あらすじ
天才ギタリストの蒔野(38)と通信社記者の洋子(40)。
深く愛し合いながら一緒になることが許されない二人が、再び巡り逢う日はやってくるのか――。
出会った瞬間から強く惹かれ合った蒔野と洋子。しかし、洋子には婚約者がいた。
スランプに陥りもがく蒔野。人知れず体の不調に苦しむ洋子。
やがて、蒔野と洋子の間にすれ違いが生じ、ついに二人の関係は途絶えてしまうが……。
愛とは運命なのか、それとも、私たちの意志なのか?
芥川賞作家が贈る、至高の恋愛小説。
感情タグBEST3
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アラフォー大人の恋愛物語。
インターナショナルギタリスト槇野と、インターナショナル優秀ジャーナリスト洋子が、びっくりするほどすれ違う話。
いやいや。2,000年代に入って携帯も普及してる世の中で、
しかもティーンでもなく、常人じゃ到底及ばない才能と知識のある良い大人がよくもまぁそこまですれ違うことができましたね?
ってくらいすれ違う。
最初から最後まで恋愛どっぷりだし、
すれ違いすぎてイラついたし、
飽きるかなーと思ったけど結局最後泣いた。
そして、運命の人ってこーゆうことかって思った。
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初めて読んだ平野啓一郎先生の作品。愛がほんの一瞬で行き違ってしまう様子が、見事に描かれています。登場人物それぞれの心の葛藤がえげつないほど生々しく、読む側に深く刺さります。読んでよかった〜
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とても良かった、読後感がすごい。。。
平野さんの「私とは何か 個人から分人へ」を読んだ後に読むと、より分人が実感として得られる。
2人の関係は綺麗な愛とは正直言い切れないとは思う。世に言う”不倫”の正当化にも感じ取れる。
ただ、心で惹かれあっただけの2人はどうしたらいいのだろうか。出会うタイミングが異なっただけの2人はどうしたら良いのだろうか。
好きな小説の一節に、「映画も小説も人も、出会うタイミングってもんがあるんだ」という一節がある。
ふむ、難しい問題だ。。。。と思う。
このタイミングは自分で決められるものなのだろうか?
そこで出てくるのは、自由意志・運命論だ。こうなる定めだったと受け入れる方が楽なこともある。
ただ一方で、未来は常に過去を変えるというセリフも出てくる。
その過去を意味があるものにしていこうとは思うが、
私の人生の中で、そういったものと決めるには勇気がいるし、仮に心が動いてしまった時が来たら、私は何を持って決断できるのだろう。
出会うべきタイミング、これは解決しようのないゲームのトラップというか、設定なのだなと思いました。
うーん、、、、、難しい。
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洋子さんを投影する方がいます。聡明な方。人を愛するに気がつく、その話し方、話の合い方にそのまま。心奪われた。携帯電話を落とすことで展開する転をもってしても、登場人物は、皆、もがき、自分の中に持つ、善悪をも生きることになる。誰も責められない。人を好きになる出会いに、素直に受け入れて生きたい。そう思った
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36歳で妻子を持ついまだからこそ、この小説が刺さったのかもしれない。
なんて切ない物語なんだろう。自分だったらどうしていただろう。どうするべきだったのだろう。
実体験以外で、こんなに胸を締め付けられたのは初めてかもしれない。
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「大切な人へ贈る本」という帯が付いていました。
まさにその通りでした。
人を愛するということ…優しさと誇りと悲しみと切なさと、全てが詰まっていて、感動し涙が止まりませんでした。
読み終えた時、序盤の頃に出てきた「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。」という言葉の真意に触れた気がしました。
今を生きる私やこれからの私(未来)の考え方捉え方が、過去の出来事に違った意味を持ちうるという。私自身も過去の悲しみを優しく包み込む事ができた気がしました。この本との出逢いに感謝しています。
実話に基づく小説と、冒頭で述べられています。
あまりに美しいです。
忘れられない人がいる方へ、ぜひお勧めしたいです。物語の世界観にずっと浸っていたくなるような作品です。きっとまた読み返します。
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とても長く、ひとりひとりの思考、感情に重きを置いて写し出される大人の恋愛小説。
たった3回会っただけで運命の人だと感じることができるくらい、言葉遣い、表情、所作、考え方が合う。その描き方が心に沁み入るように繊細かつ大胆。
「1番に好きな人とは結婚できない」なんて簡単な言葉では片付けられない。ずっと読み終わりたくない、至高の読書体験でした。
