あらすじ
天才ギタリストの蒔野(38)と通信社記者の洋子(40)。
深く愛し合いながら一緒になることが許されない二人が、再び巡り逢う日はやってくるのか――。
出会った瞬間から強く惹かれ合った蒔野と洋子。しかし、洋子には婚約者がいた。
スランプに陥りもがく蒔野。人知れず体の不調に苦しむ洋子。
やがて、蒔野と洋子の間にすれ違いが生じ、ついに二人の関係は途絶えてしまうが……。
愛とは運命なのか、それとも、私たちの意志なのか?
芥川賞作家が贈る、至高の恋愛小説。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ずっと読みたくてやっと完読。運命的な出会いってあるもんだなぁと感じると共に、大切な人と良い関係性を築いていくためには自分自身が癒やされている必要があって、相手との相性も大切だけど、人生のどのタイミングで出会うかの方が大切なのかなぁと感じた。
Posted by ブクログ
恋愛小説ではあるけれど、主人公2人の激動の人生の一部を覗かせてもらった気持ち。
生きてさえいれば、未来を変えることができるだけでなく、過去でさえ変えることもできる。
あと、自分が知らない難しい言葉や言い回しや当時の世界情勢がたくさん出てきて自分の無知さも知ることができた。過去と地続きの今を生きている1人の人間として、過去のこと色々知っておきたいと思った。
Posted by ブクログ
2人が出逢ったのはたった3回だけなのに、人生で最も愛した人として、それぞれの男女の心に深く刻まれていく。しかし、相手を思いやるあまりに別々の道を選択してしまう2人。そこには、若さあふれる恋愛とは、ひと味もふた味も違う大人の恋愛の深さがある。
一度は離れてしまった男女がまた巡り逢えたのは、魂の部分で通じ合うものがあり、それぞれに自分の人生を真摯に生きていたからこそ。神様から2人へのプレゼントのように感られる、最高のラストシーンだ。
(2019.10.1 ノートに書いた感想です。)
Posted by ブクログ
『ある男』『私とは何か』を読んでようやく平野啓一郎さんの代表作『マチネの終わりに』を読むことができた。私はこの作品の放つ美しさと哀しさに心を動かされた一方で、うまく感想がまとまらないままでいる。だけど、あえて書いてみようと思う。
平野啓一郎さんの作品はいつだって表面的ではない、人間自身について考えたくなるような本質を問うてきて、深く心が掴まれる。そしてその圧倒的な知性に敬意を感じている。そんな平野作品を読む時間は私にとってすごく特別で、好きな時間だと再認識した。
小峰洋子と蒔野聡史からは、愛を超えたような深い魂からのつながりを感じた。お互いがお互いで安らぎを得るのは。そしてお互いでしか得られない心地よさを感じるのは、二人にとってたがいに対する分人がかけがえのないものだったことが分かる。その分人を失うことの哀しさと切なさといったらない。それがこの物語に「やるせなさ」をもたらしているのだと思う。物語の中盤以降、ページをめくりたくないという思いとのめり込むように読みたいという衝動がぶつかりあって、結局すぐに読み切ってしまった。
安易に物語の結末をパッケージ化しないからこそ、その運命論と自由意志がせめぎ合った苦しい現実を差しだしてくる。だからこそ、その深い余韻に浸れるとともに、そのリアルな感覚に私たちは心を揺さぶられるのだろうと思った。
また過去は変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。それほど繊細で、感じやすいもの。
という表現は言われてみれば確かにそうかもしれない、と思ってすごく心に残った。二人にとってもお互いの過去が憎しみや悔いの対象でなく、美しい思い出になればいい。
