あらすじ
天才ギタリストの蒔野(38)と通信社記者の洋子(40)。
深く愛し合いながら一緒になることが許されない二人が、再び巡り逢う日はやってくるのか――。
出会った瞬間から強く惹かれ合った蒔野と洋子。しかし、洋子には婚約者がいた。
スランプに陥りもがく蒔野。人知れず体の不調に苦しむ洋子。
やがて、蒔野と洋子の間にすれ違いが生じ、ついに二人の関係は途絶えてしまうが……。
愛とは運命なのか、それとも、私たちの意志なのか?
芥川賞作家が贈る、至高の恋愛小説。
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Posted by ブクログ
読書好きになってすぐのころに読み始めたが、表現が難しくて挫折。
もう一度ゆっくりでいいから読んでみようと重い腰をあげ、時間をかけて読んだ。本当に読んでよかったと思えた。
難しい表現を自分なりに解釈しながら読み進めることが楽しかった。
未来は過去を変えられる。
わたし自身、過去の自分の行いを思い出して苦しむことがよくあるので、過去の捉え方を変えて思い出す記憶を全部幸せな記憶にできたらいいな〜、なんて。難しいけれど、この考えのおかげで少し前向きになれたような。
中盤からのイライラは半端なかった。感情移入しやすいタチなので、ハァ!?この2人を悲しませないで!?と叫び、せっかく順調に読み進めていたところ、途中で読むのをやめようかとも思うほど。血眼になりながらなんとか読みきることができた。
あの時すれ違わずに出会えて、そのまま2人が結ばれるような、ハッピーエンドすぎるストーリーを見てみたかったな。
Posted by ブクログ
やっぱり平野啓一郎さんの聡明で堅実な文章が好きだ。
マチネの終わりに私も一緒に泣いてしまった。あくまでも賢い大人である二人の純愛が尊い。
Posted by ブクログ
「好き」とか「愛してる」みたいな言葉を使わないのに、どれだけ思い合っているかわかる言葉の使い方が美しい。
すれ違いが切なくて悲しくて、何度読んでも泣いてしまうのに、でも何度も読みたくなる。
Posted by ブクログ
表現や言葉が恥ずかしながら馴染みの無いものがちらほら。感情の表現の仕方が多彩で、まるで本から浮かび上がってくるようだった。事実に基づいた作品と記載してあったが、小説のラストの展開から2人はどうなったのだろうと思った。
再会後、長いすれ違いを経て、ずっと一緒にいる気もするし、互いにそうしたいと思っていてもそれを言葉にせず、永遠の別れを伝える気もする。
たった3回しか会っていなくても、それぞれの心に何年も居座り続ける存在だ。願わくば、互いの思いのままを知り、ずっと一緒にいて欲しい。
Posted by ブクログ
クラシックギタリストの薪野聡史とジャーナリストの小峰洋子の大人の恋物語。誰でも物事を選択する時があると思うが、その選択が物語を大きく変えていく。お互い惹かれていた2人だが問題が重なり、離れてしまう。ただ、ラストで「過去も未来も変えることができる」ということを2人に教えてもらえた。その後は想像にお任せパターンで良かった。前半は文章に振り回されたけど、後半は夢中になって読めた。早苗の行動には納得できないけど、それでも相手を思い合えることに驚いた。自分が同じ年齢、同じ立場なら、その対応はできないと思う。
しんどい
久しぶりにとても読むのが辛い本だった。中盤は噛み締めながら読むのが無理だった。明るい兆しを含むラストであったが、救われるわけではない。この本を読むには自分はまだ人間性や教養が足りてないと感じた。5年後10年後にまた読んでみたいと思う。その時人間的な深みを得られていればじっくりと読み込むことができるかもしれない。