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2025年1月ごろに読んだ本なので、
思い返しながら感想を書きます。
まず読み始めて思ったのは、
「私の頭では難しい本かも」でした。
でも、高校生の青春恋愛キラキラじゃなく、
大人の恋愛を知りたいという好奇心からどうにか読み進めて見ることを心に決めてなんとか完読しました。
完読した後、余韻がすごく、ついつい映画のサントラを聴いたりモデルとなったクラシックギターの人の演奏を聴いたりしてしまいました笑
たった3回しか会っていないのに、
運命の人とは歯車がばっちり合うような
会話や温度感になるのが
今の私にはまだわからない感情で、
これからそんな人に出会えるのかなと将来に夢を抱きました。
この本の中で好きなセリフは、未来が過去を変えるというセリフです。
未来が良いものになれば過去は良い思い出になる、
どんなに嫌だったら過去でも、その過去があるから素晴らしい未来に導いてくれるものになると解釈しました。
すごく辛かったことや苦手な人に出会ったけど、
この言葉に出会ってから人生で起こった出来事や人に無駄なことはないと感じるようになりました。
無駄にしないためにもそれらを拾い集めてキラキラとした人生を歩んでいきたいです。
頑張って読み切ってよかった。
30代になった時、40代になった時、50代になった時で感じることがすごく変わってきそうで、
人生の節目に読み返したい本です。
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物語の半分をちょうど過ぎたところ、まさにマチネから、物語は大きく動きだし、一気読みしてしまうほど引き込まれた。
愛とは何なのかを考えさせられ、大切な人がいることは当たり前ではなく、感謝しなければならないと思った。
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「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」
未来は過去を変える。この小説のなかで、あまり象徴的で印象深い言葉だった。逡巡と悔恨の狭間で無情なすれ違いが時計の針を進めていくが、理知的な二人の運命を変えていったのはそこから逸出した情動だったのだろう。
幸福とは何かを考えさせられる物語だった。分人が自分らしさの多様性を示すのであれば、幸福の複数性もまた、一つひとつそれは確かなものであろう。早苗のように、時には懺悔が生み出す不幸もある。「なぜ隠し通してくれなかった?」── しかし、これが過去を「マチネ」へと変え、幸福の硬貨という「ソワレ」の調べを奏ではじめることもあるだろう。
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芸術や文学の引用を多用しながら複数のテーマを描いていて少し取っ掛かりにくい部分はあるものの、2人の大人がそれぞれの人生を生きる中で得る何事にも代え難い深い愛と、それに関連して起こる出来事の中で生じる葛藤など、それぞれの内面が深いところまで丁寧に表現されていて、読む手が止まりませんでした。
若者の恋愛を描いたものとはまた違う、40歳を手前に出会った2人だからこその物語に、ただただ素晴らしいという感想しか出てきません。
Posted by ブクログ
読書好きになってすぐのころに読み始めたが、表現が難しくて挫折。
もう一度ゆっくりでいいから読んでみようと重い腰をあげ、時間をかけて読んだ。本当に読んでよかったと思えた。
難しい表現を自分なりに解釈しながら読み進めることが楽しかった。
未来は過去を変えられる。
わたし自身、過去の自分の行いを思い出して苦しむことがよくあるので、過去の捉え方を変えて思い出す記憶を全部幸せな記憶にできたらいいな〜、なんて。難しいけれど、この考えのおかげで少し前向きになれたような。
中盤からのイライラは半端なかった。感情移入しやすいタチなので、ハァ!?この2人を悲しませないで!?と叫び、せっかく順調に読み進めていたところ、途中で読むのをやめようかとも思うほど。血眼になりながらなんとか読みきることができた。
あの時すれ違わずに出会えて、そのまま2人が結ばれるような、ハッピーエンドすぎるストーリーを見てみたかったな。
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「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでいる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えているんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。」
作中で洋子が何度か思い出す蒔野のこの言葉。この本の最後の1シーンを読み終えた後に思うことは、その後2人の過去は幸せな記憶として変わったのかどうかということと、そうあって欲しいと思うこと。
それは2人が尊敬しあえる友人としてではなく恋人としてあの夜の続きを進めることで変えて欲しいと思った。
2人のその後は読者のご想像にお任せしますという感じだったので、最後に蒔野が洋子に会う直前に思い返した幸福の硬貨の一節にあるように.....彼らは、きっともう失敗しないでしょう!