この作品のすごさは、単なる恋愛小説にとどまらないところだ。現実に起こった戦争や経済の崩壊、災害も交えながら、その現実(過去)に思いを馳せる。今も戦争は続いている。それだけじゃない、静寂に対する<美>としての音楽、そして親子の愛情、などなどさまざまなテーマを織り込んでいる。たくさんの音楽を紹介しつつ、小説なのにどこからかギターの音色が聞こえてくるようだった。
読んだ後は、なんで自分が泣いているのかも正直判然としないまま、ただただ涙が流れた。なんというべきかわからないけれど、美しい作品だった。
物語の中の言葉から
「幸福とは、日々経験されるこの世界の表面に、それについて語るべき相手の顔が、くっきりと示されることだった。」
彼らは今、幸せに生きているだろうか。
Posted by ブクログ
普段恋愛小説はあまり読まないが、なんとなく題名に惹かれて手に取った。この本は心が揺さぶられる大人の切ない物語だった。
蒔野と洋子が会う予定だった日、二人はほんの小さなすれ違いが重なって、更に早苗が洋子に送った別れを告げる偽メールによって一緒に歩むはずの二人の道が分たれてしまった。
この時、蒔野も洋子も精神的にダメージを負っていたために、相手のことを想い、また自分が傷つかない方向に進んでいったのだと思う。
早苗は大変なことをした、との自覚がありながらも自分の行為を自分の中で正当化していく。
早苗には全く共感はできないが、自分の間違いをなんとか正当化しようとする心理は多少は理解できる。
蒔野と洋子が初めて会った時の会話、未来は常に過去を変えている、という話は印象深かった。洋子が父親に昔のことを聞く場面、まさに過去が変わった瞬間で、父と娘の気持ちが通じたこの場面はとても好きだ。
ニューヨークで蒔野のコンサートに行った洋子、一部が終わってギリギリまで帰るか、席に戻るかを悩んでいたが、席に戻ることを決断できた洋子に拍手を送りたい。
登場人物の心情が細かく綴られていて、読み応えのある、余韻の残る一冊だった。
Posted by ブクログ
映画鑑賞時も馬に蹴られろ!と心底思っていたのだが、原作を読んだことでより詳細に深く彼女の心情や思想がわかった今でも、やはりわたしは三谷早苗という人物が嫌いだ。
仕組んだ事そのものより、2人が許すしかなくなる要因を得た後に全て自白しているあたり、本当にタチが悪い(意図していないなら余計に)。せめて墓場まで持っていく気概は見せてくれよと思ってしまう。
それはそうとして、「過去の意味合いは変えられる」という主題をニューヨークでの再会をもってして表現し締め括るストーリー構成がとても良いし、平野さんが綴る物語には心揺さぶられるなぁと改めて感じた。
映画サウンドトラックは作中でキーとなっているクラシックギターの音色を堪能出来るので、読書のお供におすすめです。
Posted by ブクログ
天才クラシックギタリストの蒔野、国際ジャーナリストの洋子、のちに蒔野の妻となるマネージャーの三谷の3人が主な語り手。
40代に差し掛かり落ち着いた思慕の想いを交わし合う蒔野と洋子を、若い三谷が蒔野への執着のあまり引き裂いてしまう。それぞれ想いを募らせ、苦しむ様子に引き込まれて読む手が止まらない。
作中にもあったように「過去は変えられる」ラストで、まるで映画をみたような没入感でした。
Posted by ブクログ
1. 「過去は変えられる」という発想について
作中の核心的なテーマである「未来が過去を変える」ということへの共感。
人それぞれに様々な過去があるけれど、その「過ぎ去った過去を、今とこれからの未来によって『良いもの』へと変えていくために努力すること」、その営み自体が人生そのものなのではないか、という気づき。
2. 「誰かの人生の脇役」として生きることの不可能性
