよね、ってあらためて感じさせてくれる温かい物語だった。
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ちょっとしたグルメ小説なのかなと思って読み始めました。ところが出だしからなかなかハードな展開。そして話は約100年前に遡り…。江の島にある半分亭という食堂を代々営む女性達のお話です。
江の島には何度か行った事があるので、風景を思い出しながら読みました。半分亭はここら辺にあるのかな?と想像しながら。
強くて優しい話にとても感動しました。
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ねこもりって何だろう。
江の島とねこもりのタイトルに魅かれて読んでみた。
江の島に住む半食堂半民宿を営む女性たちの物語。
代々江の島の野良猫たちの世話をする役目を
受け継いでいる女性たちである。
「ねこもりさん」と呼ばれる彼女たちは毎日猫の世話をしている。
お返しに猫に不幸がこないように守られるような生活である。
物語は2002年、高校生の麻布がねこもりのとき、
大負債を背覆って江の島から一家が夜逃げする話から始まる。
次の章は1915年、すみゑがねこもりのとき、
島で知り合った少女からある預かり物をし、
きっと取りに戻ってくるからという約束をかわす。
1963年、ねこもりは筆。
1988年、ねこもりは麻布の母である容子と、
麻布の曾祖母の代からの話しが現代へと続いている。
2017年、麻布たちは島から夜逃げして松島に移り住んでいた。
麻布は預かり物を手にして再び江の島を訪れてみる。
そこで、半世紀以上たっての奇跡的な再会を果たすことになった。
ねこもりの女性たちの運命が変わろうとするとき、
きまって関わってくる、島の猫がいる。
背中に太い5本のトラシマ模様をつけた茶トラの猫。
ねこもりの代が変わるように
縁の深い5本のトラシマ模様の茶トラ猫も
代々変わっているようだが、
その縁は受け継がれているようである。
野良猫だが、
ねこもり一家を陰で見守る不思議なトラ猫。
江の島への故郷愛とともにねこたちへの愛情も十分に感じられた。
果たして江の島に「ねこもりさん」は本当にいるのだろうか。
それ以前に江の島は本当に猫の島なんだろうか。
作品内容も面白かったが、
そういう疑問の方が印象深い作品だった。
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いきなりお店を放棄して夜逃げになったときにはどうなることかと思った。
何か、ファンタジーなどんでん返しがあるとか、いきなり救世主が現れて救ってくれるとか…
冒頭からそんな事は起きませんでした。
江ノ島の「山二つ」にある、「半分亭」は、横に並んで三つの入り口があり、一番左が民宿、真ん中が食堂、右は家族の母屋の入り口で、この部分だけが二階建て。
突然、何もかも捨てて去らなくてはならなくなった、佐宗麻布(まゆ)一七歳。
半分亭は『猫とお客さんに助けられてつづいてきた店』
佐宗家にはなぜか女しか生まれず、その女たちは、代々「ねこもり」を引き継いできた。
ユエ、すみゑ、筆、溶子、麻布と続いてきた、女性たちと、彼女たちと江の島との様々な思いと歴史が語られる。
懐かしい昔と、決して平たんではない彼女たちの道でしたが、それぞれの青春があったのだな、と。
麻布も…もしかしたら麻布が一番苦労をしたかもしれない。
甘いだけでない、でも希望の持てる結びで良かったです。
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江ノ島に店を構える半分亭。
その家の女子には、代々ねこもりという役割があってー
100年、世代を超えて繋がる人と人とのドラマ、愛情がじんわりと心に沁みました。
名取さんの、人を見つめるあたたかな眼差しは健在。読後は爽やかで優しい気持ちになれます。
要所要所で顔を出す猫たちも、神秘的で憎めなくて、印象的でした。
こんな風に、人や猫と繋がれたらいいなぁ
Posted by ブクログ
歴代のねこもりさんにまつわるお話でした。
それぞれの人のお話を読むとこの人とここで繋がっているのかぁとその時代ごとの登場人物がいて面白かったです。
あってないような仕事でもねこもりは江の島に必要な役割なんだろうなぁ。
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代々繋がれてきた
江の島の猫のお世話をする“ねこもりさん“の物語
それぞれの時代にそれぞれの思いがあって、
“つなぐ“という言葉の重さを感じました。
自分たちがいま生きているのもこれまでつながれてきたからなのだと改めて思いました。
もしだれかが欠けたら、出会わなければ
もしかしたらここにいないかもしれない。
そう思うと一つひとつの出会いを大切にしていきたいなと思いました。
Posted by ブクログ
表紙の絵と題名からは想像もできないような大河ドラマだった。全く予備知識なしで手に取った本でこんなに一気に読んでしまったのは久々かも。100年以上の時を同じ血筋の女性の生き方を通して書いてる本。きっと江ノ島を知ってる人なら風景が目に浮かぶように読めるんだろうな。
Posted by ブクログ
江の島で、食堂と島の猫たちの世話を先祖代々やっていた佐宗家。
猫とお客さんに助けられてつづけてこられた店、だった半分亭は
祖父の庄一郎が常連客の借金を肩代わりしたことで、夜逃げという形で店は終わった。
1915年、島に来ていた遊女だった鶴子と出会ったすみゑ。
1963年、すみゑの娘の、体の弱い筆と当時駐在さんだった庄一郎との馴れ初め。
1988年、筆の娘の、気の強い容子が抱いていた江の島の鬱屈と故郷愛。
2002年、容子の娘の、麻布と夜逃げしたこと。
2017年になって、母となった麻布が再び娘と江の島を訪れたこと。
なんか時代感のあるやつだった。
猫いいよね猫。
Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
江の島に「ねこもりさん」と呼ばれる女たちがいた。それは島の猫の世話をするという、とある食堂の隠れた仕事。1915年のすみゑ、1963年の筆、1988年の溶子、そして2017年の麻布。一家の女たちが、ねこもりとして生きたそれぞれの人生は、新しい命を結び、未来を繋いでいく。
江の島はデートで何度か行きましたが住むには小さな場所ですね。高尾山中腹のお土産街もそうですけど人間関係が濃厚そうです。昔はそういうのしんどかったけど、今となっては結構憧れますね。4代に渡る食堂の物語で、縛られていると思うか守られていると思うかはその人次第でしょうが、僕なら絶対に飛び出しているでしょう。そして懐かしくて寂しくて泣くんでしょう。彼女達は葛藤は有りながらも島を人を猫を愛して、いつまでもこの島での歴史をつないでいきたいと願っています。図らずも島を出なければならなかった溶子と麻布の3代目4代目はさみしいです。ほんわか温かな話になるのかと思っていたら、結構シビアな展開で胸がしくしくしました。いい話だと思います。
Posted by ブクログ
舞台は江の島。
そこで民宿を営む「半分亭」は、代々野良猫の世話をする「ねこもりさん」の仕事を任されていた───
江の島の食堂と猫ちゃん、
想像していたほっこりな世界とはだいぶ違っていました。
一番印象に残ったのは筆の章。
からだは弱くとも、心まではそうならない筆の淡い恋物語がせつなかった。
置かれている時代、場所で、それぞれに精一杯生きた女性たちの友情と約束。
100年かけて返すことができたもの。
長い長い年月を経て、繋がった奇跡。
色々な想いがじわ~っとこみあげてくる物語でした。
猫好きとしては、もっと猫ちゃんがでてきてほしいと思ったりもしましたが、
逆に急所をついて現れる猫ちゃんたちの存在感がすごい。
もうね、ベビーカーの回りに島の猫達が集まってきたシーンには胸がいっぱいで…
守っていたつもりが、守られていたのだなぁと…
約束、はたされました。