距離感が程良いです
人と人との程良い距離感が感じられる良い作品でした。仕事の同僚、親と子と孫、夫婦、そして男と女。ちょっとしたボタンの掛け違いから生じる人間関係が、最近の実際の社会的事件と相まって、実にリアルでした。
Posted by ブクログ
中盤まで回りくどく感じる描写に耐えていると、「何でそんなことするの?」ということが起きてからグっと2人が近しく感じてきて、ラストまで一気に読んでました。会えない時間が愛を育てるのですね。
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やっぱり平野啓一郎さんの聡明で堅実な文章が好きだ。
マチネの終わりに私も一緒に泣いてしまった。あくまでも賢い大人である二人の純愛が尊い。
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手術直後の満身創痍な状態で読んだので、深くは読めなかったのだけれど、それでも惹き込まれる本だった。元気になった時にもう一度しっかりと読みたい。
ただ、他の平野啓一郎の本とは違い、かなり主人公やヒロインから距離を置いた視点で書かれていると感じた。序文でもチョロっとは言っていたが。
作者の有り余る知識量と文体の快さにノックアウトされそう。クラシックギターを聴いた事がなかったので、入院中のベッドの上で聴いた。
Posted by ブクログ
個々がどうしてその心理に至ったのかがとても丁寧に描写されていて、まさに大人の恋愛小説だと感じた。ある出来事からの蒔野と洋子のすれ違いが歯がゆい。
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大人の恋愛小説。
年齢を重ねてしまったからこそ、簡単には相手に気持ちを伝えられないもどかしさと疑ってしまう矛盾がある。
そう簡単には「付き合う」「結婚する」には進まないながらも、相手を想う気持ちは大きくなっていく。
マネージャーが好きではなかったけど、もし自分がその立場だったら、自分の幸せのために同じような行動を取ってしまうのかなあ。
文体が読みにくかったが、終盤は駆け抜けるように読んでしまった。
Posted by ブクログ
「好き」とか「愛してる」みたいな言葉を使わないのに、どれだけ思い合っているかわかる言葉の使い方が美しい。
すれ違いが切なくて悲しくて、何度読んでも泣いてしまうのに、でも何度も読みたくなる。
Posted by ブクログ
芸術とか政治情勢に教養なさすぎたし、難解な単語にちょっと飽きたりもしたけど、後半はスイスイとエピソード展開していって入り込めた
感情を繊細に抱きつつ冷静に最善手を検討するような理知的な雰囲気を醸す一方で、有無を言わさぬ情動に翻弄されてしまう面もある洋子がかなり魅力的だった、実際いたら嫉妬狂いしそうだけど
誠実な対話を通じて思考が絡み合うような密接なやりとりを自然とできる関係で、さらに自分がこの人に好かれるためにこういう部分が欠けているかもしれないと依存的になる幼さを含むようなそんなどうしようもない恋情に身を焦がしたい
自分の言ってることが本当に伝わっているか?少しでも違和感のある度に立ち止まるようなやり取りは精神的疲労が大きく、コスパが悪いから、諦念に身を任せることが年々多くなっていく。だけどそういった寂しさを感受しながら生きようと決意しかけている時期に、スムーズに通じ合える人がいたらそれは惹かれてしまいますよね
表面や性質を搾取しているのではないか、その性質上容姿以外も含めて性格や思考などの、外観ともいえるただの質に惹かれているだけなのではないかと思わせられる恋愛はややこしい
物語でたびたび出てくることとして
時間は一方向に進んでいくものではない
過去は未来や現在にも影響をうけ、その先に続くストーリーで変わっていく、つまり時間というのは軸の両方向から相互関係を受けるスプリングのおもちゃみたいなものじゃないかというメッセージもあった気はしたが
それに関しては当たり前では?ってなった
心動かされる気づきのように提示されると拍子抜けというか、その自覚は救いになるのか?という疑問が浮かび上がる
過去を追体験なんてできるわけもなく、過去の証人としての自分はかなり不確かで、記憶というのはふとしたきっかけでその時実際に感じたものとは違った風に思い出される
それは改竄とかではない
何かの出来事にまつわる自分の感情というのはワンポイント性のものではなくて尾を引いており、あとから再解釈が何度も折り重なってまつり縫いのように展開していくものだから、原体験なんてわからず、過去はいかようにも変容していく
やはり自由意志より運で人生は構成されているように感じる。全て運により決定されていると考えるとそのコントロール不能感に打ちひしがれるから、未来は変えられると思ってしまうけど。ある時を認識する時、実際の出来事の要素が1割、背後に潜む意図や感情、解釈が9割を担っていると思う。後者が、その後の時の流れにどう影響を受け、変容したものがどう現在に波紋を響かせるかは自由意志と思えたものも込みで運でしかないと感じてしまう
グローバル化、システム化される世の中で人間一人の影響なんて存在しないも同然なのと同様、人生は運命という巨大な自動機械仕掛けになっていて、私たちの自由意志なんて何の意味もなさない気がしてくる。でもその壮大な仕組み全貌を見ようとして途方に暮れるのではなく、自分の手の届く範囲で何かを手作業で生み出し、それを機械に組み込みながら、最終的な生成物の姿に自分のちっぽけな寄与が素敵だったと思わされることができるようにと祈って毎日を生きたい
過去に違う選択をしていればこうだったかもしれないとパラレルな人生に拘泥してしまいがちだが、AとBという岐路があったときに、現在の人生に対してAを選ばなかったという側面もBを選んだという側面も両方を掻き抱き、愛着を持つ態度が描かれており救いが持てた
喧騒に満ちた世の中で音楽が静けさを対比的に作り出し、音と静寂どちらの美しさをも意識させてくれている。様々な感情や思考に揺さぶられてる時こそシアター1席分の沈黙を確保し、静寂の安らぎを共有できるコンサートの偉大さも身に染みて感じられるのだなと。
いい話でした!恋したい!