作中では、牧野を輝かせるために「脇役としての人生」を生きようとした早苗の姿勢が称賛され、一見それが美しく、格好いい生き方であるかのように描かれていた。読んでいる最中はその風潮に流されそうにもなった。
しかし、深く考えてみると、それは「自分の人生を他者に依存してしまっている状態」に他ならない。
依存している以上、主役(牧野)の価値観や大切にしたいものが変わってしまえば、脇役(早苗)の人生の前提そのものが崩壊し、成り立たなくなってしまう。
脇役という生き方を否定したいわけではない。しかし、「どうしても自分しか自分の人生の主役にはなれない」のであり、誰かの脇役であることを人生のメインに据えて生きることは、構造的に不可能なのだと強く感じた。
3.言葉や行動をそれそのものだけでなく、背景や文脈まで想像を巡らせることが、相手への愛情であり、人間としての知性、成熟度と感じた。
Posted by ブクログ
この感動を言葉で表せられないのが苦しい。お互いに愛情があってもなお、事実を知ってもなお、その選択ができる蒔野と洋子が凄い…。途中の転機になる場面はついアンジャッシュのコントか!とツッコミを入れたくなるくらいだったけど、まさかこの勘違いから別の人生を歩むことになるとは…。
蒔野のギターのスランプ、洋子のトラウマによる苦しみ、どちらも似たような経験をしたことがあるので同じように苦しみながら読み進めた。
洋子みたいに大切なものを見極め、自分より周りの幸せを心から願うことができるような人間になりたい。
Posted by ブクログ
人物名を覚えるのが苦手で数年前に小説を離脱したという話をしたら、友人がオススメしてくれた一冊。
久しぶりの小説にしてはボリューム多めだったが、内容はとても好みだった。
主人公2人を中心に、自身の経験と重なる部分があったり経験したことのない感じ方があったりと、共感や発見の多い読書体験だった。
また小説を読み始める気がする。
Posted by ブクログ
言葉が美しい。感性が美しい。
過去は変えられる。
過去の事実は変わらなくても過去の思い出は変わるのかもしれない。
儚い。
3回しか会ったことない、、
ひかるくんみたいだね、
それでも好き。
その事実はかわらない。
Posted by ブクログ
過去は変えられないと思いがちだが、未来によって常に過去は変えられているーーー。本作のテーマともいえるこの概念をベースにしながら、恋愛とも言えないけれども互いを思う気持ち、嫉妬により結ばれなかった結婚生活まで、静かに流れるクラシックのような物語だった。
ミステリではないのに、先が気になり、でも一気に読み進められないような独特の雰囲気を感じた。他の作品も読み進めたい。
Posted by ブクログ
好きな作品。
たった数回しか会わずとも強く惹かれ、紡ぎ合う時間がどれだけ短くとも二人の深い繋がりは、生き方、考え方、すべてに影響を与え続ける。
再会の後、どんな話しをするのかな。
互いの大切なものを、互いに受け入れ合って、精神的な深い繋がりを、穏やかな気持ちで語り合いながら歳を重ねて行ってくれたらいいな。
Posted by ブクログ
「大切な人へ贈る本」という帯が付いていました。
まさにその通りでした。感動し涙が止まりませんでした。
読み終えた時、序盤の頃に出てきた「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。」という言葉の真意に触れた気がしました。
今を生きる私やこれからの私(未来)の考え方捉え方が、過去の出来事に違った意味を持ちうるという。私自身も過去の悲しみを優しく包み込む事ができた気がしました。この本との出逢いに感謝しています。
実話に基づく小説と、冒頭で述べられています。
忘れられない人がいる方、ぜひ読んで欲しい。人を愛する心がとても美しいです。
Posted by ブクログ
”結婚した相手は人生最愛の人ですか?”
この問いに、おそらく正解、不正解はなく、どちらかであれば幸せで、そうでなければ不幸せということはないのだろう。
ボタンをかけ違えていった結果たどりついた現実であっても、その中でも素晴らしいひとときはあり、尊い出会いもある。だけど、すごく落ち込むことがあった時には、有り得たかもしれない別の生き方に想いを馳せ、涙することもある。
すれ違いが生じた時に、がむしゃらに追いかけて取り戻そうとする若い頃を越えた、大人の恋愛小説でした。
Posted by ブクログ
「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでいる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えているんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。」
作中で洋子が何度か思い出す蒔野のこの言葉。この本の最後の1シーンを読み終えた後に思うことは、その後2人の過去は幸せな記憶として変わったのかどうかということと、そうあって欲しいと思うこと。
それは2人が尊敬しあえる友人としてではなく恋人としてあの夜の続きを進めることで変えて欲しいと思った。
2人のその後は読者のご想像にお任せしますという感じだったので、最後に蒔野が洋子に会う直前に思い返した幸福の硬貨の一節にあるように.....彼らは、きっともう失敗しないでしょう!
距離感が程良いです
人と人との程良い距離感が感じられる良い作品でした。仕事の同僚、親と子と孫、夫婦、そして男と女。ちょっとしたボタンの掛け違いから生じる人間関係が、最近の実際の社会的事件と相まって、実にリアルでした。
Posted by ブクログ
途中のメール偽装まで読んで、やばい小説だなと思って、心配になり結末を先に検索してしまった。そこでは、「優しい作品」と感想があった。そのまま読み進めると、確かに、過去の出来事の捉え方は変えられるというテーマが随所に滲み出て来ており、最後は良かったなあという気持ちになれた。
Posted by ブクログ
恋愛小説は読まないけれど、これは読んで良かっふたと思える本。
うまく言葉にできない自分の語彙力のなさと表現力の無さがもどかしい
数年後に読み返したい本
Posted by ブクログ
天才ピアニストと聡明かつ美人ジャーナリストの結ばれない愛の物語。
2人の出会いのシーンで感じたのは、教養で付き合える人の幅が広がるということ。
洋子の教養には驚かされるものがあった。
話の中盤からは「三谷はなんてことをしてくれたんだ…」という想いでしかなかった。
彼女さえいなければ蒔田と洋子は深い愛で結ばれ、幸せな家庭を築いていたというのに。
しかし、蒔田に尊敬と異常なまでの愛情を持って大きな過ちを犯した三谷を強く責めるものは、誰もいなかった。責められなかったという方が正しいのか。
愛に結ばれず、しかし互いに愛と信じた道を歩んでいく。なんとも寂しく、大人な話だと思った。
40を過ぎて人生最愛の人に巡り会えるとは、人生いつ何が起こるか分からないものだな。
「過去は現在によって変えられる」というような意味合いの言葉が心に残った。
私は「過去は現在の自分自身の解釈によって、変えられる」と解釈したが、洋子の父の話や三谷が打ち明けた過去などは正にそうだろう。
自分がどんなレンズを通して今を、そして過去を見ているか。そのレンズによって良くも悪くも人生が変わるのかもしれない。
Posted by ブクログ
大人の高尚な関係性を感じて、恋愛ものかな?と感じて読み進めた。
主人公の周りの人間臭い人達の中で、主人公たちも他者には人間臭い対応の中、それぞれに対する慈しみや感応性に特別感を感じていきました。
終わり方も、読者の想像でいろんな形が広がる形で、どんな形を想像しても、一緒に歩もうがそれぞれ歩もうが、かけがえの無い人との繋がりが続く良い形だなぁと、余韻に浸りました。
Posted by ブクログ
バイオリニストとジャーナリストとしてそれぞれ華麗なキャリアを送っている2人だが心の内奥には不安を抱えている。2人が自然と出会う回数が増える中でも、お互いにないものを補完しながら支えあって送る日々は長続きしなかった。悩み抜いた末に出した別れという重い決断は必ずしも負の感情によるものでもない。人生の中で下す決断には常に悩みがつきまとう。新たなステージを歩もうとしているすべての人の後押しをする作品である。
Posted by ブクログ
主人公たちがあと10年若かったら、きっと色んなことが違っていたんだと思う。
我を押し通す程若くもなく、かと言って全てを受け入れる程でもなく...