Posted by ブクログ
主題がいくつもあって
読む人によって、共感できる箇所は
それぞれなんだろうな
過去は変えられるのか
実際のモデルがいるのか
映画化されたものを観たい
何故なら音楽も合わせて聴きたいから
その後、2人はどうなったのか…
これも読む人の価値観で
解釈が違うだろうから、
いろんな人に聞いてみたい
知性的で品のある登場人物
クラシック音楽も含めて
上質な小説だと思う
Posted by ブクログ
相手の事を考え過ぎた故の愛
たった数回の出会いで、分かってくれてると思い過ぎた故の過ち
第三者の想いに対する無関心さ
そんな話。
情景が美しくて映像で見てみたくなりました。
映画楽しみ
Posted by ブクログ
クラシックギターもジャーナリズムもわからない。40歳の恋愛もわからないし、自分には全くない世界の話。めっちゃ面白いわけじゃないけど、恋愛小説もいいなって感じた作品。
自分が18歳の時に妻と出会ったこと。難波で手を繋いだこと。なんか偶然じゃなくて、付き合った気がする。18歳の時ことをすごい思い出させてくれた。
あと、偶然に期待しては良くない。
Posted by ブクログ
表現や言葉が恥ずかしながら馴染みの無いものがちらほら。感情の表現の仕方が多彩で、まるで本から浮かび上がってくるようだった。事実に基づいた作品と記載してあったが、小説のラストの展開から2人はどうなったのだろうと思った。
再会後、長いすれ違いを経て、ずっと一緒にいる気もするし、互いにそうしたいと思っていてもそれを言葉にせず、永遠の別れを伝える気もする。
たった3回しか会っていなくても、それぞれの心に何年も居座り続ける存在だ。願わくば、互いの思いのままを知り、ずっと一緒にいて欲しい。
Posted by ブクログ
クラシックギタリストの薪野聡史とジャーナリストの小峰洋子の大人の恋物語。誰でも物事を選択する時があると思うが、その選択が物語を大きく変えていく。お互い惹かれていた2人だが問題が重なり、離れてしまう。ただ、ラストで「過去も未来も変えることができる」ということを2人に教えてもらえた。その後は想像にお任せパターンで良かった。前半は文章に振り回されたけど、後半は夢中になって読めた。早苗の行動には納得できないけど、それでも相手を思い合えることに驚いた。自分が同じ年齢、同じ立場なら、その対応はできないと思う。
意外でした
ずいぶんと話題になって映像化もされた作品という事で、読んでみようと思いました。ストーリー自体は面白いのですが、登場人物同士の会話が難しくて、しかも長々と会話が続くため、私にはとてもわかりにくかったです。結局そういう部分を飛ばして読んでしまいました。作者の方には申し訳ないです。映画のは観ていないのですが、きっともう少しわかりやすいのでしょうね。
しんどい
久しぶりにとても読むのが辛い本だった。中盤は噛み締めながら読むのが無理だった。明るい兆しを含むラストであったが、救われるわけではない。この本を読むには自分はまだ人間性や教養が足りてないと感じた。5年後10年後にまた読んでみたいと思う。その時人間的な深みを得られていればじっくりと読み込むことができるかもしれない。