最初は緩やかに愛を育むのかと思ったらある事件が起きて、そこからは「こうしたら良かったのに」等のもどかしさが続いてた。
色んな世界情勢の中、スランプもあり、結局選んだのは自分だけど、「こうしたら良かったのに」をそれぞれが大なり小なり抱えて生きてるんだなと思った。
独身の蒔野と婚約している洋子が惹かれあうという話で、内容としてはドロドロとしたものとなっていた。しかし、二人の性格の見せ方なのか、不快感を抱くようなことはなく、どちらかというとピュアな印象を持って読むことができた。
また、終盤で擦れ違いの真相をお互いが知った際の考え方やその後の行動から、もし私ならどうしただろうかということを考えさせられた。どう動いても最高の結末が想像できないまま二人が再会し、そこで物語が終わりを迎えたので、自然とその後に思いを馳せられた。
Posted by ブクログ
「未来は常に過去を変えている」過去には戻れないという時間的な不可逆性があるけれど、現在と未来を使って、過去を捉え直すことはできる。過去に対する自分の心情を塗り替えることで、過去は変えられる。だから思い出に惹かれ続ける。
大人になると心を動かされるものに出会う機会が減ってしまう。他人を通してみる理屈のない好奇心に、身を委ねて情熱を捧げることに臆病になってしまう。大人になったといえば聞こえはいいけれど、言い訳が上手になっているだけ。
Posted by ブクログ
この作品は464ページあるのですが、その真ん中あたりで三谷さんという方が、つい魔が差してある行動をしてしまうシーンがあり、そこから一気に物語に引き込まれます。
序盤は音楽用語などのオンパレードで、もしかしたら音楽に詳しくない方は読むのを諦めてしまうかもしれませんが、そこはグッと堪えて、ぜひ真ん中あたりまで読み進めてみてほしいです。
そして洋子さんは最初、婚約者がいるのにどんどん蒔野さんに惹かれていくのは読んでいて複雑だったのですが、終盤のとあるシーンがとてもカッコよくて印象に残っています。
わたしもあの場面で、ああやって言えるような人間になりたいです。
ただ、洋子さんはチケット代まで受け取らずにお店をあとにしましたが、わたしは自分で言うのもなんですがケチな人間なので、お金はちゃっかり受け取ってから立ち去るだろうなと思いました(^^;
たとえ婚約者がいようが結婚していようが、新しい出会いなどに影響されて、人の心は移ろいやすいものなのだなと感じました。
物語はすごく面白かったのですが、恋愛ものは少女漫画ぐらいしか読んでこなかったわたしにとっては、大人同士の恋愛はレベルが高すぎて、少し人間不信になりそうでした(´-ω-`ll)
ですが蒔野さんがおっしゃっていたように過去は変えられるので、これを機に他の恋愛小説も読んでみたら、この本に対する印象が変わるかもしれません。
また恋愛ものを手に取ってみようと思える一冊でした。
Posted by ブクログ
序盤や終盤の展開をみるとたしかに「恋愛小説」なのだが、はたして筆者は「運命的な惹かれ方をしあった二人の恋愛模様」を描きたかったのか?というと、違う気がしている。
というより、「描きたいことをいろいろ詰め込んでみました!」感をどうしても感じてしまい、そしてその「描きたい一つ一つの題材」がそれこそ「ひとつの作品の核」になりうる重いものばかりであるからこそ、中途半端な描かれ方となり、かえって一つ一つの要素が薄く感じられる。もっというと軽んじられている、という印象になっていると個人的には感じた。ひとつひとつの要素がうまく絡んでいないというか。
複雑というより、「ちぐはぐ」。
また、物語としての大きな「転」である二人のすれ違いについては、正直言って稚拙さが目立つ展開だと思った。まさかのアンジャッシュ。
いい大人同士、直接話せばすぐ解ける誤解であるだろうに、ドラマ性をもたせたいからか、直接二人が話せなかった理由として「イラクでの自爆テロに巻き込まれた経験によるPTSD」や「恩師の危篤」を利用するところに、かなり嫌悪感と不誠実さを感じた。
冗長だと感じるシーンもあれば、「え、ここの展開こんなにあっさり?」と思うところもあり、読んでいてのカタルシスがうすい。
特に、二人がすれ違う原因を作った戦犯★早苗の罪の告白・真実の露呈シーンは読者が読みたいところだと思うのだが、思ったよりあっさりしてる上に蒔野も強く責めないのですっきりしない。
かといって早苗の好感度があがるような(肩を持ちたくなるような)シーンもほぼ書かれていないので、(ってか蒔野が早苗をすきになっていく描写すらない。ポジション的には早苗悪くないはずなのに、さすがに脇役すぎる。ちょっと不憫)
蒔野が真実を知ったあとでも「早苗と別れない選択」をする・早苗との「家族としての親密さ」に説得力がない。子供もいれば「別れろ!」とは簡単に言えないのはそうだし、献身的に支えてきてくれたというのはそうなんだけど。
けっきょく早苗は罪悪感に苛まれるくらいで最後までお咎めほぼなしなのもなんだかなぁ。
いろいろ文句を書いてはいるが、洋子と父のシーンだったり、洋子・蒔野・ジャリーラの3人で過ごしたパリの夜のシーンはよかったなと思う。
映画はもしかしたら尺の問題的に、いろいろとカットせざるを得ないであろうから逆にすっきりしてみやすくなってるかも、と思った。観てないけど観てみようかな?
Posted by ブクログ
途中読み進められなかったが、読み終えて良かった作品‼︎
8章から何度震えたか‼︎
感想を私の言葉では表せない。
40歳くらいになったらまた読みたいと思う。
Posted by ブクログ
何が正解で何が不正解なのか
そんなことは未来になってみないとわからない気がする。過去を振り返ったとき、あの時の決断が正しかったと言える。
自分のした選択は間違っていたのではないかと思うことが私には多々あって、何かを選択するときは慎重になって決断することが好きではないけど、これを正解にするのは自分なんだろうな。
Posted by ブクログ
「人は変えられるのは未来だけだと思っている。
だけど実際は、未来は常に過去を変えている。」
そうか、過去は変えられないと思ったけど過去への思いは未来の見方によって変わっていくんだな。
自分にもわからないぐらい繊細に。
人は一生の中で出会うべくして出会う人は、いったいどのくらいいるのだろう?
その出会いを離さず、つかまえていけれるのだろうか?
いずれにせよ、自分の弱さから目を逸らさない強い人でいたいな。
Posted by ブクログ
すごく難しい言葉が多くて読み終えるのに時間がかかった。
だけど読み終えた後は、今まですれ違いすぎてた2人の時計がやっと進む期待に溢れた。
ただ、早苗を本当に許せないのはまだ自分が若いからなのか。当の本人達が何故あそこまで冷静でいられるのかが疑問だった。
意外でした
ずいぶんと話題になって映像化もされた作品という事で、読んでみようと思いました。ストーリー自体は面白いのですが、登場人物同士の会話が難しくて、しかも長々と会話が続くため、私にはとてもわかりにくかったです。結局そういう部分を飛ばして読んでしまいました。作者の方には申し訳ないです。映画のは観ていないのですが、きっともう少しわかりやすいのでしょうね。
しんどい
久しぶりにとても読むのが辛い本だった。中盤は噛み締めながら読むのが無理だった。明るい兆しを含むラストであったが、救われるわけではない。この本を読むには自分はまだ人間性や教養が足りてないと感じた。5年後10年後にまた読んでみたいと思う。その時人間的な深みを得られていればじっくりと読み込むことができるかもしれない。